幹線道路の沿道において、騒音の現況は依然として厳しい状況が続いており、環境基準を超える地域については、沿道環境の改善を図り、環境基準の達成に向けて努めていくことが必要である。
このような中で、環境基本法(平成五年法律第九一号)第一六条第一項の規定に基づく、騒音に係る環境基準(以下「環境基準」という。)が改定され(平成一〇年九月三〇日付け環境庁告示、平成一一年四月一日付け施行)、全体として強化されたところである。
道路交通騒音に係る沿道環境の改善を図るためには、自動車単体対策と並行して、道路管理者として、道路構造対策や交通流対策などを講じるとともに、交差点周辺や沿道利用との関係等から遮音壁の設置等道路構造対策等に限界がある場合については、沿道整備を積極的に推進していく必要がある。
今般、騒音に係る沿道整備を一層推進していくため、幹線道路の沿道の整備に関する法律(昭和五五年法律第三四号)(以下「沿道法」という。)の施行令及び施行規則の改正などの所要の措置を講じたところであるので、下記の事項に留意し、今後、沿道の整備について遺憾のないようにされたく通知する。
1 沿道整備道路の指定について
沿道整備道路の指定の基準に関して、道路交通騒音に係るものについて幹線道路近接空間の環境基準に合わせるとともに、自動車交通量に係るものについて日交通量一万台とし、それぞれ適用対象の拡大が図られるよう改正したところであるので、環境基準を継続的に超えている道路であって、道路構造対策や道路ネットワークの整備などの道路整備を講じても、なお沿道環境の改善のために沿道の整備が必要な場合については、沿道整備道路の指定に努めること。なお、対象道路の車線数については、従前、原則として四車線以上としていたところであるが、自動車交通量の基準を緩和したことに伴い、記5に記すように原則として二車線以上とすることとしたこと。
また、沿道整備道路の指定基準が緩和されたことに伴い、沿道地区計画を定めることができる区域が拡大したので留意すること。
さらに、平成八年度の沿道法の改正により創設された、道路管理者又は関係市町村による都道府県知事に対する沿道整備道路の指定の要請制度についても、適切に活用すること。
2 道路交通騒音減少計画の策定について
道路交通騒音減少計画の策定について、沿道整備道路の指定がなされて未だ策定されていない道路にあっては速やかに、また、今後新たに指定される道路にあっては、指定後できるだけ早期に策定すること。
また、新たに沿道整備道路として四車線未満の道路が指定された場合にあっては、当該道路の状況によっては道路交通騒音を減少させるための措置のうち講じることが困難なものもあることから、道路交通騒音により生ずる障害の防止を図るため、必要に応じて当該道路の沿道の住宅の防音対策を適切に講じることなどにより、沿道環境の改善に努めること。
3 防音工事助成の適切な実施について
騒音に係る環境基準に関しては、自動車単体対策と並行して、道路構造対策、交通流対策などを講じることにより、屋外の環境基準の達成を目指す必要があるが、地域の状況により屋外の騒音低減対策のみでは早期に十分な改善を図ることが困難であると考えられる場合には、屋内騒音基準が新たに導入されたところであるので、必要に応じ、住宅の防音工事を適切に実施して屋内騒音基準の確保に努めること。
一 一般道路における住宅の防音工事助成の活用
沿道法第一三条第一項に基づく防音工事助成及び同条第二項に基づく移転・除却助成については、「防音工事助成要綱について」(昭和五六年四月二日付け建設省道路局長通達)(以下「要綱」という。)に基づき実施しているところであるが、今般、適用対象の拡大が図られるよう、道路交通騒音に係る防音工事助成の要件を幹線道路近接空間の環境基準に合わせる内容の改正(平成一一年七月 日改正)を行ったことから、今後、環境基準を超える既設道路においては、本要綱に基づき適切に防音工事助成を活用すること。
また、環境基準において、夜間の騒音レベルが現行の要請限度の値に相当する七三デシベルを超える住居等が存する地域(以下「高騒音地域」という。)に対しては、騒音対策を優先的に実施するものとするとされていることにかんがみ、高騒音地域の直轄国道については、次に掲げる条件に該当する住宅の所有者又は当該住宅に関する所有権以外の権利を有する者(以下「所有者等」という。)から当該住宅について防音化を行うことに関して道路管理者に対し助成の申出があったときは、未だ沿道地区計画の策定がなされていない場合であっても、予算の範囲内において、その費用の一部を助成すること。なお、防音工事助成の助成額等については、要綱を準用すること。
(1) 沿道整備道路の指定がなされた直轄国道の沿道に存し、指定がなされた日に現に居住の用に供していること。
(2) 次に掲げる騒音の基準を超えるものであること。
・当該道路の沿道に障害物が存在しないと仮定した状況のもとで当該道路を自動車が適法に走行した場合を前提として、当該住宅に係る夜間の自動車交通騒音を計算した値が七三デシベル(A)(等価騒音)以上であること。
・当該住宅に係る夜間の自動車交通騒音を実測した値が七三デシベル(A)(等価騒音)以上であること。
二 高速自動車国道等における住宅の防音工事助成の活用
高速自動車国道等については、「高速自動車国道等の周辺における自動車交通騒音に係る障害の防止について」(昭和五一年七月二一日付け建設省都市局長・道路局長通達)に基づき、周辺地域における防音対策を従前に引き続き実施していくが、その対象となる騒音のレベルについては、夜間六〇ホン(中央値)から夜間六五デシベル(A)(等価騒音)に改めたところであること。
4 沿道の整備の体制の強化等について
沿道法に基づく施策を推進するため、道路部局、都市計画部局及び建築部局において相互の連絡調整を図ることが肝要であること。
沿道整備推進機構は、幹線道路の沿道の整備に関する事業を行う者に対し、情報の提供、相談その他の援助を行うなど沿道整備の早期の段階に必要な業務も行うことから、今後、沿道整備道路の指定後速やかに沿道整備推進機構の指定がなされるよう努めること。
5 その他 略