建設省道政発第九七号
昭和四五年一二月二日

各地方建設局道路部長・北海道開発局建設部長・各都道府県担当部長・関係指定市担当局長あて

道路局路政課長事務連絡


ガス導管防護協定促進のための申合せについて


昭和四五年五月一日の大阪ガス爆発事故連絡対策本部決定「ガス爆発事故の防止に関する緊急の措置について」においては、地下鉄工事等に伴うガス導管の保安確保に係る責任体制の明確化を図るため、地下鉄企業者およびガス事業者は、相互に協議して、ガス導管の保安確保等に係る協定書の締結を行なうものとされている。
その協議の促進を図るため、建設省、通商産業省、運輸省の各担当課において、昭和四五年一二月二日付けで別添のとおりガス導管防護協定締結促進のための申合せを行なったので、参考のために送付する。



別添

ガス導管防護協定締結促進のための申合せ

(昭和四五年一二月二日)
(通商産業省公益事業局ガス課・運輸省鉄道監督局施設課・土木電気課・建設省道路局路政課申合せ)
ガス導管に係る防護協定の締結の促進を図るため、左記の事項について確認するとともに、関係者に対し、所要の指導を行なうものとする。
1 「本来のガス導管の維持管理」について

大阪ガス爆発事故対策連絡本部決定(昭和四五年七月一五日)では、地下鉄工事により露出したガス導管の防護措置のうちで、本来のガス導管の維持管理のために必要な押輪、抜出し防止装置、伸縮継手および緊急遮断装置については、ガス事業者がその保安責任を負うものとされているが、これは、これらの措置がいずれもガス導管そのものに直接設置されるものであるために、ガス事業法上これが可能なガス事業者にその設置を義務付けるとともに、あわせてその保安責任を負わせることとしたものである。
しかしながら、その設置に要する費用については、保安責任とは全く別の問題として、原因者負担の原則に従って判断されるべきものであり、その際に受益の有無をも考慮することとすれば、原則としてこれらの措置のうちで押輪以外のものについては地下鉄企業者の、また、押輪についてはガス事業者の負担とすることが適当である。

2 吊防護等に関する責任について

前記1の決定では、地下鉄工事により露出したガス導管の防護措置のうちで、吊防護、受防護および固定装置については、地下鉄企業者とガス事業者とが協議し、ガス工作物の技術上の基準を定める省令(同省令に基づく告示を含む。)に規定するところに従って行ない、工事施行上の責任については地下鉄企業者が、また、工法上の責任についてはガス事業者が責任を負うものとされている。
しかしながら、同省令は標準的な工法を定めているにすぎないため、工事現場の状態、工事の施行状況等によっては、同省令に規定するところだけではガス事業者において工法の決定ができない場合があるので、このような場合には、地下鉄企業者は、ガス事業者の判断の前提となる事項について、その責任において所要の資料を提出することが必要である。

3 吊防護等に関する工事の確認について

地下鉄工事により露出したガス導管の防護措置のうちで、前記2の吊防護等に関する工事について、ガス事業者が確認すべき事項は、おおむね別紙のとおりとすることが適当である。

4 露出したガス導管の維持管理について

地下鉄工事により露出したガス導管の維持管理は、地下鉄工事の施行に伴って発生すると思われるガス導管に係る事故の防止措置を別にすれば、前記1および2の防護措置を的確に講ずることに尽きるものと考えられる。これらの防護措置のうちで、
(1) 前記1の押輪等については、ガス事業者がその責任を負うものとされており、したがって、その点検もガス事業者が行なうものとすることが適当である。
(2) 前記2の吊防護等については、前記2の区分に従い、地下鉄企業者およびガス事業者がその責任を負うものとされているが、その点検は両者が行ない、その結果異常が発見されたときは、両者が協議して保安上必要な措置を講ずるものとすることが適当である。

5 埋戻し後のガス導管の維持管理について

ガス導管の埋戻し工事終了後においては、地盤が安定し、路面面の本復旧が行なわれるまでの間は、地下鉄企業者が路面の状況を監視し、ガス事業者がガス漏えいの有無を調査するものとし、その結果異常が発見されたときは、両者が協議して保安上必要な措置を講ずるものとすることが適当である。



別紙

吊防護等に関する工事の確認事項

(1) 吊防護について

ア 吊支持具の位置およびゆるみの有無
イ 横振れ止めの位置
ウ 吊支持具間の接合部の数
エ 管体損傷の有無
オ 接合部の抜出し目印の有無
カ 吊支持具と導管との接触部の導管の損傷防止措置

(2) 受防護について

ア 受支持具の位置
イ 受支持具間の接合部の数
ウ 管体損傷の有無
エ 接合部の抜出し目印の有無
オ 受支持具と導管との接触部の導管の損傷防止措置

(3) 固定装置について

ア 管体損傷の有無
イ 接合部の抜出し目印の有無
ウ 固定装置の位置(導管の伸縮に関する措置の場合)


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