建設省道企発第五〇号・建設省都計発第九九号
平成二年八月六日

関東地方建設局長、中部地方建設局長、近畿地方建設局長、関係府県知事、日本道路公団総裁あて

建設省道路局長・建設省都市局長通達


第二東海自動車道及び近畿自動車道名古屋神戸線に係る構造基準等について

第二東海自動車道及び近畿自動車道名古屋神戸線(以下「第二東名・名神高速道路」という。)については、三大都市圏を連絡する最重要路線であり、また第一東海自動車道及び中央自動車道西宮線(小牧市から西宮市間)との機能分担による効率的な交通処理を行うため、より安全、快適な高速走行を実現する必要があり、今般、第二東名・名神高速道路に係る構造基準等を左記の通り定めたので通知する。

一 第二東名・名神高速道路に係る構造基準について

第二東名・名神高速道路の構造の技術的事項については、別添一の「第二東名・名神高速道路に係る構造基準」によることとする。
本基準は、第二東名・名神高速道路を現行の高速自動車国道に比較して高次の規格の構造を備える道路とするとともに、より高速での走行の可能性にも配慮して道路構造令(昭和四五年政令第三二〇号)の運用の基準として定めたものであり、第二東名・名神高速道路の計画に当たっては、当面これによられたい。

二 第二東名・名神高速道路に係る環境影響評価の実施について

第二東名・名神高速道路に係る環境影響評価の実施に当たっては、1)第二東名・名神高速道路はより高次の規格の構造を備える道路であり、今後さらに走行性、安全性等に関する調査研究の集積等の条件が整えば、大都市圏間に存する道路の区間については、時速一四〇キロメートルの走行の実現も可能となること、2)大型車(「建設省所管道路事業環境影響評価技術指針」(昭和六〇年九月二六日建設省技調発第五一六号、以下「技術指針」という。)第五―五―(二)にいう大型車と同じ。以下同じ。)については、車両性能の向上により時速一〇〇キロメートルの走行は可能であることを考慮して、大都市圏間に存する道路の区間の小型車(技術指針第五―五―(二)にいう小型車と同じ。以下同じ。)の走行速度については時速一四〇キロメートル、大都市圏内周辺部に存する道路の区間の小型車の走行速度については時速一二〇キロメートル、大都市圏間及び大都市圏内周辺部に存する道路の区間の大型車の走行速度については時速一〇〇キロメートルとするものとし、以上の場合以外の走行速度については、特に変更すべき状況になく従前のとおりとする。
環境影響評価に当たっては技術指針に基づいて実施することとし、騒音の予測方法については別添二によることとする。なお、予測方法については環境庁との調整を了したことであることを申し添える。

三 第二東名・名神高速道路に係る環境対策について

第二東名・名神高速道路の内、大都市圏間及び大都市圏内周辺部に存する道路の区間に係る環境対策の立案に当たっては、第一種住居専用地域若しくは第二種住居専用地域又はその他の地域であって、住宅の立地状況その他土地利用の実情を勘案し、良好な住居環境を保全する必要があると認められる地域については、以下によるものとする。
(一) 高架構造部にあっては、沿道の利便性の向上に資する道路を積極的に併設することとし、「道路環境保全のための道路用地の取得及び管理に関する基準」(昭和四九年四月一〇日建設省都計発第四四号、道政発第三〇号)の四(ロ)の規定により、第二東名・名神高速道路の車道端から幅二〇メートルの土地を道路用地として取得するものとする。
(二) 盛土構造部にあっては、路側に接続して築堤状の植樹帯を設けることができるものとする。

四 経過規定

この通達の施行の際、現に都市計画を決定している道路の区間、又は決定しようとしている道路の区間(都市計画法(昭和四三年法律第一〇〇号)第一七条に規定する公告がなされているものに限る。)については、この通達のよらないことができる。


別添1

第二東名・名神高速道路に係る構造基準

1 道路の規格

(1) 第二東名・名神高速道路は、次の表に定めるところにより、A規格からC規格までに区分するものとする。

道路の存する地域
道路の規格
大都市圏間
A規格
大都市圏内周辺部
B規格
大都市圏内中心部
C規格

(2) 道路の規格の適用については、次の表に定めるとおりとする。

道路の規格
道路の区間
A規格
伊勢原市付近〜豊田市付近
 
四日市市付近〜城陽市付近
B規格
横浜市付近〜伊勢原市付近
 
城陽市付近〜神戸市
C規格
東京都〜横浜市付近
 
豊田市付近〜四日市市付近
2 設計速度

第二東名・名神高速道路の設計速度は、道路の規格に応じ、次の表に掲げる値とする。

道路の規格
設計速度(km/h)
A規格
120
B規格
120
C規格
100
3 道路の幾何構造

第二東名・名神高速道路の幾何構造は、道路の規格に応じ、次の表に定めるとおりとする。ただし、地形の状況その他の特別の理由によりやむを得ない場合においては、これによらないことができる。
なお、ここでいう路肩幅員には、地覆又は縁石線その他これに類する工作物は含まないものとする。

A規格
車線幅員
左側車線
 
 
3.75m
 
 
中央車線
 
 
3.75m
 
 
右側車線
 
 
3.75m
 
中央帯幅員
 
 
 
7.5m以上
 
路肩幅員
左側路肩
 
 
3.25m以上
 
 
右側路肩
 
 
2.00m以上
 
曲線半径
 
 
 
3,000m以上
 
視距
 
 
 
400m以上
 
縦断勾配
 
 
 
2%以下
 
縦断曲線半径
 
 
凸型
40,000m以上
 
 
 
 
凹型
9,000m以上
B規格
車線幅員
左側車線
 
 
3.75m
 
 
中央車線
 
 
3.75m
 
 
右側車線
 
 
3.50m
 
中央帯幅員
 
 
 
6.0m以上
 
路肩幅員
左側路肩
 
 
3.25m以上
 
 
右側路肩
 
 
1.75m以上
 
曲線半径
 
 
 
1,800m以上
 
視距
 
 
 
290m以上
 
縦断勾配
 
 
 
2%以下
 
縦断曲線半径
 
凸型
 
21,000m以上
 
 
 
凹型
 
6,000m以上
C規格
車線幅員
左側車線
 
 
3.75m
 
 
中央車線
 
 
3.75m
 
 
右側車線
 
 
3.50m
 
中央帯幅員
 
 
 
4.5m以上
 
路肩幅員
左側路肩
 
 
3.25m以上
 
 
右側路肩
 
 
1.75m以上
 
曲線半径
 
 
 
1,100m以上
 
視距
 
 
 
210m以上
 
縦断勾配
 
 
 
3%以下
 
縦断曲線半径
 
凸型
 
11,000m以上
 
 
 
凹型
 
4,500m以上

B規格又はC規格の道路にあっては、交通の状況により必要がある場合においては、右側車線の幅員を3.75mとすることができる。

 
 
 
 
 



別添2

騒音予測式
道路交通騒音の予測は次式を用いる。
L50=Lw−8−20log10l+10log10・(π(l/d)tanh2π(l/d))+αd+αi
Lw=(/86+0.2v+10log10(a1+5a2) (1)/46+30log10v+10log10(a1+4a2)(2)

パワーレベル式Lwの適用に当たっては、v≦100km/hにおいては(1)、v>100km/hにおいては(2)とする。

ここで、
L50:自動車交通騒音の中央値(dB(A))
Lw:1台の車から発生する平均パワーレベル(dB(A))
v :平均走行速度(km/時)
a1:小型車混入率/a2:大型車混入率}a1+a2=1.0
l :音源から受音点までの距離(m)
d :平均車頭間距離(m) d=1,000v/N
N:平均交通量(台/時)
αd:回折減衰により補正値(dB(A))
αi:種々の原因による補正値(dB(A))

1) 自動車交通量等の設定

大気汚染と同じとする。

2) 補正値の設定
既存のデータを参考に適切に設定する。


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