建設省道発第三六一号
昭和三六年九月八日

各地方建設局長・北海道開発局長・各都道府県知事・五大市長・日本道路公団総裁・首都高速道路公団理事長あて

道路局長通達


車両制限令の施行について

車両制限令が昭和三六年七月一七日付けで公布され、車両の幅の制限に関する規定を除き、九月一日から施行されることとなったが、この政令の運用にあたっては、道路の構造、交通の状況等をさらに良くは握し、左記事項に留意のうえその実施に遺憾なきを期せられたい。
なお、あわせてできるだけすみやかに関係事項を貴管下道路管理者に周知徹底させ、この政令の運用に遺憾のないよう配慮されたい。

第1 削除
第2 個別的注意事項
1 第二条関係

(1) 「車両」の諸元の計かり方は、次のとおりであること。

イ 空車状態における自動車(軽自動車を除く。)の長さ、幅及び高さについては、自動車検査証に記載されたものをいうが、これは道路運送車両の保安基準(昭和二六年運輸省令第六七号)第二条第一項各号でいう状態(空車状態、後写鏡を取りはずした状態等)にあるものとしての値であるから注意すること。
ロ 前記の自動車以外の空車状態における車両の長さ、幅及び高さについても、イの趣旨と同様に取り扱うこと。
ハ 貨物を車両の長さ、幅又は高さをこえないで積載している場合における車両の長さ、幅又は高さは、イ又はロでいう当該車両の長さ、幅又は高さをいうが、貨物を車両の長さ、幅又は高さをこえて積載している場合における車両の長さ、幅又は高さは、イ又はロでいう当該車両の長さ、幅又は高さに当該貨物の車両の長さ、幅又は高さをこえる部分の長は、幅又は高さを加えたものをいうこと。
ニ 車両の総重量は、人が乗車し又は貨物が積載されていない場合は車両自体の重量をいうものであり、人が乗車し又は貨物が積載されている場合は、車両重量、乗車員の重量及び貨物の重量の総和をいうものであること。軸重及び輪荷重についても、かかる意義での総重量に対応したものであること。

(2) 「歩道」とは、道路構造令第二条第一号に規定する歩道と同意義であり、ペイント、道路鋲等によって区画されたものは含まれないこと。
(3) 「車道」の幅員の計かり方は、道路上に、軌道敷等の占用物件がある場合にはそれらのおかれている部分も車道の一部として取り扱うこと。

2 第五条及び第六条関係

(1) 「市街地」とは、商工業、住宅地帯等相当広範囲にわたって人家が連たんし、歩行者の多い地域をいうので、市の行政区画内においても家屋が集って、単に部落を形成しているに過ぎない地域については、市街地区域外として取り扱うこと。
(2) 市街地区域外との境界については、通行者に必ずしも明確でない場合が多いので、そのような場所について市街地区域としての制限を行なう必要があると考えられる場合には、道路標識を必ず設置するようにすること。
(3) 「自動車の交通量がきわめて少ない」とは、自動車のすれ違う可能性が少なく、事実上一方通行と同様に考えて差し支えない程度の交通量をいうものであるが、単に自動車の交通量のみで判断することなく道路の状況、通行車両の種類別交通状況等をも考慮して指定すること。
(4) 「一方通行とされているもの」とは、道路法又は道路交通法の規定により道路管理者又は都道府県公安委員会若しくは警察署長が一方通行の措置をとっている道路をいうほか、信号機等によって慣習的かつ継続的に一方通行と同様の通行が行なわれている道路をもいうものであること。
(5) 「市街地区域内の駅前、繁華街等にある歩行者の多い道路」とは、歩行者がきわめて多く連続的に通行し、歩行者の保護のため車両の通行を制限することが必要やむをえない道路をいうものであるが、これは一般の市街地区域内の道路よりも加重した制限を行なうものであるので、その具体的判断については、各道路管理者の統一を図かるため、道路の指定を行なうにあたっては、当分の間当局に意見を求められたいこと。
(6) 市街地区域外の道路で道路管理者が自動車の交通量がきわめて少ないと認めて指定したものについては、この政令の幅の制限の適用がまったくなされなくなるので、山間へき地等の道路で自動車のすれ違う可能性がきわめて少ないものを除き、当該道路の自動車の交通量、沿道の状況等を十分考慮のうえ指定を行なうこと。
(7) 第五条及び第六条の規定により道路管理者が道路の指定を行なうに際しては、当該道路が一般国道又は都道府県道にあっては都道府県公安委員会の、市町村道又は特別区道にあっては所轄警察署長の意見をきいて行なわれたいこと。
(8) この政令の第五条第三項又は第六条第一項(自動車の交通量が多いため待避所のみでは車両の通行に支障があると認められる道路の指定に限る。)の規定により道路を指定した場合における幅の制限を行なう場合においては、道路標識を設置し、これを明示しなければならないこと。

3 第七条関係

(1) 第七条第一項の趣旨は、道路が二以上あり、他の道路が車両の幅、重量その他の制限(道路法の規定(道路法第四七条第二項を除く。)によるものに限らず、道路交通法の規定によるものを含む。)がなされていないで、かつ、迂回のための時間も著しく要するものではない場合においては、当該道路の舗装等の損傷を防止するため重量制限を行なうこととするものであるから、他の道路が災害、道路に関する工事等により通行できなくなる場合等においては、この規定による重量制限を行なっている場合においても、これを解除する必要があるものであること。したがって、この規定による制限を行なう場合は十分他の道路の道路管理者との連絡のうえ行なわれたいこと。

4 第八条関係

(1) 「カタピラの構造が路面を損傷するおそれのないもの」とは、カタピラが平滑履板のもの及び保護履板を被覆してあるものをいうものであること。
(2) 「カタピラが路面を損傷しないように当該道路について必要な措置がとられている場合」とは、カタピラを有する自動車を通行させようとする者が道路に鉄板、板等を敷いて路面を損傷しないように措置した場合をいうものであること。

5 第一一条関係

この規定は、Aの道路が本条各号に列挙する事情にあるため、Bの道路にこの政令の幅の制限に関する規定を適用するとかえって車両の通行に著しい支障がある場合においては、Bの道路について徐行その他の交通規制、交通整理等交通の安全を確保するための措置を行なって、幅の制限に関する規定の適用を除外することができるものとしたものであること。したがって、Bの道路の道路管理者は、Aの道路の道路管理者の要請により、指定期間等について十分打ち合わせのうえ道路の指定を行ない、かつ、第二項の規定によりあらかじめ都道府県公安委員会の意見をきかなければならないこと。
なお、Bの道路が市町村道又は特別区道である場合においては所轄警察署長の意見をきいて指定して差し支えないこと。

6 第一二条関係

特殊な車両の認定にあたっては、道路の構造又は交通に支障がないよう運転経路、運転時間、運転速度その他道路の状況により必要な条件を附して、厳重にそれを履行させるよう指導すること。

7から9まで 〔略〕

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