建設省道交発第九三号
昭和四六年一一月九日

地方建設局道路部長・北海道開発局建設部長・都道府県・指定市担当部長・三公団業務部長あて

道路局路政課・道路交通管理室長通達


特殊車両の通行許可事務処理に係る幅、高さおよび長さに関する資料の提出について


標記について、道路法および車両制限令の改正にともない、昭和四十七年四月以降実施する特殊車両の一元的通行許可事務を円滑に実施するため、先般重さに関する調査を依頼したが、引き続き幅等に関する調査を行ない、資料をとりまとめる必要があるので、左記事項に留意し別紙調査要領により調査資料を作成のうえ提出されたい。

1 各道路管理者から提出される調査資料は、次の日程でとりまとめ、各道路管理者に配布する予定でありこの提出が遅れた場合は、四十七年四月以降の特殊車両通行許可事務の一元的窓口事務に支障をきたすこととなるので、資料の提出期日を厳守されたいこと。

資料提出期日 四十六年十二月二十五日
整理とりまとめ 四十六年十二月二十六日〜四十七年一月三十一日
印刷整本 四十七年二月一日〜四十七年三月十日
配布 四十七年三月十一日〜四十七年三月二十日

2 本調査の実施に先きだち別紙「参考資料―1」を参照されたいこと。
3 本調査の対象とする道路は別紙調査要領に示したとおりであるが、その他の道路についても実施出来るものについては同様の調査を行なわれたいこと。
4 本調査(幅、高さ、長さ)および先般実施した重さに関する調査に係る資料の取扱い等通行許可の運用基準については、あらためて通知する予定であること。

車道幅員、上空障害、曲線部および交差点部調査要領

1 目的

この調査は、道路法第47条の2の規定に基づく特殊車両通行許可事務の資料とするため、道路幅員など障害箇所を調査し、取りまとめを行なうものである。

2 対象道路

調査の対象とする道路は次のとおりとする。
1) 高速自動車国道
2) 一般国道
3) 主要地方道
4) 上記以外の道路で、上記の道路の迂回路として使用させる道路
5) 上記以外の道路で、特殊車両の通行が頻繁にある道路
6) 首都高速道路公団および阪神高速道路公団が管理する道路

注)

1 2)〜5)に該当するもので、日本道路公団が管理する道路を含む。
2 2)県知事管理の道路で、建設大臣の工事施行区間については、原則として建設省、地方建設局および北海道開発局がとりまとめを行なうものとするが、相互に連絡調整を図り、脱漏のないよう注意すること。
3 4)の迂回路については、関係道路管理者間で打合せること。
4 5)については、例えば、港湾工場、倉庫、ターミナル等の位置を考慮して選定することが考えられる。

3 項目毎調査対象箇所

調査は次の項目毎に各々の対象箇所を調査するものとする。
1) 車道幅員調査

前記第2項に掲げる調査対象道路が交差する分岐点間(交差点間「以下分岐点間」という。)において車道の幅員が2車線道路にあっては7.0m以下の道路を、また、1車線道路および一方通行とされている道路にあっては3.5m以下の道路を調査の対象とし、そのうちで、最も狭小な車道幅員について調査する。
ただし、2車線道路と1車線道路がある場合は、それぞれ1ケ所あて調査記入する。

2車線道路
分離帯があるか又は、はみ出しをゆるさない場合
 
 
 
 
 
 
 

2) 上空障害調査

上空障害に関する調査は1)トンネル(ボックスカルバートを含む)2)下路式橋梁(トラス等)3)跨道橋(道路橋、鉄道橋)4)横断歩道橋等の構造物の建築限界が、道路横断方向に、車道中心線から3.5mの範囲内で空間高が4.5m未満の箇所を調査の対象範囲とし、このうち、前記第2項に掲げる調査対象道路の分岐点間における最悪の箇所1ケ所を調査記入するものとする。
〔例示〕

3) 曲線部調査

前記第2項に掲げる調査対象道路の分岐点間において、次に示す箇所がある場合には、そのうちで曲線半径が最も小さい箇所について調査する。
なお、ここで曲線半径は、道路中心線の曲線半径とし、車道幅員は曲線部の中央地点の幅員をとるものとする。
◎曲線部調査対象該当箇所
・車道幅員が2車線で 8.0m未満(1車線の場合は4.0m未満) で、かつ曲線半径が 200m以下の場合
・  〃 9.0m〃( 〃 4.5m〃) 〃 100m〃
・  〃 10.0m〃( 〃 5.0m〃) 〃 70m〃
・  〃 11.0m〃( 〃 5.5m〃) 〃 50m〃
・  〃 13.0m〃( 〃 6.5m〃) 〃 30m〃
なお、曲線半径が20m以下の箇所については、すべて調査対象該当とする。

4) 交差点部および屈折部調査

イ 前項第2項に掲げる調査対象道路が相互に交差している交差点および単独であっても屈折している屈折部(以下「交差点部」という。)のうち、次の箇所について調査する。

((イ)) ほぼ直交する交差構造であって、対象道路のうち、いずれかが、車道幅員8m以下の場合ですみ切りが施されていない場合。ただし、すみ切りの曲線半径が5m以上で、且つ車道幅員が7m以上の場合は除く。
((ロ)) 変形交差部又は交角が90°より鈍角で屈折している屈折部

〔例示〕 調査する箇所

ロ 対象道路が交差する交差点箇所の調査は、次に示す上位の道路の道路管理者が調査するものとする。

調査する順位
道路の種類
1)
高速自動車国道
2)
一般国道(指定区間内)
3)
一般国道(指定区間外)
4)
主要地方道
5)
1)〜4)および6)を除く道路
6)
首都高速道路 阪神高速道路

なお、同一順位の道路が交差する場合は、路線番号の若い方の道路で調査記入するものとする。

4 調書の作成

1) 調書は別紙〔調書の作成要領〕により作成する。
2) 調書の用紙は白紙B4版とし、ゼロックスにより複写したものを提出する。

5 附図の作成

附図は次の要領により作成するものとする。
1) 使用する図面は縮尺1/100,000〜1/500,000程度の管内図(できるだけ白図)を使用する。
2) 調査表(様式1〜4)の調査箇所の事務所コード番号、路線名、対照番号、管理担当事務所境界および迂回路があれば迂回路など必要事項を同一の管内図に記入する。
3) 2)における調査項目毎の対照番号を次の記号で各々の対照番号をかこみ区分する。

 
(記号)
道路幅員調査(様式―1)
上空障害調査(様式―2)
 
 
曲線部調査 (様式―3)
( )
交差点(屈折部)調査(様式―4)
〔 〕

4) 道路の種類を次の色別けにより区分する。

対象道路
(前記第2項参照)
色別
1)および2)
3)
4)および5)
6)
管理担当事務所境界

なお、文字、および数字はできるだけ各々の色別によること。

6 調査資料の提出等

1) 提出部数 調書、附図、管内図共2部
2) 提出期限 46年12月25日
3) 提出先 東京都千代田区霞が関1の2の3

建設省道路局路政課道路交通管理室

4) 問合せ、連絡先 同上


〔別紙〕

調査作成要領

調書は事務所別、路線別に別葉で作成するものとし、各様式各欄の記入は、次の共通事項および各様式別記載事項の記入要領によるものとする。

1 共通事項

1) 事務所コード番号:建設省道交発第87号、昭和46年9月20日付道路交通管理室長名「特殊車両の通行許可事務処理に係る橋梁の特認荷重算定資料の提出について」により作成した際に用いた番号と同一番号とする。
2) 対象番号:事務別、路線別に個所毎に対照番号を附する。
3) 地点先(地先名):当該箇所の地点名は、できれば字まで記入する。なお、交差点等において、通称名があれば併記する。また、距離標があれば併記する。

なお、区間が2以上の市町村にまたがっている場合は、上段に起点側の地点名を下段に終点側の地点名を記入する。

4) 上り下りの別:下り車線とは路線の起点から終点に向かうものをいう。
5) はみ出しの可否:この次の記号で記入する。

× 中央分離帯があって物理的に対向車線にはみ出すことができない箇所、又は中央分離帯はないが、他の条件(例えばチャッターバーなど)により実質的に対向車線にはみ出すことを許さないもの。さらに上り、下りが別ルートとなっている場合
○ 対向車線にはみ出すことを通行上の条件(たとえば誘導車付)を附すことにより許す場合。

6) 1車線当り日交通量:昭和46年に実施した「全国道路交通情勢調査」から日交通量を記入する。なお、12時間交通量を記入するものにあっては、その旨記入すること。

また、観測値のない場合は、近隣あるいは類似の箇所の交通量から推定する。
注) 一車線当り日交通量=地点日交通量/全車線数

7) 迂回路、路線名:迂回路を指定する場合の迂回路路線名(当該迂回路の道路管理者と打合せのうえ、定めておく。)を記入する。

ただし、迂回路の方が当該障害箇所よりも程度のよい道路でなければならない。もし、これに該当する道路のない場合は「無」と記入する。

8) 公安委員会等の規制(交通規制)の有無:規制のある場合は「有」、ない場合は「無」と記入する。

なお、昭和47年4月までに新たに規制されることが、ほぼ確定しているものについても記入するものとし、(有)を記入する。

9) 下り方面:各様式の欄外右下の[下り 方面]には、下りの方向の主要地点名を記入する。

2 各様式別記載事項

様式―1(車道幅員調査表)
1) 同一幅員区間の延長:当該区間又は箇所の延長を記入する。
2) 下り、上り車道幅員およびはみ出しの可否:次の例に示す要領で記入する。

〔例示〕

 
 
 
 
 
 
 
下り線側車道幅員
はみ出しの可否
上り線側車道幅員
 
1)
3.0
3.0
 
2)
4.50
×
下り共通
 
3)
3.25
×
3.25
 
4)
3.5
×
3.5
 
 
 
 
 
5)の場合(はみ出し不可)

一方通行等になっている場合は上り線の迂回路を迂回路欄に明記する。

5)
3.5
×
下り一方通行
 
 
 
 
 
 

様式―2(上空障害箇所調査表)
1) 構造物名:○○トンネル、××橋、△△跨道橋のように呼名および構造物の種類がわかるように記入する。
2) 延長:当該構造物の延長を記入する。
3) 空間高:次の例に示す要領で道路の横断方向に3.0m、3.5mおよび車道端の位置における路面上の空間高を記入する。なお、車道端の欄には、上段に空間高を、下段に横断方向の距離を記入する。

〔例〕

 
下り線側
 
 
はみ出しの可否
上り線側
 
 
 
空間高
 
 
 
空間高
 
 
 
車道端
3.5m
3.0m
 
3.0m
3.5m
車道端
1)
3.7/3.75
4.2
4.4
4.4
4.2
3.7/37.5
2)
3.5/4.0
3.8
4.2
上り線共通
 
 
3)
3.8/4.0
4.2
4.4
×
4.0
3.8
3.7/4.0
4)
3.5/4.0
3.8
4.2
×
下り一方通行
 
 
1)の場合(はみ出し可)
2)の場合(はみ出し可)
 
 
 
 
 

同一方向のみでは十分な空間高が得られない場合、たとえば1)の場合に中心線から3.0mの位置にあって空間高が4.0m以下となるような場合には2)の方法により空間高を求めて記入する。

3)の場合(はみ出し不可)
4)の場合(はみ出し不可)
 
 
 
 
 

一方通行等になっている場合は上り線の迂回路を迂回路欄に記入する。

4) 高さ制限標識の有無:既に設置されている標識の高さを記入するものとし、今後設置を計画しているものは( )書きで記入するものとする。
様式―3(曲線部調査表)
1) 曲線半径:道路の中心線の曲線半径を記入する。
2) 交角:道路の中心線上の交角を記入するものとし、度止りとする。
3) 右廻り、左廻りの別:路線の起点側から終点側に向って、右廻り、左廻りを区分する。
4) 車道幅員:測定箇所は、曲線部の中央点の幅員を調査記入するものとする。
以上の要領により次に示す例のように記入する。
〔例〕

曲線半径
交角
右廻り、左廻りの別
下り線側車道幅員
はみ出しの可否
上り線側車道幅員
65
86
4.25
4.25

様式―4―1(交差点部調査表)
1) 交差点の形状:対象箇所の形状により、次に示す例にしたがって記入する。

ほぼ直角に交差している交差点および屈折部
記号
直屈
直3
直4
 
 
形状
 
 
 
 
 
 
 
変形交差点および屈折部
記号
変屈
変3
変4
変5
 
形状
 
 
 
 
 
 
 
 

注) 上記以外の場合は「その他」と記入する。

2) 交差する道路の番号:次の例に示すように当該道路の起点側(下り線)から交差点に向うものを1)とし、当該道路が交差点から終点側に向うものを2)とする。

次に交差する道路については、1)から時計廻りの方向に順次3)、4)、5)の番号を附する。

3) 方向:当該道路の1)を基準にし、1)の道路中心線に対して各々2)〜5)における道路の中心線が、どの方向に向いているかを記入するものとし、直進するものを「直」、左折するものを「左」右折するものを「右」と記入する。

〔例示〕

〔1〕の場合 終点側
〔2〕の場合
 
 
 
 
〔3〕の場合
〔4〕の場合
 
 
 
 



様式―4―1
<別添資料>



様式―4―2(交差点箇所平面図)
<別添資料>



様式―1
<別添資料>



様式―2
<別添資料>



様式―3
<別添資料>



様式―4―1
<別添資料>



様式―4―2
<別添資料>



別紙 参考資料―1

特殊車両通行許可(長さ、幅、高さ)基準算定要領(試案)概要

特殊車両通行許可事務に使用する特殊車両の長さ、幅、高さの算定方法(要領)は、目下、本省において検討中であるが、その試案の概要は、次のようなものである。
1 特認車両長の算出方法:特認車両長は、一般曲線部および交差点別に次のようにして求める。

1) 一般曲線部

事前に調査しておいた当該ケ所の曲線半径(R)、交角(I)、および車道幅員(w)から、車両型式(単車、セミトレーラ、フルトレーラの3種に分類の予定)ごとに各々の曲線部について、特認車両長を求めておき(尚、この特認車両長については、各道路管理者において調査作成した調書にもとづき本省において決める予定である。)各道路管理者に前もって配付しておく。
特殊車両の通行申請があった場合、当該申請経路中の最小の特認車両長と申請車両長を比較し、通行の可否を判定する。

2) 交差点

各道路管理者において、各々の交差点について調査作成した平面図(S=1/500)と車両型式による定規図(軌跡図を型どったもので数十種類ぐらいに分類の予定。尚この定規図は、本省において作成し、各道路管理者に配付する。)とから通行の可否を判定する。
すなわち、特殊車両の通行申請があった場合、申請車両に類似の定規図を申請経路中の各々の交差点の隅角部に合わせてみて、これより通行の可否の判断をする。

2 特認車両幅の算出方法

特殊車両の申請経路中の最小車道幅員と、申請車両の幅とから通行の可否を判定する。

3 特認車両高の算出方法

特殊車両の申請経路中における、道路の構造(車道幅員と最小空間高との関連)と申請車両の形状から通行の可否を判定する。

4 通行条件

1、2、3いずれの場合も、他の車線をおかして通行する場合は、許可に当たり誘導車、誘導員、通行時間帯の指定等の条件を附して許可することになる。
以上、長さ、幅、高さ(重さ)の特認資料を各道路管理者が交換しておけば、法改正に伴なう窓口における一元的事務処理に利用できる。


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