建設省道政発第九一号
昭和四五年一〇月一二日

各都道府県知事・北海道開発局長・各地方建設局長・六大市長・道路公団総裁首都高速度公団理事長・阪神高速度公団理事長あて

道路局長通達


地下埋設工事等による道路の掘り返しの規制およびこれによる事故の防止に関する対策要綱について


標記について、昭和四五年一〇月五日事務次官等会議において、別紙のとおり申合せが行なわれた。この申合せの趣旨および内容等は、次のとおりであるので、今後、なお一層地方連絡協議会における連絡協議を積極的に行ない、この申合せの実効があがるように努められたい。
おって、貴管下道路管理者にも周知徹底方お取り計らい願いたい。

1 申合せの趣旨

地下埋設工事等による道路の掘り返しの規制については、昭和三三年六月一二日事務次官等会議申合せ「地下埋設工事等による道路の掘り返しの規制に関する対策要綱」に基づき、関係行政機関および関係公益事業者からなる連絡協議会において、道路工事および地下埋設工事等の施行時期および施行方法の調整を図る等の方法でその対策を講じてきたところであるが、最近、地下埋設工事等による事故が多発かつ大規模化しているので、今回、さきの申合せを廃止し、単に道路交通の障害と道路の不経済な損傷を最少限度にとどめるという観点からだけではなく、さらに事故の防止を図るという観点からも関係行政機関および関係公益事業者の緊密な連絡、協議を積極的に行なうよう、新たに申合せを行なうこととされたものである。

2 申合せの内容

今回の申合せの内容の詳細は、別紙のとおりであるが、さきの申合せとの主要な相違点は、次のとおりである。
(1) 目的および方針について

今回の申合せによる要綱(以下「要綱」という。)の目的として、新たに地下埋設工事等による事故の防止を図ることを加え、事故の防止に必要な地下埋設工事等の施行方法の改善および事故が発生した場合の通報体制等の確立についてもその方針としたこと。

(2) 連絡協議会の委員について

連絡協議会の委員として、事故の防止に必要な関係行政機関を加えることとしたこと。
なお、地下鉄工事が施行され、または計画されている地域にあっては、関係陸運局長等も地方連絡協議会に参加させるよう措置すること。

(3) 道路工事および地下埋設工事等の調整について

地方連絡協議会において、道路工事に関する長期計画との整合性を考慮した地下埋設工事等に関する長期計画を策定するものとし、この計画に基づき、地下埋設工事等の施行時期等を調整することとしたこと。

(4) 事故の防止対策について

地方連絡協議会において、地下埋設工事等による事故を防止するため、工事の施行に伴う地下埋設物件の防護方法、点検、巡視の方法および事故が発生した場合の通報体制等について協議することとしたこと。

(5) 占用関係図面の整備について

道路管理者は、関係公益事業者から提出された占用関係図面により、道路台帳を整備することとしたこと。

3 その他

(1) 要綱第3、2、(1)の長期計画に関する事項および第3、4の占用関係図面の整備に関する事項の取扱いについては、昭和四五年七月三〇日付け、建設省道収発第七一号「ガス爆発事故の防止に関する措置について」により通達したところにより措置するものとすること。
(2) 要綱第4、1の大阪ガス爆発事故対策連絡本部の決定事項とは、昭和四五年五月一日の「ガス爆発事故の防止に関する緊急の措置について」および同年七月一五日の「ガス爆発事故防止に関する措置について」をいうものであること。


別紙

地下埋設工事等による道路の掘り返しの規則およびこれによる事故の防止に関する対策要綱

(昭和四五年一〇月五日)
(事務次官等会議申合せ)
第1 目的

この対策要綱は、最近における地下埋設工事その他の道路の掘り返しを伴う占用工事(以下「地下埋設工事等」という。)による道路交通の障害および道路の不経済な損傷が著しく、事故が多発かつ大規模化している現状にかんがみ関係機関の緊密な連絡の下に、地下埋設工事等についての規制の強化、地下埋設物の道路占用方式の合理化および地下埋設工事等の施行方法の改善を図ることにより、道路の構造の保全および円滑な交通の確保ならびに事故の防止を図ることを目的とする。

第2 方針

1 地下埋設工事等を計画的に行なわせるため、道路工事および地下埋設工事等の施行時期および施行方法について合理的な調整を図る。
2 地下埋設工事等による道路交通の障害および道路の損傷を最小限にとどめるため、地下埋設工事等の施行方法の改善を図る。
3 地下埋設工事等による事故を未然に防止するため、地下埋設工事等の施行方法の改善を図るとともに、事故発生の際における通報体制等を確立する。
4 道路の掘り返しの規制および事故の防止に関する対策として、共同溝の建設の推進を図る。

第3 措置

1 連絡協議会の設置

(1) 中央連絡協議会

ア 第2の方針に基づく道路の掘り返しの規制および事故の防止に関する対策について連絡協議するため建設省に中央連絡協議会を置く。
イ 中央連絡協議会の委員は、次のとおりとする。

建設省道路局長
建設省計画局長
建設省都市局長
建設省住宅局長
警察庁刑事局保安部長
警察庁交通局長
厚生省環境衛生局長
通商産業省企業局長
通商産業省公益事務局長
運輸省鉄道監督局長
郵政大臣官房電気通信監理官
労働省労働基準局長
自治省郵政局長
消防庁次長

(2) 地方連絡協議会

ア 第2の1および3の方針に基づく道路工事および地下埋設工事等の施行時期および施行方法の調整ならびに事故の防止に関する対策について連絡協議するため一定の地域を単位として、地方連絡協議会を置く。
イ 地方連絡協議会の委員は、次のとおりとする。

関係道路管理者
建築に関する関係特定行政庁
関係公安委員会または警察署長
関係労働基準局長または労働基準監督署長
関係消防長または消防署長
関係公益事業者(水道、工業用水道、下水道、軌道、鉄道、ガス、電気、電気通信等の公益事業者)

2 道路工事および地下埋設工事等の施行時期等の調整

(1) 地方連絡協議会においては、道路工事に関する長期計画との整合性を考慮した地下埋設工事等に関する長期計画を策定するものとし、この計画に基づき、関係者の緊密な連絡の下に、各種地下埋設工事等の各年度毎の施行時期および施行方法についての合理的な調整を行なうものとする。
(2) 道路管理者は、毎年度、当該年度の開始前に当該年度に行なう道路工事等の計画を関係公益事業者に提示するものとする。
(3) 公益事業者は、毎年度、当該年度の開始前に当該年度に行なう地下埋設工事等の計画を道路管理者に提出するものとする。
(4) (1)、(2)および(3)の計画の対象となる道路は、国道および主要幹線街路のうち交通量が多いものとするが、その他の道路についても、大規模な掘削を伴う工事が予定されるものは、これに含まれるものとする。
(5) 道路管理者は、(2)および(3)の計画に係る工事の施行時期および施行方法について、地方連絡協議会にはかったうえ、所要の調整を加え、当該年度の地下埋設工事等の計画を決定するものとする。
(6) (5)の地下埋設工事等の計画を変更する必要が生じたときは、当該年度の途中において再検討し、所要の変更を加えるものとする。
(7) 地下埋設工事等は、特別の事情によるもののほか、(5)または(6)により決定された計画に基づいて行なわなければならないものとする。

3 事故防止対策の協議

地方連絡協議会においては、地下埋設工事等による事故を防止するため、次の事項について協議を行なうものとする。
(1) 当該工事の施行に伴う既存の地下埋設物件の移設等の措置および掘削により露出することとなる地下埋設物件の防護方法
(2) 当該工事の施行に伴い必要となる関係公益物件管理者の立会い、巡視および点検の方法
(3) 事故発生の際における関係者に対する通報体制および工事現場附近の住民に対する警報体制
(4) その他事故の防止に関し必要な事項

4 占用関係図面の整備

関係公益事業者は、道路管理者の指示するところにより、地下埋設物に関する図面を作成し、道路管理者に提出するものとし、道路管理者は、当該図面により道路台帳を整備するものとする。

第4 その他

1 ガス導管に係る地下埋設工事等については、本要綱によるほか、大阪ガス爆発事故対策連絡本部が決定したところによる。
2 「地下埋設工事等による道路の掘り返しの規制に関する対策要綱」(昭和三三年六月一二日事務次官等会議申合せ)は、廃止する。


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