建設省道政発第六二号
昭和六〇年八月一六日

各都道府県知事あて

道路局長通達


有線音楽放送施設に係る道路の不法占用対策について


有線ラジオ放送たる有線音楽放送の事業を行う者(以下「有線音楽放送事業者」という。)が設置する有線電気通信設備(以下「有線音楽放送施設」という。)に係る道路の不法占用に関しては、本年四月上旬に有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律(以下「有線ラジオ放送法」という。)第八条第一項の規定に基づき郵政大臣による業務停止命令が関係事業者に対して発せられたが、当該事業者がこれに従わなかったため、関係電気通信監理局から関係都道府県警察に対し告発がなされ、現在、捜査がなされているところである。
しかし、最近においても依然として、一部の有線音楽放送事業者は、電柱に道路法第三二条第一項の許可を受けないで新規に無断で電線を添加することが目立つとともに、前記業務停止命令を受けている事業者が当該処分決定区域についてのみ道路占用許可申請を行うなど有線音楽放送事業者の活動がより悪質かつ巧妙になっている。
また、有線音楽放送施設たる電線に起因して交通事故が発生するなどこの種の事故は依然として後を絶たない。
更に、電気通信事業への競争原理の導入、いわゆる都市型CATVの普及等に伴い電線の道路占用の需要の増加が予想されるところであるが、一部地域においては、既存電柱に有線音楽放送施設たる電線が不法に添加されているため、有線テレビジョン放送事業者が正規に道路占用許可を受けて当該電柱に電線を添加することができないおそれがあるなどの支障が生じている。
このため、有線音楽放送施設に係る道路の不法占用を是正し、道路利用の適正を確保するため、左記事項に留意のうえ、従来にも増して特段の措置を講ずることとされたい。
なお、都道府県知事におかれては、貴管下道路管理者(地方道路公社を含む。)に対しても、この旨の周知徹底を図られたい。

第1 新規の不法占用物件の実態把握の徹底

各道路管理者は、有線音楽放送施設に係る道路の不法占用の実態を定期的に把握するほか、次により新規の不法占用物件の実態把握を徹底されたい。
(1) 新たに架設された有線音楽放送施設たる電線等(張替え、同一電柱に対する増線を含む。)を早期に的確に把握するため、日本電信電話株式会社及び電力会社等との連携を密にして効果的に道路パトロールを実施する等して、架設現場の発見に努めること。
(2) 架設現場を発見した場合には、道路法第三二条第一項違反の証拠を採取するよう努めること。

第2 不法占用物件に係る監督処分の励行

各道路管理者は、その把握している不法占用物件たる有線音楽放送施設について、次により道路法第七一条の規定により監督処分を励行されたい。
(1) 監督処分に先だって、原則として二ないし三回以上文書で警告すること。
(2) 監督処分の内容は、不法占用物件たる有線音楽放送施設を合理的な期限を限って除却を命ずるものとすること。この場合において、除却の対象たる施設は、具体的に特定すること。
(3) 監督処分の送達手続は、可能な限り直接被処分者の事務所に出向き交付すること。この場合において、受取りを拒否された場合には、その経緯を具体的に記録しておくこと。
(4) 監督処分の履行期限が経過してもその履行がない場合には、文書で履行督促を定期的に行うこと。

第3 行政代執行の活用

前記第2により監督処分及びその履行督促が行われているにもかかわらず、当該事業者がこれを履行しない場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、行政代執行法の規定により代執行を行うことに努められたい。
(1) 電線をガードレールに取付け又は法敷若しくは路面上に設置するなど道路法第三三条の規定に基づく政令(道路法施行令第一七条の二の規定に基づく建設省令を含む。)に定める基準に適合しないとき
(2) 電線を道路法第二条第二項第二号に規定する街灯に添加するなど各道路管理者の道路占用許可基準に適合しない場合であって、かつ、当該占用物件により道路の構造の保全、安全かつ円滑な道路の交通の確保その他道路の管理に支障を実質的に生ずるおそれがあるとき
(3) 既設電柱に有線音楽放送施設たる電線が不法に添加されているため、正規に道路占用許可を受けて当該電柱に電線を添加することが困難となる事案が具体的にあるとき

第4 有線ラジオ放送法による業務停止処分の要請

各道路管理者は、不法占用物件たる有線音楽放送施設につき道路法第三二条第一項違反の証拠が採取されている場合であって、前記第2により当該不法占用物件に係る監督処分を行ったときは、当該電気通信監理局に対して、次の措置を要請されたい。
なお、(2)の措置を採ったときは、その旨当局に報告されたい。
(1) 当該施設により放送が行われているか否かを確認すること。
(2) (1)により放送を行っていることが判明しているときは、有線ラジオ放送法に基づく業務停止処分を行うこと。

第5 不法占用物件たる有線音楽放送施設についての占用許可申請の取扱い

1 各道路管理者は、不法占用物件たる有線音楽放送施設について当該有線音楽放送事業者から道路占用許可の申請がなされたときは、次に掲げる基準に適合する場合でなければ許可しないこととされたい。

(1) 当該道路管理者の管理する道路の区域の全域にわたって当該事業者のすべての有線音楽放送施設について申請がなされていること。ただし、当該区域の全域にわたり申請を行うことを書面で約定し、区域を分割してそれぞれ合理的な期間内に段階的に申請を行う旨の計画書を提出した場合はこの限りでない。
(2) 申請に係る有線音楽放送施設の占用の場所及びその構造が許可基準に適合していないものとして道路管理者が移設又は撤去等の措置を指示した場合においては、その指示に従い道路管理者の指定する期限までに移設又は撤去等の措置を講ずること。
(3) 未納となっている占用料がある場合にあっては、道路管理者の指定する期限までに納付すること。
(4) 不法占用の期間に対応する占用料相当額として道路管理者の指示する金額を道路管理者の指定する期限までに納付することを書面で約定すること。

なお、分割払で納付する旨の計画書が提出された場合において、当該計画が合理的であると認められるときは、分割払を認めるものとする。

2 前記1により許可しようとする場合においては、次の事項に特に留意されたい。

(1) 占用料は、政令又は条例に規定する額を徴収することとし、当該事業者との交渉により不合理又は不均衡な額とすることは厳に行わないこと。
(2) 不法占用に係る占用料相当額の取扱いについて当該事業者と協議するときは、他の正規に許可を受けて占用料を納付している事業者との均衡を失しないようにすること。

第6 広報

地域住民に対して、次の事項を広報するよう配慮されたい。
(1) 事故事例を紹介する等により、道路の不法占用は違法であり、道路の交通の安全と円滑の確保に障害を生じさせ、場合によっては、人身事故を惹起させるなど住民生活に悪影響を及ぼすおそれがあるものであること。
(2) 不法占用をしている有線音楽放送事業者の物件は、道路管理者の行政処分等により撤去されることもあり得ること。

第7 その他

この通達の運用の細目については、事態の推移に迅速かつ的確に対処するため、路政課長が指示するので、遺漏のないように取扱われたい。


別紙

占用料徴収事務の取扱いについて

(昭和五九年三月二二日)
(建設省道政発第一五号)
(各地方建設局道路部長・北海道開発局建設部長・沖縄総合事務局開発建設部長・道路関係四公団担当部長・地方道路公社理事長あて建設省道路局路政課長通達)
昭和四二年一一月一三日付け道政発第九〇号、九〇号の二及び九〇号の三「道路法施行令及び道路整備特別措置法施行令の一部を改正する政令の施行について」(最終改正昭和五八年九月一九日)の運用として左記のとおり取扱うこととされたい。
一 占用料の減免

(一) 有線テレビジヨン放送事業者又は有線音楽放送事業者が、電気事業者の電柱、日本電信電話公社の電話柱又は軌道経営者の軌道柱に電線を添架する場合には、有線テレビジヨン放送事業者又は有線音楽放送事業者から徴収する占用料は、共架柱一本につき電線一条当たり次の額とする。(横断線についても、同様の額とする。)

甲地 一、〇八〇円
乙地 五四〇円
丙地 二七〇円

なお、公益法人が設ける有線テレビの架空道路縦断電線については、「道路法施行令及び道路整備特別措置法施行令の一部を改正する政令の施行について」(昭和四二年一一月一三日付け建設省道政発第九〇号)記三(ホ)b(五)にのつとり、上に定める額の五〇%を減額する。

(二) 水路に蓋掛けした通路で隣接地から当該道路へ出入するため日常生活上不可欠なものについては占用料を免除とする。

二 適用時期

本通達による減免措置は、昭和五九年四月一日から適用する。


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