建設省道政発第四一号
昭和四六年三月三〇日

各地方建設局長・北海道開発局長・道路関係四公団の長・各都道府県知事・各指定市長あて

道路局長通達


道路法施行令および道路法施行規則の一部改正について


道路法施行令の一部を改正する政令(以下「改正令」という。)が昭和四六年二月二六日付け、政令第二〇号として。また、道路法施行規則の一部を改正する省令(以下「改正規則」という。)が同年三月二九日付け、建設省令第六号としてそれぞれ公布され、いずれも同年四月一日から施行することとされた。これらの改正の趣旨および改正の内容等は、次のとおりであるから、その運用に誤りのないようにするとともに、貴管下各道路管理者に対しても、周知徹底方取り計られたい。

第1 改正の趣旨

今回の改正は、近年、道路の掘さくを伴う占用工事による事故が多発かつ大規模化していることにかんがみ、道路の地下に埋設される電線または水管、下水道管もしくはガス管(以下「ガス管等」という。)の構造およびガス管等が埋設されている道路の掘さくを伴う占用工事の実施方法に関し保安上必要な事項を定めることにより、事故の防止を図ろうとするものである。

第2 改正の内容等

1 ガス管等の名称等の明示

道路の地下に設けるガス管等のうち、各戸に引き込むために地下に埋設するものその他建設省令で定めるもの以外のものについては、建設省令で定めるところにより、その名称、管理者、埋設の年その他の保安上必要な事項(以下「名称等」という。)を明示したものでなければならないものとされた(改正後の道路法施行令(以下「新令」という。)第一四条第二項第三号)。
(1) 名称等の明示を要しないガス管等

各戸に引き込むために地下に埋設するもののほか、名称等の明示を要しないガス管等については、改正後の道路法施行規則(以下「新規則」という。)第四条の三第一項に規定されているが、同項中第二号に規定するガスの圧力については、ゲージ圧力(高圧ガス取締法(昭和二六年法律第二〇四号)等の規定に基づいて設けるガス管については、常用の温度におけるゲージ圧力)により名称等の明示の要否を判断すること。また、第四号に該当するものとしてはコンクリート造の堅固な構造を有する下水道管きよ、コンクリートで堅固に防護された管路に収容される電線等が考えられ、第五号に該当するものとしてはガス、下水道等が普及していない地方部の道路に埋設される水道管等が考えられるが、ガス管等が具体的にこれらの規定に該当するものであるかどうかについては、道路占用者に対し、占用の許可の際に明確に指示すること。

(2) ガス管等に明示すべき事項

ガス管等に明示すべき事項については、新規則第四条の三第二項に規定されているが、同項中第一号から第三号までに規定する事項については、たとえば「ガス管」、「大阪瓦斯株式会社」、「昭和四六年」と明示すべきところを、「大阪ガス」、「S四六」と明示する等簡略な方法によらせることとして差支えない。また、第四号または第五号に規定する電圧またはガスの圧力についても、電気設備に関する技術基準を定める省令(昭和四六年通商産業省令第六一号)第三条第一号から第三号までに規定する「低圧」、「高圧」もしくは「特別高圧」(あるいは「高圧」および「特別高圧」を一括して「高電圧」)またはガス事業法施行規則(昭和四五年通商産業省令第九七号)第一条第一号から第三号までに規定する「高圧」、「中圧」もしくは「低圧」の区分により明示させることとして差支えない。

(3) 名称等の明示の方法

名称等の明示の方法については、新規則第四条の三第三項に規定されているが、同項中第一号の名称等の明示の間隔については、ガス管等の構造上二メートル以下の間隔とすることが困難な場合を除き、必ず二メートル以下の間隔で名称等を明示させること。
なお、第二号には、ガス管等の製造の過程であらかじめその名称等を鋳出す場合等も含まれる。

(4) 経過措置

この改正は、改正令の施行の際現に地下に埋設されているガス管等に関しては、その管理者が掘さくにより露出させた場合に限り、その露出させた部分について適用するものとされているが(改正令附則第二項)、その管理者以外の者が掘さくにより露出させた場合にも、その者と管理者との十分な連絡のもとに、当該管理者にその名称等を明示させるように指導すること。
なお、これらの場合において、ガス管等について埋設の年等を容易に明確にできないときは、名称その他の容易に明確にできる事項のみを明示させることとして差支えない。

(5) その他

この改正は、昭和四六年四月一日から施行するものとされているが(改正令附則第一項および改正規則附則)、改正令および改正規則の公布から施行までの間が短期間であるという事情もあるので、施行後おおむね三月間は、道路占用者に対する指導期間として取り扱うものとすること。

2 ガス管等が埋設されている道路を掘さくする占用工事の実施方法

ガス管等が埋設されていると認められる場所またはその附近を掘さくする占用工事については、保安上支障のない場合を除き、新令第一五条の規定によるほか、次の(1)から(2)までに掲げるところによらなければならないものとされた(新令第一五条の二第一項)。
これらの事項は、占用工事の実施方法としていずれも道路占用者に義務を課するものではあるが、実際には請負業者が占用工事を実施することになると考えられるので、道路占用者の責任ある監督のもとに、請負業者の占用工事が適切に行なわれるように指導するとともに、道路管理者においても、特に地下鉄工事その他の市街地で行なわれる大規模な占用工事については、見廻りまたは立会い等を通じて、工事施行中の監督を徹底して行なうものとすること。
(1) 試掘等

道路占用者は、試掘等によりガス管等を確認した後に工事を実施すべきものとされた(新令第一五条の二第一項第一号)。
なお、マンホール等によりガス管等の埋設の位置が明確にでき、かつ、ガス管等に影響を及ぼさない範囲内で工事を行なうような場合、人力をもって手掘りで掘さく工事を行なうような場合には、「保安上支障がない場合」として、試掘等を行なわないこととして差支えない。

(2) ガス管等の管理者との協議に基づく保安措置

道路占用者は、ガス管等の管理者との協議に基づきガス管等の移設または防護、工事の見廻りまたは立会人その他の保安上必要な措置を講ずべきものとされた(新令第一五条の二第一項第二号)。
この規定は、占用工事に伴うガス管等の保安に関する関係者の責任を明確にするとともに、その保安について専門的な知識を有するガス管等の管理者との協議に基づき、適切な保安措置を講じさせることを目的とするものであるから、道路管理者においても、協議の内容およびそれに基づく保安措置について、関係者に対する適切な指導、助言を行なうものとすること。
ガス管等の管理者との協議は、大綱的な事項については占用の許可申請の前に、また、工事施行の各段階における細部的な事項については工事の都度行なわれる場合が多いと考えられるが、地下鉄工事その他の市街地で行なわれる大規模な占用工事でガス管に係るものについては、あらかじめガス管の管理者との間にガス管の保安に関する協定書を締結させ、これを占用の許可申請の際に提出させるものとする必要がある。この場合において、協定書の内容は、ガス管の保安の確保に関する責任について、昭和四五年七月一五日の大阪ガス爆発事故対策連絡本部の決定「ガス爆発事故防止に関する措置について」中8の(2)に反しないものとすること。すなわち押輪、抜け出し防止措置、伸縮継手および緊急しゃ断措置(以下「押輪等」という。)に係る責任についてはガス管の管理者が、また、つり防護、受け防護および固定措置(以下「つり防護等」という。)に係る工法上の責任についてはガス管の管理者が、工事施行上の責任については道路占用者がそれぞれ負うものとするとともに、工事の見回りおよび立会いについても、道路占用者およびガス管の管理者がそれぞれの立場において行なう具体的な実施方法等を明確にさせるように指導すること。
「その他の保安上必要な措置」としては、地下鉄工事その他の市街地で行なわれる大規模な占用工事でガス管に係るものについては、ガスの漏えいがあった場合における警察および消防機関に対する通報ならびに工事現場附近の住民に対する警報等の措置があり、これらの事項についても、前記協定書において明確にさせるように指導すること。
なお、ガス管等を収容している共同溝または洞道の附近において、比較的小規模な道路の掘さくを伴う占用工事を行なうような場合には、「保安上支障のない場合」として、ガス管等の管理者との協議を行なわないこととして差支えない。

(3) 火気の使用の禁止

道路占用者は、ガス管の附近において火気を使用してはならないものとされた(新令第一五条の二第一項第三号)。
ここにいう火気の使用には、火の使用のほか、溶接機、切断機その他の火気を伴う機械器具の使用も含まれる。
なお、ガスが漏えいしていないことを確認し、かつ、ガス管の管理者と協議して火気またはその熱による事故を防止するために必要な防護措置を講ずるような場合には、「保安上支障のない場合」として、火気を使用することとして差支えない。

3 掘さくにより露出することとなるガス管の防護の基準

前記2の(2)の保安上必要な措置のうち、ガス事業法(昭和二九年法律第五一号)の規定に基づいて設けられているガス管で、その管理者以外の者の掘さくにより露出することとなるものの防護の基準については、ガス工作物の技術上の基準を定める省令(昭和四五年通商産業省令第九八号)第七七条第一号、第二号、第三号ハおよび第四号ロの例によるものとされた(新令第一五条の二第二項および新規則第四条の四)。
同省令中第七七条は、ガス管の管理者の掘さくにより露出することとなるガス管の防護については、その者が押輪等のほか、つり防護等を講じなければならないものとしているが、第七八条は、ガス管の管理者以外の者の掘さくにより露出することとなるガス管の防護については、ガス管の管理者が押輪等を講じなければならないものとすることを規定するのみで、つり防護等に関する規定を置いていない。今回の改正は、ガス管の管理者以外の者の掘さくにより露出することとなるガス管の防護について、その者が同省令に規定する基準の例によりつり防護等を講ずべきものとすることによって、同省令と相いまって、ガス工作物の保安とそれを通じて道路の構造の保全等を確保しようとするものである。
なお、同省令に規定する基準の例により防護すべきものとされるガス管は、ガス事業法の規定に基づいて設けられているものに限られ、高圧ガス取締法等の規定に基づいて設けられるものが含まれない。

4 その他

今回の改正において、札幌市の区域内の指定区間内の国道に係る占用料の額については、甲地の額によるものとされた(新令別表)。

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