地方建設局長・北海道開発局長・都道府県知事あて
記
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(別添) 関係判例 横浜国道一号路面氷結スリップ事件
(横浜地裁昭和三八年(ワ)第六一五号昭和四二年四月一八日判決、東京高裁昭和四二年(ネ)第九六九号昭和四三年一二月二四日判決)
1 事故の概要
昭和三六年二月一三日午前六時二〇分頃、横浜市戸塚区平戸地内の国道一号を乗用車を運転して時速約四五〜五〇キロメートルで通行中、前方約一〇〇メートル先に対向車を発見した直後進路上の凍結に気付いたが、そのままの速度で約三五メートル進んだところで後軸が左振してハンドル操作の自由を失い、急ブレーキを踏んだところ、路面氷結のためスリップして中央線を越えて反対側に飛び出し対向車と衝突、死亡するに至った。この凍結は、近くの製紙会社が排水溝に放流した廃水の中にあった紙屑の残滓が道路脇の土管の入口に設置されていた鉄格子に付着して土管の入口を塞いだため、道路上に溢れだして凍結したものである。
2 高裁判決の概要
溢水については、製紙会社に一半の過失がないとはいえないが、横浜市の設置した排水溝、土管、鉄格子の設置上の瑕疵もしくはそれらの管理の瑕疵もその原因であることは否定できない。すなわち、溢水は土管の径口の細かったことに因るよりは、むしろ土管入口に設備されていた鉄格子の設置自体の瑕疵もしくは鉄格子を含むその前後の下水施設の管理上の瑕疵に起因するものである。たとえ、市の主張するように三か月前に管径二五センチメートルの土管を四五センチメートルに取替えたとしても、そのことだけで直ちに下水施設の管理に瑕疵がなかったとは即断できない。
市は、従来から、製紙工場が廃水を排水溝に放流していることを許していながら、紙屑の残滓が廃水に混入して流出しないよう適切な注意、監督をしなかったのであるから、右溢水は市の下水施設の管理についての瑕疵もその一因となって生じたといってよい。
そうだとすれば、控訴人は、国家賠償法二条一項の規定に基づき、本件事故に因る損害を賠償する義務がある。(請求額二八九万円 認容額二六二万円)
仙台国道四号土砂流出スリップ事件
(仙台地裁昭和四一年(ワ)第六九一号昭和四四年三月三一日判決)
1 事故の概要
昭和三八年一一月二七日午前六時四五分頃、仙台市内の国道四号を時速五〇〜六〇キロメートルで通行中の大型トラックが土砂流出箇所で急ブレーキを踏んだため、スリップしてハンドルをとられ約八〇メートルを蛇行し、対向車(軽四輪トラック)に衝突、対向車の運転手が死亡した。この土砂は、道路隣接地から崩落したもので、道路管理者が事故発生の前日の午後三時三〇分頃までに流出土砂の除去、路面の清掃作業を行なった結果、コンクリート路面はほぼ平常に近い状態に復旧していた。
2 判決の概要
事故現場附近の国道は、土砂流出箇所から南方へ衝突地点を含んで約一〇〇メートルの範囲に亘って、雨水を含んだ粘土質の土砂が少なくとも通行車両のタイヤの跡が残る程度の厚さで、コンクリート舗装面を覆っており、路面は平常より滑り易く、とくに重量のある車両はスリップの危険がある状態であったと認められる。
現場附近の道路は、交通量がきわめて多く、かつ、重量の大きい車両もひんぱんする道路であったから、道路管理者としては、道路上にスリップ危険などの道路標識を設けて、通行車両に注意を喚起させるなどの適切有効な危険防止の措置をとるべきであるのに、事故当時、道路管理者がこれらの措置をとったとは認められないから、道路は、交通状況に照らして望まれる正常な機能を備えておらなかったといわざるをえない。
したがって、事故が路面の不良によるスリップ事故であった以上、運転手に前方注視義務、徐行義務違反の過失があったからといって、道路管理者は免責されない。(請求額八三〇万円、認容額七〇〇万円)
なお、本件は、控訴後和解終了した。(三〇〇万円)
広島国道二号ペイントスリップ事件
昭和四三年四月二〇日午前一〇時一〇分頃、広島県加茂郡八本松町地内の一般国道二号(指定区間内)において、外側線の線引作業中のラインマーカーの後方二〇〇メートルを走行していた原動機付自転車が、引き終ってかわいていない外側線ペイント部分でスリップし転倒、負傷した。(示談解決済)
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