建設省道交発第二二号
平成八年四月二六日

各地方建設局長・北海道開発局長・各都道府県知事・各指定市長あて

建設省道路局長通知


踏切事故防止総合対策について


踏切事故防止総合対策については、昭和四六年二月八日、昭和五一年二月一二日、昭和五六年二月九日、昭和六一年二月一二日及び平成三年二月一二日の五度にわたる交通対策本部決定に基づき諸般の施策を強力に推進してきたところであり、その結果、踏切事故件数、踏切事故による死傷者数ともにその減少を見ているが、踏切事故はひとたび発生すると多数の死傷者を生じさせるなど重大な結果をもたらすものであり、また、立体交差化、構造改良、踏切保安設備の整備、交通規制、統廃合等の必要な踏切道がなお残されている現状にある。
このような状況にかんがみ、引き続き、踏切事故の防止のための総合的かつ長期的な対策として、第六次の「踏切事故防止総合対策について」が平成八年二月一四日別添のとおり交通対策本部決定されたので、左記事項に留意の上、強力な推進を図られたい。
なお、本取扱いについては、総務庁交通安全対策室、運輸省運輸政策局、同鉄道局及び警察庁交通局と打ち合わせ済みであるので、念のため甲し添える(別紙参照)。
また、貴管下道路管理者に対しても、この旨周知徹底方願いたい。(知事あてのみ)
これに伴い、平成三年四月二二日付け建設省道交発第二三号道路局長通達「踏切事故防止総合対策について」は廃止する。

1 踏切道の立体交差化及び構造改良の促進について

踏切道の立体交差化事業及び構造改良事業は、踏切事故の防止にとって極めて効果的であるので、できるだけ早い時期に鉄軌道事業者と十分に連絡調整を図り事業の迅速な実施に努められたい。
なお、踏切道の拡幅については、「踏切道の拡幅に係る指針」(平成八年一月二九日付け建設省道政発第六号)を策定したので、これに基づき積極的に事業の実施を図られたい。

2 交通規制の実施等について

(1) 交通規制の実施は、道路交通法の規定に基づき、都道府県公安委員会において行われるものであるが、道路管理者においても、自動車が通行する踏切道でその幅員により車両制限令による車両の幅の制限が必要なものについては、制限が厳守されるよう、標識の点検整備、指導取締りの実施等の措置を講ずること。
(2) 交通対策本部決定(以下「本部決定」という。)記4及び5の実施にあたっては、住民の日常生活に占める道路交通の重要件にかんがみ、踏切道の利用状況、迂回路の状況及びこれらの将来の動向等について十分に配慮し、地域住民の日常生活に重大な支障を及ぼすことがないよう踏切道改善促進協議会において十分協議すること。
(3) なお、この決定は自動車交通量の増加等による道路の新設、改築に伴う踏切道の新設又は拡幅を禁止する趣旨ではない。

3 その他の措置について

(1) 本部決定記6の(1)の踏切道予告標は、従来より、道路管理者が設置している警戒標識であるが、自動車が通行する踏切道については、現地の点検等を実施して、標識が設置されていない場合には、必要に応じて設置し、標識が障害物等により見にくくなっている場合には、その障害物を排除する等、標識の整備に努められたい。
(2) 遮断時間が長く、かつ、歩行者及び自転車利用者が多い踏切道については、横断歩道橋等の設置を進めることとしているが、横断歩道橋等は、踏切事故の防止にとって効果的であるので、鉄軌道車業者との連絡調整を図り、事業の実施に努められたい。

4 都道府県踏切道改善促進協議会について
本部決定記3、4及び5の措置の具体的実施は、昭和四二年四月六日付「踏切事故防止対策の強化について」の交通対策本部決定によって各都道府県に設置された「都道府県踏切道改善促進協議会」を通じ促進することとなっているので、貴職におかれては、これに積極的に参加することにより、本決定の趣旨を徹底されたい。


別添

踏切事故防止総合対策について

(平成八年二月一四日)
(交通対策本部決定)
踏切事故防止総合対策については、昭和四六年二月八日、昭和五一年二月一二日、昭和五六年二月九日、昭和六一年二月一二日及び平成三年二月一二日と五度にわたって交通対策本部決定を行い、これに基づき諸般の施策を強力に推進してきたところであり、その結果、踏切事故件数、踏切事故による死傷者数共にその減少を見ているが、踏切事故は、一たび発生すると多数の死傷者を生ずるなど重大な結果をもたらすものであり、また、立体交差化、構造改良、踏切保安設備の整備、交通規制、統廃合等の対策が必要な踏切道がなお残されている現状にかんがみ、引き続き左記により踏切事故防止総合対策を強力に推進するものとする。
1 踏切道の立体交差化の促進

(1) 連続立体交差化による踏切道の除却

大都市及び主要な地方都市においては、列車回数が特に多い区間を連続立体交差化することにより、その区間内にある踏切道を除却することとし、平成八年度以降の五か年間において鉄道路線約三〇〇キロメートルで事業を行い、このうち約一〇〇キロメートルの完成を図ることを目途とするものとする。

(2) 単独立体交差化による踏切道の除却

(1)以外の踏切道のうち、遮断時間が長く、かつ、道路交通量が多いもの、主要な道路との交差に係るもの等については、立体交差化することにより当該踏切道を除却することとし、平成八年度以降の五か年間において約二五〇か所で事業を行い、このうち約一六〇か所の完成を図ることを目途とするものとする。

(3) 道路及び鉄道の新設等に伴う立体交差化

前記のほか、道路の新設又は改築に併せて踏切道の立体交差化を進めるものとし、平成八年度以降の五か年間において約四〇〇か所で事業を行い、このうち約二一〇か所の完成を図ることを目途とするものとする。なお、鉄道の新線建設にあっても、原則として、道路との立体交差化を進めるものとする。

2 踏切道の構造改良の促進

自動車が通行する踏切道であって、踏切道の幅員が接続する道路の幅員より狭いもの等については、構造改良によりその解消を図るものとし、平成八年度以降の五か年間において約一、〇〇〇か所の完成を図ることを目途とするものとする。

3 踏切保安設備の整備の促進

(1) 踏切道の利用状況、踏切道の幅員、交通規制の実施状況、う回路の状況等を勘案し、踏切遮断機(踏切遮断機を設置することが技術的に著しく困難である場合は、踏切警報機)の整備を行うものとし、平成八年度以降の五か年間において約八〇〇か所の当該事業を行うことを目途とするものとする。
(2) 大都市及び主要な地方都市に存する踏切道のうち、列車回数が多く、かつ、列車の種別等により警報開始から列車が踏切道に到着するまでの時間に差が生じているものについては、必要に応じ警報時間制御装置の整備等を進めるものとする。
(3) 大都市及び主要な地方都市に存する自動車交通量の多い踏切道については、道路交通の状況、列車回数等を勘案し、必要に応じ踏切支障報知装置の整備を進めるものとする。

4 交通規制の実施

踏切道における自動車、歩行者等の通行状況、幅員、見通し距離等踏切道及び接続する道路の構造、踏切保安設備の整備状況、う回路の状況等を勘案し、必要に応じ、自動車通行止め、大型自動車通行止め、一方通行等の交通規制を実施するものとし、併せて道路標識等の視認性の向上を図るものとする。

5 踏切道の統廃合の促進

踏切道の立体交差化、構造改良等の事業の実施に併せて、近接踏切道の統廃合を進めるとともに、これら以外の踏切道についても、その利用状況、う回路の状況等を勘案し、地域住民の通行に特に支障を及ぼさないと認められるものについて、漸次整理統合を促進するものとする。

6 その他の措置

(1) 自動車が通行する踏切道には、必要に応じ見やすい踏切道予告標を設置するものとする。
(2) 列車回数等を勘案して必要な安全対策を講じた踏切道には、踏切信号機を設置するものとする。
(3) 遮断時間が長く、かつ、歩行者等の多い踏切道には、横断歩道橋等の設置を進めるものとする。
(4) 自動車運転者の踏切遮断機の突破、警報無視、踏切道を通過する際の一時停止義務違反等については、引き続き積極的に指導取締りを行うものとする。
(5) 踏切道通行者の安全意識の向上及び踏切支障時における非常ボタンの操作等の緊急措置の周知を図るため、「踏切事故防止キャンペーン」等の広報活動等を一層強化するものとする。
(6) 踏切道に接続する道路の拡幅については、踏切道において道路の幅員差が新たに生じないよう努めるものとする。

7 都道府県踏切道改善促進協議会の活用等

(1) 3、4及び5の措置の具体的実施に当たっては、関係行政機関等は、都道府県別の踏切道改善促進協議会において十分協議の上推進するとともに、地域住民等の理解が得られるよう努めるものとする。
(2) 1、2及び3―(1)の事業の実施に当たっては、今後の経済、財政事情等を勘案しつつ、弾力的に行うものとする。


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