建設省道政発第九一号
昭和六三年一一月八日

道路関係四公団担当部長・各都道府県担当部長あて

道路局路政課長通達


有線音楽放送施設に係る道路の不法占用の是正交渉について


有線音楽放送施設に係る道路の不法占用の是正については、『(株)大阪有線放送社』等からの有線音楽放送施設に係る道路の不法占用の是正についても「確認書」の提出に対する対応について」(昭和六〇年九月二日付け建設省道政発第六三号)により、各地方建設局等三七の道路管理者が先行して是正交渉を進めてきたところであるが、今般その交渉が概ね完了した。
また、道路管理者においても資料提供等を行った「有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律違反事件(昭和六〇年一一月二七日起訴)に係る審理において、被告(株)大阪有線放送社外四名は有線音楽放送施設の不法占用の事実を認めるとともに有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律違反に係る有罪の自認を行っており、有罪の判決(昭和六三年七月一八日大阪地裁)が下されたところである。
一方、電線類の地中化事業が進展する中で、有線音楽放送線が抜柱等の支障となっている事例も少なからず生じてきている。
このような状況にかんがみ、今般、全国の道路管理者においても有線音楽放送施設に係る不法占用の是正交渉を進める必要があると判断したので、各道路管理者にあっては左記により速やかに是正交渉を開始されたい。
なお、都道府県知事におかれては、貴管下道路管理者(地方道路公社を含む。)に対しても、その旨の徹底を図られたい。

1 対応要領

(1) 各道路管理者には、前記通達の関係事業者(以下「関係事業者」という。)と記5により調整された交渉順位等に従い順次交渉に入ることとし、短期間で別紙「有線音楽放送施設に係る道路の不法占用の是正に関する確認書(案)」(以下「確認書(案)」という。)の内容を参考にして合意するよう努められたい。
(2) 前記(1)により合意がなされたときは、確認書(案)を参考に文書を取り交わし、この合意に基づき極力即決和解の手続きを採られたい。

なお、即決和解の手続き及び内容は、顧問弁護士と事前に打合せを行われたい。

(3) 未納となっている占用料は、関係事業者から直ちに納付する旨の申し出もあるので、直ちに納付させることとし、その後に前記(2)により文書の取り交わしをされたい。
(4) 前記(2)により文書を取り交わした場合には、当職あてその写しを添付して報告されたい。(特別区及び市町村にあっては、都道府県を経由して報告のこと。)
(5) 確認書(案)に従って合意内容を詰めるに当たっては、次の事項に留意されたい。

1) 一般的事項

イ 確認書(案)は、全国的な標準であるので、それぞれの地方の実情を加味して最小限の修正を加えても差し支えないこと。
ロ 合意文書は契約であるので、履行、不履行が明確になるように具体的に約定すること。特に、期限、金額等の数字は明記すること。
ハ 確認書(案)中記1、記6、記8及び署名捺印の日付における「昭和○年○月○日」は、すべて同日であり、記5、記6及び記7における「昭和○年○月△日」は、すべて同日で「昭和○年○月○日」の翌日であること。すなわち、昭和○年○月○日までは不法占用であり、その翌日である昭和○年○月△日以降は正常化がなされたことになるので、許可を受けていないという理由で監督処分等は新たに行わないこと。

なお、確認書(案)中記2の「この場合」以下、記5及び記6を参照のこと。

2) 確認書(案)中記1関係

イ 申請は、他の占用許可申請の方法と同様の方法により行わせること。特に、申請図面は、道路台帳の道路図面の写しに共架する電柱を特定し、どの電柱に電線を共架するかを明らかにしたものとさせること。
ロ 関係事業者の手持ち図面は、前記イによる申請に耐える程度に整備されていないとの申し出があるので、新たに実地調査を行い図面を作成しなければならないこととなるので、道路の区域を分割して段階的に合理的な期日内に申請させることとしたこと。
ハ 最終の申請期日(「昭和×年×月×日」)は、長くても一年以内の期日とし、三ないし四程度に道路の区域を分割して段階的に申請させ、進行の管理を行うこと。

3) 確認書(案)中記2関係

イ 移設又は撤去等の指示は、関係道路管理者が既に把握しているものについては直ちに行うとともに、その後道路パトロール等により発見した都度随時行うこととし、許可の申請を待って審査時に行うのが原則ではないこと。
ロ 移設時に係る新たな占用についてその都度許可を受けさせることとしたのは、正常化の日(昭和○年○月△日)以降の新たな占用については少量であっても正規の手続きを踏ませることとしたものであること。

4) 確認書(案)中記3関係

イ 審査を行う時は、他の占用申請に係る審査と同様の方法によること。
ロ 許可の条件は、他者に対する許可の条件と均衡を失しないようにすること。

5) 確認書(案)中記4関係

イ 「当該不法占用の期間(……)に対応する占用料相当額」の算定方法は、次によること。

a 算定に当たっての当該不法占用の期間は、かっこ書のとおりであるが、それが五箇年を越えるときは、過去五箇年を限度とすることも各道路管理者の判断によりやむを得ないものであること。
b 占用料相当額の単価は、条例に規定する占用料の単価に相当する額(条例の単価改正があった場合には、それを踏まえること。)とし、関係事業者との交渉により不合理又は不均衡な額とすることは厳に行わないこと。

なお、国の採った措置(別添1を参照のこと。)に準じた措置を採る場合には、他の正規に許可を受けて占用料を納付している事業者との均衡を失しないようにすること。

c 占用数量は、実態調査により把握した数量、過去に正規に占用許可を受けていた時の数量等各道路管理者がなんらかの形で把握している数量を基礎として算定すること。

ロ イにより算定した占用料相当額は相当の額に上ると考えられるので、分割払いとすることとしたこと。

分割払いの最終回の納付期限は昭和□年□月□日であるが、これは七箇年を限度とし、おおむね四半期に一回(年四回)を定期的に納付させることとすることにより納付状況を管理することとしたこと。
なお、最初の納入期限に納付すべき金額は、二回目以降の納付金額より多額とすること。

6) 確認書(案)中記6関係

正常化した日(昭和○年○月△日)以降許可した日の前日までの間は、不法占用ではないこととしたが、この間の占用料相当額を徴収することを明らかにしたこと。この場合の占用の数量は、許可数量により明確になること。

2 交渉期間中の新たな不法占用に対する対応

交渉期間中に関係事業者が新たな不法占用を行った場合は、交渉をただちに中断し、新たな不法占用箇所の撤去を求めるものとし、追認はいっさい行わないこと。
この場合、撤去に応じないときは、正常化の意思がないものとみなして既設の不法占用部分を含めて「有線音楽放送施設に係る道路の不法占用対策について」(昭和六〇年八月一六日付け建設省道政発第六二号道路局長通達)記第2、第3、第4及び第6に示された措置を取ることとされたい。
なお、記6を参照のこと。

3 許可申請内容の確認

確認書を交わして後道路占用許可の申請がなされた場合は、申請内容が真正かどうか、各道路管理者の保有している調査資料との照合、抽出調査等により確認を行い、申請漏れがあると判断される場合は、申請のやり直しを命ずることとし、部分的な占用許可とならないようにされたい。

4 その他の有線音楽放送事業者に係る不法占用の是正

(社)全国有線音楽放送協会加盟の事業者等その他の有線音楽放送事業者(以下「その他の事業者」という。)についても並行して正常化交渉を進め、関係事業者と確認書を取り交わした場合には速やかにその他の事業者とも確認書を取り交わすものとし、不当な遅延を認めることとならないよう努められたい。
なお、正常化の交渉は本通達の各規定に従い、関係事業者と同様厳正に行うものとし、合意内容に関しても事業者間で不均衡な取扱いとならないようにすること。

5 交渉順位等の調整

全国の道路管理者が同時期に一斉に正常化交渉に入ることとなれば、有線音楽放送事業者の対応が物理的に困難となるおそれがあるので、都道府県において管轄の地方公共団体の道路管理者の意向等をふまえて交渉順位、交渉時期等について調整、指導を行うよう努められたい。

6 関係機関連絡協議会について

有線音楽放送施設の正常化を促進するため、警察庁、郵政省、建設省、日本電信電話株式会社及び電気事業連合会の間において、別添2のとおり申し合わせたので、次の点に留意して対処されたい。
(1) 中央連絡協議会は当職で対応することとなること。

なお、正常化交渉が進展しない場合、新たな不法占用が発生し撤去指導にも応じない場合等については必要に応じて当該協議会で対応策の検討を行うこととなるので、交渉経緯及び問題点等を整理のうえ当職あて報告されたい。(特別区及び市町村にあっては、都道府県を経由して報告のこと。)

(2) 地方連絡協議会は郵政省の各電気通信監理局管内の地方建設局及び都道府県の道路管理者で対応することとなること。
(3) 地区連絡協議会は、新たな不法占用等に対応するための強制措置等を具体的に検討するため中央連絡協議会での協議等に基づき随時必要な地区に設置を要請することとなるものであり、当該地区の関係道路管理者で対応することとなること。

なお、各連絡協議会は概ね別添3の要綱(案)の内容にそって設置されることとなるので参考とされたい。


別紙

有線音楽放送施設に係る道路の不法占用の是正に関する確認書(案)

○○県道路管理者(以下「甲」という。)と株式会社○○○(以下「乙」という。)は、乙が甲の管理する道路の区域に道路法第三二条第一項又は第三項の規定による甲の許可を受けずに道路を占用している有線電気通信施設(以下「有線音楽放送施設」という。)について、乙が道路占用許可の申請をするに当たり、左記の通り確認する。
1 乙は、甲の管理する道路の区域の全域にわたって、昭和○年○月○日において乙が道路法第三二条第一項又は第三項の規定による甲の許可を受けずに道路を占用している有線音楽放送施設のすべてについて、昭和×年×月×日までに甲に道路占用許可の申請を行うこととする。この場合において、別表一の左欄に掲げる道路の区域ごとにそれぞれ右欄に掲げる申請の期限までに申請を行うこととする。
2 乙が道路法第三二条第一項又は第三項の規定による甲の許可を受けずに道路を占用している有線音楽放送施設の占用の場所又はその構造が道路法第三三条の規定に基づく政令(道路法施行令第一七条の二の規定に基づく建設省令を含む。)に定める基準その他甲の道路占用許可基準(以下「許可基準」という。)に適合しないものとして甲が移設又は除去等の措置を指示した場合においては、乙は、甲の指示に従い甲の指定する期限までに移設又は撤去等の措置を講ずることとする。この場合において、当該移設等に係る新たな道路の占用については、当該移設等を行うごとに、甲の占用許可を受けることとする。
3 甲は、乙が道路占用許可の申請を行ったときは、速やかに審査を行い、許可基準に適合しないものについては、前記二の例により措置し、許可基準に適合するものについては、許可するものとする。
4 乙は、乙が道路法第三二条第一項又は第三項の規定による甲の許可を受けずに道路を占用してきた有線音楽放送施設に係る当該不法占用の期間(当該不法占用の始期から昭和○年○月○日までの間をいう。)に対応する占用料相当額として○○円を昭和□年□月□日までに甲に納付することとする。この場合において、別表二の左欄に掲げる期限までにそれぞれ右欄に掲げる金額を納付することとする。
5 乙は、昭和○年○月△日以降において新たに道路を占用しようとする場合(既に設置している有線音楽放送施設の占用の場所又は構造の変更を含む。)においては、道路法の規定に基づく道路占用許可を受けることとする。
6 乙は、昭和○年○月○日において乙が道路法第三二条第一項又は第三項の規定による甲の許可を受けずに道路を占用している有線音楽放送施設のうち、前記二による甲の指示により又は自己の意思で乙が移設又は撤去等の措置を採った部分については、昭和○年○月△日から当該移設又は撤去等の措置を採った日までの間に対応する占用料相当額を、それ以外の部分については、昭和○年○月△日から前記三により乙が甲の占用許可を受けた日の前日までの間に対応する占用料相当額を、それぞれ、甲が当該移設又は撤去等の指示をしたとき又は甲が許可をした時に甲が指定する期限までに甲に納付することとする。
7 乙は、昭和○年○月△日以降においては、道路法その他の道路関係法令及び道路占用許可の条件を遵守することを誓約する。
8 甲と乙は、前記1から7までに掲げる事項についての確認に基づき、昭和○年○月○日に民事訴訟法第三五六条の規定による和解の申立てを行うこととする。

昭和○年○月○日

甲  ○ ○ 県道路管理者

○ ○ 県知事 ○ ○ ○ ○

 
 
乙  株式会社 ○○○○

代表取締役社長 ○ ○ ○ ○

 
 



別表1
 
道路の区域
申請の期日
1
 
 
2
 
 
3
 
 



別表2
 
納入期限
金額
1
 
 
2
 
 
3
 
 



別添1 占用料徴収事務の取扱いについて(昭和五九年三月二二日建設省道政発第一五号) 〔略〕



別添2

有線音楽放送の正常化についての申合せ

(昭和六三年一一月七日)
(郵政省・建設省・電気事業連合会・日本電信電話(株)・警察庁)
1 有線音楽放送の正常化を促進するため、当面の対処方針を次のとおり申し合わせる。

(1) 郵政省、建設省、電気事業連合会及び日本電信電話(株)は、有線音楽放送の正常化の促進を図るため、有線音楽放送事業者に対する指導等の強化に努める。
(2) 郵政省、建設省、電気事業連合会及び日本電信電話(株)は、前記(1)の指導等にもかかわらず、これに応じず、又は新たな不法占用、無断添架を行い、これに対する撤去命令等にも従わない有線音楽放送事業者に対しては、郵政省の業務停止処分、道路管理者の監督処分、行政代執行その他の各機関が採り得る行政措置等の手段を協力して厳正に行使するものとする。

警察庁は、この業務停止処分等に従わない有線音楽放送事業者に対しては、所要の措置を採るものとする。

2 関係機関は、有線音楽放送の正常化を図るための連絡・協議等を行う関係機関による有線音楽放送正常化中央連絡協議会及び有線音楽放送正常化地方連絡協議会を設置することとする。

さらに、前記1の(2)の措置を行う上で必要な事項につき連絡・協議等するため、当該地区に、当該地区の関係機関による有線音楽放送正常化地区連絡協議会を設置することとする。
なお、有線音楽放送正常化中央連絡協議会は郵政省放送行政局が、有線音楽放送正常化地方連絡協議会及び有線音楽放送正常化地区連絡協議会は地方電気通信監理局がそれぞれ主宰する。



別添3

有線音楽放送正常化中央連絡協議会設置要綱(案)

1 目的

この会は、有線音楽放送が正常に行われるよう各関係機関が緊密な連携を維持しつつ、その指導等に当たるため、その連絡・協議等を行うことを目的とする。

2 名称

この会は、有線音楽放送正常化中央連絡協議会という。

3 所掌事務

この会は、次の事務を行う。
(1) 有線音楽放送の正常化状況の把握
(2) 有線音楽放送の正常化方策の連絡・協議
(3) 有線音楽放送正常化地区連絡協議会の設置の決定
(4) その他この会の目的を達成するために必要な事務

4 構成員

この会の構成員は、別紙のとおりとする。

5 会議

この会の会議は、概ね年一回開催するものとする。ただし、構成員の要請により、随時開催することができる。

6 庶務

この会の庶務は、郵政省放送行政局有線放送課が行う。

有線音楽放送正常化○○地方連絡協議会設置要綱(案)

1 目的

この会は、○○地方の有線音楽放送が正常に行われるよう各関係機関が緊密な連携を維持しつつ、その指導等に当たるため、その連絡・協議等を行うことを目的とする。

2 名称

この会は、有線音楽放送正常化○○地方連絡協議会という。

3 所掌事務

この会は、次の事務を行う。
(1) 有線音楽放送の正常化状況の把握
(2) 有線音楽放送の正常化方策の連絡・協議
(3) その他この会の目的を達成するために必要な事務

4 構成員

この会の構成員は、別紙のとおりとする。

5 会議

この会の会議は、概ね年一回開催するものとする。ただし、構成員の要請により、随時開催することができる。

6 庶務

この会の庶務は、郵政省○○電気通信監理局放送部有線放送課が行う。

有線音楽放送正常化○○地区連絡協議会設置要綱(案)

1 目的

この会は、○○地区の有線音楽放送が正常に行われるよう各関係機関が緊密な連携を維持しつつ、その指導等及び各関係機関が採り得る手段を行使するため、その連絡・協議等を行うことを目的とする。

2 名称

この会は、有線音楽放送正常化○○地区連絡協議会という。

3 所掌事務

この会は、次の事務を行う。
(1) 有線音楽放送の違法状況の把握
(2) 有線音楽放送の正常化方策の連絡・協議
(3) その他この会の目的を達成するために必要な事務

4 構成員

この会の構成員は、別紙のとおりとする。

5 庶務

この会の庶務は、郵政省○○電気通信監理局放送部有線放送課が行う。



別紙

有線音楽放送正常化中央連絡協議会の構成員

警察庁保安部生活経済課長
郵政省放送行政局有線放送課長
建設省道路局路政課長
電気事業連合会工務部長
NTT電話事業サポート本部設備推進部長

有線音楽放送正常化○○地方連絡協議会の構成員

郵政省○○電気通信監理局放送部有線放送課長
建設省○○地方建設局道路部路政課長
○○地方の都道府県の道路管理担当課長
○○地方の電気事業者の担当課長
NTT○○総支社の担当課長

有線音楽放送正常化○○地区連絡協議会の構成員

○○地区の県警本部の担当課長
○○地区の警察署長
郵政省○○電気通信監理局放送部有線放送課長
○○地区の道路管理担当課長
○○地区の電気事業者の担当課長
○○地区のNTTの担当課長


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