建設省道交発第二七号
昭和四九年七月一五日

地方建設局長・北海道開発局長・沖縄総合事務局長・道路三公団長・指定市長業界((社)日本バス協会ほか二三団体)あて

道路局長通達


新規開発車両の設計製作基準及び取扱に関する要領について


道路法第四七条の二第一項の規定に基づく特殊な車両の許可の取扱については、その適正な運用が図られていると考えるが、車両制限令第三条で定める最高限度をこえる車両を新たに製作使用する際の取扱について、今般、別紙のとおり「新規開発車両の設計製作基準及び取扱に関する要領」を定めたので、その運用にあたっては、遺憾なきを期されたい。
なお、この要領の趣旨については、製作業者等関係業界において既に了解ずみであるので、念のため申し添える。



別紙

新規開発車両の設計製作基準及び取扱に関する資料

(昭和四九年七月)
(建設省道路局)

目次
第一章 総則

一 目的
二 用語の定義

第二章 新規開発車両の設計製作基準

一 重量
二 幅、高さ及び長さ

第三章 新規開発車両の取扱

一 新規開発車両に係る設計製作基準適合証明書の交付等
二 適合証明書に係る新規開発車両の通行許可

第四章 雑則

一 新規開発車両その他の特殊車両に対する準適合証明書の交付等
二 新規開発車両設計製作基準適合判定参考書に係る通行許可
三 その他

別紙

一 新規開発車両基本総重量算定式
二 P算定表
三 車両区分及び記号図表
四 新規開発車両基本軸重算定図
五 トリプル軸の基本軸重算定式
六 新規開発車両設計製作届出書様式(その一)、(その二)
七 新規開発車両の諸元に関する説明図書様式
八 新規開発車両設計製作基準(準)適合証明書様式(その一)、(その二)
九 基本通行条件表
一〇 新規開発車両に係る基本通行条件判別表
一一 最遠軸距による一般セミトレーラ連結車又はフルトレーラ連結車の通行条件Aにおける基本総重量簡易算定表
一二 長さに係る基本通行条件がAである新規開発車両の長さ限度表
一三 基本通行条件の意味一覧表
一四 新規開発車両設計製作基準適合判定参考書様式

新規開発車両の設計製作基準及び取扱に関する要領
第一章 総則

一 目的

この要領は、道路法第四七条の二第一項の規定に基づく特殊車両通行許可制度の円滑かつ適正な運用を図るため、新規開発車両の設計製作に関する基準を明らかにするとともに、この基準に適合する新規開発車両の取扱方法等を定めることを目的とする。

二 用語の定義

この要領において、次の各号に掲げる用語の意義はそれぞれ当該各号に定めるところによるものとし、その他の用語の意義については「特殊車両通行許可限度算定要領」(昭和四七年三月八日付け建設省道政発第一四号・同道企発第一〇号「特殊車両通行許可限度算定要領について」に基づき定められた特殊車両通行許可限度算定要領をいう。以下「算定要領」という。)第三章に定めるところによる。
(一) 特殊車両 車両で車両制限令(昭和三六年政令第二六五号)第三条第一項に規定する幅、重量、高さ、長さ又は最小回転半径の最高限度をこえるものをいう。
(二) 新規開発車両 新たに開発される特殊車両(単車又はセミトレーラ連結車若しくはフルトレーラ連結車に限る。)をいう。
(三) 基本総重量 昭和三一年制定鋼道路橋設計示方書による一等橋(以下「三一年一等橋」という。)の主げた、横げた又は縦げたの各部材に生ずる応力が三一年一等橋の設計活荷重によるものをこえない車両の総重量で部材ごとに第二章に定めるところにより求められるものをいう。
(四) 基本軸重 三一年一等橋の床版に生ずる応力が三一年一等橋の設計活荷重によるものをこえない車両の軸重で第二章に定めるところにより求められるものをいう。
(五) 設計製作限度総重量 通行条件ごとのそれぞれ主げた横げた又は縦げたについて求めた基本総重量のうち最小のものをいう。
(六) 設計製作限度軸重 通行条件ごとの床版について求めた基本軸重をいう。
(七) セミトレーラ連結車 自動車と前車軸を有しない被けん引車との結合体であって、被けん引車の一部が自動車にのせられ、かつ、被けん引車及びその積載物の重量の相当部分が自動車によってささえられているものをいう。
(八) 一般セミトレーラ連 セミトレーラ連結車で道路運送車両の結車 保安基準(昭和二六年運輸省令第六七号。以下「保安基準」という。)第五四条の規定に基づく基準の緩和を受けていないものをいう。
(九) 重セミトレーラ連結車 セミトレーラ連結車でけん引車及び被けん引車の全部又は一部が保安基準第五四条の規定に基づく基準の緩和を受けているもの(海上コンテナ用セミトレーラ連結車を除く。)をいう。
(一〇) フルトレーラ連結車 けん引車とその自重及び積載重量の全部をその車軸のみでささえる構造の被けん引車との結合体をいう。

第二章 新規開発車両の設計製作基準

一 重量

新規開発車両の重量に関する設計製作基準は、次に定めるところによる。
(一) 新規開発車両は、三一年一等橋に対して、通行条件AからDまでの範囲内で安全に通行し得るように設計製作するものとする。
(二) 新規開発車両の総重量又は軸重(トリプル軸に係るものにあっては、トリプル軸の各軸の軸重のうち最大の軸重)は、設計製作限度総重量又は設計製作限度軸重をこえないように設計製作するものとする。
(三) 設計製作限度総重量又は設計製作限度軸重を求めるための通行条件別の基本総重量又は基本軸重は、別紙一新規開発車両基本総重量算定式又は別紙四新規開発車両基本軸重算定図を用いて、算定するものとする。
(四) 主げたに係る基本総重量は、通行条件A又はBにあっては別紙一新規開発車両基本総重量算定式において六〇mの支間を以って算定した値とし、通行条件Cにあっては別紙一新規開発車両基本総重量算定式において算定した値が最小となる支間を以って算定した値とし、通行条件Dにあっては通行条件Cにおける基本総重量の値に係数3/2.8を乗じて得た値とする。
(五) 横げた又は縦げたに係る基本総重量は、通行条件A又はBにあっては別紙一新規開発車両基本総重量算定式において、それぞれ横げた間隔、縦げた支間を六mとして算定した値とし通行条件C又はDにあってはそれぞれ、この値に係数一・三〇を乗じて得た値とする。
(六) 床版に係る基本軸重は、通行条件AからCまで又は通行条件Dの区分に応じて、当該新規開発車両の隣接軸距を用いて別紙四新規開発車両基本軸重算定図の(A〜C)の線又はDの線から求められる値とする。

ただし、トリプル軸に係る新規開発車両の一軸当りの基本軸重は、通行条件AからCまで、又は通行条件Dの区分に応じて、別紙五トリプル軸の基本軸重算定式により求められる値とする。

二 幅、高さ及び長さ

新規開発車両の幅、高さ及び長さに関する設計製作基準は次に定めるところによる。
(一) 新規開発車両の幅は、原則として三・五mをこえず、かつ、転倒に対する安全を確保する等のため、その構造上必要最小限のものであるものとする。
(二) 新規開発車両の高さは、その構造上三・八mをこえることがやむを得ないと認められるものを除き、原則として三・八mをこえないものとする。
(三) 新規開発車両の長さは、その車両区分がそれぞれ単車、セミトレーラ連結車又はフルトレーラ連結車であるのに応じて、それぞれ一六・〇m、一七・〇m又は一九・〇mをこえないものとする。

第三章 新規開発車両の取扱

一 新規開発車両に係る設計製作基準適合証明書の交付等

(一) 新規開発車両を設計製作しようとする者(以下「設計製作者」という。)が、当該新規開発車両の設計製作に関し、型式ごとに、次の各号に掲げる書類及び図面を添付して、別紙六新規開発車両設計製作届出書様式による届出書(以下「届出書」という。)を提出した場合において、当該新規開発車両の設計製作内容が第二章に定める設計製作基準に適合しており、かつ、(三)に定めるところにより当該新規開発車両の重量について得られる基本通行条件がその車両区分に応じて別紙九基本通行条件表で示す基本通行条件の範囲内にあるものであるときは、建設省道路局長は、当該設計製作者に対し、別紙八新規開発車両設計製作基準適合証明書様式により新規開発車両設計製作基準適合証明書(以下「適合証明書」という。)を交付するものとする。

イ) 別紙七新規開発車両の諸元に関する説明図書様式による図書
ロ) その他新規開発車両の設計製作に関し必要と認められる書類及び図面

(二) 建設省道路局長は、(一)により適合証明書を交付しようとする場合においては、当該適合証明書に当該新規開発車両に係る重量、高さ又は長さに係る基本通行条件を記載するものとする。
この場合において、新規開発車両の高さ又は長さに係る基本通行条件がその車両区分に応じて別紙九基本通行条件表で示す基本通行条件をこえるものであるときは、高さ又は長さに係る基本通行条件は、記載しないものとする。
(三) 新規開発車両の重量に係る基本通行条件は、届出書に記載された当該新規開発車両の総重量又は軸重(標準全装備時と走行時における総重量又は軸重がそれぞれ異るように設計製作されている新規開発車両にあっては、その走行時における総重量又は軸重)と第二章に定める設計製作基準から求められる当該新規開発車両の基本総重量又は基本軸重を用いて別紙一〇新規開発車両に係る基本通行条件判別表により求めるものとする。
(四) 新規開発車両の高さ又は長さに係る基本通行条件は、届出書に記載された当該新規開発車両の高さ又は長さ(標準全装備時と走行時における高さ又は長さがそれぞれ異るように設計製作されている新規開発車両にあっては、その走行時における高さ又は長さ)を用いて次により求めるものとする。

イ) 高さが三・八mをこえない新規開発車両の高さに係る基本通行条件は「条件なし」とする。
ロ) 長さが一二・〇mをこえない新規開発車両の長さに係る基本通行条件は「条件なし」とし、長さが一二・〇mをこえる新規開発車両の長さに係る基本通行条件は、当該新規開発車両が別紙一二の車両区分欄の区分に応じて、同表の長さ限度欄の長さを超えないものに限り、Aとする。

(五) 適合証明書に記載された基本通行条件の意味は、別紙一三基本通行条件の意味一覧表に示すとおりとする。

二 適合証明書に係る新規開発車両の通行許可

道路管理者は、適合証明書に係る新規開発車両を通行させようとする者がその通行について、当該適合証明書の写を添付して道路法第四七条の二第一項の規定に基づく、許可の申請をした場合においては、当該新規開発車両の運行経路及び当該適合証明書に記載された基本通行条件を勘案のうえ、必要な条件を付して許可するものとする。

第四章 雑則

一 新規開発車両その他の特殊車両に対する準適合証明書の交付等

(一) 第三章の一の(一)により提出された届出書にかかる新規開発車両であつて、その設計製作内容は第二章で定める設計製作基準に適合するが、第三章の一の(三)の定めるところにより求められるその重量に係る基本通行条件(Dまでの範囲内のものに限る。)が別紙九に掲げる重量に係る基本通行条件をこえるものについては、建設省道路局長は、当該設計製作者に対し、別紙八の様式による新規開発車両設計製作基準(準)適合証明書(以下「準適合証明書」という。)を交付することができる。
(二) 特殊車両(新規開発車両でその重量について第二章で定める設計製作基準を超えるもの(以下「超重量車両」という。)又は寸法について第二章で定める設計製作基準を超えるもの(以下「超寸法車両」という。)以下この項において同じ。)を設計製作しようとする者は当該特殊車両の設計製作について、その型式ごとに必要な書類及び図面を添付して別紙六による届出書に準じた届出書を事前に提出しなければならない。この場合において、当該特殊車両を設計製作することが、当該特殊車両の構造上特にやむを得ないと認められ、かつ、第二章に定める設計製作基準による検討に準ずる技術的検討を行つた結果等からみて、道路の構造保全及び交通の危険防止上安全であると認められるときは、建設省道路局長は、当該特殊車両を設計製作しようとする者に対し、準適合証明書を交付することができる。
(三) 道路管理者は(一)により交付された準適合証明書に係る車両の通行で、当該準適合証明書の写を添付して道路法第四七条の二第一項の規定に基づき申請がなされたものについては、第三章の二に準じて許可することができるものとする。
(四) 道路管理者は、今後設計製作される超重量車両又は超寸法車両については、(二)により準適合証明書を交付された車両で、当該準適合証明書の写しを添付して道路法第四七条の二第一項の規定に基づき申請がなされたものについてのみ、同項の規定により許可することができるものとする。

二 新規開発車両設計製作基準適合判定参考書に係る通行許可

一般セミトレーラ連結車又はフルトレーラ連結車を通行させようとする者が、別紙一四新規開発車両設計製作基準適合判定参考書様式による参考書(以下「適合判定参考書」という。)を添付して、道路法第四七条の二第一項の規定に基づく許可の申請をした場合において、当該適合判定参考書に記載された基本通行条件が、第三章の一の(一)により道路局長が適合証明書を交付するときの範囲内にあり、かつ、(二)による記載方法並びに(三)及び(四)の算定方法によるものであるときは、道路管理者は、第三章の二に準じて許可することができるものとする。

三 その他

(一) この要領の施行の日前に既に運行の用に供されている特殊車両(超重量車両及び超寸法車両を除く。)でその保有者から関係書類及び図面を添付して届出なされたものについては、建設省道路局長は、第三章の一の(一)又は第四章の一の(一)に準じて、適合証明書又は準適合証明書を交付することができるものとし、道路管理者は、適合証明書又は準適合証明書の交付に係るこれらの車両の通行について、第三章の二に準じて許可することができるものとする。
(二) 海上コンテナ用セミトレーラ連結車の設計製作及びその取扱等については、この要領で定めるところにかかわらず、なお、従前の例によるものとする。
(三) ダブルス連結車(セミトレーラ連結車とドーリ付きフルトレーラを連結した状態の車両をいう。)の設計製作については、この要領で定めるところにかかわらず、なお、従前の例によるものとする。
(四) この要領は、昭和四九年七月一五日から適用する。



付 則

この要領は、昭和五二年八月一二日から適用する。



附 則 (昭和五三年一二月一日建設省道交発第九六号)
この要領の改正後の第四章の一の(二)及び(四)は、昭和五四年四月一日から適用する。



別紙1 新規開発車両基本総重量算定式

31年1等橋の部材ごとの基本総重量は次式により算定するものとする。

W′=P(1+α2+α3+α4+α5)

この式において、W′,P,α2,α3……はそれぞれ次の値を示すものとする。

W′:基本総重量
P:基本総重量を算定するための主げた、横げた、縦げたごとに車両区分に応じて別紙2P算定表から求められる理論軸重
α2・α3……:新規開発車両のそれぞれ第2軸、第3軸……の軸重の注目軸の軸重に対する軸重比



別紙2 P算定表
<別添資料>



別紙3 車両区分及び記号図表
<別添資料>



別紙4 新規開発車両基本軸重算定図
<別添資料>



別紙5 トリプル軸の基本軸重算定式
<別添資料>



別紙6 新規開発車両設計製作届出書様式(その1)(用紙B―4)正、副
<別添資料>



別紙6 新規開発車両設計製作届出書様式(その2)(用紙B―4)正、副
<別添資料>



別紙7 新規開発車両の諸元に関する説明図書様式  (用紙B―4)正、副
<別添資料>



別紙8 新規開発車両設計製作基準(準)適合証明書様式(その1)
<別添資料>



別紙8 新規開発車両設計製作基準(準)適合証明書様式(その2)
<別添資料>



別紙9 基本通行条件表
<別添資料>



別紙10 新規開発車両に係る基本通行条件判別表
<別添資料>



別紙11 最遠軸距による一般セミトレーラ連結車又はフルトレーラ連結車の通行条件Aにおける基本総重量簡易算定表
<別添資料>



別紙12 長さに係る基本通行条件がAである新規開発車両の長さ限度表
<別添資料>



別紙13 基本通行条件の意味一覧表
<別添資料>



別紙14 新規開発車両設計製作基準適合判定参考書様式  (用紙B―4)
<別添資料>


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