建設省道政発第六三号
昭和六〇年九月二日

各地方建設局道路部長・北海道開発局建設部長・沖縄総合事務局開発建設部長・道路関係四公団担当部長・各都道府県担当部長・各指定市担当局長・滝川市・仙台市・名取市・中央区・千代田区・長野市・新居浜市・熊本市各担当部長あて

道路局路政課長通知


「(株)大阪有線放送社」等からの有線音楽放送施設に係る道路の不法占用の是正についての「確認書」の提出に対する対応について

有線音楽放送施設に係る道路の不法占用対策については、「有線音楽放送施設に係る道路の不法占用対策について」(昭和六〇年八月一六日付け建設省道政発第六二号道路局長通達)をもって、その基本的方針が示されたところであるが、本年八月二〇日に大阪府警による(株)大阪有線放送社代表取締役社長及び常務取締役の逮捕、二二日に宮城県警、長野県警による放送所長の逮捕等関係府県警察の捜査の展開がみられるとともに、北陸地方建設局による不法占用物件たる有線音楽放送施設について行政代執行が八月二六日に行われたところである。
このような情勢のもとで、八月二四日には、(株)大阪有線放送社の顧問弁護壮が当課を訪れ口頭で不法占用の是正について申出があったが、二七日には、(株)大阪有線放送社の常務取締役が当課を訪れ、(株)大阪有線放送社、(株)ゆうせん、(株)日本ゆうせんの各社(以下「関係事業者」という。)代表取締役名で当職あてにそれぞれ別添1から別添3までの「確認書」が提出された。
このため、道路管理者は、関係事業者からの不法占用の是正の申出に対し、左記により対応されたい。
なお、都道府県知事におかれては、貴管下道路管理者(地方道路公社を含む。)に対しても、この旨の周知徹底を図られたい。

1 「確認書」に対する対応の基本的方針

(1) 現在までの関係事業者の不法占用の実態及びこれに対する道路管理者の行政措置の経緯等からみると、このたび関係事業者の代表者から確認書が当職に提出されただけでは、真に不法占用を是正し、今後法令を遵守する意図があるかどうかは必ずしも明らかではないので、不法占用の是正のための措置が具体的にどのように講じられるのか関係事業者に早急に確認する必要がある。
(2) 全国の道路管理者が直ちに一斉に(1)により確認を行うことは事実上不可能であるので、当面、有線ラジオ放送法による業務停止処分に協力し郵政省に資料提供を行う等の措置を行った次に掲げる道路管理者(以下「関係道路管理者」という。)が(1)により確認を行われたい。

各地方建設局長、北海道開発局長、沖縄総合事務局長、各政令指定市長、北海道知事、滝川市長、宮城県知事、仙台市長、名取市長、東京都知事、中央区長、千代田区長、長野県知事、長野市長、石川県知事、愛知県知事、鳥取県知事、愛媛県知事、新居浜市長、熊本県知事、熊本市長

(3) 建設省では、関係道路管理者と関係事業者との交渉状況から関係事業者に真に不法占用の是正の意思があるのか、また、どのような是正措置を考えているのかを把握し、真に不法占用の是正がなされ得ると判断したときには、関係道路管理者以外の道路管理者においても関係事業者と交渉するよう、別途指示することとしているので、了知されたい。

2 関係道路管理者の具体的対応要領

(1) 関係道路管理者は、関係事業者と直ちに交渉に入ることとし、誠意をもって短期内で別紙「有線音楽放送施設に係る道路の不法占用の是正に関する確認書(案)」(以下「確認書(案)」という。)の内容を参考にして合意するよう努められたい。
(2) 前記(1)により合意がなされたときは、確認書(案)を参考に文書を取り交し、この合意に基づき即決和解の手続を採られたい。

なお、即決和解の手続及び内容は、国の機関にあっては関係法務局、地方公共団体にあっては顧問弁護士と事前に打合せを行われたい。

(3) 未納となっている占用料は、関係事業者から直ちに納付する旨の申し出もあるので、直ちに納付させることとし、その後に前記(2)により文書の取り交しをされたい。
(4) 交渉の経過は逐次当局に報告するとともに、前記(2)により文書を取り交す際には必ず事前に協議されたい。

なお、報告連絡は、電話、ファックス等により迅速に行われたい。

(5) 確認書(案)に従って合意文書の内容を詰めるに当たっては、次の事項に留意されたい。

イ 一般的事項

(イ) 確認書(案)は、全国的な標準であるので、それぞれ地方の実情を加味して最小限の修正を加えても差支えないこと。
(ロ) 合意文書は契約であるので、履行、不履行が明確になるように具体的に約定すること。特に、期限、金額等の数字は明記すること。
(ハ) 確認書(案)中記1、記6、記8及び署名捺印の日付における「昭和六〇年九月〇日」は、すべて同日であり、記五、記六及び記七における「昭和六〇年九月△日」は、すべて同日で「昭和六〇年九月〇日」の翌日であること。すなわち、昭和六〇年九月〇日までは不法占用であり、その翌日である昭和六〇年九月△日以降は正常化がなされたことになるので、許可を受けていないという理由で監督処分等は新たに行わないこと。

なお、確認書(案)中記2の「この場合」以下、記5及び記6を参照のこと。

ロ 確認書(案)中記1関係

(イ) 申請は、他の占用許可申請の方法と同様の方法により行わせること。特に、申請図面は、道路台帳の道路図面の写しに共架する電柱を特定し、どの電柱に電線を共架するかを明らかにしたものとさせること。
(ロ) 関係事業者の手持ち図面は、前記(イ)による申請に耐える程度に整備されていないとの申し出があるので、新たに実地調査を行い図面を作成しなければならないことになるので、道路の区域を分割して段階的に合理的な期日内に申請させることとしたこと。
(ハ) 最終の申請期日(「昭和×年×月×日」)は、長くても一年以内の期日とし、三ないし四程度に道路の区域を分割して段階的に申請させ、進行の管理を行うこと。

ハ 確認書(案)中記2関係

(イ) 移設又は撤去等の指示は、関係道路管理者が既に把握しているものについては直ちに行うとともに、その後道路パトロール等により発見した都度随時行うこととし、許可の申請を待って審査時に行うのが原則ではないこと。
(ロ) 移設等に係る新たな占用についてその都度許可を受けさせることとしたのは、正常化の日(昭和六〇年九月△日)以降の新たな占用については少量であっても正規の手続を踏ませることとしたものであること。

ニ 確認書(案)中記3関係

(イ) 審査を行う時は、他の占用申請の時の審査と同様の方法によること。
(ロ) 許可の条件は、他者に対する許可の条件と均衡を失しないようにすること。

ホ 確認書(案)中記4関係

(イ) 「当該不法占用の期間(……)に対応する占用料相当額」の算定の方法は、次によること。

(i) 算定に当たっての当該不法占用の期間は、かっこ書きのとおりであるが、それが五箇年を超えるときは、過去五箇年を限度とすることも各関係道路管理者の判断によりやむを得ないものであること。
(ii) 占用料相当額の単価は、政令又は条例に規定する占用料の単価に相当する額(政令又は条例の単価改正があった場合には、それを踏まえること。)とし、関係事業者との交渉により不合理又は不均衡な額とすることは厳に行わないこと。

なお、国の採った措置(別紙写しを参照のこと。)に準じた措置を採る場合には、他の正規に許可を受けて占用料を納付している事業者との均衡を失しないようにするとともに、当局に事前協議すること。

(iii) 占用数量は、実態調査により把握した数量、過去に正規に占用許可を受けていた時の数量等関係道路管理者がなんらかの形で把握している数値を基礎として算出すること。

(ロ) (イ)により算定した占用料相当額は相当の額に上ると考えられるので、分割払いとすることとしたこと。

分割払いの最終回の納付期限は昭和×年×月×日であるが、これは五箇年を限度とし、おおむね四半期に一回(年四回)定期的に納付させることとすることにより納付状況を管理することとしたこと。
なお、最初の納入期限に納付すべき金額は、二回目以降の納付金額より多額とすること。

ヘ 確認書(案)中記6関係

正常化した日(昭和六〇年九月△日)以降許可をした日の前日までの間は、不法占用ではないこととが、この間の占用料相当額を徴収することを明らかにしたこと。この場合の占用の数量は、許可数量により明確になること。

3 その他

局長通達の当面の運用は、関係道路管理者が関係事業者と交渉中であるので、前記1(3)による別途指示があるまでの間、次によることとされたい。
イ 局長通達中記第2及び第3関係

局長通達中記第1により把握した新規の不法占用物件に対してのみ、運用されたい。

ロ 局長通達中記第4及び第6関係

当面運用を差控えられたい。


別添1

昭和六〇年八月二六日

建設省道路局路政課長殿

株式会社大阪有線放送社代表取締役

確認書

左記正常化の条件については、全てこれを了承し、これに基づいた措置をとることを確認致します。

(1) 当該道路管理者の管理する道路の区域の全域にわたって当該事業者のすべての有線音楽放送施設について申請がなされていること。ただし、当該区域の全地域にわたり申請を行なうことを書面で約定し、区域を分割してそれぞれ合理的な期間内に段階的に申請を行なう旨の計画書を提出した場合はこの限りでない。
(2) 申請に係る有線音楽放送施設の占用の場所及びその構造が許可基準に適合していないものとして道路管理者が移設又は撤去等の措置を指示した場合においては、その指示に従い道路管理者の指定する期限までに移設又は撤去等の措置を講ずること。
(3) 未納となっている占用料がある場合にあっては、道路管理者の指定する期限までに納付すること。
(4) 不法占用の期間に対応する占用料相当額として道路管理者の指示する金額を道路管理者の指示する期限までに納付することを書面で約定すること。なお、分割払いで納付する旨の計画書が提出された場合において、当該計画が合理的であると認められたときは、分割払いを認めるものとする。
以上



別添2
昭和六〇年八月二六日

建設省道路局路政課長殿

株式会社日本ゆうせん代表取締役

確認書

左記正常化の条件については、全てこれを了承し、これに基づいた措置をとることを確認致します。


略(別添一に同じ)



別添3

昭和六〇年八月二六日

建設省道路局路政課長殿

株式会社ゆうせん代表取締役

確認書

左記正常化の条件については、全てこれを了承し、これに基づいた措置をとることを確認致します。


略(別添1に同じ)



別紙

有線音楽放送施設に係る道路の不法占用の是正に関する確認書(案)

○○市道路管理者(以下「甲」という。)と株式会社○○○(以下「乙」という。)は、乙が甲の管理する道路の区域に道路法第三二条第一項又は第三項の規定による甲の許可を受けずに道路を占用している有線電気通信施設(以下「有線音楽放送施設」という。)について、乙が道路占用許可の申請をするに当たり、左記の通り確認する。
1 乙は、甲の管理する道路の区域の全域にわたって、昭和六〇年九月○日において乙が道路法第三二条第一項又は第三項の規定による甲の許可を受けずに道路を占用している有線音楽放送施設のすべてについて、昭和×年×月×日までに甲に道路占用許可の申請を行うこととする。この場合において、別表1の左欄に掲げる道路の区域ごとにそれぞれ右欄に掲げる申請の期限までに申請を行うこととする。
2 乙が道路法第三二条第一項又は第三項の規定による甲の許可を受けずに道路を占用している有線音楽放送施設の占用の場所又はその構造が道路法第三三条の規定に基づく政令(道路法施行令第一七条の二の規定に基づく建設省令を含む。)に定める基準その他甲の道路占用許可基準(以下「許可基準」という。)に適合しないものとして甲が移設又は撤去等の措置を指示した場合においては、乙は、甲の指示に従い甲の指定する期限までに移設又は撤去等の措置を講ずることとする。この場合において、当該移設等に係る新たな道路の占用については、当該移設等を行うごとに、甲の占用許可を受けることとする。
3 甲は、乙が道路占用許可の申請を行ったときは、速やかに審査を行い、許可基準に適合しないものについては、前記2の例により措置し、許可基準に適合するものについては、許可するものとする。
4 乙は、乙が道路法第三二条第一項又は第三項の規定による甲の許可を受けずに道路を占用してきた有線音楽放送施設に係る当該不法占用の期間(当該不法占用の始期から昭和六〇年九月○日までの間をいう。)に対応する占用料相当額として○○円を昭和×年×月×日までに甲に納付することとする。この場合において、別表2の左欄に掲げる期限までにそれぞれ右欄に掲げる金額を納付することとする。
5 乙は、昭和六〇年九月△日以降において新たに道路を占用しようとする場合(既に設置している有線音楽放送施設の占用の場所又は構造の変更を含む。)においては、道路法の規定に基づく道路占用許可を受けることとする。
6 乙は、昭和六〇年九月〇日において乙が道路法第三二条第一項又は第三項の規定による甲の許可を受けずに道路を占用している有線音楽放送施設のうち、前記2による甲の指示により又は自己の意思で乙が移設又は撤去等の措置を採った部分については、昭和六〇年九月△日から当該移設又は撤去等の措置を採った日までの間に対応する占用料相当額を、それ以外の部分については、昭和六〇年九月△日から前記3により乙が甲の占用許可を受けた日の前日までの間に対応する占用料相当額を、それぞれ、甲が当該移設又は撤去等の指示をしたとき又は甲が許可をした時に甲が指定する期限までに甲に納付することとする。
7 乙は、昭和六〇年九月△日以降においては、道路法その他の道路関係法令及び道路占用許可の条件を遵守することを誓約する。
8 甲と乙は、前記1から7までに掲げる事項についての確認に基づき、昭和六〇年九月〇日に民事訴訟法第三五六条の規定による和解の申立てを行うこととする。

昭和六〇年九月〇日

甲 ○○市道路管理者

○○市長 ○○○○ 〔印〕
乙 株式会社 ○○○○
代表取締役社長 ○○○○ 〔印〕



別表1
 
道路の区域
申請の期日
1
 
 
2
 
 
3
 
 



別表2
 
納入期限
金額
1
 
 
2
 
 
3
 
 


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