建設省道政発第一一九号
昭和四六年一一月三〇日

各地方建設局長・北海道開発局長・日本道路公団総裁・首都高速道路公団理事長・阪神高速道路公団理事長・本州四国連絡橋公団総裁・各都道府県知事・各指定都市市長あて

事務次官通達


道路法等の一部を改正する法律の施行について


道路法等の一部を改正する法律(昭和四六年法律第四六号)道路法施行令等の一部を改正する政令(昭和四六年政令第二五二号)並びに道路法施行規則の一部を改正する省令(昭和四六年建設省令第二四号)及び車両制限令施行規則の一部を改正する省令(昭和四六年建設省令第二五号)は、それぞれ、昭和四六年四月一五日、七月二二日及び一一月二五日に公布され、一二月一日から施行される運びとなったが、今回の改正は、近年における自動車交通の飛躍的な伸展に伴う交通事故多発の状況にかんがみ、これらの事故を防止し、交通の安全を図るため、車両の通行の制限を強化する等道路管理権を強化するとともに、自転車専用道路等の規定を整備し、あわせて道路管理者と都道府県公安委員会との緊密な連けいを図ること等を目的としたものである。
かかる改正の趣旨に従い、その施行にあたっては、左記の点に十分留意して遺憾なきを期するとともに、すみやかに関係事項を貴管下道路管理者に周知徹底方取り計らわれたく、命により通達する。

1 車両の通行の制限の強化

(1) 車両の通行の制限については、改正前の道路法第四七条第一項の規定に基づき道路と通行車両との調和を図るべき昭和三六年車両制限令を制定し、これが運用に努めてきたところであるが、近時、同令に定める基準に適合しない車両に起因する事故が多発する傾向にあること、及びその原因が、同令の違反者に対する罰則の適用が道路管理者の措置命令違反の場合に限られ、その取締りにおのずと限界があり同令が必ずしも十分に遵守されなかった点にあると考えられることにかんがみ、今回これを改正して、改正後の道路法(以下「新法」という。)第四七条第一項の最高限度をこえる車両は、同法第四七条の二第一項の許可を受けた場合を除き通行させてはならないこととし、これに違反する者に対しては直ちに罰則の適用があることとしたものであるので、今後はこの趣旨にかんがみ、管理体制を強化するとともに、公安委員会等関係機関と協力のうえ、厳正な運用を図り、その遵守を確保するよう努めること。
(2) 新法第四七条第一項の最高限度等をこえる車両の通行については、道路管理者の許可を受けることを要するが、許可事務の迅速化と申請者の便宜を図るため、許可の申請が道路管理者を異にする二以上の道路に係るものであるときは、当該申請経路に係る一の道路管理者(指定市以外の市町村道の道路管理者を除く。)が他の道路管理者と協議して許可することができることとしたので、その運用にあたっては、あらかじめ、適正な許可基準を作成し、他の道路管理者との迅速かつ適確な協議を実施するよう努めること。なお、これに伴い、新たに手数料を徴収することにしたので、その運用にあたっては厳正を期すること。
(3) これら車両の通行の制限の強化に関する改正規定のうち、許可制限に係るものについては、本年一二月一日から、罰則の適用、許可の一元化及び手数料の徴収に係るものについては昭和四七年四月一日から適用することとしたので、その実施に遺憾のないよう期すること。

2 その他の道路管理権の強化

(1) 積載物の落下の予防等の措置に関する規定(新法第四三条の二)は、近時、車両の落下物による事故が増加していることにかんがみ、かかる事故を未然に防止するため新たに設けられたものであるので、今後とも道路パトロールを強化するとともに、警察当局と十分連絡を保ってこの種の事故の防止に努めること。
(2) 道路監理員による緊急時における通行規制に関する規定(新法第四六条第二項)は、道路の破損、欠壊その他の事由により交通が危険であるため緊急に道路の通行を禁止し、又は制限する必要がある場合において、道路監理員が時宜に適した通行規制の措置を一時とり得るようにしたものであるので、その運用にあたっては、状況に応じた適切な措置をとり得るよう道路監理員の指導訓練に努めること。
(3) 道路を汚損した場合の原因者負担の措置に関する改正規定(新法第二二条第一項及び第五八条第一項)は、近時、石油類の多量流出、荷くずれによる積荷の散乱等により道路を汚損して通常の維持の程度をこえて特別の清掃行為等を行なう必要がある場合が生じていることにかんがみ、これら特別の原因を与えた者に特別の負担を課することとしたものであるので、十分その活用を図ること。
(4) 新法第七一条第四項の規定は、同条第一項又は第二項の規定により道路管理者が必要な措置をとることを命じようとする場合において過失がなくて当該措置を命ずべき者を確知することができないときの措置に関し、明文の規定を設けて、略式の代執行として、すみやかに監督処分の内容を実現し得るように措置したものであるので、その運用にあたっては慎重を期すること。
(5) 道路情報管理施設を道路の附属物に加える改正規定(新法第二条第二項第四号)は、最近における道路情報の提供等に対する要請の増大に対処するとともに、交通の危険の防止及び交通渋滞の緩和に資するようなされたものであるので、その積極的な整備に努めること。

3 自転車専用道路等の規定の整備

自転車道の整備については、昭和四五年四月、自転車道の整備等に関する法律が規定され、その整備が急がれてきたところであるが、今回の改正においては、自転車利用者のみならず歩行者の交通の安全をも図り、あわせて混合交通による交通の円滑に対する支障を除去するため、新たに自転車専用道路、自転車歩行者専用道路及び歩行者専用道路の制度(新法第三章第六節)を設けることとしたので、地元市町村長とも十分協議のうえ、これが活用に努めること。

4 都道府県公安委員会との調整

都道府県公安委員会との調整措置(新法第九五条の二)は、近年の自動車交通の著しい伸展と道路交通管理の複雑多様化に伴い、道路管理者の行なう道路管理と都道府県公安委員会の行なう交通規制との一層緊密な連けいが必要とされる現下の情勢にかんがみ、道路交通法の改正に対応して設けられたものであり、別紙のとおり相互に意見聴取又は協議を行なうこととしたので、遺憾のないよう措置すること。
なお、この意見聴取又は協議の制度の運用にあたっては、あらかじめ、包括的に意見聴取又は協議を行なう等により、円滑に事務を処理しうるよう配慮すること。


別紙
(1) 意見聴取事項

道路管理者が公安委員会の意見をきくこととされている事項(道路法第95条の2第1項)
公安委員会が道路管理者の意見をきくこととされている事項(道路交通法第110条の2第3項)
区画線(道路標示とみなされるものに限る。)の設置(第45条第1項)
通行の禁止制限(第45条第1項又は第3項)
車道の道路標示(第2条第1項第3号)
路側帯の道路標示(第2条第1項第3号の4)
横断歩道の道路標識等(第2条第1項第4号)
車両通行帯の道路標示(第2条第1項第7号)
道路標識等による通行の禁止(第8条第1項)
道路標識等による歩行者の横断禁止(第13条第2項)
道路標識等による道路の中央以外の部分の中央線としての指定(第17条第3項)
道路標識等による右側部分にはみ出した通行方法の推定(第17条第4項第5号)
車両の通行の用に供しない部分の道路標識等(第17条第5項)
道路標識等による自転車の歩道通行(第17条の3第1項)
道路標識等による政令で定める最高速度をこえる最高速度(第22条第1項)
道路標識等による最低速度(第23条)

(2) 協議事項

道路管理者が公安委員会と協議することとされている事項(道路法第95条の2第2項)
公安委員会が道路管理者と協議することとされている事項(道路交通法第110条の2第4項)
自動車専用道路の指定(第48条の2第1項又は第2項)
区画線(道路標示とみなされるものに限る。)の設置(第45条第1項)
通行の禁止制限(第46条第1項)
意見聴取事項とされているもの
道路標識等による右側部分にはみ出した追越しの禁止(第17条第4項第4号)
道路標識等による追越禁止(第30条)
道路標識等による徐行(第42条)
道路標識等による最低速度(第75条の4)



別紙2

道路に関する事務の取扱いに関する地方建設局処務細則準則

(事務所長の専決事項)
第 条 地方建設局長の権限に属する道路に関する事務のうち、次の各号に掲げるものは、事務所長の専決とする。ただし、第一二号に掲げるものは、地方建設局長も行なうことができる。
一 道路法(昭和二七年法律第一八〇号。以下「法」という。)第二二条第一項の規定による権限のうち、道路を損傷した行為により必要を生じた道路に関する工事及び道路を汚損した行為により必要を生じた道路の維持に係るものを行なうこと。
二 法第二四条本文の規定による権限のうち、道路に関する工事又は道路の維持で、管理上影響の少ないものに係るものを行なうこと。
三 法第二八条第一項の規定により道路台帳を調製し、これを保管すること。
四 法第三二条第一項又は第三項(法第九一条第二項において準用する場合を含む。)の規定による権限のうち、管理上影響の少ない占用物件に係るものを行なうこと。
五 前号に掲げる権限の行使に関連して、法第三四条(法第九一条第二項において準用する場合を含む。)法第三八条第一項(法第九一条第二項において準用する場合を含む。)及び法第四〇条第二項(法第九一条第二項において準用する場合を含む。)の規定による権限を行なうこと。
六 法第三五条(法第九一条第二項において準用する場合を含む。)の規定による権限のうち、管理上影響の少ない占用物件に係るものを行なうこと。
七 法第三六条第一項(法第九一条第二項において準用する場合を含む。)の規定による権限を行なうこと。
八 第四号及び第六号に掲げる権限の行使に関連して、法第三九条第一項(法第九一条第二項において準用する場合を含む。)の規定による権限を行なうこと。
九 法第四三条の二の規定による権限を行なうこと。
十 法第四五条第一項、法第四八条、法第四八条の五第二項又は法第四八条の九第四項の規定による権限を行なうこと。
十一 法第四六条第一項又は法第四七条の三第一項の規定による権限を行なうこと。
十二 法第四七条の二第一項、第二項及び第五項の規定による権限を行なうこと。
十三 法第四八条の六又は第四八条の一〇の規定による権限を行なうこと。
十四 法第五八条第一項の規定による権限のうち、道路を損傷した行為により必要を生じた道路に関する工事及び道路を汚損した行為により必要を生じた道路の維持に係るものを行なうこと。
十五 法第六六条第一項又は法第六八条の規定による権限を行なうこと。
十六 第一号、第二号、第四号、第五号及び第一一号に掲げる権限の行使に関連して、法第七一条第一項から第四項前段まで(法第九一条第二項において準用する場合を含む。)の規定による権限を行なうこと。
十七 第八号及び第一四号に掲げる権限の行使に関連して、法第七三条第一項及び第二項(法第九一条第二項において準用する場合を含む。)の規定による権限を行なうこと。
十八 第二号及び第四号に掲げる権限の行使に関連して、法第八七条第一項(法第九一条第二項において準用する場合を含む。)の規定による権限を行なうこと。
十九 法第九一条第一項の規定による権限のうち、工作物の新築又は改築等で軽易なものに係るものを行なうこと。
二十 法第九五条の二の規定による権限を行なうこと。ただし、法第四六条第三項又は法第四八条の二第一項若しくは第二項の規定に係るものを除く。
二十一 車両制限令第一一条第一項又は第一二条の規定による権限を行なうこと。


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