建設省道交発第九七号
昭和五三年一二月一日

各地方建設局道路管理担当部長・都道府県道路管理担当部長・指定市道路管理担当部長・関係公団道路管理担当部長あて

道路局道路交通管理課長通達


特殊な車両の通行の許可に関する事務の具体的処理について


特殊な車両の通行の許可に関する事務は、昭和五三年一二月一日付け建設省道交発第九六号道路局長通達「車両の通行の制限について」によって処理されることとなったが、その具体的処理に当たっては、左記の事項に留意され、その事務の運用に遺憾なきを期せられたい。

1 申請関係

(1) 申請書(車両の通行の許可の手続等を定める省令(以下「省令」という。)別記様式第一)及び附属書類(昭和五三年一二月一日付け道路局長通達別添一「特殊な車両の通行許可事務処理要領」(以下「要領」という。)第2の(1)及び(2))の正本及び副本は、経路図を除き複写式として、申請者の便宜を図られたいこと。

また、前記書類のほか、協議書(要領別記様式四)、協議回答書(要領別記様式五)、許可証(省令別記様式第一)、条件書(要領別記様式六)、内部決裁書等についても、複写式とすることが望ましいこと。

(2) 申請書及び附属書類の訂正を要する場合には、申請者の押印又は自署及び道路管理者の押印をもって当該申請書及び附属書類を有効なものとして取り扱われたいこと。
(3) 更新または変更の申請に当たっては、申請窓口が新規申請時と同一のときは、変更のない附属書類の提出及び申請書のうち、変更のない事項の記載を省略させることができること。この場合においては、申請書の変更のない事項の欄に「変更なし」と記載し、新規以降の許可証(省令別記様式第一)、条件書(要領別記様式六)及び附属書類の副本をそれぞれ一部づつ添付させること。

なお、更新とは、許可期間のみを更新する場合をいい、変更とは車両台数の増以外の変更で更新以外のものをいう。

(4) 申請書の車種区分欄の記入は左記の区分によること。

○トラック
○建設機械……自走式建設機械をいう。
○重セミ……道路運送車両の保安基準第五五条の規定に基づく基準の緩和を受けている重セミトレーラ(海上コンテナ用セミトレーラ及びポールトレーラを除く。)をいう。
○海コン……海上コンテナ用セミトレーラをいう。
○一般セミ……重セミトレーラ及び海上コンテナ用セミトレーラ以外のセミトレーラ(ポールトレーラを除く。)をいう。
○ポールトレーラ
○フルトレーラ
○ダブルス

なお、次に該当するものは( )書で付記すること。
(イ) 新規……「新規開発車両の設計製作基準及び取扱に関する要領」(昭和四九年七月一五日)による適合証明書の写し又は適合判定参考書あるいは準適合証明書の写しを添付して申請した車両をいう。
(ロ) 適合……平成一〇年三月三一日付け建設省道交発三九号・建設省道企発二二号「海上コンテナ用セミトレーラ連結車の橋梁照査式適合車両の取扱いについて」による適合車両をいう。
(ハ) バン……バン型のセミトレーラ連結車及びフルトレーラ連結車をいう。
(ニ) タンク……タンク型のセミトレーラ連結車及びフルトレーラ連結車をいう。
(ホ) 幌枠……幌枠型のセミトレーラ連結車及びフルトレーラ連結車をいう。
(ヘ) コン……コンテナ用のセミトレーラ連結車及びフルトレーラ連結車で、海上コンテナ用セミトレーラ連結車を除くものをいう。
(ト) 車運搬……自動車運搬用のセミトレーラ連結車及びフルトレーラ連結車をいう。

(5) 申請車両に積載される複数の積載貨物が同一製品であり、かつ当該積載貨物の特殊性が同一である場合には、一の申請書により申請させることができること。(ただし、空車状態について、積車状態と同一の申請書により申請させる場合は特殊性が同一でなくてもよいこと。)この場合においては、申請書の積載貨物欄に最大の幅、高さ及び長さを記入させること。なお、この場合においては、最もきびしい通行条件により許可することとなる。
(6) 附属書類については、次の事項に留意すること。

(イ) 自動車検査証の写し(要領第2の(1)の(イ))については、原則として電子複写によるものを提出させること。

なお、この添附は、車両の諸元が適正であるかどうかを確認するためであるので念のため。

(ロ) 車両の諸元に関する説明書(要領第2の(1)の(ロ))は別記様式一及び第1の2(要領第2の(2)の包括申請にのみ使用。この場合、同一の型式ごとに一つの車両諸元の記入で足りるものとする。)によること。ただし、申請に係る車種が説明書に例示していない場合においては、説明書の全事項が記載されている書類に替えることができること。

なお、車両の幅又は長さが特殊車両通行許可限度算定要領(昭和五三年一二月一日付け建設省道交発第九九号、建設省道企発第五七号道路交通管理課長、企画課長「特殊車両通行許可限度算定要領について」別添(以下「算定要領」という。))により算定できる範囲を超える場合においては、軌跡図を提出させること。

(ハ) 経路図(要領第二の(1)の(ハ))は、三〇〇、〇〇〇分の一の縮尺の地図(ただし、通行経路の中間部分については経路が明示できるときは、三〇〇、〇〇〇分の一未満の縮尺の地図、通行経路を明示し得ないときは、三〇〇、〇〇〇分の一を超える縮尺の地図とし、高速自動車国道の経路図は、省略できるものとする。)に赤線でその経路を表示したものであること。

なお、経路の記入は、インク又はこれに類するものによることとし、出発地及び目的地を明示し、図面ごとの記入経路数を図面の隅に記載させること。また、他の道路管理者に協議をするため必要がある場合には、協議を必要とする路線のみを記入した経路図を別に提出させることができる。

(ニ) 経路表(要領第2の(1)の(ハ))は、別記様式第二によること。

なお、通行経路の中間にフェリー区間、港湾道路等の道路法に基づく道路以外の部分がある場合にあっても、出発地から目的地までを一の経路とすること。
ただし、当該道路法に基づく道路以外の部分については、許可の対象とならないので念のため。

(ホ) 昭和四九年七月一五日付け建設省道交発第二七号道路局長通達「新規開発車両の設計製作基準及び取扱に関する要領について」に基づく申請については、新規開発車両設計製作基準適合証明書の写し又は新規開発車両設計製作基準適合判定参考書あるいは新規開発車両設計製作基準(準)適合証明書の写しを添付させること。

(7) 要領第2の(2)の包括申請において同一の車種とは、車両の諸元に関する説明書に例示してある車種分類によるものとし、なお車両が連結車であるときは、トラクタ及びトレーラのいずれについても複数であってもよいこと。

この場合においては(6)の附属書類の正本及び必要部数の副本とともに、申請書の「番号標に表示されている番号」の欄に、「〇〇〇〇他〇〇台」と記入させ、トラック・トラクタ内訳書(要領別記様式一)又はトレーラ内訳書(要領別記様式二)の正本及び必要部数の副本を添付させること。なお、包括申請の場合には、道路に与える影響が最大となる車両に対して付される通行条件により許可されることとなるので念のため。
また、申請に係る車両が連結車であるときの車両の諸元に関する説明書については、トラックあるいはトラクタ又はトレーラごとに記入し(別記様式第一の二)、さらに、説明書の「車両番号」の欄に、「合成車両」と記入し、合成した諸元の値を記入した説明書を提出させること(別記様式第一)。合成した諸元の値とは、すべてのトラック又はトラクタ及びトレーラの諸元のうち、それぞれ道路に与える影響が最大となるものの組合せのことであり、道路に与える影響が最大となるものとは、車両の幅、高さ、長さ、総重量、隣接軸重及び最大軸重が最大となり、また最遠軸距、隣接軸距及び最大軸重軸の最外輪中心間距離が最小となるもののことである。
なお、この場合、申請書の「車両の諸元」の欄も合成した値を記入すること。

(8) 申請者が電算処理を希望し、かつ、これにより処理する場合においては、別に定める特殊車両通行許可システム運用説明書(以下「運用説明書」という。)による申請カード又はフレキシブルディスクを添付させること。

なお、フレキシブルディスクによる申請を行う場合のフレキシブルディスクの構造及び記録等については、次の各号に該当するものとする。
(イ) 工業標準化法(昭和二四年法律第一八五号)に基づく、日本工業規格(以下「日本工業規格」という。)X六二二三(昭和六二年)に適合する九〇ミリメートルフレキシブルディスクカートリッジとする。
(ロ) トラックフォーマットについては、日本工業規格X六二二五(平成七年)に規定する方式とする。
(ハ) フレキシブルディスクには、次に掲げる事項を記載したラベルを貼付するものとする。

・会社名、連絡先
・申請者の氏名
・申請年月日
・申請件数

(9) 申請書及び附属書類については、別表に掲げる部数を提出させること。
(10) 同一の車両に係る積車状態における申請及び空車状態における申請において、それらの申請に係る通行の許可に当たって、許可の内容及び許可の条件を区別して考慮してほしい旨の申出があったものについては、積車状態における申請と空車状態における申請とを区分して、それぞれ別の申請書により申請させること。

この場合においては、空車状態における申請書の附属書類の添付を省略させることができるものとするが、空車状態で通行する場合には空車状態における許可証及び条件書のほかに積車状態における許可証、条件書及び附属書類を携帯させるよう義務づけるものとすること。

(11) 申請は、原則として申請者本人又はその代理人が申請の受理の窓口である事務所に直接出頭して行わせるものとすること。
(12) 申請書の受理については、申請経路に係る道路管理者を建設大臣、各都道府県知事及び各都道府県、各指定市長及び各市町村、各道路関係公団並びに各地方道路公社を単位とした場合の当該道路管理者のいずれの窓口においても受理ができること。

なお、複数経路に係る申請については、その経路のいずれかが受理窓口に係るものでなければならないこと。
ただし、この場合においては、指定市以外の市及び町村は窓口になれないので念のため。

2 手数料関係

(1) 各道路管理者においては、手数料の徴収手続を定めること。

なお、地方建設局、北海道開発局及び沖縄総合事務局に係る手数料の徴収手続については、昭和四七年三月六日付け、建設大臣官房会計課長通達「特殊な車両の通行許可手数料の取扱いについて」により運用すること。

(2) 包括申請及び複数の通行経路に係る申請は、単に申請の簡便化を図ったにすぎないので、申請車両の台数(連結車については、トラクタ台数)に、二以上の道路管理者の管理する道路に係る経路を五経路ごとを一件として数えた件数を乗じた件数に対して手数料を徴収すべきものであること。
(3) 手数料を徴収する際の道路管理者の数え方については、建設大臣、各都道府県知事及び各都道府県、各指定市長及び各市町村、各道路関係公団並びに各地方道路公社を単位とすること。

3 申請の審査関係

(1) 道路法(以下「法」という。)第四七条の二第一項でいう申請に係る「車両の構造又はその車両に積載する貨物が特殊である」とは、車両又は車両に積載する貨物が分割することができないために、法第四七条第二項又は第三項の規定に基づく車両の幅等の最高限度を超えることをいうこと。

従って、自走する建設機械等(例えば、トラッククレーン車)については、一次分解(分解に熟練者を要せず、通常の運搬、保管等で済ませることができる程度のものをいう。)により取り外し可能なものは極力取り外させ、また積載貨物についても、同様に分割又は取り外した状態とさせるとともに、運搬に適した車両を選択させること。

(2) 審査に当たっては、算定要領及び道路情報便覧によること。

なお、電算処理の場合にあっては、運用説明書によること。

(3) 積載貨物の寸法(幅、高さ又は長さ)において分割することができないために通行許可の対象となる車両については、積載貨物の重量において分割することが可能であっても、その重量について、算定要領に定められている通行条件の区分がAとなる範囲にありかつ道路運送車両の保安基準第五五条の規定に基づく基準の緩和を受ける必要のないものに限り許可することができるものとする。
(4) 包括申請の審査は、道路に与える影響が最大となる車両の諸元の値をもって合成したものについて行うこと。

4 協議関係

(1) 協議書並びに協議に必要な申請書及び附属書類(経路図を除く。)の写しは、道路管理者において作成すること。
(2) 更新又は変更の申請にあっては電話連絡により協議することができること。
(3) 都道府県においては、当該都道府県区域内の市町村道のうち道路情報便覧に未収録の路線について、道路情報便覧に準ずる資料をできる限り収集し、他の道路管理者の相談及び照会に対しては積極的に応ずること。
(4) 各道路管理者の窓口等の連絡先については、道路情報便覧を参考にすること。
(5) 協議を行う場合には、附属書類のうち、自動車検査証の写し及び免許証の写しの添付を省略することができること。

5 許可関係

(1) 許可に当たっては、許可証及び条件書とともに、申請に当たって提出された附属書類の副本(真正であることを証するため割印又は打抜機等これに準ずるものを施こしたもの)を交付すること。

なお、更新又は変更の申請の場合において、1の(3)により許可するときは提出させた新規以降の許可証、附属書類及び条件書の副本を返却すること。

(2) 許可証、条件書及び経路図は通行時、必ず、許可に係る車両に備え付けさせること。なお包括申請の場合には、この他のトラツク・トラクタ内訳書及びトレーラ内訳書を備え付けさせること。

また、更新又は変更で、1の(3)により許可したときは、新規以降の許可証も備え付けさせること。

(3) 道路管理者が交付する許可証、条件書等及び通行時車両に備え付けるべき書類の部数は、別表によること。
(4) 複数の通行経路について、1の申請書により申請があった場合において、審査の結果、1の経路について許可することができない場合には、すべての経路について不許可とすること。

なお、この場合、不許可通知書の理由欄に、当該一の経路を明示すること。

(5) 条件書は、極力具体的に記載するものとし、別紙を参考とすること。

なお、工事等のため、通行経路の一部の区間について迂回させる必要があることが許可時点に判明している場合には、条件書にその旨を記載することができる。

(6) 許可の際に付した条件(以下「許可条件」という。)が算定要領において定められている通行条件の区分でC又はDとなり、通行を許可する車両の前後に誘導車を配置することを条件とするときは、原則として、申請経路全路線について当該許可条件により通行することを義務付けるものとするが、通行条件の区分がB、C又はDとなり、徐行、運行禁止等を条件とするときは、当該許可条件による措置の必要となる区間又は箇所に限定して当該許可条件により通行することができることとする。

なお、複数の経路について、1の申請書により申請があった場合も同一の取扱いとする。

(7) 許可に係る道路の路線名が路線指定若しくは認定により変更され又は道路管理者が変更された場合においては、許可に係る経路を通行するものである限り、当該経路について許可されたものとして取り扱うこと。

6 特殊車両許可標章関係

(1) 特殊な車両が許可を受けているか否かを判別するため、許可に係る車両の車体に特殊車両許可標章(以下「ワツペン」という。別記様式第三)を貼付させるよう強力に指導すること。
(2) ワツペンの貼付位置は、許可に係る車両の前面(別図参照)とすること。
(3) 昭和五二年八月一一日付け建設省道交発第六二号道路交通管理課長通達「特殊車両通行許可に係る許可条件の通行時間帯指定基準について」により、夜間通行の条件が附された場合におけるワツペンは赤色のものとし、夜間通行の条件が附されない場合におけるワツペンは緑色のものとすること。
(4) ワツペンは、許可期間の最後の日に該当する月を表示するものとすること。したがって、ワツペンに表示された月の末日まで許可されたものではないので、ワツペンを貼付するものに対して誤解のなきよう指導すること。
(5) ワツペンを貼付するに当たっては、あらかじめ、許可道路管理者の印字を受けさせるよう指導すること(その印字内容は、許可道路管理者名及び許可年月日とし、印字の位置は、ワツペンの下方白ぬき部分とし、印字は水洗等で容易に消えないものとすること。)。
(6) 空車状態と積車状態で付される条件が異なるため、ワツペンの色が異なるときは、二種のワツペンを貼付させること。なお、バン型、コンテナ型等外観上空車であるか否かを判別し難い場合は、空車時は車体の前面に空車標示をさせるよう指導すること。

7 特殊車両許可状況等報告書関係

(1) 許可状況等報告書(要領別記様式一〇)には、市町村(指定市を除く。以下同じ。)及び地方道路公社に対する許可申請に係るものは含めないこと。
(2) 市町村及び地方道路公社に対する許可申請に係るものについては、各都道府県は各年度当初に管下市町村及び地方道路公社に係る前年度分を取りまとめ、特殊車両通行許可状況調書(別記様式四)を五月一五日までに建設省道路局道路交通管理課に提出すること。

8 既通達の取扱い

(1) 左記の通達については、廃止する。

1) 昭和四六年一二月二一日付け建設省道交発第九七号道路交通管理室長通達「特殊な車両の通行の許可に関する事務の具体的処理について」
2) 昭和四七年三月三〇日付け建設省道交発第一五号道路交通管理室長通達「道路法第四七条の二第二項の協議について」
3) 昭和四八年九月一七日付け建設省道交発第二八号道路交通管理室長通達「特殊車両許可状況等報告について」
4) 昭和四八年一〇月二二日付け建設省道交発第三二号道路交通管理室長通達「バン型の連結車両と類似の構造の車両の通行に係る許可事務の取扱等について」

(2) 昭和五三年七月二四日付け建設省道交発第六二号道路交通管理課長通達「海上コンテナ用セミトレーラ連結車の取扱について」については「昭和四八年一〇月二二日付け建設省道交発第三二号道路交通管理室長通達「バン型の連結車両と類似の構造の車両の通行に係る許可事務の取扱等について」」を「昭和五三年一二月一日付け建設省道交発第九九号道路交通管理課長通達「特殊な車両の通行の許可に関する事務の具体的処理について」」に改める。


別記様式 〔略〕


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