建設省道交発第三五号
昭和四八年一一月八日

各地方建設局長・北海道開発局長・沖縄総合事務局長・三公団総裁・各指定市長あて

道路局長通達


車両制限令の一部を改正する政令及び車両の通行の許可の手続等を定める省令の一部を改正する省令の施行について


車両制限令の一部を改正する政令(昭和四十七年政令第三百七十八号)及び車両の通行の許可の手続等を定める省令の一部を改正する省令(昭和四十七年建設省令第二十七号)は、既に昭和四十七年十月十八日付けで公布、施行されたところであるが、特に左記事項に留意の上、その運用に遺憾のないようにされたい。

I 米軍車両の通行

米軍車両については、改正後の車両制限令(以下「政令」という。)第十四条第一項の規定によって、道路の構造の保全のための措置を講ずる限り、その通行について政令の規定は適用されないこととなったのであるが、今般、日米合同委員会の中に米軍車両の通行についての小委員会を設け、政令第三条に定める車両の幅、重量、高さ等の最高限度をこえる米軍車両を通行させようとするときは、米側は、あらかじめ、同小委員会に置かれた日本側事務当局(具体的には、建設省道路局)に対し、その経路、車両諸元等を提出し、同事務当局の技術的検討結果に従い必要な措置を講じて通行すること等について日米両国は合意したところであり、これによって具体的に道路の構造の保全を図ることとしている。

II 自衛隊関係車両の通行

政令第十四条第一項の規定により、政令の規定は適用されないとする特例を受ける自衛隊関係車両は、車両の通行の許可の手続等を定める省令(以下「省令」という。)の改正により、従来と比べてその範囲が拡大されたところであるが、今般、これらに関連して、防衛庁との間に(別添写しのとおり)覚書を締結したので、自衛隊関係車両の通行については、今後、これにより処理することとされたい。
自衛隊関係車両に関し、注意すべき事項を掲げれば、次のとおりである。
(1) 自衛隊の災害派遣のため使用される車両は、従来は「災害救助………のため使用される車両」に該当するものとして取扱われてきたのであるが、省令の改正により「自衛隊法………第八十三条の規定による自衛隊の行動のため使用される車両」として特記したこと(省令第四条第一項第七号)。
(2) 防衛出動等、自衛隊法第七十六条から第七十九条まで及び第八十一条から第八十四条までの規定による自衛隊の行動のため使用される車両には、自衛隊の車両のほか、これらの行動のため使用される民間車両も含まれるものであること。
(3) 自衛隊の「機関」とは、自衛隊法第二十四条第一項に規定する学校、補給処等の機関をいうものであること。
(4) 「教育訓練」とは、部隊訓練のほか、機関において行なわれる基本教育をも含むものであること(なお、総合的に行なわれる部隊訓練を演習というものであること。)。
(5) 覚書の記の二は、省令第四条第一項第七号に規定する自衛隊の部隊又は機関の編成、配置又は教育訓練のため使用される「自衛隊の車両」には、これらの目的のために使用される自衛隊所有に係る車両のほか、当該自衛隊の部隊又は機関が道路運送法第三十七条の規定に基づく貸渡等を受け、当該自衛隊の部隊又は機関が自衛隊員に運行させる車両をも含むものであることを確認する趣旨であること。
(6) 覚書の記中、道路管理者に対し車両の通行について通知又は照会する主体としての「自衛隊」は「自衛隊の部隊又は機関の長」の意味であり、その他の「自衛隊」は「自衛隊の部隊又は機関」の意味であること。
(7) 覚書の記の四の(六)に基づき、自衛隊との協議に応じようとするときは、その統一的運用を図る見地から、道路管理者は、あらかじめ、当職と協議されたいこと。
(8) 覚書の記の五に基づき、道路管理者が自衛隊から提供を求められる道路の障害箇所等に関する資料は、自衛隊が災害派遣のために使用する車両の通行に係る場合を除き、当該自衛隊の車両が当該道路を通行することが算定要領の条件Aから条件Dまでの範囲内で可能であるか否かを判断するに足る範囲のものであること。
(9) 覚書の記の八中「建設省」とは「建設本省」の意味であること。

III その他

省令第四条第二項は、政令第三条に定める幅、重量等の最高限度をこえない車両のうち、公益上緊要な用務のために通行するものとして、道路の構造の保全のための必要な措置を講じて通行する限り、政令第五条から第七条まで、第九条及び第十条の規定は適用されないこととなる車両を定めたものであるが、省令第四条第二項第三号について、次の諸点に注意すること。
(1) 「霊きゅう車」とは、「死者を納めた柩を運搬するための車両」をいい、これには、いわゆる宮型、バス型及び寝台型の三種があるものであること。
(2) 市町村が運営管理する霊きゅう車以外の霊きゅう車についての「緊急に通行することが止むを得ないもの」の中には、修理又は車検のために通行する場合の当該車両は含まれないものであること。
(3) 第三号に該当しないため政令第十四条第二項に規定する特例が認められない霊きゅう車の通行について、政令第十二条の規定に基づく認定の申請があったときは、ことがらの性質にかんがみ、優先してすみやかにこれを処理するよう配慮されたいこと。

(写)


別添

覚書

(防衛庁防運発第四八六〇号)
(建設省道交発第三四号)
(昭和四十八年十一月八日)
車両制限令の一部を改正する政令(昭和四十七年政令第三百七十八号)及び車両の通行の許可の手続等を定める省令の一部を改正する省令(昭和四十七年建設省令第二十七号)の施行に関し、左記のとおり了解する。
防衛庁防衛局長 (印)
建設省道路局長 (印)
1 改正後の省令第四条第一項第七号に規定する「教育訓練」は、観閲式を含む。
2 改正後の省令第四条第一項第七号に規定する「自衛隊の車両」は、自衛隊が貸渡を受けた車両で、自衛隊において運行させるものを含む。
3 自衛隊法第八十三条の規定に基づく自衛隊の部隊等の災害派遣に係る車両で、車両制限令第三条に規定する車両の諸元の最高限度をこえるものについては、自衛隊は、その通行に係る道路の道路管理者に対し、通行しようとする道路の障害箇所等の状況を把握するため別記様式第一による通知を行なって通行する。この場合において、緊急やむを得ないときは、当該通行について、当該道路管理者に対し、電話等で連絡するものとする。
4 改正後の省令第四条第一項第七号に規定する「自衛隊の部隊若しくは機関の編成若しくは配置若しくは教育訓練のため使用される車両」で、車両制限令第三条に規定する車両の諸元の最高限度をこえるもの(以下、単に「車両」という。)の通行については、次に定めるところによる。

(1) 車両が、特殊車両通行許可限度資料(建設省道路局が、道路法に基づく特殊車両通行許可事務の適正な運用を図るため、道路の障害箇所等に関する資料を道路管理者から収集し、これをとりまとめて作成した道路情報便覧をいう。以下「便覧」という。)に収録されている道路を通行しようとする場合において、便覧及び「特殊車両通行許可限度算定要領」(昭和四十七年三月八日付け建設省道政発第一四号。建設省道企発第一〇号建設省道路局路政課長・企画課長通達。以下「算定要領」という。)を用いて算定すれば、当該車両が当該道路を通行することが、条件Aから条件Dまでの範囲内において可能であると判断されるときは、自衛隊は、あらかじめ、当該車両の通行について、当該道路の道路管理者に対し、別記様式第一により通知を行なう。
(2) (1)の場合において、便覧及び算定要領を用いて算定すれば、当該車両が当該道路を通行することが、条件Aから条件Dまでの範囲内においては不可能であると判断されるときは、自衛隊は、あらかじめ、当該道路の道路管理者に対し、別記様式第1による通知を行なうとともに、別記様式2により、当該道路の構造の保全のための必要な措置について、当該道路管理者に照会を行なう。この場合において、当該道路管理者は、遅滞なく、別記様式第2により、当該車両の通行について当該道路の構造を保全するために、通行位置の指定、橋面の補強等の必要な条件について回答する。
(3) 自衛隊は、(2)により道路管理者の回答を得て通行する車両と、型式、構造、諸元、積載貨物及び通行経路が同一である車両を通行させようとするときは、当該回答があった日から一年の期間内に限り、照会を省略して、別記様式第1により、あらかじめ、道路管理者に通知することをもって足りる。
(4) 自衛隊は、(1)から(3)までに定めるところにより車両を通行させようとする場合においては、算定要領において必要とされる通行条件を遵守し、及び、道路管理者が道路の構造を保全するため附した必要な条件を最大限に尊重するものとする。
(5) 車両が便覧に掲載されていない道路を通行しようとする場合においては、道路管理者が自衛隊に対し提供する当該道路に関する資料(当該道路について便覧に掲載されているものと同様の障害箇所等に関する資料)及び算定要領を用いて算定すれば、当該車両が当該道路を通行することが、条件Aから条件Dまでの範囲内において可能であると判断されるか否かによって、それぞれ、(1)又は(2)に準じて処理するものとする。この場合においては、(3)及び(4)を準用する。
(6) 自衛隊が頻繁に使用する演習場内道路、演習場等に隣接する道路又は自衛隊が開設した演習場等取付道路にあっては、自衛隊は、当該道路の道路管理者と別個に協議し、前記4の(1)から(5)までによらないことができる。

5 道路管理者は、自衛隊から、車両の通行に係る道路の障害箇所等に関する資料の提供を求められたときは、これを提供するものとする。
6 自衛隊は、車両の通行に係る道路の道路管理者から、車両の通行に関し技術的判断を行なう上で必要な当該車両の諸元等に関する資料の提供を求められたときは、これを提供するものとする。
7 建設省は、自衛隊の車両の通行について、公正かつ妥当な技術的判断に基づき、遅滞なく、事務の推進が行なわれるよう道路管理者の指導に当るものとする。
8 前記1から7までの定めにより難い場合においては、車両の通行について防衛庁と建設省は、協議の上、これらと異なる取扱いをすることができる。
9

(1) この覚書(以下「新覚書」という。)は、締結の日から起算して一月を経過した日から施行するものとし、昭和三十六年十二月二十六日付け防衛庁官法発第二一六号・建設省道発第五三〇三の一号で締結した「車両制限令施行規則の施行に関する覚書」(以下「旧覚書」という。)は、新覚書の施行の日に廃止する。
(2) 新覚書施行の際現に旧覚書の記の一に基づき道路管理者に対し通知ずみの自衛隊の車両の通行については、新覚書の施行の日から起算して一月の期間に限り、なお旧覚書の規定によることができる。



別記様式第1
<別添資料>



別記様式第2
<別添資料>


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