各地方建設局道路部長・北海道開発局建設部長・沖縄総合事務局開発建設部長あて
別紙 トンネル工事における可燃性ガス対策について
(昭和五三年七月二六日)
(建設省官技発第三二九号)
(各地方建設局長・北海道開発局長・沖縄総合事務局長あて技術参事官通達)
トンネル工事における可燃性ガス爆発事故の発生を防止するため、地質又は過去の事例から判断して可燃性ガスが発生し、爆発又は火災に対し危険な濃度に達する可能性のあるトンネル工事の設計積算及び施工に当っては、下記事項に留意し、安全施工に努められたい。
また、工事の実施に当っては施工業者等にも周知徹底を図られたい。
記(略)
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別紙 トンネル工事における可燃性ガス対策について
(昭和五三年七月二六日)
(建設省官技発第三二九号の二)
(建設省関係公団担当理事・都道府県土木(建築)部長・政令指定都市建設(土木・道路)局長あて技術参事官通達)
標記について、昭和五三年七月二六日付け建設省官技発第三二九号をもって、別添のとおり各地方建設局長、北海道開発局長、沖縄総合事務局長あて通知したので参考のため通知する。
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別添 〔事前調査〕
(1) 工事に先立って可燃性ガスの発生を伴う可能性のある地層ならびに背斜、断層など、ガスの湧出と密接に関連する地質構造の的確な把握に努めるものとする。
(2) 前項の目的を達成するために必要な箇所において、トンネル計画線以下相当な深さまでボーリング調査を行うものとし、ガスの存在が認められた場合はエヤーリフト、吸引等を実施してガスの誘導をはかり湧出状況(位置、湧出量)の的確な把握に努めるものとする。
〔工事中の調査〕
(3) 可燃性ガスの発生を伴う可能性のある地層を掘削する場合には、地質構造の変化を的確に把握し、可燃性ガスの予知に役立てるため、毎日切羽の地質状況を観察し、可燃性ガスの有無を調査し記録するものとする。
(4) 坑内に可燃性ガスが検知され、ガスの発生の可能性がある場合には、先進ボーリングを実施し、地質構造とガスの状況を調査するものとする。なお、この際のガスの状況の調査は調査を行う深さ、方法を定めて実施するものとする。
(5) 坑内に可燃性ガスが発生し又は発生する可能性のある場合には、(6)〜(9)により可燃性ガスの測定を行うものとする。
〔可燃性ガスの測定〕
(6) 可燃性ガスの測定は、ガス測定責任者を定めて行うものとする。なお、常時可燃性ガスが検出される場合には、ガス測定専任者を定めて行うものとする。
(7) 可燃性ガスの測定は、切羽、坑口(排気立坑を含む。)およびその他可燃性ガスが存在し、あるいは存在する恐れのある場所において実施する。
(8) 可燃性ガスの測定にあたっては、断面内における測定位置、測定の頻度等測定方法を定めて行うものとするが、測定位置には人の目の高さと天井から一〇cmの位置を含めるものとする。
(9) 可燃性ガスの測定の結果は記録し、保存するものとする。
〔作業内規〕
(10) 可燃性ガスの存在するトンネルでは、可燃性ガスの濃度に応じた作業内規を定め、施工計画書に記載するものとする。
〔高濃度の場合の処置〕
(11) 可燃性ガスの濃度が爆発下限界の値の三〇%以上(メタンガスの場合一・五%以上)であることを認めたときは、直ちに労働者を安全な場所に退避させ、点火源となるおそれがあるものの使用を停止し、かつ通風換気を行うものとする。
(12) 通風換気を行っても、可燃性ガスの濃度が爆発下限界以下に下らない場合には、工事を一時中止し換気設備の再検討を行うものとする。
〔換気〕
(13) 換気は可燃性ガスの濃度を爆発下限界の値の三〇%未満とするため、可燃性ガスの有効な稀釈、拡散ができるような風量の確保及び風管の配置を行うとともに必要に応じてローカルファンの設置あるいは坑内風速を一定値以上に保つなどの対策を講じるものとする。
(14) 換気は連続して行い、特別の理由のある場合以外は止めないことを原則とする。
(15) 覆工型枠部など可燃性ガスの滞留が生じやすい箇所の換気に特に留意する。
(16) 換気に用いる風路は漏風の少ない材料および系統とする。また、有効な換気を行うため必要に応じて立坑等の設置を検討する。
(17) 換気の状況は定期的に測定し、その結果は記録保存するものとする。
〔ガスの排気〕
(18) ガス湧出の可能性の高い場合は、先進穿孔又はボーリングを行い、ガスの湧出の予知と突出の防止を行うものとする。
(19) 先進穿孔等の長さ、配置等は切羽の大きさ、地質状況により定め、トンネル掘削は一定の厚さの先進穿孔済地山を残しながら行うものとする。
(20) 多量の可燃性ガスが貯溜されていると予測される場合は、地表からのガス抜き大口径ボーリングの実施等について検討するものとする。
〔火源対策〕
(21) 可燃性ガスが存在し危険な濃度に達する可能性のある場合は、使用する電気設備機器は防爆構造のものを使用する。
(22) 溶接、切断、その他火花あるいは火焔を発生する作業は、十分安全が確保される濃度において、責任ある監督者の管理のもとにおいてのみ行うこととする。
(23) 可燃性ガスの存在する坑内は禁煙とし、マッチ、ライターなど発火源となるものは坑内に持ち込まないよう措置するものとする。
(24) 爆薬を使用する場合は、使用する爆薬および爆破方法について検討するものとする。
〔安全設備〕
(25) 坑内に可燃性ガスが常時検知される場合には、切羽及び坑内の一定間隔毎に定置式可燃性ガス自動警報器を設置し、定置式可燃性ガス自動警報器の指示が爆発下限界の三〇%を越えた場合は、自動的に電源を遮断する装置を設けるものとする。
(26) ガス湧出の可能性の高い場合は換気設備、排水設備など保安設備の電源は独立した回路とする。
(27) 自動電源遮断装置を設けた場合は停電に対処するため入坑者には携帯用安全電灯を携行させるものとする。
(28) ガス湧出の可能性の高い場合は呼吸器等救命用具を備えるものとする。
(29) 必要に応じて、坑内のガス濃度を作業員に知らせるための表示設備を設けるものとする。
〔避難訓練〕
(30) 非常時における連絡、避難要領を定め、作業員に周知させるとともに、避難訓練を実施するものとする。また、災害時における救護組織を設置するものとする。
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