さる第六三回国会(通常会)で成立をみた地方道路公社法(昭和四五年法律第八二号)は、昭和四五年五月二〇日公布施行され、また、同法施行令(昭和四五年政令第二〇二号)は昭和四五年六月二九日に、同法施行規則(昭和四五年建設省令第二一号)は昭和四五年八月一四日に公布施行された。
地方道路公社法は、最近における産業経済の発展、国民生活の向上に伴い、社会資本の充実、特に道路の整備が急務となつている現状にかんがみ、民間資金を積極的に導入して、その通行又は利用について料金を徴収することができる道路の新設、改築、維持、修繕その他の管理を総合的かつ効率的に行なうこと等により、地方的な幹線道路の整備を促進して交通の円滑化を図り、もつて地方における住民の福祉の増進と産業経済の発展に寄与することを目的とするものである。
1 地方道路公社の設立について
(1) 地方道路公社(以下「道路公社」という。)は、都道府県又は人口五〇万以上の大都市が設立することができることとなつているが、有料道路事業を行なう予定のある地域においては、すみやかに所要の手続きを経て道路公社を発足させるよう努めること。
なお、既存の民法上の公益法人(道路公社、開発公社等)で、その業務内容からみて今後道路公社として運営していくこことが適当と認められるものについては、本法附則第二項の規定による組織変更の方途が開かれているので、その活用を図ること。
(2) 道路公社は、都道府県又は人口五〇万人以上の大都市が単独に設立することができるが、本法は共同設立の途をも開いており、有料道路を総合的かつ効率的に整備するため必要があるときは、この制度の活用を図ること。
(3) 出資金の額は、道路公社の経営の健全化に寄与するとともに、道路公社の行なう有料道路の料金の額を適正な水準にさせ、当該道路の有効な利用を可能ならしめるよう定めること。
2 道路公社の役員及び職員について
(1) 道路公社の役員については、道路公社の業務の適正、かつ、能率的な運営を図るため、有料道路事業に関して有能な人材を慎重に選任することとし、単に名目的な役員の選任は避けること。
(2) 道路公社の役員の選任にあたつては、地方自治法において、地方公共団体の議会の議員と地方公共団体の常勤の職員の兼職禁止が規定されている趣旨にかんがみ、地方公共団体の議会の議員が道路公社の常勤の役員となることは適当でないこと。
(3) 地方公共団体の職員が退職し、引き続いて道路公社の職員として在職した後、引き続いて再び当該退職前の地方公共団体の職員となつた場合においては、地方公務員共済組合員の在職期間の取扱いについては、地方公務員等共済組合法施行令の改正により通算措置が規定されているが、退職手当の算定の基礎となる勤続期間の取扱いについても、いわゆる公庫、公団方式により、前後の職員としての在職期間を通算できるよう措置し、地方公共団体と道路公社との人事交流が円滑に行なわれるようにすることが望ましいこと。
なお、この点については、自治省とも協議了解済みである。
(4) 道路公社の役員及び職員は、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなされている趣旨にかんがみ、役職員の身分及び職員の公共性について厳重に注意を喚起し、規律の向上を図るよう指導すること。
特に、既存の民法上の公益法人が組織変更された道路公社が、組織変更に際し引き継いだ役職員には、公社事業に高度の公益性が加重されたことを認識させるよう格段の配慮をすること。
3 道路公社の業務について
(1) 道路の整備に関する基本計画を作成するにあたつては、当該地方における道路事情を将来にわたつて十分に把握し、他の道路網、公共施設等の配置について十分配慮し、道路公社の経営は独立採算性を建前とするものであることにかんがみ、採算性について十分留意するとともに、道路管理者、都市計画担当部局等とも緊密な連けいのもとに、道路公社が有料道路として行なうに適する道路の整備に関して適正な計画をたてさせること。
(2) 道路公社が事業計画を作成するにあたつては、道路公社の組織、資金事情等を勘案して、事業の計画的かつ円滑な実施が図られるよう努めることとし、有料道路事業以外の事業についても、採算性について十分に留意して計画をたてるように指導すること。
(3) 道路公社が資金計画を作成するにあたつては、事業の資金の確保を図るため、道路公社が負担する債務について設立団体が債務保証を行なうこと等により、良好な条件で民間資金が導入できるよう協力することとし、また、重要な有料道路事業については、事業費の一五パーセントを限度として国から道路公社に対して無利子資金の貸付けの途が開かれているので、当該制度をあわせて活用させること等により健全な資金計画を作成するよう措置すること。
(4) 道路公社の業務のうち、指定都市高速道路の整備は、都市における街路網の総合的な整備の一環として行なうべきものであり、従つて指定都市高速道路は都市計画として定めることとされている趣旨にかんがみ、その整備に関する事業は、都市計画事業として施行するよう指導すること。