電気通信設備等の共同収容のうち占用の許可を受けた管路の所有者等が当該許可に基づく権利及び義務の範囲内で行う他の電気通信事業者等の電気通信設備等の設置に係る取扱いについて
電気通信設備等の共同収容に係る道路占用の取扱いについては、「電気通信設備等の共同収容に係る道路占用の取扱いについて」(平成九年三月一四日付建設省道政発第三五号及び第三五号の二)により定められているところであるが、共同収容の方式を引き続き推進するため、この度、占用の許可を受けた管路(洞道等を含む。以下同じ。)の所有者等が、当該許可に基づく権利及び義務の範囲内で行う他の電気通信事業者等の電気通信設備等の設置に係る取扱いを下記のとおり定めたので、事務処理上遺憾のないようにされたい。
1 取扱いの基本方針
(1) これまで、道路空間の有効利用及び道路の掘り返しの防止の観点から、共同収容の活用を図ってきたところであるが、従前の取扱いによるほか、以下の諸要件に適合するものについては、道路法第四一条に規定する「道路の構造又は交通に支障を及ぼす虞のある物件を添加しようとする行為」に該当せず、「新たな占用」として取扱う必要がない場合が多いと考えられることから、以下による取扱いを活用して共同収容を引き続き推進するものとする。
(2) 取扱いの対象とする類型
取扱いの対象とする共同収容の類型は、当面次のとおりとする。
1) 空き管路の使用
電気通信事業者又は電気事業者等(以下「事業者」という。)が電線を敷設する場合において、既存の空き管路又は空きスペースがある管路がその敷設ルートに存し、当該事業者の設ける電線を当該既設の空き管路に収容することが可能であるとき、当該既設の空き管路を当該事業者に使用させる形態のもの。
2) 既設電線の一部の譲渡
既設の電線を所有する事業者が、他の事業者に対し当該電線の一部を譲渡し、当該他の事業者が譲渡を受けた電線の一部を使用する形態のもの。
3) 共同電線の新設
一の事業者が所有する既設の空き管路に対し、当該事業者と他の事業者が共同で所有する電線を敷設する形態のもの。
2 占用の許可の基本的手続
(1) 共同収容の形態が1(2)1)(空き管路の使用)に該当する場合には、既設の空き管路の所有者は、当該既設の空き管路について占用の目的の変更の許可の申請を行わなければならない。一方、新たに電線を敷設しようとする事業者は、新規の占用の許可の申請は要しない。
(2) 共同収容の形態が1(2)2)(既設電線の一部の譲渡)に該当する場合には、管路の所有者は、当該管路について占用の目的の変更の許可の申請を行わなければならない。一方、電線の一部の譲渡を受けた事業者は、新規の占用の許可の申請は要しない。
(3) 共同収容の形態が1(2)3)(共用電線の新設)に該当する場合には、既設の空き管路の所有者は、当該既設の空き管路について占用の目的の変更の許可(管路について許可を受けていない場合にあっては、当該管路について占用の許可)の申請を行わなければならない。一方、他の事業者は、新規の占用の許可の申請は要しない。
3 許可の基準
上記の取扱いを行う場合の許可基準は、道路法第三三条、道路法施行令及び道路法施行規則等の規定によるほか、次の各号に掲げるところによるものとする。
1) 共同収容の形態になることについて、当事者間で合意が成立していること。
2) 共同収容に係る占用物件の設置及び管理に起因して道路管理に支障が生じたときは、管路の所有者が占用者として道路管理者に対して責任を負うこと。また、この場合における連絡通報体制及び責任の所在が明確であること。
3) 道路管理者が監督処分により施設の撤去等を命じ、共同収容されている他の事業者の施設についても同時に撤去等される場合には、当該他の事業者が管路の所有者からの申し入れに応じることについての基本的な同意があること。
4) 共同収容に係る当事者間の契約の内容が妥当なものであること。
4 許可申請の添付書類
許可申請書には、占用の目的の変更の許可の申請又は占用の許可の申請の際に通常徴する書面等のほか、3に掲げる基準に適合するか否かを判断するための書面を添付させることとする。
5 許可条件
上記の取扱いを行う場合には、占用の許可を行うに際しての一般的な条件のほか、次に掲げる条件を附すこととする。
1) 共同収容に係る当事者間の契約のうち道路管理に影響を及ぼす内容の変更をしようとするときは、道路管理者に届け出ること。
2) 事故時における連絡通報体制及び管理に係る事項を変更しようとするときは、道路管理者に届け出ること。
3) 共同収容に係る物件の設置及び管理は、管路の所有者(物件の設置及び管理を委託された者を含む。)が行うものであること。
6 占用料の取扱い
管路の所有者からは所定の占用料を徴収し、2において新規の占用の許可の申請を要しないこととされた事業者からは徴収しない。
7 運用上の留意点
(1) 上記の取扱いは、管路の占用の許可を受けた者が、当該許可に伴う権利及び義務の範囲内で他の事業者との取り決めにより電線の設置等を行わせるというものである。これにより、道路管理者による監督処分等は占用の許可を受けた者に対してのみ行うこととなる。しかしながら、事業者が上記の取扱いによらず、それぞれが占用の許可の申請を行うことを選択する場合等には従前の取扱いによることとなる。
(2) 1(2)2)には、一の事業者及び他の事業者が持ち分の割合を定めて一本の電線を共有することとなる形態、並びにいわゆるIRU方式により一の事業者が他の事業者に芯線の一部を使用させる形態を含む。
(3) 1(2)3)には、一の事業者及び他の事業者が持ち分の割合を定めて共有する一本の電線を共同で敷設する形態を含む。
(4) 1(2)2)は、キャブ又は情報ボックスに設置した電線についても行うことができる。この場合において、占用の目的の変更の許可の申請及び占用料の負担等は、譲渡を行う事業者が行うものとする。
(5) 1(2)3)は、キャブ又は情報ボックスについても行うことができる。この場合において、占用の許可の申請及び占用料の負担等は、当該電線の外皮と芯線の一部を所有する事業者(当該電線の所有につき持ち分割合を定めて所有している場合にあっては、いずれか一方の事業者)が行うものとする。
(6) 上記の取扱いは、下水道管への電線等の設置に適用することができる。
(7) 1(2)2)及び3)は、架空の電線について上記と同様の取扱いをすることができる。この場合における手続きは、(4)及び(5)に準じて行うものとする。
(8) 34)について、契約の内容が妥当であるか否かは、管路の所有者が当該管路の空きスペースを利用しようとする者に対し不当な義務を課していないか、又は契約の相手方によって差別的な取扱いを行っていないか等について、事業者が公表している事項(注)を参考とすることができる。なお、NTT局舎から工事可能な最も近いマンホールまでの義務的区間については、電気通信事業法上の相互接続約款により担保されている。
(9) 上記の取扱いにより共同収容を推進すること及び最近の電気通信事業の動向にかんがみれば、今後、既設の空き管路の積極的な活用が図られるとともに、共同収容を予定した新たな管路の敷設の要望が増加することが予想される。道路の掘り返しの防止及び占用工事の縮減等の観点から、共同収容が促進されることは望ましいと考えられるので、道路管理上、支障を生じない限りは、それらの占用許可につき積極的な対応を行うことが必要である。
(注) 事業者が公表している事項
1 「我が国における「線路敷設権」に関する検討結果」(平成一〇年一二月二五日付「線路敷設権」関係省庁検討会議)
(1) NTT等第一種電気通信事業者
NTT等第一種電気通信事業者は、管路、洞道、電柱への線路敷設に関し、申請方法、線路の敷設に応じられない一般的事由、基本契約条件、線路敷設の申請からこれに対する回答までの期間、料金の算定方法等の明確化を図り、公表する。
(2) 電気事業者
電気事業者は、電柱への線路敷設に関し、申請方法、線路敷設に応じられない一般的事由、基本契約条件、線路敷設の申請からこれに対する回答までの期間、料金の明確化を図り、公表する。
(3) 鉄道・地下鉄
主要鉄道事業者においては線路敷設の申請窓口が定まっていない場合もあることから、主要鉄道事業者は、自主的に窓口を設置し、当該窓口で一元的に対応することを検討していく。
2 「線路敷設に関する事業者等による改善策等の現状」(平成一一年三月二六日関係省庁検討会議)