都計発第四四号・道政発第三〇号
昭和四九年四月一〇日

各地方建設局長・北海道開発局長・沖縄総合事務局長・各都道府県知事・九大市長・日本道路公団総裁・本州四国連絡橋公団総裁・首都高速道路公団理事長・阪神高速道路公団理事長あて

建設省都市局長・建設省道路局長通達


道路環境保全のための道路用地の取得及び管理に関する基準について


幹線道路周辺における生活環境を保全することを目的として、今般別添の「道路環境保全のための道路用地の取得及び管理に関する基準」を定めたので、今後幹線道路の新設又は改築にあたっては、これによられたく通知する。
なお、本基準の運用にあたっては、左記に留意し遺憾のないよう措置されたい。

(以下、都道府県知事あて)

また、貴管下市町村又は地方道路公社あて、前記趣旨を周知徹底方おとりはからい願いたい。

1 道路交通に伴う騒音等の障害の除去については、道路事業の実施にあたって十分配慮することはもちろんであるが、その他の施策にまつべき分野も少くないので、本基準に基づき幹線道路の新設又は改築を行うにあたっては、都道府県公安委員会と密接な連けいを図ること等により、道路環境対策に配慮すること。
2 本基準に基づき施策を講じようとする場合には、都市計画事業として施策を講ずる予定のものについては都市局担当課あて、道路整備事業として施策を講ずる予定のものについては道路局担当課あて、それぞれあらかじめ協議すること。
3 既存の幹線道路については、都道府県公安委員会と密接な連けいを図る等の措置により道路環境対策に配慮することとし、これらの措置を講じてもなお当該幹線道路に隣接する地域における騒音が騒音規制法第一七条第一項に規定する自動車騒音の限度を著しくこえ、緊急に施策を講ずる必要があると認められる等特別の事由がある場合にかぎり本基準による施策を講ずるものとすること。この場合においては、二により都市局又は道路局の担当課あてあらかじめ協議するものとすること。
4 本基準により取得される土地に設けられる施設の設置及び管理にあたっては、沿道地域の土地利用の実態等について十分配慮すること。

道路環境保全のための道路用地の取得及び管理に関する基準

1 この基準は、幹線道路を新設又は改築する場合において、当該幹線道路に隣接する地域の生活環境を保全する必要があると認められるときに適用するものとする。
2 この基準において「幹線道路」とは、次のいずれか一に該当する道路(道路法による道路に限る。)で車線の数が四以上のものをいう。

(イ) 高速自動車国道
(ロ) 一般国道又は都道府県道(指定市の市道を含む。)
(ハ) 都市計画法施行規則第七条第一項第一号に規定する自動車専用道路又は幹線街路(主として通過交通の用に供するものに限る。)

3 第一種住居専用地域若しくは第二種住居専用地域又はその他の地域であって、住宅の立地状況その他土地利用の実情を勘案し、良好な住居環境を保全する必要があると認められる地域を通過する幹線道路については、次項に掲げる場合を除き、当該幹線道路の各側の車道端から幅一〇メートルの土地を道路用地として取得するものとする。
4 第一種住居専用地域若しくは第二種住居専用地域又はその他の地域であって、住宅の立地状況その他土地利用の実情を勘案し、良好な住居環境を保全する必要があると認められる地域を通過する幹線道路が自動車専用道路であって、次の(イ)又は(ロ)のいずれか一に該当し、かつ、夜間に相当の重交通が見込まれるものについては、当該幹線道路の各側の車道端から幅二〇メートルの土地を道路用地として取得するものとする。

ただし、この場合において建築物の不燃堅牢化が進んでいる地域については、これを一〇メートルとするものとする。
(イ) 当該幹線道路の構造が切土又は盛土であること。
(ロ) 当該幹線道路の構造が高架(他の道路の上部に設けられる場合に限る。)であること。

5 地形の状況その他特別の理由によりやむを得ない場合においては、3又は4によらないことができるものとする。
6 3、4又は5により取得すべき道路用地の幅員については、2(イ)に掲げる道路を除き、都市計画区域においては、都市計画法の規定により少なくとも街区を単位として都市計画として決定(又は変更)するものとする。
7 3、4又は5により取得された土地は、原則として、植樹帯、しゃ音壁等を設置するものとし、必要に応じて、歩道、自転車道、通過交通の用に供しない道路等の施設を設け適正に管理するものとする。
8 幹線道路及びそれ以外の道路並びに二以上の幹線道路の一部又は全部について3、4又は5の措置を講ずることに伴う道路用地及び7に掲げる施設に係る事業費(維持管理費を含む。)の負担については、これらの道路の管理者の協議によるものとする。
9 3、4又は5の措置により取得又は整備される道路用地又は7に掲げる施設の管理については、幹線道路及びそれ以外の道路並びに二以上の幹線道路の管理者が相互に協議して定めるものとする。

注―1 夜間に相当の重交通

夜間(午前九時、一〇時又は一一時から翌日の午前五時又は六時まで)のピーク時間交通量が普通自動車換算(普通自動車、自動二輪車及び小型特殊自動車は換算率一、大型自動車及び大型特殊自動車は換算率+)3000台/時以上のもの。

注―2 不燃堅牢化

不燃堅牢化とは、建築基準法第二条第九号の二及び第九号の三イに掲げる建築物となることをいう。

注―3 その他の特別の理由によりやむをえない場合

盛土など道路構造上の理由から3又は4になることが困難な場合

All Rights Reserved, Copyright (C) 2003, Ministry of Land, Infrastructure and Transport