道路標識、区画線及び道路標示に関する命令の一部を改正する命令(昭和四六年総理府・建設省令第一号)が昭和四六年一一月三〇日付けで公布され、一二月一日から施行されることとなったので、左記事項に留意のうえ、その運用に遺憾なきを期されたい。
第1 改正の趣旨
今回の改正は、道路交通事情の変化に即応した道路標識等の一層の整備拡充を図るため、視認性を向上し、国連標識を採用するとともに、道路法及び道路交通法の改正に伴う道路標識等の整備を行なうこととしたものである。
第2 改正の要旨
1 高速道路等以外の道路の案内標識
(1) 「方面及び方向の予告(108―A・B)」、「方面、方向及び経由路線(108の3)」及び「都道府県番号(118の2)」を新設するとともに、「方面及び方向(108の2―B)」の様式を追加したこと。
(2) 「方面、方向及び距離」及び「方面及び距離」の色彩を改めて、文字、矢印及び緑は白色、地は青色としたこと。
(3) 設置場所を中央分離帯、車道の上方及び交通島等に広げたほか、自転車道又は自転車歩行者道が設置されている道路における道路標識の設置場所について規定を整備したこと。
(4) その他文字の大きさを、設計速度に応じて定めたほか、ローマ字の表示、道路の通称名の使用等について所要の改正を行なったこと。
2 高速道路等の案内標識
「サービス・エリア」の様式を改め、入口の手前に設けるものと、入口に設けるものに二分したこと。
3 警戒標識
(1) 「ロータリーあり(201の2)」及び「横風注意(214)」を新設したこと。
(2) 「工事中」及び「作業中」を「道路工事中(213)」に統合して様式を改めたこと。
(3) 「注意」を「その他の危険(215)」に改め、様式も改めたこと。
(4) 「学校、幼稚園、保育所等あり」の本標識に「通学路(508)」の補助標識を附置して、通学路であることを表示しうることとしたこと。
(5) 高速道路等以外の道路に設置するものの拡大率について、従来の一・三倍及び一・六倍の他に二倍を加えたこと。
4 規制標識
(1) 道路法の改正に伴い、「歩行者専用(325の4)」を新設して、歩行者専用道路に設けることとするとともに、「自転車専用」及び「自転車及び歩行者専用」をそれぞれ自転車専用道路及び自転車歩行者専用道路に設けうることとしたほか、所要の整備を行なったこと。
(2) 道路交通法の改正に伴い、「追越しのための右側部分はみ出し通行禁止(314)」、「駐車時間制限(318)」、「歩行者専用(325の4)」、「専用通行帯(327の2)」及び「路線バス等優先通行帯(327の3)」を新設し、「一方通行(326―B)」を追加する等の改正を行なったこと。
5 指示標識
「規制予告(409―B)」を追加したこと。
6 補助標識
「通学路(508)」、「追越し禁止(508の2)」、「歩行者専用(509の2―A・B)」、「横風注意(509の3)」及び「注意(509の4)」を新設し、「駐車時間制限」を廃止したこと。
7 区画線
「導流帯(107)」を新設したこと。
8 道路標示
(1) 道路交通法の改正に伴い、「追越しのための右側部分はみ出し通行禁止(102)」、「立入り禁止部分(108の2)」、「停止禁止部分(108の3)」、「路側帯(108の4)」、「駐停車禁止路側帯(108の5)」、「歩行者用路側帯(108の6)」、「優先本線車道(109の2)」、「専用通行帯(109の4)」及び「路線バス等優先通行帯(109の5)」を新設し、「駐車線」を「平行駐車(112)」に改めたほか、文字、矢印その他について所要の改正を行なったこと。
(2) その他「斜め横断可(201の2)」、「導流帯(208の2)」、「横断歩道あり(210)」及び「前方優先道路(211)」を新設したこと。
9 道路標示とみなす区画線に関する規定
道路管理者の設ける区画線のうち、「車道中央線(101)」及び「車道外側線(103)」(歩道の設けられていない道路又は道路の歩道の設けられていない側の路端寄りに設けられている実線に限る。)は、道路交通法の規定の適用については、それぞれ道路標示である「中央線(205)」及び「路側帯(108の4)」にみなされることとしたこと。
第3 取扱いの方針
今回の改正の趣旨に従い、次の点に留意してその整備に努めるとともに、すでに設置している道路標識等についても、この際再点検を行ない、設置場所の改善、新標識への切替え等積極的に行なって、安全円滑な道路交通が十分確保されるよう万全を期すること。
1 高速道路等以外の道路の案内標識
(1) 「方面及び方向の予告(108―A)」及び「方面及び方向の予告(108―B)」については、道路の車線数等を考慮して、適当と思われる方を採用すること。
なお、「方面及び方向の予告(108―B)」のうち下段に示すものは、都道府県公安委員会が「進行方向別通行区分(327の4―A〜D)」を設けている場合は、これとの関係を考慮のうえ設置すること。
(2) 「方面及び方向(108の2)」についても、(1)に準じて取り扱うこと。
(3) 「方面、方向及び経由路線(108の3)」に係る経由路線の表示には、一般国道の路線名及び都道府県道番号に係る数字を用いること。
(4) 「都道府県道番号(118の2)」については、「国道番号」の取扱いに準じて積極的に整備すること。
なお、これに表示する番号の取扱いについては、別に通達するところによること。
(5) 「主要地点(114の2―B)」、「国道番号」、「都道府県道番号」、「街路の名称」及び「まわり道(120―A)」以外のものに係るローマ字の表示は、今回、様式の例示から除いたが、必要に応じて日本字の下に表示すること。
(6) 「方面、方向及び距離」、「方向及び距離」、「方面及び方向の予告」「方面及び方向」及び「方面、方向及び経由路線」の標示板の文字には、地名、路線番号又は道路の通称名のいずれかを表示することができることとしたので、その活用を図ること。
(7) 「方面及び距離」については、短区間に連続して設けられる場合には、その一のものに距離を表示し、他のものには距離の表示を省略することができることとしたので、留意すること。
(8) 「方面、方向及び距離」及び「方面及び距離」については、適正な距離を表示するよう、再点検すること。
(9) 文字の大きさについては、設計速度に応じて定めたので、これに従って整備に努めること。
2 高速自動車国道の案内標識
「サービス・エリア(116―A)」は、サービス・エリアを予告するものであるので、入口の手前おおむね2キロメートル及び1キロメートルの地点(必要がない場合にあっては2キロメートル以内の1箇所)に設け、「サービス・エリア(116―B)」は、サービス・エリアの入口に設けること。
3 警戒標識
(1) 「ロータリーあり」は、国連標識を採用したものであるので、その活用を図ること。
(2) 「横風注意」についても、国連標識を採用して、特に横風が一定の場所に限って強く吹くため道路交通上注意の必要があると道路管理者が認める場合に設けること。
なお、設置にあたっては、利用者への周知を図るため、当分の間、「横風注意」の補助標識を附置すること。
(3) 「道路工事中」についても、国連標識にあわせて、従来の「工事中」及び「作業中」を統合し、シンボル化したものであるので、その整備に努めるとともに、その普及にも配意すること。
(4) 「その他の危険」は、従来の「注意」を国連標識にあわせてシンボル化したものであり、「注意」と同意義であるが、利用者への周知を図るため、当分の間、「注意」の補助標識を附置すること。
(5) 通学路を表示する「学校、幼稚園、保育所等あり」は、学校、幼稚園、保育所等の出入口から1キロメートル以内の地点において、道路の構造、交通量等道路及び交通の実態を的確に把握して、適切な間隔で設けること。
なお、この場合においては、「通学路」の補助標識を必ず附置すること。
(6) 高速道路等以外の道路に設置するものは、二倍に拡大することもできることとなったので、道路及び交通の状況を勘案のうえ、その活用を図ること。
4 規制標識
(1) 「歩行者専用」については、道路管理者は道路法第四八条の八第二項の歩行者専用道路について、都道府県公安委員会は道路交通法第八条第一項及び第九条の歩行者用道路について、それぞれ設けることができるので留意すること。
なお、道路管理者が歩行者専用道路について「歩行者専用」を設けるときは、利用者への周知を図るため、当分の間、歩行者専用道路を表示する「歩行者専用(509の2―A)」の補助標識を附置すること。
(2) 「自転車専用」及び「自転車及び歩行者専用」については、道路管理者は、それぞれ道路法第四八条の八第二項の自転車専用道路及び自転車歩行者専用道路にも設けることができることとなったので留意すること。
(3) その他道路法の改正に伴い、所要の改正を行なったが、「重量制限」及び「高さ制限」は、道路法第四七条第三項の規定による橋、トンネル等の重量制限及び高さ制限を行なう場合、その設置が必ず必要であるので、すみやかに現地調査のうえ、その整備に努めること。
「高さ制限」に表示する値は、車道の部分(路肩の幅員が明らかでない道路にあっては、道路の両端からそれぞれ〇・二五メートルを除いた部分)における建築限界の最小値とすること。
なお、車両制限令第三条に規定する車両の幅等の最高限度をこえる場合には設けないこと。
(4) 都道府県公安委員会が「専用通行帯」及び「路線バス等優先通行帯」を設けようとするときは道路管理者の意見をきくよう、警察庁との間で了解に達したので、都道府県公安委員会から意見を求められた場合においては、道路の構造、交通量等道路及び交通の実態を的確に把握して、道路管理上適切な意見を述べること。
5 指示標識
今回、「規制予告(409―B)」を新たに設け、利用者の便に資することとしたので、道路管理者が規制標識により行なう交通の規制の内容をあらかじめ示す必要がある場合について、その活用を図ること。
なお、これは都道府県公安委員会も設けることができるので、調整を図ること。
6 区画線
車両の安全かつ円滑な走行を誘導するため、今回「導流帯」を新設したので、その趣旨に従い、交差点等の形状及び交通の状況を的確に把握して、適切に設置すること。
なお、同種のものは、都道府県公安委員会も、道路標示「導流帯」として設置できることとなったので念のため。
7 道路標示
都道府県公安委員会が「専用通行帯」、「路線バス等優先通行帯」及び「優先本線車道」を設けようとするときは道路管理者の意見をきくよう、警察庁との間で了解に達したので、都道府県公安委員会から意見を求められた場合においては、道路の構造、交通量等道路及び交通の実態を的確に把握して、道路管理上適切な意見を述べること。
8 道路標示とみなす区画線
道路交通法の適用上、第2の9のとおり、道路管理者の設けた区画線の一部が、相当する道路標示とみなされることとなったが、その設置及び管理については、従来どおり区画線としての取扱いをうけること。
なお、この区画線を新たに設けるときは、都道府県公安委員会が路側帯を設ける場合の設置基準(道路交通法施行令第一条の二第二項)にできるだけ準じて設けること。
また、都道府県公安委員会が「路側帯」、「駐停車禁止路側帯」及び「歩行者用路側帯」を設けようとする場合には、これが道路の構造又は交通と特に密接な関連を有することにかんがみ、十分に協議して意見の調整を図ること。