建設省道発第二三五号
昭和三七年五月二五日

各地方建設局長・北海道開発局長・各都道府県知事・日本道路公団総裁・各指定市長あて

道路局長通達


ポスター掲示場の設置及び街頭演説場所の確保に伴なう道路法上の許可について


標記については、昭和三七年五月二一日付け自治丙管発第三五号で自治省選挙局長より別紙写のとおり依頼があったので、貴職におかれても本件に関する占用許可に当っては格段の便宜を計られるよう御願いする。



別紙

ポスター掲示場の設置及び街頭演説場所の確保に伴なう道路法上の許可について

(昭和三七年五月二一日)
(自治丙管発第三五号)
(道路局長あて自治省選挙局長依頼)
このたびの公職選挙法の改正により、ポスター掲示場の設置及び街頭演説場所の確保(具体的には表示板の設置)の規定が新設されたのでありますが、これらを道路の区域内に設ける場合においては、道路法上道路管理者の許可を受けなければならないものと考えられます。
つきましては、とりわけ今回の参議院議員通常選挙においては日時の余裕がない関係上、許可されるにあたり格段の御配慮をいただけるよう、関係方面に御示達方お願い申し上げます。



参考

ポスター掲示場設置等実施要領

参議院議員通常選挙における公職選挙法(昭和二五年法律第一〇〇号)第一四四条の二に規定するポスター掲示場の取り扱いについては、この要領により実施するものとする。
第1 ポスター掲示場の設置義務者

(1) 掲示場の設置義務者は、市町村の選挙管理委員会であること。その設置の場所は、市町村の選挙管理委員会が定め、あらかじめ告示しなければならないものであること。

この告示の様式は、おおむね別記第一号様式の要領によること。

(2) 掲示場は、六月六日までに準備をととのえ、六月七日午後五時までには必ず設置を完了しなければならないものであること。
(3) 市町村の選挙管理委員会は、掲示場を設置した場合はただちに都道府県選挙管理委員会に報告するものであること。

第2 掲示場の数

(1) 公職選挙法(以下「法」という。)第一四四条の二第二項には、掲示場の数は一投票区につき一箇所以上設けなければならない旨規定しているので一投票区につき一箇所の、独立した掲示場を設置するようにするものであること。なお、これに要する財源として、一投票区につき一箇所分の独立の掲示場を設置するために必要な経費(区、(五大市の区を含む)三、〇〇〇円、市、二、五〇〇円、町村、二、〇〇〇円)を交付することとしている。
(2) 前項の場合において、独立した掲示場を設置することが困難である事情があるときは、従来の氏名掲示板、広報板を利用し又は既存の構築物に掲示板を固定する等の方法により掲示場を設置するものとすること。

第3 設置場所等

(1) 選挙人の見易い場所を選び、第二の要領により設置するものとするが、既存の構築物の一部を指定して掲示場とすることも差し支えないものであること。

この場合においては、掲示場に掲示されたポスターとそれ以外のポスターを区別できるような措置を考慮すること。
特に、既存の構築物を使用する場合は、できる限り公共的施設を利用するよう努めるものとすること。

(2) 道路の一部に掲示場を設置する場合は、道路管理者の道路占用許可及び所轄警察署長の道路使用許可を受ける必要があるので注意すること。またこれらの許可を得るにはかなりの日時を要するので、あらかじめ充分考慮にいれて措置するものとすること。

なお、道路法及び道路交通法上の問題点は別添資料「ポスター掲示場の設置及び街頭演説場所の確保に伴なう道路法及び道路交通法上の問題点」を参照されたい。

第4 設置の際の留意事項

掲示場の数及び設置場所の決定に当たっては、特定の候補者に有利又は不利にならぬよう格別の注意をすること。

第5 掲示場の規格

(1) 掲示面はベニア板「タイプ一(耐水、耐熱)厚さ六ミリメートル」程度のものとし、設置期間中の風雨に耐え得る構造のものとすること。
(2) 掲示場は、当該選挙区の各候補者が、法第一四三条第一項第五号のポスター(長さ四二センチメートル、幅三〇センチメートル)一枚を掲示できる大きさを確保するとともに、掲示場に掲示するポスターの数については、都道府県選挙管理委員会の指示するところによるものとすること。
(3) 候補者一人の掲示面の大きさは、縦、横おおむね四五センチメートル程度の正方形とし、それぞれ区画を明瞭に区分するものとすること。
(4) 掲示板の区画には、候補者の数に応じて第六の二に定めるところにより番号を表示するものであること。
(5) 掲示場は当該選挙区の全候補者が一面に掲示できるものであること。ただしやむを得ぬ事情があるときは二面以上に分割することも差しつかえないが、この場合には必ず一つの掲示場としての一体性を確保しなければならないものであること。
(6) 掲示場には参議院地方選出議員選挙のポスター掲示場である旨を表示するとともに掲示場及びポスターを毀損又は破損することのないよう注意事項を記載するものとすること。
(7) ポスター掲示場の一例を図示すると次のとおりである。

第6 掲示手続

掲示場には、都道府県選挙管理委員会が告示した日からポスターを掲示できる(法一四四条二、三項)が、掲示できる日は公示日の翌日から、選挙の期日までとすることが適当であること。
ポスターの掲示順序の決定については次の要領によること。
(ア) 掲示場のポスターをはるべき区画に記載する番号は、開票区毎に市町村の選挙管理委員会がくじで定めるものとすること。

この場合において法第一八条第二項の規定により、数町村の区域を合わせて一つの開票区を設けた場合は、関係町村の選挙管理委員会があらかじめ協議して定めた町村の選挙管理委員会がくじで定めるものとすること。

(イ) 前項のくじを行なう日時及び場所は市町村選挙管理委員会が定めあらかじめ告示するものとすること。

この告示の様式はおおむね別記第二号様式の要領によること。この場合市町村選挙管理委員会はくじの公正を期するため選挙人の立ち合いができるように措置すること。

(ウ) 公職の候補者がポスターを貼ることができる掲示場の区画番号を指定する番号は、公示日の午後五時までに立候補の届出のあった候補者については午後五時以後都道府県選挙管理委員会がくじで定めるものとすること。
(エ) 前項のくじを行う日時及び場所は都道府県選挙管理委員会があらかじめ定め告示するものとすること。

この場合、都道府県選挙管理委員会は当該選挙の公職の候補者又はその代人がこのくじに立ち合うことができるようにすること。

(オ) 公示日後に立候補の届出のあった候補者及び立候補締切日後の補充立候補者は、立候補の届出順位と同番号の区画にポスターを掲示するものとすること。

第7 掲示場の管理

1 市町村の選挙管理委員会は、掲示場の施設の管理については、善良なる管理者の注意をもってこれにあたるものとすること。
2 市町村の選挙管理委員会は、指定された掲示区画以外の箇所に掲示されていることを知ったときは、関係候補者に通知するものとすること。
3 候補者の死亡等により候補者でなくなった者の掲示に係るポスターは、市町村の選挙管理委員会においてすみやかにこれを撤去するよう措置するものとすること。
4 市町村の選挙管理委員会は、掲示場の破損等を発見した場合は、すみやかに補修するとともに、補修の程度により新たにポスターを掲示し直す必要がある場合は、当該候補者に対してその旨を通知しなければならないものであること。

第8 ポスター掲示場を設置しない場合

天災その他避けることのできない事故その他特別の事情があるときは掲示場を設けないことができるものであること。この場合においては、市町村選挙管理委員会はただちにこの旨を都道府県選挙管理委員会に報告するものであること。

第9 掲示場に関する実施細目等

法律に定めるものを除くほか、掲示場に関し必要な実施細目は、この取扱要項に準じて都道府県の選挙管理委員会が定めるものとすること。



別記第一号様式
<別添資料>



別記第二号様式
<別添資料>




街頭演説場所の確保等実施要領

参議院議員通常選挙における公職選挙法(昭和二五年法律第一〇〇号)第一六九条の四の規定による街頭演説場所の確保については、この要領により実施するものとする。
1 市町村の選挙管理委員会は街頭演説場所を確保しようとするときは、あらかじめ委員会の議決によりその場所を具体的に指定し、その旨を告示するとともに当該都道府県の選挙管理委員会に報告すること。
2 街頭演説場所は、特別の事情のないかぎり区及び市の一投票区(市にあっては、選挙人の数が一、〇〇〇以上の投票区に限る。)ごとに一箇所確保するよう努めなければならないものであること。それ以外の市の投票区及び町村の投票区についても確保に努めることが望ましいこと。
3 街頭演説の場所の確保については、次の事項に留意すべきものであること。

(1) できるだけ多くの選挙人が集まり易く、かつ、演説を静聴できる場所であること。
(2) 周囲に病院等静穏を必要とする施設のない場所であること。
(3) 交通に支障をおよぼし、又は交通安全上危険な場所でないこと。
(4) 特定の候補者に有利又は不利になるような場所でないこと。
(5) 公園、駅前広場等の公共用地に限らず私有地を指定することもできるが、いずれの場合もあらかじめ管理者又は所有者の了解を得ておくべきこと。その場所を街頭演説場所として確保するために必要な具体的措置についてもできるだけ了解を得ておくべきこと。

4 街頭演説場所が道路法にいう道路であり、表示板等を道路の区域に設ける場合は次の事項に留意すること。

(1) 道路が都道府県道、国道である場合は、都道府県知事に道路占用許可を受けなければならないこと。
(2) 道路交通法上、所轄警察署長の許可を受けなければならないこと。なお、この点については別紙資料「ポスター掲示場の設置及び街頭演説場所の確保に伴なう道路法及び道路交通法上の問題点」を参照されたい。
(3) その他道路法及び道路交通法上の制限に従わなければならないこと。

5 街頭演説場所の表示については、ポスター、立札、立看板等いずれの方法によるも差し支えないが風雨に耐えうるものでなければならないこと。

表示は、次の様式を参考とされたいこと。なお選挙終了後は市町村選挙管理委員会において速かに撤去しなければならないこと。

ポスター掲示場の設置及び街頭演説場所の確保に伴なう道路法及び道路交通法上の問題点

(昭和三七年五月一一日)
(建設省路政課、警察庁交通企画課と協議済)
I ポスター掲示場、街頭演説表示板の設置について、道路法上留意すべき事項
1) 掲示場及び表示のための看札、立札を道路の区域に設置する場合には、それが都道府県道、国道であるときは都道府県知事の許可を受けなければならないこと。
2) 「設置」は、土地に固定する場合のみならず、移動できるものを立てておく場合も含むものであること。
道路法 第三二条(道路の占用の許可)道路に左の各号の一に掲げる工作物、物件又は施設を設け、継続して道路を使用しようとする場合においては、道路管理者の許可を受けなければならない。

(1)〜(6) 〔略〕
(7) 前各号に掲げるものを除く外、道路の構造又は交通に支障を及ぼす虞のある工作物、物件又は施設で政令で定めるもの。

 
二 道路に石碑、銅像、広告板、アーチその他これらに類する工作物を設けようとする者。
3) 街頭演説場所は道交法により駐車禁止、停止禁止を受ける場所でないこと。

例えば、道路のまがりかどから五メートル以内の区域、バス電車の停留所を表示する標示柱(又は標示板)の位置から一〇メートル以内の区域等。

道交法四四条(停車及び駐車を禁止する場所)
〃 四五条(駐車を禁止する場所)
4) 街頭演説については道交法第七七条第一項第四号の規定による許可(道路における祭礼行事、集会等の許可)は、許可の対象としない。

衆議院議員総選挙の際における道路交通取締法令の適用上の問題点について
(昭和三〇、一、一一備発ら第四号庁警備部長通達)

「四 街頭演説について

街頭演説について、都道府県公安委員会規則(道路交通取締法二六条一項四号の規定に基づく)等で道路上の集会を許可事項としているところにおいては、公選法一六四条の五、二〇一条の五の規定によってするものは許可の対象としないことが適当である。但し当該演説が著るしく交通の妨害になり、又は危険のおそれのある場所で行なわれているときは、交通の安全又は事故防止上必要な警告を行なう等の措置を講ずる必要がある。ただ、実際の運用に当っては充分慎重を期することが必要である。


All Rights Reserved, Copyright (C) 2003, Ministry of Land, Infrastructure and Transport