

都街発第二一号・道環発第八号
昭和六三年六月二二日
北海道開発局長・沖縄総合事務局長・各地方建設局長各都道府県知事・十大市長・日本道路公団総裁・首都高速道路公団理事長・阪神高速道路公団理事長・本州四国連絡橋公団総裁あて
都市局長・道路局長通達
道路緑化技術基準の改正について
道路緑化技術基準については、さきに昭和五一年七月二六日付都街発四〇号・道企発四〇号により通知したところであるが、今般これを別紙のとおり改正したので、通知する。
なお、都道府県にあっては、貴管下道路管理者(地方道路公社を含む。)について周知徹底されたくお願いする。
道路緑化技術基準
第一章 総則
一―一 基準の目的
本基準は、道路緑化の一般的技術的基準を定め、その合理的な計画、設計、施工、管理を行うのに資することを目的とする。
一―二 適用の範囲
本基準は、道路法の道路において、緑化を図る場合に適用する。
一―三 用語の定義
一 道路緑化
道路機能の向上と環境保全を目的として、道路区域内に既存の樹木を保全し、又は新たに植栽し、これらを管理することをいう。
二 道路植栽
道路緑化により道路用地の中にとり入れた樹木等をいう。
三 街路樹(並木)
道路用地の中に列状に植栽される高木をいう。
四 高木
樹高三m以上の樹木をいう。
五 中木
樹高一m以上三m未満の樹木をいう。
六 低木
樹高一m未満の樹木をいう。
七 芝
芝生を造成する目的で植栽されるイネ科の草本植物をいう。
八 地被植物
地表面及び壁面を被覆する目的で植栽される植物(芝を除く。)をいう。
九 草花
花及びそれに類するものを観賞する目的で植栽される草本植物をいう。
一〇 植栽地
既存の樹木等を保全し、又は新たに植栽する場所をいう。植栽地として利用できる場所は、専ら樹木等の植栽を目的として確保される植樹帯のほか、歩道、分離帯、道路のり面等である。なお、草花を植栽するための花壇も植栽地に含まれる。
一一 植樹帯
専ら良好な道路交通環境の整備又は沿道における良好な生活環境の確保を図ることを目的として、樹木を植栽するために緑石線又はさくその他これに類する工作物(以下「緑石等」という。)により区画して設けられる帯状の道路の部分をいう。
一二 植樹桝
主として街路樹(並木)を植栽するために、歩道、自転車道及び自転車歩行者道(以下「歩道等」という。)の一部に緑石等で区画して設けられる植栽地をいう。
一三 環境施設帯
「道路環境保全のための道路用地の取得及び管理に関する基準について」(昭和四九年四月一〇日付け、建設省都計発第四四号・道政発第三〇号都市局長・道路局長通達)に基づいて設けられる幹線道路における沿道の生活環境を保全するための道路の部分をいい、植樹帯、路肩、歩道、副道等で構成される。
一四 植栽基盤
植栽地における土壌と土壌を収容する器である植栽地構造を含めたものをいう。
第二章 道路緑化
二―一 道路緑化の基本方針
道路緑化は、道路の景観の向上及び沿道の生活環境の保全を図るとともに、道路交通の快適性、安全の確保、自然環境の保全等に資することを目的として、積極的かつ計画的にその推進を図るものとする。
二―二 道路緑化の機能
道路緑化には大きく分類して次のような機能がある。個々の道路植栽は複数の機能を有するものであり、これらの機能が総合的に発揮されるよう努めることによって、親しみのある道路環境の創出を図る必要がある。
一 景観向上機能
二 生活環境保全機能
三 緑陰形成機能
四 交通安全機能
五 自然環境保全機能
六 防災機能
第三章 計画
三―一 計画
道路緑化の計画は、道路計画及び地域特性に適合した道路緑化を推進し、緑化の機能を十分に発揮させることを目的として、設計、施工、管理に至る一貫した緑化の方針を提示するものであり、計画目標として緑化目標を定め、それに基づき植栽計画及び管理計画を作成することが望ましい。
また、既存の樹木、樹林等は極力その保全に努め道路緑化の計画にとり入れる。
三―二 緑化目標
三―二―一 計画与件
緑化目標の計画与件として、道路の規格・構造、道路交通特性等の道路計画に係る事項、雪、風、雨等の気象条件、沿道土地利用、歴史・文化、自然等の地域特性に係る事項を把握するとともに、道路緑化に求められる主要な機能を把握する。
三―二―二 緑化目標
緑化目標は、植栽地の基本配置、配植の基本構造及び樹種の基本構成を定めるものである。
一 植栽地の基本配置
植栽地の基本配置として、次に掲げるような場所を定める。
(一) 植樹帯
植樹帯を設ける場合、その幅員は、一・五mを標準とすることが望ましい。
(二) 歩道等
歩道等には街路樹(並木)を植栽するための植樹桝を設置することができる。その場合、歩道等の幅員は、道路の区分毎に定められた幅員に原則として一・五mを加えた値を確保することが望ましい。
(三) 分離帯・交通島
分離帯及び交通島(以下「分離帯等」という。)において、それらの幅員が原則として一・五m以上ある場合には、交通視距の確保に障害とならない範囲で植栽地を設置することができる。また、花壇等については、この幅員以下であっても設置することができる。
(四) 道路のり面
道路のり面には、その安定を阻害しない範囲で植栽地を設置することができる。
(五) 環境施設帯
環境施設帯には、植栽地として植樹帯を確保する。その場合の植樹帯の幅は、環境施設帯の幅員が一〇mの場合では三m以上、二〇mの場合では七m以上とすることが望ましい。
(六) インターチェンジ
インターチェンジには、交通視距の確保に障害とならない範囲で植栽地を設置することができる。
(七) サービスエリア・パーキングエリア
サービスエリア及びパーキングエリア(以下「サービスエリア等」という。)には、交通視距の確保に障害とならない範囲で植栽地を設置することができる。
二 配植の基本構造
配植の基本構造として、自然式植栽か規則式植栽かの植栽形式を定めるとともに、高木、中木、低木等による植栽構成及び各々の高さ、幅、枝下高等の寸法を定める。
三 樹種の基本構成
樹種の基本構成として、常緑樹、落葉樹の別及び針葉樹、広葉樹の別による構成を定める。
三―三 道路の分類による緑化目標
三―三―一 道路の分類
緑化目標は、道路を一般道路、自動車専用道路及び自転車専用道路等・歩行者専用道路に分類して設定する。
三―三―二 一般道路の緑化目標
一般道路の緑化目標は、都市部の住居系地域、都市部の非住居系地域、地方部の集落地域、地方部の一般地域及び都市を代表する道路・景勝地の道路に区分して設定する。
一 都市部の住居系地域
都市部の住居系地域の緑化目標は、主要幹線道路・幹線道路及び補助幹線道路・その他の道路に区分して設定する。
(一) 主要幹線道路・幹線道路
都市部の住居系地域の主要幹線道路・幹線道路における植栽地の基本配置は、車道と歩道等の間の植樹帯のほか、分離帯等を対象として行う。
配植の基本構造の植栽形式は、規則式植栽を原則とする。植栽構成は、植樹帯では高木、中木及び低木によることが望ましい。分離帯では中木又は低木によることが望ましいが、広幅員の場合は高木に中木及び低木を組合せることもできる。分離帯の交差点部及び交通島では低木によることが望ましい。なお、交通島では状況に応じて高木及び低木によることもできる。また、環境施設帯の植樹帯の植栽形式は、自然式植栽又は規則式植栽とし、植栽構成は、幅員に応じて多層構造とすることが望ましい。
樹種の基本構成は、生育条件を検討したうえで、周辺の現存植生の樹種構成及び必要とする緑化の機能に応じて決定する。
(二) 補助幹線道路・その他の道路
都市部の住居系地域の補助幹線道路・その他の道路における植栽地の基本配置は、車道と歩道等の間の植樹帯又は歩道等の車道寄りの植樹桝を対象として行う。
配植の基本構造の植栽形式は、規則式植栽を原則とする。植栽構成は、高木及び低木によることが望ましい。
樹種の基本構成は、生育条件を検討したうえで、周辺の現存植生の樹種構成及び必要とする緑化の機能に応じて決定する。
二 都市部の非住居系地域
都市部の非住居系地域の緑化目標は、商業系地域及び工業系地域別に、主要幹線道路・幹線道路及び補助幹線道路・その他の道路に区分して設定する。このうち、補助幹線道路・その他の道路については前項「一 都市部の住居系地域」のそれに準ずるが、主要幹線道路・幹線道路については次のとおりとする。
(一) 商業系地域
都市部の非住居(商業)系地域の主要幹線道路・幹線道路における植栽地の基本配置は、植樹帯、歩道等の植樹桝及び分離帯等を対象とし、歩道部と車道部が一体となるように行う。
配植の基本構造の植栽形式は、規則式植栽を原則とする。植栽構成は、高木を主体に低木及び草花を適宜加えた開放的なものとすることが望ましい。
樹種の基本構成は、生育条件を検討したうえで、周辺の現存植生の樹種構成及び必要とする緑化の機能に応じて決定する。
(二) 工業系地域
都市部の非住居(工業)系地域の主要幹線道路・幹線道路における植栽地の基本配置は、車道と歩道等の間の植樹帯のほか、状況に応じて分離帯等を対象として行う。
配植の基本構造の植栽形式は、規則式植栽を原則とする。植栽構成は、植樹帯では高木及び低木によることが望ましい。分離帯等では中木又は低木によることが望ましいが、広幅員の場合はこれに高木を加えることもできる。
樹種の基本構成は、生育条件を検討したうえで、周辺の現存植生の樹種構成及び必要とする緑化の機能に応じて決定する。
三 地方部の集落地域
地方部の集落地域の主要幹線道路・幹線道路における植栽地の基本配置は、車道と歩道等の間の植樹帯又は歩道等の車道寄りの植樹桝のほか、状況に応じて分離帯等を対象として行う。
配植の基本構造の植栽形式は、規則式植栽を原則とする。植栽構成は、植樹帯及び植樹桝では高木及び低木、分離帯等では中木又は低木によることが望ましい。
樹種の基本構成は、生育条件を検討したうえで、周辺の現存植生の樹種構成及び必要とする緑化の機能に応じて決定する。
四 地方部の一般地域
地方部の一般地域の主要幹線道路・幹線道路における植栽地の基本配置は、道路のり面等を対象として行う。
配植の基本構造の植栽形式は、自然式植栽又は規則式植栽とする。植栽構成は、高木及び中木を主体としたものとすることが望ましい。
樹種の基本構成は、生育条件を検討したうえで、周辺の現存植生の樹種構成及び必要とする緑化の機能に応じて決定する。
五 都市を代表する道路・景勝地の道路
(一) 都市を代表する道路
都市を代表する道路における植栽地の基本配置は、植樹帯のほか、歩道等、分離帯等を対象として行い、道路幅員、沿道状況等に対応した均整のとれた配置とする。
配植の基本構造の植栽形式は、規則式植栽を原則とするが、広場等では自然式植栽とすることもできる。植栽構成は、高木及び低木を主体としたものとすることが望ましい。
樹種の基本構成は、生育条件を検討したうえで、周辺の現存植生の樹種構成及び必要とする緑化の機能に応じて決定する。
(二) 景勝地の道路
景勝地の道路における植栽地の基本配置は、道路のり面等を対象として行う。
配植の基本構造の植栽形式は、自然式植栽を原則とするが、必要とする緑化の機能によっては規則式植栽とすることもできる。植栽構成は、高木、中木及び低木を組合せたものとすることが望ましい。
樹種の基本構成は、周辺の現存植生の樹種構成に基づくことが望ましい。
三―三―三 自動車専用道路の緑化目標
自動車専用道路の緑化目標は、都市部、地方部、インターチェンジ及びサービスエリア等に区分して設定する。
一 都市部
都市部を通過する自動車専用道路における植栽地の基本配置は、植樹帯のほか、状況に応じて分離帯及び道路のり面を対象として行う。
配植の基本構造の植栽形式は、環境施設帯の植樹帯及び道路のり面では自然式植栽を原則とするが、必要とする緑化の機能によっては規則式植栽とすることもできる。分離帯では規則式植栽を原則とする。植栽構成は、環境施設帯の植樹帯では高木、中木及び低木による多層構造とすることが望ましく、分離帯では中木によることが望ましい。道路のり面では必要とする緑化の機能に応じて決定する。
樹種の基本構成は、生育条件を検討したうえで、周辺の現存植生の樹種構成及び必要とする緑化の機能に応じて決定する。
二 地方部
地方部を通過する自動車専用道路における植栽地の基本配置は、状況に応じて分離帯及び道路のり面を対象として行う。
配植の基本構造の植栽形式は、分離帯では規則式植栽を原則とするが、分離帯の幅員が広い場合は自然式植栽とすることもできる。道路のり面では自然式植栽を原則とするが、必要とする緑化の機能によっては規則式植栽とすることもできる。植栽構成は、分離帯では中木によることが望ましいが、分離帯の幅員が広い場合は高木を加えることもできる。道路のり面では必要とする緑化の機能に応じて決定する。
樹種の基本構成は、生育条件を検討したうえで、周辺の現存植生の樹種構成及び必要とする緑化の機能に応じて決定する。
三 インターチェンジ
インターチェンジにおける植栽地の基本配置は、道路のり面等を対象として行うが、交通視距の確保に留意する。
配植の基本構造の植栽形式は、自然式植栽を原則とするが、必要とする緑化の機能によっては規則式植栽とすることもできる。植栽構成は、ランプ沿いでは高木又は中木、その他の要所要所では高木及び低木を主体とすることが望ましい。
樹種の基本構成は、生育条件を検討したうえで、周辺の現存植生の樹種構成及び必要とする緑化の機能に応じて決定する。
四 サービスエリア等
サービスエリア等における植栽地の基本配置は、園地、外側分離帯及び道路のり面を対象として行う。
配植の基本構造の植栽形式は、自然式植栽を標準とする。植栽構成は、園地では高木及び低木による組合せとし、外側分離帯では高木、中木及び低木による多層構造とすることが望ましい。道路のり面では必要とする緑化の機能に応じて決定する。
樹種の基本構成は、生育条件を検討したうえで、周辺の現存植生の樹種構成及び必要とする緑化の機能に応じて決定する。
三―三―四 自転車専用道路等及び歩行者専用道路の緑化目標
自転車専用道路等及び歩行者専用道路における緑化目標は次のとおりとする。
植栽地の基本配置は、道路のり面及び広場等を対象として行う。
配植の基本構造の植栽形式は、自然式植栽を標準とする。植栽構成は、高木及び低木によることが望ましい。
樹種の基本構成は、周辺の現存植生の樹種構成に基づくことが望ましい。
三―三―五 構造物周辺等の緑化目標
遮音壁周囲、橋梁等の構造物周辺、駐車場等における緑化目標は次のとおりとする。
植栽地の基本配置は、遮音壁周囲、構造物周辺、駐車場等の適切な位置を対象として行う。
配植の基本構造の植栽形式は、自然式植栽を原則とし、植栽構成は、構造物等との景観的調和及び緑量の増大が図れるように決定する。駐車場の植栽構成は、高木及び低木によることが望ましい。
樹種の基本構成は、周辺の現存植生の樹種構成に基づくことが望ましい。
三―四 植栽計画
三―四―一 計画与件
植栽計画の計画与件として、緑化目標のほか、道路緑化の完成する概略の時期を把握する。
三―四―二 植栽計画
緑化目標を適切に達成するために植栽計画を定める。
植栽計画は、植栽地の詳細、樹種等の詳細及び配植の詳細を定めるものである。
三―四―三 植栽地の詳細
植栽地の詳細として、植栽地の平面配置を定める。
三―四―四 樹種等の詳細
樹種等の詳細として、具体的な樹種等を定める。なお、一般的な留意点として次の点を考慮する。
一 樹木
(一) 道路空間規模に見合った樹種であること。
(二) 地域特性に対応した樹種であること。
(三) 気候及び気象条件に適した樹種であること。
(四) 積雪地域にあっては冠雪害等を受けにくい樹種とすること。
(五) 不良土壌に対しては環境適応力の大きい樹種とすること。
(六) 姿が美しい樹種であること。
(七) 病虫害に強く、歩行者等に害がない樹種であること。
(八) 活着しやすく、成長良好な樹種であること。
(九) 維持管理の容易な樹種であること。
(一〇) 調達容易な樹種であること。
二 芝
芝は、日本芝を用いるのを原則とするが、寒冷地では西洋芝とすること。
三 地被植物
地被植物は、土壌、構造物等の被覆、植栽不適地への緑化拡大等、一般の樹木にみられない利点を有するので、それらをよく把握し適材適所の選定に努めること。
四 草花
草花は、花が華やかで色も多彩であるので、それらをよく把握し適材適所の選定に努めること。また、樹木その他の植物材料に比較して、観賞期間が短く病虫害に弱いものが多いので、なるべくこれらの欠点の少ないものを選定すること。
三―四―五 配植の詳細
配植の詳細として、配植デザイン、植栽密度、形状寸法等を定める。なお、一般的な留意点として次の点を考慮する。
(一) 必要とする緑化の機能を発揮しやすいこと。
(二) 管理が容易であること。
(三) 完成時期の目標に対応すること。
(四) 道路の円滑な交通を阻害しないこと。
(五) 多様な視点及び移動速度に対応すること。
(六) 病虫害の発生しやすい樹種による単一樹種一斉植栽は避けるのが望ましいこと。
(七) 積雪地域においては、降積雪時の管理に配慮した形状寸法とすることが望ましいこと。
(八) 強(潮)風地域では群植とすることが望ましいこと。
三―五 管理計画
三―五―一 計画与件
管理計画の計画与件として、緑化目標及び植栽計画を把握する。
三―五―二 管理計画
道路緑化を適切に推進するために、管理計画を策定することが望ましい。
管理計画を策定する場合は、植栽後の生育段階及び季節の変化に配慮するとともに、画一性を排除し地域特性等に留意して定めることが望ましい。
第四章 設計・施工
四―一 設計・施工の基本
四―一―一 設計
道路緑化の設計は計画に基づいて行うものとし、植栽基盤等の植栽地に係る諸条件のほか、気温、風通の気象に係る諸条件等を十分に把握し、道路植栽の良好な生育を図るための条件整備に努める。
四―一―二 施工
道路緑化の施工にあたっては、あらかじめ施工計画を作成し、樹種等及び地域の気象条件に応じた方法で行うとともに、工程管理、品質管理、安全管理等に注意を払う。
四―二 植栽基盤の整備
四―二―一 植栽基盤整備の方針
植栽基盤について、あらかじめ、その適正を調査し、必要な場合は植栽地構造及び土壌の改良を行うことが望ましい。
四―二―二 植栽基盤調査
植栽基盤調査により、排水性、通気透水性及び保水性が良好で化学的生育阻害要因がないことを確認することが望ましい。
四―二―三 植栽地構造の改良
植栽地構造が樹種等及び寸法規格に応じた有効土壌量の確保、表面排水及び地下排水の確保等の諸条件を満足しない場合は、耕うん、排水工等の施工により改良する。
また、高架下等、雨水による水分供給が期待できない場所では、潅水施設を設ける。
四―二―四 土壌の改良
土壌が保水性、通気透水性に優れ、化学的生育阻害要因がないという条件を満足できない場合及び表土の保全利用を図ることが困難な場合は、購入土及び土壌改良資材を用いて改良する。
四―三 樹木の植栽
四―三―一 樹木植栽の基本
樹木の植栽は、良質な樹木を、適切な時期に、短時間のうちに、損傷を与えないように行う。
また、植栽後は支柱の施工及び適切な保護養生により活着の促進を図る。
四―三―二 樹木の検収
樹木の検収は、樹木が植栽現場に搬入された時点で、寸法規格、品質規格及び数量を確認することによって行う。
また、必要に応じて苗圃における下検査を行う。
四―三―三 植栽の時期
植栽にあたっては、地域及び樹種等に対応した植栽適期に植栽できるように工程の調整に努める。
四―三―四 植栽方法
樹木の植栽は、樹木の性状に応じて適正な手法で行う。また、樹木の掘取りから植付けまでの工程の短縮を図る。
四―三―五 不適期の植栽方法
樹木の植栽は適期を選んで行うものであるが、やむをえず不適期に植栽する場合は、コンテナー樹木及び根回し樹木を使用するほか、植栽時及び植栽後においても潅水等の適切な保護養生を行い活着に万全を期す。
四―三―六 支柱
支柱は、樹木形状及び植栽地における風の状況、倒木時の道路交通に対する影響度合いのほか、道路空間規模及び沿道景観との調和等を考慮して素材及び型式を決定する。
四―三―七 保護養生
樹木植栽後は、潅水等の適切な保護養生を行い良好な活着の促進を図る。
四―四 芝生の造成
張芝の材料は、雑草の混入がなく根及び土壌が十分に確保されたものでなければならない。施工にあたっては、排水の確保及び礫の排除を図るとともに、十分な目土を施したうえで転圧し潅水する。
四―五 地被植物の植栽
地被植物は、損傷しやすい材料であることに鑑み、原則としてポット栽培品を使用するとともに丁寧な取扱いに努める。植付けにあたっては、マルチング等の施工により雑草防除に努めるとともに、壁面緑化を目的とする場合では、必要に応じて登はん補助施設を設ける。
四―六 草花の植栽
草花は、損傷しやすい材料であることに鑑み、原則としてポット栽培品を使用するとともに丁寧な取扱いに努める。植付けは、草花の形状、花の色彩、設計デザイン等を勘案して見栄えよく行う。
四―七 既存樹木の保全
道路の新設及び改築にあたって、その予定地内に存する樹木、樹林等で道路緑化上有効なものは、なるべく原状で保存することが望ましい。立地条件等からやむをえず移植する場合は、適切な時期及び工法を選んで行う。
第五章 管理
五―一 管理の基本
道路緑化における管理では、管理計画に基づいて、樹木のほか、芝生、地被植物、草花及び植生のり面の管理を行う。これらの管理は、道路植栽の良好な活着及び生育並びに機能の維持向上を図るとともに、道路交通の安全及び快適性を確保することを目的に、道路交通に支障を及ぼさないよう、また、沿道住民に対し危険を与えないよう安全かつ適切な手法で行う。
また、その実施にあたっては、十分な管理体制を確立するとともに、作業の安全確保に努め機械化を図ることが望ましい。
五―二 樹木の管理
五―二―一 剪定
剪定は、樹木の美観、機能の維持、形状寸法の調整等を目的として、管理計画で定めた仕立方式に基づいて、目的に応じた適切な時期及び手法を選んで行う。
一 高木
高木は自然樹形仕立てを原則とし、整姿を目的とした剪定を適宜行うことにより自然樹形の維持を図る。ただし、樹木の種類、植栽場所等により自然相似樹形又は人工樹形仕立てとする場合は、定期的な剪定により目的とする樹形の維持を図ることが望ましい。
二 中・低木
中・低木の刈込みの場合は、定期的な剪定により所定の形状の維持を図ることが望ましい。
三 花木等
花木等にあっては、開花を阻害しないように花芽形成期前に行うことが望ましい。
五―二―二 除草・清掃
除草及び清掃は、植栽地の美化及び樹木の健全な育成を図ることを目的として、植栽地の状況に応じた適切な時期及び方法を選んで行う。
五―二―三 施肥
施肥は、樹木の良好な生育を促進し、道路植栽としての機能の維持向上を図ること及び花木等にあっては開花を促進することを目的として、樹木の種類に応じた手法及び時期を選んで、生育段階及び生育状況を勘案して適宜行う。
五―二―四 病虫害防除
道路植栽としての機能を維持するとともに、道路利用者及び沿道住民の被害を防ぐため、病虫害の予防及び早期発見に努める。病虫害防除は、防除作業の必要性、沿道環境等を考慮したうえで、発見後速やかに行うことが望ましい。
なお、薬剤防除にあたっては、道路利用者等への影響の抑制に努めるとともに、薬剤の取扱いは、関連法令等に基づいて適切に行わなければならない。
五―二―五 潅水
植栽後間もない樹木の場合、高架下等降雨による水分供給が期待できない特殊な立地条件にある場合、降雨が極端に少ない場合等、そのままでは土壌水分が不足し樹木の健全な生育に支障をきたす恐れがある時は適宜潅水を行う。
五―二―六 気象被害対策
気象及び地理的条件により寒風、潮風、土壌凍結、積雪等による気象被害が予測される場合は、事前に適切な保護対策を講じる。
五―二―七 支柱補修等
樹木の健全な生育を図るため、また、強風等により樹木が傾倒し道路交通に支障を及ぼすことがないよう、必要に応じて支柱の再結束、補修及び更新を行うことが望ましい。
また、不要になった支柱は速やかに撤去することが望ましい。
五―二―八 土壌保全
土壌が樹木の生育にとって常に良好な状態に維持されるよう、適切な管理に努めるとともに、必要に応じて土壌改良を行うことが望ましい。
五―二―九 枯損樹木の処置
枯死した樹木は速やかに撤去し必要に応じて補植することが望ましい。補植は、枯死原因に対する対策を講じたうえで、植栽適期を選んで行う。
また、損傷したり衰弱した樹木は、適切な保護養生等により樹勢の回復を図るが、回復の見込のないものは更新することが望ましい。
五―二―一〇 幼木植栽の管理
環境施設帯等において、幼木植栽により樹林を育成する場合は、必要に応じて間伐等を行う。また、肥料木等を先駆植物として導入した場合は、目的とする樹木の生長に応じて除伐を行う。
五―二―一一 災害時の応急処置
台風等により枝折れ、倒木等が発生した場合は、道路交通の支障とならないよう速やかに応急処置を施した後、早急に本復旧を図る。
五―二―一二 工事に伴う樹木の保護
道路関連工事、植栽地周辺の工事等により樹木に影響が生ずる場合は、工法の変更、適切な保護対策等により原状での保護に努めるが、これが困難な場合は、移植によりその保存を図ることが望ましい。
五―二―一三 その他の管理
貴重な樹木で樹勢の衰弱が認められる場合は、洗浄、幹巻等の適切な保護養生により樹勢の回復を図ることが望ましい。
五―三 芝生の管理
芝生の管理では、その良好な生育及び道路植栽としての機能の維持向上を図るため、定期的な刈込み及び雑草防除を行うほか、生育状況に応じて施肥、病虫害防除等を行う。
五―四 地被植物の管理
地被植物の管理では、その良好な生育及び道路植栽としての機能の維持向上を図るため、雑草防除に努めるほか、生育状況に応じて施肥、病虫害防除等を行う。
五―五 草花の管理
草花の管理では、その良好な生育及び道路植栽としての機能の維持向上を図るため、季節に応じた計画的な植替えを行うほか、雑草防除に努め、生育状況に応じて潅水、施肥、補植等を行う。
五―六 植生のり面の管理
植生のり面の管理では、道路のり面を雨水等の侵食から護りその安定を図るため、生育状況に応じて施肥、追播等を行い、植生による道路のり面の早期被覆を図るとともに、被覆完了後は常に良好な生育を維持するよう努める。
また、火災の防止及び周辺環境との調和に配慮し、必要に応じて草刈り等を行う。
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