建設省道政発第六〇号
平成三年一一月一日

地方建設局道路部長・北海道開発局建設部長・沖縄総合事務局開発建設部長・都道府県担当部長・指定市担当局長あて

道路局路政課長通知


道路法の一部改正について


標記については、平成三年一一月一日付け建設省道政発第五八号(以下「局長通達」という。)をもって道路局長から通達されたところであるが、さらに左記の事項に留意し、遺憾のないようにされたい。これらの点については関係省庁と調整済である。
なお、都道府県知事におかれては、貴管下各道路管理者(地方道路公社を含む。)に対しても、この旨周知徹底方お願いする。

第1 道路管理者による有料の自動車駐車場の整備について(法第二条及び第二四条の二関係)

1 駐車料金の徴収について

(1) 駐車料金の徴収ができる自動車駐車場の範囲について

イ 道路法(昭和二七年法律第一八〇号。以下「法」という。)第二四条の二第一項の規定に基づき、自動車を駐車させる者から駐車料金を徴収することができる自動車駐車場は、駐車需要の増大に対処するとともに無秩序な路上駐車を解消し、周辺道路の安全かつ円滑な交通を確保するため、道路管理者が設置するものであること。
ロ 道路の附属物として設ける自動車駐車場以外の自動車駐車場については、法第二四条の二の規定による料金徴収の対象としないこと。

したがって、チェーン着脱場、駅前広場として整備される自動車駐車場等については、料金徴収を行わないこと。

(2) 駐車料金の決定について

イ 地方建設局長、北海道開発局長及び沖縄総合事務局長(以下「地方建設局長等」という。)又は地方公共団体は、法第二四条の二第一項の規定に基づき自動車を駐車させる者から駐車料金を徴収しようとする場合には、当分の間、あらかじめ十分な時間的余裕をもって当局と協議すること。駐車料金の額を変更する場合も同様とする。手続の方法等については、別途連絡する。

また、地方公共団体が同項に基づき条例を定め、若しくは地方公共団体の長が条例に基づく規則を定め、又はこれらを変更した場合には、条例及び規則を道路局長に報告すること。

ロ 地方建設局長等は、法第二四条の二第一項の規定に基づき指定区間内の国道に設けられる自動車駐車場に自動車を駐車させる者から駐車料金を徴収しようとする場合に、当該自動車駐車場の駐車料金を決定し、又は変更する場合には、当該駐車料金についてあらかじめ十分な時間的余裕をもって地方運輸局長の意見を聴くこと。
ハ 地方公共団体は、法第二四条の二第一項に基づき、指定区間内の国道以外の道路に設けられる自動車駐車場につき条例を制定しようとする際には、あらかじめ十分な時間的余裕をもって地方運輸局長の意見を聴くこと。

(3) 駐車料金の額について

駐車料金の額の原則は、法第二四条の二第二項各号に規定されているとおりであるが、その内容は次のとおりであること。
イ 第一号の「自動車を駐車させる特定の者に対し不当な差別的取扱いをするものでないこと」とは、特定の者に対して合理的な理由なく低額の料金又は高額の料金を定めることにより、自動車駐車場の利用者を不当に差別するような料金の額であってはならないことをいうこと。
ロ 第二号の「自動車を駐車させる者の負担能力にかんがみ、その利用を困難にするおそれのないものであること」とは、自動車を駐車させる者の負担能力からみて極めて高額の料金を設定し、その利用を実際上不可能とするような料金の額であってはならないことをいうこと。

なお、駐車料金の額を定める際には、自動車運送事業等の公共性等の特性及び負担能力に十分配慮すること。

ハ 第三号の「付近の駐車場法(昭和三十二年法律第百六号)第二条第二号に規定する路外駐車場の駐車料金に比して著しく均衡を失しないものであること」とは、周辺の民間駐車場等の料金の額に比べ著しく低額であることにより、民間駐車場等の業務を圧迫するような駐車料金の額であってはならないことをいうこと。

2 路上駐車施設について

路上駐車施設は、車道上に設けられるものではなく、車道とは、さくその他これに類する工作物により分離された形態であるものであること。
なお、路上駐車施設の車道との分離の構造、入口・出口の構造、設置する地域・道路等の基準については、別途通達する。

3 その他の留意事項

(1) 道路管理者は、車線上(駅前広場を含む。)に設置される道路本体である自動車駐車場を設けようとするときは、当該地域を管轄する都道府県公安委員会の意見を聴くものとすること。
(2) 道路管理者は、前記(1)に規定する自動車駐車場以外の自動車駐車場を設ける場合であって、道路工事に係る道路交通法上の許可等を要するときは、できるだけ早い段階から都道府県公安委員会の意見を聴くものとすること。
(3) 道路局所管交通安全施設等整備事業費補助事業により法第二四条の二第一項の規定に基づき自動車を駐車させる者から駐車料金を徴収する自動車駐車場の料金設定に当たっては、維持管理費、料金徴収施設等の施設費等の費用について料金収入により確保されるよう十分に考慮すること。

第2 違法放置物件に対する措置について(法第四四条の二関係)

1 違法放置物件の除去を行うことのできる者

道路管理者は、法第四四条の二第一項の要件が満たされる場合、当該違法放置物件を自ら除去し、又はその命じた者若しくは委任した者に除去させることができるとされたこと。この場合、「命じた者」とは、道路管理者の職員であり、「委任を受けた者」とは、違法放置物件の除去を請け負った業者等の第三者を指すものであること。

2 法第四四条の二による措置をとる要件

(1) 「違法放置物件」であること

法第四四条の二は、道路管理上必要な範囲で、一定の場合に放置物件の除去・保管等を道路管理者に認めるものであるが、この趣旨にかんがみ、違法放置物件が以下の一に該当するものである場合には、道路管理者は、当該違法放置物件が放置されていた場所を管轄する警察署の署長に連絡して遺失物法に定める手続をとること。
イ 現金、有価証券
ロ その他の証券類

証拠証券、免責証券、金券等

(切手、印紙、預金通帳、クーポン券、商品券、図書券、宝くじ、テレフォンカード等)

ハ カード

キャッシュカード、クレジットカード等

ニ 証明書・身分関係書

自動車免許証、身分証明書、健康保険証、パスポート、外国人登録証、公正証書、私人間の証書、鑑定書等

ホ 貴重品

貴金属、宝石、美術・工芸品等

ヘ 物件の種類又は状態からみて本人にとって個人的に重要と思われるもの

鞄、財布、鍵、時計、カメラ、眼鏡、仏壇・仏具等

ト 犯罪者の置き去ったと認められる物件

その物件が放置されていたときの状況から判断して、それが犯罪者の置き去ったものである可能性が高いと認められる物件

前記に掲げる場合のほか、道路管理者が当該違法放置物件の性質等を勘案して適当と認める場合には、道路管理者は、当該違法放置物件が放置されていた場所を管轄する警察署の署長に連絡し、遺失物法に定める手続をとることができること。

(2) 「道路の構造に損害を及ぼし、又は交通に危険を及ぼしていると認められる場合」であること

「道路の構造に損害を及ぼしている」とは、例えは、ガードレールに重量物がもたれかかっている場合等が考えられること。
また、「交通に危険を及ぼしている」とは、車道上に運搬貨物や建設資材が放置されている場合等、当該道路の交通状況や放置物件の形態からして、当該違法放置物件を放置すれば、安全な交通が阻害される危険が大きいような場合であること。

(3) 違法放置物件の占有者等が不明であること

イ 法第四四条の二は、当該違法放置物件の占有者等の氏名及び住所を知ることができない場合に適用される規定であるが、「違法放置物件の占有者等」には、当該物件の所有者のほか、当該物件を運送していた運送業者も含まれること。
ロ 「違法放置物件の占有者等の氏名及び住所を知ることができないとき」とは現場に違法放置物件の占有者等がおらず、当該物件に荷札等の表示がないため違法放置物件の占有者等が不明である場合をいうものであること。

なお、違法放置物件の放置されている状況から判断して付近の関係者が故意に放置している可能性が大きい場合には、必要に応じ、放置場所付近の住民等からの聞き取りを行うこと等によりその確認に努めること。
以上のことは、これらの方法以外の方法により違法放置物件の占有者等の氏名及び住所を確認することを妨げるものではないこと。

ハ 「氏名及び住所を知ることができないとき」とは、「氏名」がわからないとき及び「住所」がわからないとき、という意味であり、氏名が判明しても連絡先が不明であれば「氏名及び住所を知ることができないとき」に該当すること。
ニ 違法放置物件の占有者等の氏名及び住所を知ることができる場合には、交通への危険防止等の措置をとった上、その者に連絡の上速やかに除去させること。

3 警察署長への通知について

違法放置物件として道路管理者が除去・保管したものについても、その占有者等は遺失物として警察署に照会することが予想される。こうした状況に対応するため、道路管理者は、違法放置物件を除去・保管した場合には、当該違法放置物件が放置されていた場所を管轄する警察署の署長に対し、当該違法放置物件に係る道路法施行令(昭和二七年政令第四七九号。以下「令」という。)第一九条の五に掲げる事項を通知すること。

4 保管場所の確保等について

道路管理者は、違法放置物件を除去し、又は除去させた場合には、善良な管理者の注意をもって保管する義務を負うこととなる。従って、各道路管理者は、違法放置物件を保管する場合には、当該違法放置物件の種類に応じて必要とされる保管場所で、適切な方法により保管すること。
ただし、特別の施設をしなけれは滅失・破損するような物件については、これを保管せず、売却してその代金を保管することができること。

5 公示等について

(1) 公示の方法

イ 違法放置物件の公示は、当該違法放置物件を保管した道路管理者の事務所において掲示板等を活用して行うが、同時に出張所にも通知し、問い合わせ等に対応できるようにすること。

なお、令第一九条の六第一預では、掲示期間を保管を始めた日から起算して一四日間としているが、この期間を過ぎても、状況に応じて弾力的に掲示を行い、早期の返還に努めること。

ロ このほか、道路法施行規則(昭和二七年建設省令第二五号。以下「省令」という。)別記様式第五の二に定める様式の保管違法放置物件一覧簿を道路管理者の事務所に備え付け、閲覧の希望者がある場合には閲覧の用に供すること。
ハ 前記イの公示の期間(一四日間)が満了しても、当該違法放置物件の占有者等から連絡がなく、これを返還することができない場合には、特に貴重と認められるものについては、官報への掲載を行うこと。

1) ここで、「特に貴重と認められるもの」としては、評価額がおおむね一〇万円以上であることを一つの目安とすること。
2) また、官報への公示内容は、名称又は種類、形状、数量、放置されていた場所、除去した日時、保管の場所、問い合わせ先、その他必要と認められる事項とすること。
3) 地方建設局長等は、官報により公示を行おうとするときは、官報報告主任(建設大臣官房文書課長)にその手続をとることを要請すること。

また、地方建設局長等以外の道路管理者は、官報により公示を行おうとするときは、各都道府県所在地の官報販売所に、所要の事項を記載した書面を提出すること。

(2) その他

公示以外にも、違法放置物件の速やかな返還を行うため、状況に応じ、通常の管理体制で可能な範囲で違法放置物件の占有者等の氏名及び住所を早期に確認するよう努めること。

6 違法放置物件の売却等について

(1) 売却できる場合の要件

道路管理者は、その保管した違法放置物件が滅失し、若しくは破損するおそれがあるとき、又は三月を超えて保管を行っている場合で、違法放置物件の評価額に比してその保管に不相当な費用若しくは手数を要するときは、当該違法放置物件を売却し、その売却した代金を保管することができるが、この場合の考え方は、以下のとおりであること。
イ 「滅失し、若しくは破損するおそれがあるとき」とは、通常の管理による保管を継続する場合に、物件の価値が著しく減少するおそれがあるときをいうものであり、例えば生鮮食品等が考えられること。

なお、鉄骨等の建設資材等を屋外の資材置場等で保管する場合に、傷みが生じることをもって直ちに滅失・破損するおそれがあるとは認められないこと。

ロ 「保管に不相当な費用を要するとき」とは、その時点までの保管費用又は手数と当該違法放置物件とほぼ同質のものを購入するとした場合の価額を評価し、前者が大きいことが明らかなことをいい、「不相当な手数を要するとき」とは、保管に特別の勤務や人数を必要とする場合をいうこと。
ハ 違法放置物件の価額の評価は、取引の実例価格、当該違法放置物件の使用年数、損耗の程度等を総合的に勘案して道路管理者が行うこととなるが、必要に応じて古物商等の専門的知識を有する者の意見を聴くことができるものであること。

なお、専門的知識を有する者の意見を聴いた場合の査定料等の費用は、違法放置物件の占有者等の負担となること。ただし、査定料等の費用は売却に要した費用として法第四四条の二第六項により売却した代金を充てることはできないこと。

(2) 売却の方法

イ 一般競争入札に付すか指名競争入札に付すかは、物件の種類、その評価額、売却手続に要する費用等を勘案して決定すること。
ロ 令第一九条の八各号に規定する随意契約による場合とは、具体的には以下のようなものが考えられること。
一号:入札によったのではその間に物件の価値が著しく減少するおそれがある場合であり、生鮮食品等がこれにあたる。
三号:例えば、入札の手続に要する費用に比して予定入札価格が低額である場合、その性質上そもそも特定の者に売却し、特定の用途に用いられることが適当な場合等が考えられる。

(3) 廃棄できる場合

道路管理者は、違法放置物件の買受人がない場合において、その価額が著しく低いときは、これを廃棄することができるが、この場合、「価額が著しく低いとき」とは、道路法上違法放置物件の廃棄を認めた趣旨にかんがみて、当該違法放置物件の保管を続けることが明らかにその占有者等の利益に反する場合をいうこと。なお、現実に売却手続を経なくても、もし売却をすればそれに要する費用が予定価格を上回ることが明らかである場合には、廃棄することができるものであること。

7 違法放置物件の返還について

(1) 占有者等から返還の申出があった場合には、名刺、身分証名書、保険証等によりその氏名及び住所を確認し、物件に氏名等の記載があればこれと照合するとともに、物件の種類、形状その他の特徴を申し立てさせ、実物と符合することを確かめる等、占有者等であることの確認に万全を期すこと。
(2) 返還に当たっては、除去、保管、売却、公示等に要した費用は占有者等の負担となり、後日連絡するところに従って納付する旨知らせておくこと。同時に、省令別記様式第五の三に定める受領書に必要事項を記入、署名押印させること。
(3) 保管違法放置物件一覧簿にも返還済みである旨記載し、後日照合のあった場合のために備えておくこと。

8 車両の取扱いについて

(1) 違法放置物件には、車両(廃棄されているものと認められるものを除く。)が含まれないものであること。
(2) 道路管理者は、廃棄されたと認められる車両について、法第四四条の二の規定による措置をとろうとするときは、あらかじめ当該地域を管轄する警察署長の意見を聴くものとすること。
(3) なお、交通上の障害となっている路上放置車両の処理方法については、「路上放置車両の処理に関する所要の措置について」(昭和五〇年一二月一六日付け道交発第八四号道路交通管理室長通達)により示されているところであるが、上記(1)及び(2)を踏まえた変更については関係機関との調整を要するため、当分の間は従前の例によること。

第3 長時間放置された車両の移動について(法第六七条の二関係)

1 長時間放置された車両の移動を行うことのできる者

道路管理者は、法第六七条の二第一項の要件が満たされる場合、道路に長時間放置された車両(以下「長時間放置車両」という。)を自ら移動し、又はその命じた者若しくは委任した者に移動させることができるとされたこと。この場合、「命じた者」とは、道路管理者の職員であり、「委任を受けた者」とは、長時間放置車両の移動を請け負った業者等の第三者を指すものであること。

2 本条により移動を行う要件

(1) 「車両」であること

道路交通法第二条第一項第八号に規定する車両をいうこと。

(2) 道路に関する工事又は維持の施行のため緊急やむを得ない必要がある場合であること

長時間放置車両により妨げられる部分の道路の改築、修繕若しくは災害復旧に関する工事を行わなければ、道路の構造に損害が生じ、あるいは一般交通に著しい支障を及ぼすと認められる場合であること。
また、道路の維持の施行とは、除雪、舗装等当該維持の施行を行わなければ、一般交通に著しい支障を及ぼすようなものに限られること。
なお、道路の新設のための工事は含まれないこと

(3) 長時間放置されていること

当該車両のおかれている状況からして、速やかに移動されることが期待されない場合であるが、具体的にどの程度の時間が長時間であるかは一律には決まらず、二―三か月は必要であるような大規模な改築工事から数十分でも長時間となり得る除雪等、当該道路に関する工事又は維持の緊急性との関係で相対的に決まるものであること。

(4) 車両の管理についての責任者が現場に不在であること

当該車両の運転者その他その管理について責任がある者が車両から離れているため車両を移動させることができない状態であること。
不在であることの調査については、(3)と同様、作業の緊急性との関係で決まり、その許される時間の中で合理的な範囲の調査をすれば足りること。

3 長時間放置車両の移動の手続等

(1) 警察署長の意見聴取について

長時間放置車両が同時に道路交通法上の違法放置車両でもある場合、当該車両を道路管理者が移動すると同法上の違法状態に影響を及ぼすこととなるので、同法上の違法駐車車両の移動については特に慎重を期すること。
この場合、道路管理者としては、当該車両が道路交通法上の違法駐車車両か否かを判断する権限を有しないため、警察署長の意見を聴くこととしたものであること。

(2) 車両を移動及び保管する場所について

イ 車両を移動するのは、原則として当該車両が放置されている場所からの距離が五〇メートルを超えない道路上の場所であること。五〇メートルを超えない道路上に適当な場所がない場合には、これ以外の場所に車両を移動することができるが、この場合には道路管理者が当該車両を善良な管理者の注意をもって保管する責務を有すること。
ロ 長時間放置車両を移動する場合は、道路交通法上当該車両を停車又は駐車することが禁止されている道路上の場所に移動しないこと。また、長時間放置車両を移動するに当たって、当該車両の移動先については、消火栓等の消防施設付近を避ける等消化活動に支障のないようにすること。
ハ 長時間放置車両を保管するに当たっては、比較的短時間で作業が終了する場合は、付近の停車帯、除雪ステーション、自動車駐車場等を利用し、改築、災害復旧等長時間を要する場合には、工事事務所、出張所等の敷地を利用するなど、適切な保管場所を選定すること。

(3) レッカー業者への委託について

イ 長時間放置車両の移動をレッカー業者に委託した場合、道路管理者の職員が放置されていた場所で移動に立ち会う等、必要な措置をとること。
ロ 道路管理者は、レッカー業者の連絡先を把握する他、必要があれば長時間放置車両の移動に関して事前に業者と打ち合わせをし、年度当初に単価契約する等、必要な準備をすること。

(4) 移動した車両が放置されていた場所での措置

道路管理者は、長時間放置車両を移動・保管した場合には、当該車両が放置されていた場所において、当該車両を移動・保管した旨の掲示や路面へのチョークによる表示を行う等、当該車両の所有者等への速やかな返還が可能となるよう適切な措置をとること。

4 長時間放置車両の保管について

(1) 保管の方法

イ 道路管理者は、保管している車両については、当該車両を道路管理者が保管している旨を示す標章を、フロントガラス、ドアミラー等の明確に確認できる場所に表示すること。
ロ 道路管理者は法第六七条の二第三項の規定による車両の保管を民間駐車場等道路管理者以外の者が管理する場所において行う場合においても、同項後段に規定する当該車両に係る盗難等の事故の発生を防止するために必要な措置を道路管理者自らの責任において行うこと。

(2) 公示について

イ 長時間放置車両の保管の公示は、当該道路管理者の事務所において掲示板等を活用して行うが、同時に出張所にも通知し、問い合わせ等に対応できるようにすること。
ロ これと併せて、省令別記様式第七の三に定める様式の保管車両一覧簿を道路管理者の事務所に備え付け、閲覧の希望者がある場合には閲覧の用に供すること。
ハ 前記イの公示を始めた日から起算して一四日を経過して車両を保管している場合で、なお、当該車両の所有者等が不明のときは、上記イの公示と併せて、官報への掲載を行うこと。

1) 官報への公示内容は、車名、型式、塗色、プレートナンバー、放置されていた場所、移動した日時、保管の場所、問い合わせ先、その他必要と認められる事項とすること。
2) 掲載の手続について

第2の5(1)ハ3)に準じた手続をとること。

5 長時間放置車両の返還について

(1) 所有者等からの返還の申出があった場合には、身分証明書、運転免許証等によりその氏名及び住所を確認し、自動車検査証等と照合するとともに、車両の詳細等を申し立てさせ実物と符合することを確かめ、又は当該車両のキーを持っていることを確かめる等、所有者等であることの確認に万全を期すこと。
(2) 返還に当たっては、省令別記様式第七の四に定める受領書に必要事項を記入、署名押印させること。同時に、保管車両一覧簿にも返還済みである旨記載し、後日照会のあった場合のために備えておくこと。

6 工事又は維持の施行の終了時における措置について

(1) 法第六七条の二第五項の「その周辺の場所」とは、車両が放置されていた場所に来た所有者等が当該車両を困難なく発見し得る道路上の場所をいうものであること。
(2) 法第六七条の二第五項による移動に当たっては、道路交通法上車両を停車又は駐車することが禁止されている道路上の場所に車両を移動しないこと。また、当該車両の移動先については、消火栓等の消防施設付近を避ける等消化活動に支障のないようにすること。

第4 その他

1 道路管理者が、改正後の道路法の規定に基づき、違法放置物件を除去し、保管し、売却し、廃棄し、また放置車両を移動し、保管するに当たって当該物件が危険物であるとき、あるいは、当該車両が危険物積載車両であるときは、次の点に留意すること。

(1) 危険物の取扱いについては、消防法等により種々の規制が行われているので、これらの法令の内容を関係職員に周知徹底しておくこと。
(2) 危険物関係の事故は一旦起こると被害が大きくなりがちであるので、その取扱いに当たっては、保安に万全を期すこと。

2 道路管理者は、警察署長が道路交通法により車両を移動する場所として、法第二条第二項に規定する道路に接する自動車駐車場、道路管理者が移動先として整備する施設その他の施設を利用することができるよう配慮するものとすること。
3 今回の改正に伴う事務の会計上の取扱いについては、現在会計課と調整中であり、別途通達する。

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