この政令は道路構造令の制定後の道路交通情勢及び道路をめぐる社会経済情勢の変化を踏まえ、自転車及び歩行者の安全かつ快適な通行の確保、良好な道路環境の形成等を図ることを目的として、自転車道等の設置要件及び幅員の変更、植樹帯又は副道に関する規定の新設等所要の改正を行ったものである。
一 副道(第二条第九号の二及び第七条関係)
(一) 高速自動車国道又は自動車専用道路以外の道路について、その道路の構造が盛土、切土若しくは高架となる区間又は遮音壁を伴う植樹帯を設ける区間で車両の沿道への出入りが妨げられる場合に、当該出入りを確保するために、従来、いわゆる側道あるいは地先道路として設けられていたものを新たに道路の部分として位置づけ、副道として設けることとしたものであること。
(二) 副道は、盛土等の高さ、出入りが妨げられる区間の延長、沿道において生じる交通需要、車両の沿道への出入りを確保するための他の措置等を総合的に勘案して必要がある場合に設けること。
(三) 副道の幅員は、車両の安全かつ円滑な通行が可能となるように、第三種第五級又は第四種第四級の道路の幅員を勘案して、四メートルを標準とすることとしたものであること。
(四) 副道は車道の部分として規定されており、車道に関する諸規定が適用されること。この場合において、副道の線形、勾配等は、車道(副道を除く。)とは別に、改正後の道路構造令(以下「令」という。)第一三条第二項により定まる副道の設計速度に応じ、適切に定めるものとすること。
(五) 副道と車道(副道を除く。)との接続部分については、安全かつ円滑な交通が確保できるよう、その位置、線形、幅員等の取り付け方法について十分配慮すること。
(六) 沿道における生活環境を保全するため遮音壁が設置されることにより必要となる副道には、歩道、自転車道又は自転車歩行者道を並設するものとし、その他の副道にあっては、必要に応じそれらを並設するものとすること。この場合において、安全かつ円滑な交通を確保するため、副道に接続する路肩の省略又は縮小はしないものとすること。
二 植樹帯(第二条第一三号の二及び第一一条の三関係)
(一) 安全かつ快適な通行環境の確保(良好な道路景観の形成を含む。)又は沿道における良好な生活環境の確保を図ることを目的として、従来より設けられていた連続的な植栽部分を新たに道路の部分として位置づけ、植樹帯として設けることとしたものであること。
(二) 植樹帯の設置場所は、車道(副道を除く。)、副道、歩道、自転車道若しくは自転車歩行者道のそれぞれの間又は路端寄りであること。
なお、分離帯の植栽部分は植樹帯には該当しないものであること。
(三) 第四種第一級の道路の新設又は改築に当たっては、植樹帯を設置するものとし、その他の道路の新設又は改築に当たっては、歩行者、自転車及び自動車の交通量、沿道の土地利用の状況等を勘案して必要がある場合には植樹帯を設置するものとすること。この場合において、植樹帯の設置は原則として街区を単位として行うものとすること。
ただし、橋、トンネル等の場合、河川等に接する場合、既成市街地において堅牢な建築物等が連たんしている場合等の特別な理由によりやむを得ない場合には設置しなくてもよいものであること。
なお、この趣旨は令第一一条の三第三項の規定の適用に当たっても及ぶものであること。
(四) 令第一一条の三第二項の「一・五メートルを標準とする」とは、一列に植栽した高木の健全な生育が可能な幅員として定めたものであり、おおむね一メートル以上二メートル以下をいうものであること。
(五) 令第一一条の三第三項第一号は、市街地の中心部、名所・旧跡等景観に配慮する必要がある地域等において特に良好な道路交通環境の整備が必要とされる幹線道路の区間について、周辺地域と調和した植栽を行うため、一・五メートルを標準とする値を超えた適切な値とすることを定めたものであること。
(六) 令第一一条の三第三項第二号は、相当数の住居が集合し、又は集合することが確実と見込まれる地域において特に沿道における良好な生活環境の確保を図る必要がある幹線道路の区間について、車道端から路端までの距離を勘案しつつ、適切な植栽を行うため、一・五メートルを標準とする値を超えた適切な値とすることを定めたものであること。
(七) 令第一一条の三第三項の「良好な道路交通環境の整備又は沿道における良好な生活環境の確保のために講じられる他の措置」とは、並木、分離帯の植栽、遮音壁又は緩衝建築物の設置等の措置で、植樹帯の拡幅に代わりうる効果を有し、かつ、その実施が確実な措置をいうものであること。
(八) 「道路環境保全のための道路用地の取得及び管理に関する基準について(昭和四九年四月一〇日都市局長・道路局長通達)」による車道(副道を除く。)の端から路端までの部分(「環境施設帯」という。)については、適切な幅員及び植栽形式を有する植樹帯を確保しつつ、積極的にその整備を推進するものとすること。
(九) 植樹帯の設置に当たって、樹種の選定、樹木の配置等については、「道路緑化技術基準について(昭和五一年七月二六日都市局長・道路局長通達)」によるものとすること。
なお、本改正に伴う前記通達の所要の改正については別途通知する予定であること。
(一〇) 植樹帯には、沿道の住居等の集合状況、自動車交通量等を勘案して必要がある場合には遮音壁を設けるものとすること。この場合において、当該遮音壁が交通の支障をもたらさないよう留意すること。
三 分離帯(第六条第六項関係)
分離帯の構造について、従来からの縁石線又はさくその他の工作物により区画する構造に加えて、さくその他の工作物を設け縁石線等により区画しない構造も可能としたものであること。
四 自転車道及び自転車歩行者道(第一〇条及び第一〇条の二関係)
今回の改正は、自転車及び歩行者の安全かつ快適な通行空間の確保を図るため、自転車道及び自転車歩行者道の設置の要件を緩和するとともに、自転車歩行者道の幅員を道路の区分に応じ適切なものとすることとしたものであるので、これらの規定に基づき、自転車道及び自転車歩行者道の整備を推進するものとすること。
五 歩道(第一一条関係)
歩行者のすれちがいが可能となるよう最低幅員を引き上げることとしたものであること。
六 積雪地域に存する道路の中央帯等の幅員(第一一条の二関係)
歩道除雪の推進を図るため、積雪地域に存する道路の幅員について、中央帯及び路肩に加えて、新たに自転車歩行者道及び歩道の幅員も除雪を勘案して定めることとしたものであること。
七 自転車専用道路及び自転車歩行者専用道路(第三九条関係)
自転車専用道路及び自転車歩行者専用道路について、側力余裕を確保するための部分を各側に設けることとしたものであること。
八 都道府県公安委員会との調整(附則第三項関係)
(一) 道路法施行令第三八条の二の都道府県公安委員会の意見を聴かなければならない道路の交差部分及びその附近の道路の部分の改築に「植樹帯の設置」が追加されたこと。
なお、同条の「道路の交差部分」には副道に車道(副道を除く。)との接続部分を含み、また、「車道の幅員の変更」には副道の設置を含むものであること。
(二) 副道、植樹帯若しくは中央帯を設ける道路の新設・改築又は副道、植樹帯若しくは中央帯の新設・改築を行おうとする場合で、当該地域又は道路の交通流に大きな影響を与えるおそれがあるときは、事前に当該地域を管轄する都道府県公安委員会の意見を聴くものとすること。
九 施行期日等(附則第一項及び第二項関係)
この政令は、昭和五七年一〇月一日から施行するものであること。ただし、経過措置として、この政令の施行の際現に新設又は改築の工事中の道路については、改正後の規定は適用しないものとしたこと。