第一三六回国会において成立した公営住宅法の一部を改正する法律(平成八年法律第五五号)は平成八年五月三一日に、公営住宅法施行令の一部を改正する政令(平成八年政令第二四八号)は平成八年八月二三日に、公営住宅法施行規則の一部を改正する省令(平成八年建設省令第一二号)は平成八年八月三〇日に、それぞれ公布され、いずれも平成八年八月三〇日から施行された。
公営住宅制度は、従来から、住宅に困窮する低額所得者の居住の安定と居住水準の向上のために大きな役割を果たしてきたところであるが、急速な人口の高齢化など大きく変化する経済社会情勢に対応するため、諸般の改正措置を講ずることが必要となった。
1 供給方式の多様化及び補助制度の合理化について
従来、公営住宅法では、公営住宅の建設は事業主体が自ら行うこととされていたが、今般、民間事業者等が新築し、又は保有する住宅を買い取り、又は借り上げて公営住宅として供給する方式が新たに導入されたので、これらの供給方式をも適切に活用することにより、地域の需要に応じた的確な公営住宅の供給に努めること。
また、供給方式の多様化に伴い、公営住宅に係る補助制度が大幅に改正されたので、事業主体においては、改正後の補助制度の円滑かつ適正な執行に遺憾のないようにすること。
2 家賃制度について
公営住宅の家賃は、入居者の収入及び公営住宅の立地条件、規模、建設時からの経過年数等の公営住宅から受ける便益に応じて算定されることとされたので、事業主体は、入居者の収入の把握や公営住宅から受ける便益に係る数値の設定の際には、十分な配慮を払い、適正な家賃設定に努めること。
3 入居者資格について
真に住宅に困窮する者に対して低廉な家賃の住宅を的確に供給するため、従来の第一種と第二種の種別区分を廃止し、入居収入基準が一本化されたが、高齢者、障害者等の一定の要件を満たす者である場合については、事業主体の裁量で入居収入基準を一定の額まで引き上げることができることとされたので、事業主体は、地域における公営住宅の需給動向、住宅事情等を勘案し、当該入居収入基準を適切な額で設定するよう努めること。
4 公営住宅建替事業について
公営住宅建替事業については、必ずしも公営住宅の戸数の増加にとらわれずに居住環境の整備を図る観点から、当該事業の施行要件のうち戸数要件の緩和等が行われたので、当該事業の円滑かつ積極的な推進に努めること。
また、社会福祉施設又は他の公共賃貸住宅を併設する場合等はさらに戸数要件を緩和できることとされたので、公営住宅建替事業の実施に当たっては、地域の実情に応じ、福祉部局、他の公共賃貸住宅の管理者等との連携を積極的に進め、当該事業により良好な地域コミュニティが形成されるよう十分配慮すること。
5 社会福祉事業等への活用について
既存公営住宅の有効活用を図るため、公営住宅を社会福祉法人等に使用させること又は中堅所得者向けの特定公共賃貸住宅として使用させることができることとされたので、事業主体は、公営住宅の適正かつ合理的な管理に著しい支障のない範囲内で、地域の実情や公営住宅の需給動向等を考慮し、また、福祉部局等との連携を緊密にし、これらの用途への的確な活用に努めること。
6 その他
事業主体が高齢者等の入居収入基準を一定の範囲内で設定できるほか、条例の制定又は改廃の際の建設大臣への報告義務を廃止する等、事業主体の自主的な政策手段の拡大を図るよう措置されたので、事業主体は、条例改正その他の管理に関し、適正な事務の執行に努めること。
また、今般の改正に伴う必要な措置を円滑に実施するために、その必要性ないし改正の趣旨を入居者に限らず広く住民一般に理解させるため適当な方法により十分な周知を図ること。