道発第三五一号
昭和三六年九月二日

各地方建設局長・北海道開発局長・各都道府県知事・五大市長あて

建設省道路局長通達


軌道敷の修繕等の取扱いについて


標記について、別紙のとおり取扱要綱が定められたが、これは、予算の範囲内において、国が、道路法等の規定に基づき負担し、又は補助する軌道敷の修繕等の工事についての取扱いを定めたものであるから、左記事項に留意のうえ、事務の処理に遺憾のないようにせられたい。
おって、貴管下道路管理者に周知方取り計らわれたい。

一 軌道敷の修繕について(第一項関係)

(一) 本項は、軌道敷の修繕は軌道経営者がその負担において行なうのが原則であるが、自動車の交通が軌道敷の損傷の大きな原因となっている事例が多いこと及び自動車をして軌道敷内をも通行させることによって道路の交通を緩和する一方法とすることが要請されていることにかんがみ、例外として道路管理者に軌道敷の修繕を行なわせる場合を考慮して定めたものであるので、道路管理者にこれを該当する修繕を行なわせるのは、軌道敷の損傷が真に自動車の通行に起因することが明らかであり、かつ、道路の管理上、道路管理者が自ら修繕を行なうことが適当である場合に限るように取り扱われたいこと。
(二) 道路法第一二条の二第一項に規定する指定区間又は北海道の区域内の道路のうち建設大臣が修繕を行なうこととされている道路に存する軌道敷については、(一)の道路管理者は、地方建設局長又は北海道開発局長であること。
(三) 都道府県知事は、軌道法第一二条第二項の規定により道路管理者に修繕を命ずる場合には、あらかじめ、道路管理者と打合せのうえ実施すること。

二 道路に関する工事により必要を生じた軌道移設について(第二項関係)

(一) 道路管理者は、道路法第二三条第一項の規定に基づき、道路に関する工事により必要を生じた軌道の移設工事を附帯工事として施行する場合には、あらかじめ、軌道経営者と協議すること。
(二) 附帯工事に要する費用の負担に関する基準は、近く定める予定であるが、当分の間、事例ごとに協議して負担方法を定められたいこと。
(三) 軌道経営者が、自ら道路に関する工事により必要を生じた軌道移設工事を施行する場合には、いわゆる附随工事(補修工事)として「道路に関する工事に因り又は道路に関する工事を施行するため必要を生じた他の工事で道路管理者が自ら行なわないものの取扱について(昭和二九年九月六日付道発第二五七号)」で通達されたところにより処理されたいこと。

三 併用軌道橋の改築及び修繕について(第三項関係)

(一) 改築費には、当該併用軌道橋の改築に伴う軌道仮設工事費を含むものとし、当該併用軌道橋の改築又は修繕に際して行なう軌条、枕木等専ら軌道のみに係る部分の改良に要する費用は含まないものであること。
(二) 軌道敷の部分を含めないで、施行する併用軌道橋の改築又は修繕により軌道のための電柱等を移設する場合においては、当該移設に要する費用は、附帯工事として、第二項により取り扱うものであること。

四 軌道敷の舗装新設について(第四項関係)

(一) 本項は、道路の構造又は交通状勢の変化に伴い、道路の構造を保全し、円滑な交通を確保するために必要を生じた軌道敷の舗装工事、車両通行可の軌道敷の舗装工事及び軌道敷の舗装工事完了後当該軌道敷が車両通行可となることが確実な場合における当該舗装工事を、今後、道路工事として施行することができることとしたものであること。

なお、軌道経営者の単独負担による舗装工事もできるだけ施行せしめるように措置するものであること。

(二) たわみ構造の舗装とは、併用軌道構造調査委員会設計指針案によるアスフアルト構造の舗装をいうものであること。

なお、その費用の積算は、路面より道床下面までについて行なうものであること。

五 補助(負担)申請の手続等について

(一) 道路管理者が軌道敷の修繕をする場合において、当該修繕に要する費用につき国庫補助(負担)申請をするときは、申請書に軌道法第一二条第二項の規定による費用の負担に関する軌道経営者との協議書を添付するものとすること。

また、道路管理者が道路に関する工事により必要を生じた軌道移設、併用軌道橋の改築及び修繕又は軌道敷の舗装新設(以下「軌道移設等」という。)を行なう場合において当該軌道移設等に要する費用につき国庫補助(負担)申請をするときにおいても、申請書に当該移設等に要する費用についての軌道経営者との分担関係を明らかにする書面を添付するものとすること。

(二) 第一項から第四項までの場合において、軌道の改築工事等を行なうときは、軌道経営者において軌道法施行令第六条第一項の規定に基づき、線路又は工事方法書記載事項の変更の認可を受けなければならないものであること。


別紙

軌道敷の修繕等の取扱要綱

一 軌道敷の修繕について

都道府県知事が軌道法(大正一〇年法律第七六号)第一二条第二項の規定に基づき、次に掲げる軌道敷内の道路(以下「軌道敷」という。)の修繕を道路管理者に行なわせる場合には、予算の範囲内において、国は、当該修繕に要する費用のうち道路管理者の負担する費用の一部(北海道における一級国道、二級国道及び開発道路については全部)を負担し、又は補助するものとする。
(一) 道路の構造の保全その他の道路管理上の必要に基づく修繕
(二) 道路交通法(昭和三五年法律第一〇五号)第二一条の規定により車両の通行が認められており、かつ、車両の通行が常態となっている軌道敷(以下「車両通行可の軌道敷」という。)で、その損傷が主として車両の交通に起因すると認められるものの修繕

二 道路に関する工事により必要を生じた軌道移設について

道路に関する工事により必要を生じた軌道移設工事は、道路法第二三条及び第五九条に規定する附帯工事として取り扱うことができる。この場合における附帯工事に要する費用の分担については、別に定める基準に基づき、道路管理者と軌道経営者とが協議して定め、道路管理者は、その協議に伴い、必要を生じた限度において、その費用を負担するものとする。

三 併用軌道橋の改築及び修繕について

軌道敷の部分を含めて施行する併用軌道橋の改築に要する費用については、道路管理者は、次により負担するものとする。
(一)

イ 当該改築が軌道敷以外の道路の部分の構造の保全その他の道路管理上の必要に基づく場合又は当該軌道敷が車両通行可の軌道敷である場合

道路管理者の負担額=改修費の額−軌道敷に自動車荷重のほかに軌道の車両荷重を負載することにより増加する費用の額

ロ その他の場合

道路管理者の負担額=改築費の額−改築費の額×(軌道敷の幅員/併用軌道橋の幅員(全幅をいう))

(二) (一)の規定にかかわらず、軌道法第九条の規定に基づいて道路敷とした軌道敷を含む併用軌道橋については、次によるものとする。

道路管理者の負担額=改築費の額

ただし、軌道の車両荷重の増加等の軌道の機能向上がある場合は、改築費の額から当該機能向上により増加する費用を減じた額を道路管理者の負担額とする。
軌道敷の部分を含めて施行する併用軌道橋の修繕に要する費用については、改築の場合に準じて取扱うものとする。

四 軌道敷の舗装新設について

(一) 次に掲げる軌道敷の舗装新設は、道路に関する工事として施行することができるものとし道路管理者は、当該軌道敷の舗装新設に要する費用から当該軌道敷のたわみ構造により舗装新設に要する費用の二分の一を控除した額を負担するものとする。

イ 道路の構造の保全その他の道路管理上の必要に基づく舗装新設
ロ 車両通行可の箇所及び工事完了後車両通行可となることが確実と認められる箇所の舗装新設

(二) (一)の規定にかかわらず、軌道法第九条の規定に基づいて道路敷とした軌道敷については原則として、道路管理者が当該軌道敷の舗装新設に要する費用の全額を負担する。


All Rights Reserved, Copyright (C) 2003, Ministry of Land, Infrastructure and Transport