建設省道政発第三二号
平成六年六月三〇日

各都道府県知事・各政令指定市市長・各地方建設局長・北海道開発局長・沖縄総合事務局長・道路関係四公団総裁等あて

道路局長通達


ベンチ及び上屋の道路占用の取扱いについて


平成五年一一月の道路法施行令の改正により、「ベンチ又はその上屋で道路管理者の設けるもの」が道路の附属物となり、道路の管理上必要なものは、道路管理者自らが設けることとなった。
これに伴い、ベンチ及び上屋の道路占用の取扱いを明確にすることとした。今後は、道路管理上支障のない場合にあっては、左記の道路占用の取扱いに従い、その運用に遺憾なきを期されたい。
また、ベンチ及び上屋の道路占用の許可に際し、建築基準法第六条、消防法第七条又は道路交通法第七七条の許可等が必要な場合には、これらの関係機関とも十分な連絡調整のうえ適正な処理を行うこととされたい。
おって、貴職より貴管下道路管理者(地方道路公社を含む。)に対しても周知徹底方お取り計らい願いたい。

I ベンチの道路占用許可について

1 ベンチ占用許可の基本方針

ベンチは、バス停留所、タクシー乗場、高齢者等の交通弱者が多数利用する施設の周辺、ショッピングモール、コミュニティー道路、遊歩道、道の駅、サービスエリアなどに設置する場合など道路の歩行者等の利用形態から判断し、地域の実情に応じ、公益上設置することが妥当な場合は許可するものとする。

2 ベンチの設置場所

電柱等の他の占用物件、植樹帯の所在など具体的な道路状況を勘案し、以下の道路管理上支障のない場所とすること。
(1) 道路の法敷
(2) ベンチを設置した後、歩道(自転車歩行者道及び自転車歩行者専用道路を含む。以下同じ。)の幅員から路上施設及び占用物件の幅員を減じた幅員が原則として二m以上(自転車歩行者道又は自転車歩行者専用道路にあっては、三m以上)確保できる歩道。ただし、地域の実情により、未改築の道路について、二m未満(自転車歩行者道又は自転車歩行者専用道路にあっては三m未満)の数値を定める場合には、原則としてその数値の幅員を確保できる歩道
(3) 道の駅、サービスエリア、パーキングエリア、自動車駐車場にベンチを設置する場合には、自動車の駐車の用に供されている以外の部分
(4) その他、道路の利用状況を勘案し、道路管理上支障のない場所

3 ベンチの構造等

ベンチは、原則として固定式とするなど容易に移動することができないものとし、十分な安全性及び耐久性を具備したものであること。また、その構造及び色彩は周囲の環境と調和するものであること。

4 ベンチの占用主体及び管理

(1) 占用主体は、路線バス事業者、タクシー事業者の団体、地方公共団体、自治会、商店会その他これらに準ずるものであって、適確な管理能力を有すると認められるものとすること。
(2) ベンチ設置に付随するゴミ箱は、原則として認めないこと。ただし、固定式で歩行者等の交通の支障にならず、かつ、公衆の利便に著しく寄与する場合で、ゴミ箱の管理が万全に行われるものであれば認めても差し支えない。
(3) ベンチの管理(ゴミ箱を設置する場合は、その管理を含む。)については、占用者からあらかじめ管理規定等を徴し、その管理に万全を期するよう指導すること。

II 上屋の道路占用許可について

1 上屋占用許可の基本方針

上屋は、バス停留所又はタクシー乗場に設置される場合、ベンチに付随して設置される場合等道路の歩行者等の利用形態から判断し、地域の実情に応じ、公益上設置することが妥当な場合は許可するものとする。

2 上屋の設置場所

電柱等の他の占用物件、植樹帯の所在など具体的な道路状況を勘案し、以下の道路管理上支障のない場所とすること。
(1) 道路の法敷
(2) 幅員が原則として三m以上の歩道。ただし、地域の実情により、未改築の道路について、三m未満の数値を定めるときは原則としてその数値以上の歩道
(3) 道の駅、サービスエリア、パーキングエリア、自動車駐車場に上屋を設置する場合には、自動車の駐車の用に供されている以外の部分
(4) その他、道路の利用状況を勘案し、道路管理上支障のない場所

3 上屋の構造等

(1) 上屋は、歩行者等の交通の支障とならない規模及び構造であること。
(2) 上屋の幅は、原則として二m以下とすること。ただし、五m以上の幅員を有する歩道及び駅前広場等の島式乗降場については、この限りでない。
(3) 上屋の高さは、原則として路面から二・五m以上とすること。
(4) 上屋の構造及び色彩は周囲の環境と調和するものであり、信号機、道路標識等の効用を妨げないものとすること。
(5) 上屋には原則として壁面を設置しないこと。ただし、風雪等のため特に壁面を設ける必要があり、かつ、道路管理上支障のない場合においては、この限りでない。
(6) 上屋には広告物等の添加及び塗装又は装飾のための電気設備の設置は認めないこと。

4 上屋の占用主体及び管理

(1) 占用主体は、路線バス事業者、タクシー事業者の団体、地方公共団体、自治会、商店会その他これらに準ずるものであって、適確な管理能力を有すると認められるものとすること。
(2) 上屋設置に付随するゴミ箱は、原則として認めないこと。ただし、固定式で歩行者等の交通の支障にならず、かつ、公衆の利便に著しく寄与する場合で、ゴミ箱の管理が万全に行われるものであれば認めても差し支えない。
(3) 上屋の管理(ゴミ箱を設置する場合は、その管理を含む。)については、占用者からあらかじめ管理規定等を徴し、その管理に万全を期するよう指導すること。

III その他

1 ベンチ及び上屋は、道路法第三二条第一項第一号物件として許可すること。
2 各道路管理者において、既にベンチ及び上屋の道路占用の取扱いに関する定めがあり、本通達に基づく取扱いにより難い場合には、当面の間、従前の取扱いに関する定めによることもやむを得ないものとする。
3 2以外の場合は、既に占用を許可したベンチ又は上屋で、本基準に適合しないものについては、占用許可の更新時、修繕時等の機会を利用して逐次本基準に適合するよう指導すること。
4 細部については、各道路管理者は地域ごとの実情に応じた統一的基準を設るなど、道路管理上支障のないよう措置すること。
5 「バス停留所の上屋の道路占用許可の取扱いについて」(昭和五二年一二月二七日付け建設省道政発第七二号建設省道路局長通達)は廃止する。

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