建設省道総発第四二五号
平成九年一〇月二九日

都道府県・政令指定市土木担当部局長あて

道路局道路総務課長


道路局所管国庫補助事業の施行に伴う損失の補償等に関する消費税及び地方消費税の取扱いについて

標記について、別添のとおり建設経済局調整課長より「建設省の直轄の公共事業の施行に伴う損失の補償等に関する消費税及び地方消費税の取扱いについて」(平成九年一〇月二九日付け建設省経整発第六七号の三)をもって、通知があったので、道路局所管国庫補助事業においてもこれに準じ、適切に実施されたい。
また、貴管下市町村(指定市を除く、以下同じ。)の補助事業者に対しては、貴職より周知徹底されたい。



(別添)

建設省の直轄の公共事業の施行に伴う損失の補償等に関する消費税及び地方消費税の取扱いについて

(平成九年一〇月二九日)
(建設省経整発第六七号の三)
(内部部局各総務課長あて建設経済局調整課長)
標記については、別紙1(写)のとおり平成九年四月一日付け建設省経整発第二八号建設経済局長通達及び同日付け建設省経整発第二九号調整課長通達により取扱われているところであるが、取扱いについてのより一層の適正を確保するために調整課長通達について、別紙2(写)のとおり平成九年一〇月二九日付け建設省経整発第六七号でその一部を改正し、各地方建設局用地部長等あて通知するとともに、関係公団、都道府県及び政令指定都市用地担当部長あて参考通知したので、念のため通知する。



(別紙1)

建設省の直轄の公共事業の施行に伴う損失の補償等に関する消費税及び地方消費税の取扱いについて

(平成九年四月一日)
(建設省経整発第二八号)
(各地方建設局長・北海道開発局長・沖縄総合事務局長あて建設経済局長通達)
所得税法及び消費税法の一部を改正する法律(平成六年法律第一〇九号)及び地方税法等の一部を改正する法律(平成六年法律第一一一号)が平成六年一二月二日に公布され、消費税の税率等の改正及び地方消費税の導入が平成九年四月一日から施行されることとされている。
このため、これらの施行日以後、「建設省の直轄の公共事業の施行に伴う損失補償基準」(昭和三八年三月二〇日建設省訓第五号)及び「建設省の直轄の公共事業の施行に伴う公共補償基準」(昭和四三年六月四日建設省訓第八号)並びに「公共施設の設置に起因する日陰により生ずる損害等に係る費用負担について」(昭和五一年二月二三日付け建設省計用発第四号建設事務次官通達)、「公共施設の設置に起因するテレビジョン電波受信障害により生ずる損害等に係る費用負担について」(昭和五四年一〇月一二日付け建設省計用発第三五号建設事務次官通達)、「公共事業に係る工事の施行に起因する水枯渇等により生ずる損害等に係る事務処理要領の制定について」(昭和五九年三月三一日付け建設省計用発第九号建設事務次官通達)及び「公共事業に係る工事の施行に起因する地盤変動により生じた建物等の損害等に係る事務処理要領の制定について」(昭和六一年四月一日付け建設省経整発第二二号建設事務次官通達)等(以下「補償基準等」という。)に基づき、土地等の権利者等及び公共施設等の管理者並びに公共施設の設置又は公共事業の施行に起因し損害等を受けた者(以下「土地等の権利者等」という。)に対し損失の補償及び公共補償並びに損害等に対する費用の負担(以下「損失の補償等」という。)を行うに当たっては、左記に定めるところにより、消費税及び地方消費税額を加算し、若しくは消費税及び地方消費税相当額を適正に考慮して算定の上、土地等の権利者等に対する補償基準等に基づく損失の補償等を実施するよう通知する。
なお、「建設省の直轄の公共事業の施行に伴う損失の補償等に関する消費税の取扱いについて」(平成元年三月九日付け建設省経整発第一四号建設省建設経済局長通達)、「消費税の導入に伴う公共用地の取得等に関する契約の取扱い」(平成元年一月九日付け建設省経整発第一号建設経済局調整課長通達)、「建設省の直轄の公共事業の施行に伴う損失の補償等に関する消費税の取扱いについて」(平成元年三月九日付け建設省経整発第一五号建設経済局調整課長通達)、「消費税の導入に伴う損失の補償等の契約の取扱いについて」(平成元年一〇月一三日付け建設省経整発第六一号建設経済局調整課長通達)及び「建設省の直轄の公共事業の施行に伴う損失の補償等に関する消費税の取扱いについて」(平成元年八月四日付け建設省建設経済局調整課長補佐、調整課用地調整官事務連絡)は、本通達をもって廃止する。
1 事業者である土地等の権利者等から課税資産の譲渡等を受ける場合の対価たる補償金について

建設省の直轄の公共事業のため、事業者(消費税法第二条第一項第四号で定める「事業者」をいい、同法第九条の規定に基づき、納税義務の免除を受けた事業者(以下「免税事業者」という。)を除く。)である土地等の権利者等から、公共事業に用いるため、課税資産の譲渡等(同法第二条第一項第九号で定める「課税資産の譲渡等」をいう。以下同じ。)を受ける場合の対価たる補償金については、消費税及び地方消費税を含まない価額等に、消費税及び地方消費税率を乗じた額を加算したものとする。

2 前記一の対価たる補償金以外の損失の補償等について

建設省の直轄の公共事業のため、土地等の権利者等に対し、前記1の対価たる補償金以外の損失の補償等を行う場合は、資産の譲渡等の対価に当たらないため不課税となる。
しかしながら、当該損失の補償等の補償金の算定上、土地等の権利者等が実質的な消費者として、第三者である事業者(この場合の事業者は免税事業者を含むものとする。)から課税資産の譲渡等を受けることを前提に算定している補償金については、以下に定めるところにより消費税及び地方消費税相当額を考慮して適正に補償金を算定するものとする。
(1) 損失の補償等の補償金の算定方法

1) 補償金を当該補償金が構成する各費目に区分したうえで積み上げて算定する場合(例:建物移転料、工作物移転料)

損失の補償等の補償金を構成する各費目の積算において使用する資材価格等(諸経費を含む。以下同じ。)は、消費税及び地方消費税抜きの価格等によるものとする。
この場合において、消費税及び地方消費税相当額を含む補償金の算定は、消費税及び地方消費税を含まない価格等に基づき算定した額に、消費税及び地方消費税率を乗じて得た額を加算して行うものとする。
なお、端数処理は、通常の補償金の算定の例によるものとする。

2) 資材価格等が単独で補償金となる場合(例:交通費、権利金等の一時金(ただし実態調査による場合に限る。)、報酬額)

市場調査の結果、資材価格等が、消費税及び地方消費税込みで構成されている場合は、当該価格等を補償金とする。ただし、消費税及び地方消費税が含まれていない価額等の場合は、当該価格等に消費税及び地方消費税率を乗じて得た額を加算した額を補償金とするものとする。
なお、端数処理は、通常の補償金の算定の例によるものとする。

3) 将来の維持管理費等を現在価格に換算(以下「前価計算」という。)し、損失の補償等を算定する場合等

土地等の権利者等が、消費者として、第三者である事業者(この場合の事業者は免税事業者を含むものとする。)から課税資産の譲渡等を受けることを前提に算定している補償金で、当該課税資産の譲渡等の時期が将来又は過去(平成元年度以後の経費に限る。)のものである場合の当該補償金に係る消費税相当額(平成元年四月一日から平成九年三月三一日の間)又は消費税及び地方消費税相当額(平成九年四月一日以降の場合)は、当該補償金の算定方法と同様に前価計算等を行い、積算するものとする。

(2) 土地等の権利者等が事業者である場合において、当該事業者が実質的な消費者に当たらない場合の取扱い

土地等の権利者等が事業者である場合において、建物移転料等の損失の補償等を対価とし、第三者から課税資産の譲渡等を受け、消費税及び地方消費税を負担しても、当該消費税及び地方消費税が当該事業者としての消費税及び地方消費税納付税額の計算上、仕入税額控除の対象となる場合は、実質的な消費者に当たらないこととなり、損失の補償等の算定上、消費税及び地方消費税相当額を考慮する必要がないこととなるので、このような土地等の権利者等に対しては、次のように取扱うこととする。
1) 損失の補償等の補償金算定上、消費税及び地方消費税額を考慮不要との申し出のある土地等の権利者等については、消費税及び地方消費税相当額を積算上考慮しないものとする。
2) 前記1)に該当しない土地等の権利者等については、消費税及び地方消費税相当額を考慮する必要性を個別に調査・判断の上、適正に損失の補償等を算定するものとする。

この場合においては、土地等の権利者等から、消費税確定申告書(控)又は消費税及び地方消費税確定申告書(控)を収集する等により、個別に調査の上、当該損失の補償等の確定申告時に仕入税額控除の対象となると判断される場合は、実質的な消費者に当たらないことになるので、消費税及び地方消費税相当額を積算上考慮しないものとする。

3) 土地等の権利者等が、国・地方公共団体(一般会計又は特別会計)、消費税法別表第三に掲げる法人又は人格のない社団等の場合は、前記2)に準じ、個別に調査の上、損失の補償等を算定するものとするが、前記1)と同様の考慮不要との申し出のある場合については、消費税及び地方消費税相当額を積算上考慮しないものとする。

(注) 平成九年四月一日付け建設省経整発第二九号調整課長通達(改正前通達)は省略。

別紙2は同通達の一部改正後のものにした。



(別紙2)

建設省の直轄の公共事業の施行に伴う損失の補償等に関する消費税及び地方消費税の取扱いについて

(平成九年四月一日)
(建設省経整発第二九号)
(各地方建設局用地部長・北海道開発局局長官房用地課長・沖縄総合事務局開発建設部長あて建設経済局調整課長通達)
最近改正 平成一一年三月二九日建設省経整発第二四号
標記については、平成九年四月一日付け建設省経整発第二八号で建設省建設経済局長から通達(以下「局長通達」という。)されたところであるが、この運用に当たっては、下記事項に留意のうえ、取扱われたい。
1 局長通達中、平成九年四月一日以後に契約を締結する場合の損失の補償等に関する消費税及び地方消費税の税率等について

(1) 消費税及び地方消費税額を加算し、若しくは適正に考慮する場合の消費税及び地方消費税率は、一〇〇分の五とする。
(2) 局長通達記2(1)1)において、資材価格等が消費税及び地方消費税込みで構成される場合は、当該価格等に一〇五分の一〇〇を乗じて得られた額を消費税及び地方消費税抜きの価格等として取扱うものとする。

2 補償基準等に基づき消費税及び地方消費税を加算し、若しくは消費税及び地方消費税相当額を適正に考慮する必要がある具体的な補償項目等について

(1) 局長通達記1の補償金について

別添―1に掲げるところによるものとする。

(2) 局長通達記2の補償金について

別添―2、3及び4に掲げるところによるものとする。

3 損失の補償等(消費税法基本通達五―二―一〇に該当するものに限る。以下同じ。)の算定上、消費税及び地方消費税相当額を考慮する必要がない場合の取扱いについて(別添―5、6参考)

建物移転料等の損失の補償等の補償金を対価とする資産の譲渡等であっても、事業者の事業用資産(事務所、工場、倉庫等の建物や営業用の機械、車両、備品等)に関する資産の譲渡等であれば、課税仕入れとなり、仕入れに係る税額控除が可能となる事業者がある。(支出した金銭の源泉は問わない。)
このため、これに該当する事業者である土地等の権利者等が支払った消費税額は、当該事業者の納付税額から控除(控除しきれない場合は、その部分について還付されることとなる。)されることとなり、この結果、損失の補償等に含まれている消費税相当額は、当該事業者は負担しなかったことと同じこととなる。また、地方消費税ついては、消費税額を課税標準とし、その税率は二五%(消費税率一%相当)とされていることから、必然的に当該事業者は、地方消費税も負担しないこととなるもので、このような場合、消費税及び地方消費税相当額を考慮し、補償すると過補償となるものである。
【例】
(公共事業により倉庫の移転が必要となった事業者(基準期間の課税売上高が2億円を超えかつ課税売上割合が95%以上の事業者)に対する損失の補償等の算定に、消費税及び地方消費税相当額を考慮した場合)

納付税額(消費税) 21,000×4/105−(11,550+1,575)×4/105=300

(地方消費税) 300×25%(消費税率1%相当)=75
(消費税及び地方消費税)300+75=375

納税後営業利益(21,000+1,000+1,575)−(11,550+1,575+500+4,000)−375=5,575

[公共事業による倉庫の移転の必要がなかった場合]

納付税額(消費税) 21,000×4/105−11,550×4/105=360

(地方消費税) 360×25%(消費税率1%相当)=90
(消費税及び地方消費税)360+90=450

納税後営業利益(21,000+1,000)−(11,550+500+4,000)−450=5,500

上記計算例のとおり、倉庫の移転に係る補償金の算定において、消費税及び地方消費税相当額を考慮することにより、消費税及び地方消費税相当額分(5,575−5,500=75)が過補償となる。
したがって、この場合は補償金の算定において、消費税及び地方消費税相当額を考慮する必要がない。(下記計算例のとおり)
[倉庫の移転補償金の算定上、消費税及び地方消費税相当額を考慮しない場合]

納付税額(消費税) 21,000×4/105−(11,550+1,575)×4/105=300

(地方消費税) 300×25%(消費税率1%相当)=75
(消費税及び地方消費税)300+75=375

納税後営業利益(21,000+1,000+1,500)−(11,550+1,575+500+4,000)−375=5,500

(1) 実質的な消費者とならない事業者で、消費税及び地方消費税相当額の補償が不要の場合

(ア) 課税資産の譲渡等のみを行っている事業者又は課税売上割合が95%以上の事業者

納付税額計算式

消費税額  =課税期間の課税売上高×4/105−課税期間の課税仕入高×4/105
地方消費税額=消費税額×25%
納付税額  =消費税額+地方消費税額

理由:損失の補償等の消費税及び地方消費税相当額が、全額控除されるため。
(イ) 課税期間における課税売上割合が95%に満たない場合で、個別対応方式によっている事業者

仕入れに係る消費税額=A課税資産の譲渡等にのみ要するものに係る課税仕入れ×4/105+(B課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに係る課税仕入れ×4/105)×課税売上割合

理由:課税資産の譲渡等にのみ要するものに係る損失の補償等の消費税及び地方消費税相当額はAに含まれるので、全額が仕入税額控除となる。

ただし、次の場合においては、消費税及び地方消費税相当額の全部又は一部の補償が必要となるので留意されたい。
・課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに係る損失の補償等(本社ビル等の事務施設、賃貸用の店舗併用住宅等)の消費税及び地方消費税相当額はBに区分され、課税売上割合によって減額調整されるため、その分は仕入税額控除とならない。
・その他の資産の譲渡等にのみ要するものに係る損失の補償等(賃貸用の住宅等)の消費税及び地方消費税相当額は、全額仕入税額控除とならない。

(2) 実質的な消費者となる事業者で、消費税及び地方消費税相当額の全額又は一部の補償が必要な場合

(ア) 基準期間の課税売上高が3,000万円以下で、課税事業者の選択をしていない事業者

理由:消費税の納付が免除されるため、仕入税額控除もできない。

(イ) 基準期間の課税売上高が2億円以下の事業者で、簡易課税制度を選択している事業者

 
 
 
 
 
仕入れに係る消費税額=(課税期間の課税売上高×4/105)×みなし仕入率
 
第1種事業(90%)
第2種事業(80%)
第3種事業(70%)
第4種事業(60%)
第5種事業(50%)
 
 
 
 
 
 
 

理由:簡易課税制度は、課税仕入れを実額によらずに課税売上高の一定割合(みなし仕入率)をもって課税仕入れとみなすものであり、通常の事業活動による課税仕入れでない損失の補償等の消費税及び地方消費税相当額は仕入税額控除されないため。

(ウ) 課税期間における課税売上割合が95%に満たない場合で、一括比例配分方式を選択している事業者

仕入れに係る消費税額=当該課税期間中の課税仕入れ及び課税貨物に係る消費税額の合計額×課税売上割合

理由:課税仕入れに算入される損失の補償等の消費税及び地方消費税相当額が、課税売上割合によって減額調整されるため、その分は仕入税額控除とならないこととなるため。

(3) 国・地方公共団体の特別会計、消費税法別表第三に掲げる法人又は人格のない社団等の場合

土地等の権利者等が、国・地方公共団体の特別会計、消費税法別表第三に掲げる法人又は人格のない社団等の場合は、前記(1)、(2)を参考に、消費税及び地方消費税相当額の補償の要否、要の場合の補償額を判断するものとする。

理由:損失の補償等は、特定収入に該当し、特定収入を得ている前記国等の場合は仕入税額控除が調整されることとなっているが、この調整の方法はいくつかのケースがあるため、一律の基準とすることが困難である。

(4) 国・地方公共団体の一般会計の場合

土地等の権利者等が、国・地方公共団体の一般会計である場合は、消費税法第60条第6項の規定により、課税売上げに係る消費税額と課税仕入れ等に係る消費税額とが同額とみなされており、このため納付税額が発生せず、また、還付申告も認められないこととされているので、このことを留意のうえ、消費税及び地方消費税相当額の補償を算定するものとする。

4 局長通達記2(2)1)の消費税及び地方消費税相当額を考慮不要との申し出の様式について

別添―7を標準とするものとする。



附 則 (平成9年10月29日建設省経整発第67号)

この通知は、平成9年11月1日から適用する。



/別添―1〔収用補償〕/別添―2〔通損補償〕/別添―3〔公共補償〕/別添―4〔事業損失〕/}省略



別添―5 参考
<別添資料>



別添―6 参考
<別添資料>



別添―7 申出書 省略


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