建設省住総発第一三五号
平成八年八月三〇日

各都道府県知事あて

住宅局長通知


公営住宅法の一部を改正する法律等の運用について


公営住宅法の一部を改正する法律(平成八年法律第五五号)、公営住宅法施行令の一部を改正する政令(平成八年政令第二四八号)等については、平成八年八月三〇日付け建設省住総発第一三四号をもって建設事務次官から通達されたところであるが、その細目は左記のとおりであるので、今後の運用に遺憾のないよう特段の配慮をお願いする。
なお、貴管下事業主体に対しても、この旨周知徹底方お願いする。

第1 供給方式の多様化について

1 公営住宅の種別区分の廃止

第一種、第二種の種別区分が廃止されたことにより、建設費補助率のほか、公営住宅の入居者資格、収入超過者の収入基準等についても一本化されているので留意すること。

2 買取り、借上げ方式の導入

今般の改正により、公営住宅の供給の方法として、これまでの建設方式に加え、買取り及び借上げによる方式が加えられたところであるが、買取り又は借上げの対象となる住宅については、公営住宅等整備基準(昭和五〇年建設省令第一〇号)に適合するものとすること。
借上げをした公営住宅については、借上げの期間が満了するときには入居者に明渡しを請求することができることとしているが、この場合、入居者に対し公営住宅法(以下「法」という。)第二五条第二項及び第三二第五項に基づく通知を行うとともに、法第二二条第一項の規定による特定入居及び第二四条第一項に基づく入居者資格の特例を設けているので、これらの規定の的確な運用により入居者の居住の安定に配慮すること。事業主体において、管理上の観点にも配慮しつつ、地域特性に応じた良質な住宅が供給されるよう適切に対応されたい。
また、特定借上・買取賃貸住宅制度要綱(平成七年四月一日建設省住備発第一〇号)は廃止する。なお、同制度要綱の規定により、現に供給計画の承認を受けている住宅については、なお従前の例によることとしている。

第2 家賃制度について

1 家賃の算定方法

従来、公営住宅の家賃は、法の規定により算出した額を限度として事業主体が決定することとなっていたが、今般の改正によって、公営住宅の家賃は、公営住宅法施行令(以下「令」という。)第二条第二項に規定する入居者の収入の区分に応じて定められる家賃算定基礎額に、令第二条第一項第一号に規定する公営住宅の存する市町村の立地条件の偏差を表す数値(以下「市町村立地係数」という。)、令第二条第一項第二号に規定する当該公営住宅の規模に応じた数値(以下「規模係数」という。)、令第二条第一項第三号に規定する公営住宅の構造ごとに建設時からの経過年数に応じた数値(以下「経過年数係数」という。)及び令第二条第一項第四号に規定する当該公営住宅の存する区域及びその周辺の地域の状況、公営住宅の設備等に応じた数値(以下「利便性係数」という。)を乗じた額を家賃として設定することとし、当該額が近傍同種の住宅の家賃の額を超える場合にあっては、近傍同種の住宅の家賃の額を当該公営住宅の公営住宅の家賃の額とすること。
(1) 家賃算定基礎額

入居者の収入に応じて設定される家賃算定基礎額は、令第二条第二項に規定する収入の区分ごとに定められる額によること。
なお、各収入の区分の境界となる収入及び家賃算定基礎額は、国民の所得水準等を勘案して毎年度改正する予定であるが、平成八年度については、令第二条第二項に規定する平成九年度の家賃算定基礎額を適用するものとすること。

(2) 市町村立地係数

令第二条第一項第一号に規定する市町村立地係数は、市町村の地価を勘案して、〇・七以上一・六以下で建設大臣が市町村ごとに定める数値(平成八年建設省告示第一七八三号)であること。

(3) 規模係数

令第二条第一項第二号に規定する規模係数は、当該公営住宅の床面積を七〇m2で除した数値であること。
ただし、床面積は、共用部分(バルコニー部分も共用部分に含まれるものとする。)を除く住戸専用面積とし、小数第二位以下は切り捨て、小数第一位まで求めること。
なお、規模係数については、小数第五位以下は切り捨て、小数第四位まで求めること。

(4) 経過年数係数

令第二条第一項第三号に規定する経過年数係数は、平成八年建設省告示第一七八三号の規定により算出される数値とすること。
なお、当該数値の算出に用いる建設時からの経過年数は、当該住宅の竣工年度からの経過年数とし、新築の住宅で竣工年度が不明な場合は、建設費の国庫補助申請初年度を建設年度とすること。
また、公営住宅に住戸改善事業が実施されている場合は、建設当時の工事費と改善事業費を用いて、以下の算式により経過年数係数を算出するものとすること。

経過年数係数=建設年度を初年度とする経過年数係数×a/c+改善事業年度を初年度とする経過年数係数×b/c
この式において、a、b及びcは、それぞれ次によるものとする。

a 建設当時の工事費に公営住宅法施行規則(昭和26年建設省令第19号。以下「規則」という。)第21条の率を乗じた額
b 改善事業費に規則第21条の率を乗じた額
c aとbの合計

(5) 利便性係数

令第二条第一項第四号に規定する利便性係数は、事業主体が公営住宅の存する区域及びその周辺の地域の状況、当該公営住宅の設備等を勘案して、〇・七以上一・〇以下で設定するものであるが、当該数値の設定に当たっては、不動産鑑定評価基準(平成二年一〇月二六日土地鑑定委員会答申)に定める土地及び建物に関する個別的要因を参考としつつ、地域の実情等を適切に反映した数値が設定されるよう十分配慮すること。

2 近傍同種の住宅の家賃の算定方法

法第一六条第二項に規定する近傍同種の住宅の家賃は、公営住宅の入居者の家賃の上限となる額であるが、特に、収入超過者や高額所得者の家賃算定の基準となり、かつ、家賃対策補助の基準となるものであることから、近傍同種の住宅の家賃については、毎年度、各公営住宅について適切に算定すること。
なお、その額は、令第三条に規定するところにより、近傍同種の住宅の複成価格に建設大臣が定める一年当たりの利回りを乗じた額、償却額、修繕費、管理事務費、損害保険料、貸倒れ及び空家による損失を埋めるための引当金並びに公課の合計を一二で除した額とすること。
(1) 複成価格

イ 建物部分の複成価格

建物部分の複成価格は、規則第二一条の規定により当該近傍同種の住宅の建設に要する費用の額に建設大臣が毎年地域別に定める率を乗じて得られる推定再建築費から経過年数に応じた減価相当額を控除した額とすること。
ただし、耐用年数を経過した公営住宅の建物部分の複成価格は、原則として推定再建築費の額に、耐火構造又は準耐火構造の建築物にあっては〇・二を、木造の建築物(準耐火構造の建築物を除く。)にあっては〇・一を乗じた額と同額とすること。
なお、近傍同種の住宅の建設に要した費用については、共同施設の工事費は含めないこととすること。
また、建設後、相当程度の年数が経過した等により近傍同種の住宅の建設に要した費用の確定が困難な場合、工事契約の関係から当該費用が類似の住宅のものと比べて相当程度異なる場合等には、事業主体が、建設年度別、構造別及び床面積別の標準的な費用の額を設定することも許容されるが、標準的な費用が実際の費用を上回ることがないよう、十分に配慮して、適切な額を設定すること。
なお、住戸改良事業が実施されている場合には、建設時に要した費用のみから算定した建物部分の複成価格に、住戸改善による建物部分の現在価値の上昇分を加算すること。
住戸改善による建物部分の現在価値の上昇分は、住戸改善事業に要した費用を基に、以下の算式により算定すること。

住戸改善事業による現在価値の上昇分=推定再改善費−(年平均減価額×経過年数)

推定再改善費:住戸改善に要した費用に規則第21条の規定により建設大臣が定める率を乗じた額
年平均減価額:推定再改善費の額に、住宅の構造が耐火構造又は準耐火構造であれば0.8を、木造であれば0.9を乗じた額を残耐用年数で除した額(残耐用年数は、当該住宅の耐用年数から改善事業完了までの経過年数を控除した年数とする。)
経過年数:改善事業を完了してから経過した年数

ロ 土地部分の複成価格

土地部分の複成価格には、以下の算式により得られる固定資産税評価額相当額を用いること。

土地部分の基礎価格=固定資産税評価額相当額(円/m2)×戸当たり敷地面積

ここでいう固定資産税評価額相当額は、固定資産税の負担調整措置を行う前の評価額相当額とすること。
戸当たり敷地面積は、工事設計要領書作成要領(昭和五〇年四月一七日建設省住建発第三八号)第一六条に定める一戸当たりの床面積を容積率で除して算定するものとするが、容積率は、公営住宅の総床面積を総敷地面積で除して算定すること。この場合、共同施設の敷地に相当する部分は敷地面積に含まないこと。

(2) 利回り

建物部分及び土地部分の利回りについては、平成八年建設省告示第一七八三号に定める利回りとすること。

(3) 償却額

償却額は、近傍同種の住宅の建設に要した費用の額から残存価額を控除した額を住宅の区分に応じて定められる期間で毎年度定額で償却した額とすること。
なお、住戸改善事業が実施されている場合には、住戸改善に要した費用からその残存価額を控除した額を、住宅の区分に応じて定められる期間から、建設年度から当該住戸改善事業を実施した年度までに経過した年数を控除した期間で毎年度定額で償却することとして得た額を償却額に加算すること。

(4) 修繕費及び管理事務費

修繕費及び管理事務費は、推定再建築費に令第三条第三項に規定する修繕費の率及び管理事務費の率を乗じた額とすること。
なお、住戸改善事業が実施されている場合には、推定再建築費に、住戸改善事業に要した費用に規則第二一条の率を乗じた額を加えた額に修繕費の率及び管理事務費の率を乗じた額とすること。

(5) 損害保険料

令第三条第一項の規定に基づいて、住宅に火災が生じた場合の損害を補填するために保険に加入している場合には、保険料に相当する額を家賃に加算するものとする。

(6) 公課

当該住宅に課される租税の合計額を公課として家賃に加算するものとするが、公課としては固定資産税と都市計画税があり、税率等については、地方公共団体によって異なるものであるから、実際に条例により規定されているところにより算定した税額に相当する額を加算するものとすること。
なお、公営住宅の近傍同種の住宅が、税制上の特例の対象となる場合には、特例を適用した後の税額に相当する額を加算するものとすること。

(7) 貸倒れ及び空家による損失を埋めるための引当金

規則第一九条の規定に基づいて、空家等による損失を補填するための引当金として、前記(1)に(2)を乗じた額、(3)、(4)、(5)及び(6)の合計に一〇〇分の二を乗じるものとすること。

3 収入の把握

今般の改正により、公営住宅の家賃は入居者の収入に応じて設定されるものとなり、従来以上に入居者の収入把握を確実に行う必要が生じるため、入居者には、毎年度、事業主体に対する収入申告義務を課しているが、事業主体は、その旨の周知徹底に努めること。
なお、入居者からの収入の申告がない場合において、法第三四条の規定による請求を行ったにもかかわらず、入居者がその請求に応じないときは、近傍同種の住宅の家賃を課すこととなるが、事業主体にあっては、特に高齢者や障害者等が入居者の場合には、入居者の居住の安定に配慮した対応を行うこと。

4 収入超過者及び高額所得者の家賃

入居者が収入超過者である場合、公営住宅の毎月の家賃は、公営住宅の近傍同種の住宅の家賃の額から法第一六条第一項の規定により算定される家賃の額を控除した額に当該入居者の収入の区分に応じて令第八条第二項に規定する率を乗じた額を、法第一六条第一項の規定により算定される家賃の額に加えた額とすること。
また、入居者が高額所得者である場合、公営住宅の毎月の家賃は、近傍同種の住宅の家賃とすること。
なお、収入超過者及び高額所得者の家賃についても、一定の事由があれば減免、徴収猶予の措置を行うことができること。

5 家賃の減免

家賃の減免については、「公営住宅の家賃の減免について(昭和三四年一二月八日住発第三六四号)」において、減免対象を規定しているが、以下の事由を追加すること。
イ 制度移行に伴って必要と認める場合
ロ 年度途中の収入変動に対応するため必要であり、かつ、収入の再認定(昭和三六年三月六日住発第五六号)を行わない場合
なお、家賃減免措置等の運用に際しては、生活保護世帯について、不適切な取扱いとならないよう配慮すること。

6 敷金の減免

敷金の減免については、法第一八条第二項において規定したため、事業主体は入居者が病気にかかっていること等の事情がある場合において必要があると認めるときは敷金の減免を適切に行うこと。

7 負担調整措置

(1) 建替事業又は用途廃止に係る負担調整措置

公営住宅建替事業により新たに整備された公営住宅に入居する場合又は公営住宅の用途の廃止による公営住宅の除却に伴い他の公営住宅に入居する場合において、家賃が上昇する場合には、法第四三条第一項又は第四四条第四項の規定により、家賃の特例として、入居者の家賃を減額すること。なお、その方法は令第一一条に規定する方法によること。

(2) 制度移行に伴う負担調整措置

新法の適用により、平成一〇年四月一日より新しく適用される家賃の額が、従前の家賃の額を上回ることとなる入居者に対しては、平成一〇年度から平成一二年度までの間、負担調整措置を講じ、家賃を減額することとし、その方法は法附則第七項に規定する方法により、新しく適用される公営住宅の家賃の額から従前の公営住宅の家賃の額を控除した額に年度ごとに設定される負担調整のための率を乗じた額を、従前の公営住宅の家賃の額に加えた額を当年度の家賃の額とすること。
なお、従前の公営住宅の家賃の額は、新制度適用直前における家賃の額であって、平成一〇年度から平成一二年度まで同じ額となるが、新しく適用される公営住宅の家賃の額は、各年度において計算される家賃の額であって、毎年度変わることとなるので留意すること。この負担調整措置は、収入超過者及び高額所得者にも適用されるものであること。

8 収入認定及び家賃の適用の時期

今後は、令第二条第二項は毎年度改正する予定であるが、新しい令第二条第二項を前提とする既存の入居者の収入認定日を一〇月一日とすることを原則とし、新しい家賃の適用を翌年四月一日からとし、その間に新しい家賃額等について入居者に対して、できるだけ早く十分な周知を図ること。

第3 入居者資格について

1 入居者資格

(1) 単身入居

公営住宅への単身入居が認められる場合のうち、従来男子六〇歳以上、女子五〇歳とされていたものについては、男子についても五〇歳以上とすること。
なお、令附則第七項に規定する過疎地域等内の公営住宅については、当分の間、単身入居の場合においても、同居親族要件を具備するものとみなすこと。

(2) 入居者資格の特例

公営住宅の借上げに係る契約の終了又は公営住宅の用途の廃止により、当該公営住宅の明渡しをしようとする入居者が、他の公営住宅に入居の申込みをした場合においては、法第二三条に規定する条件を具備するものとみなすこと。

2 入居収入基準

今般の改正により、入居収入基準については、第一種・第二種の種別区分の廃止に伴い入居収入基準が一本化されたこと。
入居者が身体障害者である場合等の入居収入基準については令第六条第三項第一号に定める額の範囲内で、災害の発生の日から三年間の災害公営住宅の入居者の入居収入基準については令第六条第三項第二号に定める額の範囲内で、事業主体が地域の実情に応じた額に設定することができることとしたので、適切な額を設定すること。また、その他の世帯の入居収入基準については、令第六条第三項第三号に定める額に設定することとしたこと。

3 入居者資格審査

公営住宅の入居者の選考は、入居者資格の改正点に十分留意するとともに、法第二三条に規定する入居に係る条件を具備しない者が公営住宅に入居しないよう、入居者資格に関する審査の厳正化を図ること。

4 公営住宅の特定入居

特定入居の事由が拡充され、公営住宅の借上げに係る契約の終了又は現に公営住宅に入居している者(以下「既存入居者」という。)若しくは同居者が加齢、病気等によって、日常生活に身体の機能上の制限を受ける者となったことにより他の公営住宅に入居することが適切である場合には公募によらずその公営住宅に入居させることができることとされたこと。
なお、「既存入居者若しくは同居者が加齢、病気等によって日常生活に身体の機能上の制限を受ける者となったことにより他の公営住宅に入居することが適切であること」とは、高齢、傷病、身体障害、精神障害等により、運動能力、視覚能力、判断能力等が低下し、そのため視力、歩行等の生活動作能力が低下したことによって、現在入居している公営住宅に入居し続けることが困難となったため、他の公営住宅に住み替えることが適切である場合であること。さらに、この場合の同居者には、日常生活に身体の機能上の制限を受ける者が新たに同居者となった場合も含むこと。

5 入居者の保管義務

事業主体は、入居者に対して法第二七条の保管義務を遵守するよう指導するとともに、無断増改築、無断用途変更等の保管義務違反を把握した場合には、すみやかに法的措置その他適切な是正措置を講ずること。
また、不正の行為により公営住宅に入居した者に対しても法第三二条の規定に基づき、法的措置その他適切な是正措置を講ずること。

6 同居承認及び入居承継承認

(1) 同居承認

入居者が、入居当初の同居親族以外の者を同居させる場合には、法第二七条第五項及び規則第一〇条の規定に基づき、事業主体の承認を得ることとし、また、規則第一〇条第一項各号に該当する場合には、原則として、同居承認はしてはならないこととすること。
ただし、入居者が病気にかかっていることなど特別の事情が存在する場合には、規則第一〇条第一項各号に該当する場合でも事業主体は承認することができるものとし、特別の事情としては、入居者が病気にかかっていることの他に、婚姻や養子縁組、同居しようとする者が病気にかかっていることなどにより同居の必要があることであること。

(2) 入居承継承認

入居の承継(及びこれに伴う名義変更)の承認については、法第二七条第六項及び規則第一一条の規定に基づき、事業主体の承認を得ることとなっているが、承認の申請ができる者は当該入居者の入居時から引き続き同居している親族又は同居承認を受けていた同居者に限定し、かつ、規則第一一条第一項各号に該当する場合には、原則として、入居承継承認はしてはならないこととすること。
ただし、承認申請者やその他の同居者が病気にかかっていることなど特別の事情が存在する場合には、規則第一一条第一項各号に該当する場合でも事業主体は承認することができるものとし、特別の事情とは(1)と同様の事情であること。

7 収入超過者、高額所得者の明渡促進

法第三〇条第一項の規定による特別の配慮については、高額所得者を含む収入超過者を対象としているため、制度の趣旨等を十分に周知し、明渡努力義務を課されることとなる収入超過者について積極的に公営住宅以外の公的資金による住宅へのあっせん等を行うこと。
また、同条第二項において公共賃貸住宅(地方公共団体、住宅・都市整備公団、又は地方住宅供給公社が整備する住宅をいう。)の管理者に協力義務を課したため、事業主体は、収入超過者の明け渡しの促進について公共賃貸住宅の管理者と十分に協力し、収入超過者の公営住宅の明け渡しに努めること。

第4 公営住宅建替事業について

1 戸数要件の緩和

公営住宅建替事業に係る戸数要件が緩和され、新たに整備される公営住宅の戸数は、原則として、当該事業により除却すべき戸数以上であるが、社会福祉施設や公共賃貸住宅を併設する場合等には、建替計画承認申請時において入居者の存する公営住宅の戸数を超えればよいこととされたところであり、これを受けて公営住宅建替事業の一層の推進を図るとともに、これらの施設の併設に努められたい。

2 社会福祉施設、公共賃貸住宅との併設

法第三六条第三号に規定する「当該土地の区域において新たに社会福祉事業法(昭和二六年法律第四五号)第五七条第一項に規定する社会福祉施設又は公共賃貸住宅を整備する場合その他特別の事情がある場合」とは、次のような場合であること。
イ 社会福祉事業法(昭和二六年法律第四五号)第五七条第一項に規定する社会福祉施設である養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、身体障害者療護施設等のほか、同法第二条第三項に規定する第二種社会福祉事業を行うための施設である老人デイサービスセンター、老人福祉センター、身体障害者福祉センター、保育所、老人保健施設等の社会福祉施設その他公民館、図書館等で入居者及び地域住民の利便の増進に資する施設を併設する場合
ロ 公共賃貸住宅(特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律(平成五年法律第五二号)第一八条に規定する地方公共団体が建設する賃貸住宅、住宅・都市整備公団が整備する賃貸住宅又は地方住宅供給公社が整備する賃貸住宅)を併設する場合

第5 公営住宅の処分等について

公営住宅の処分等については、今回の公営住宅法の改正及び事業主体の事務の簡素化等の趣旨を踏まえ、今後は以下のとおりとする。
なお、「公営住宅及び共同施設の滅失報告について」(昭和二六年一二月一二日住発第六四二号)、「公営住宅又は共同施設移転について」(昭和三三年七月一五日住発第一八四号)、「既設公営住宅の改造について」(昭和四七年六月七日住発第九六号)、「公営住宅の処分等について」(昭和五〇年一一月一七日住総発第一六一号)は、今回の改正に伴い廃止する。

(I) 譲渡、用途廃止、事業主体変更について

1 管理方針の明確化について

今回の法改正により、供給方式の多様化、地方の自主性の拡大等が図られたところであり、各事業主体においてはこの趣旨を踏まえ、次の事項に留意し適切に地域の住宅事情に即した管理計画を策定することとする。
(1) 事業主体は、当該地域の住宅事情、公営住宅の整備計画、当該地域の土地利用計画等を総合的に勘案し、団地ごとに、現状のまま維持管理するもの、建て替えるもの、譲渡処分するもの、用途廃止するもの等の区分を行い、それぞれに関する管理方針を明確にした管理計画を策定するものとする。
(2) 三大都市圏において事業主体が管理計画を策定する場合においては、公有地の有効な活用を図るため、既設低層公営住宅は、建替えを推進し居住環境の整備を図るものとする。

なお、三大都市圏以外の地域においても、人口増加の著しい地域、住宅事情が逼迫している地域等については、管理計画の策定に当たって三大都市圏に準じた配慮をするものとする。

2 公営住宅の処分等の承認基準について

公営住宅又は共同施設(以下「公営住宅等」という。)の処分等に関する承認基準は、次のとおりとする。
(1) 公営住宅等の譲渡処分承認基準

公営住宅等の譲渡処分については、法第四四条第一項及び令第一二条の規定に適合するほか、次に掲げる要件のすべてに該当する場合でなければ、承認しないものとする。
なお、法附則第一六項に規定する過疎地域活性化特別措置法第二条第一項に規定する過疎地域等内の耐用年限の四分の一を経過した公営住宅等を譲渡処分する場合には、ロ、ハ及びニの要件は問わないものとする。
イ 中高層の耐火性能を有する共同住宅以外の住宅であること。
ロ 建設後、耐用年限の二分の一(災害公営住宅で民有地の借地にあるものにあっては、四分の一)を経過している住宅であること。
ハ 当該地域の実情から、公営住宅等として維持管理する必要がなく、かつ、建替えにより戸数の増加を図る必要がないこと。
ニ 敷地を将来の都市施設用地等の公有地として保有する必要がなく、かつ、譲渡しても都市計画上支障を生ずるおそれのないものであること。
ホ 入居者(団地を形成している場合においては、原則としてその全戸の入居者)がその譲受けを希望しており、かつ、譲渡の対価の支払能力があること。
ヘ 譲渡の対価が適正であること。特に、敷地の価格は、原則として不動産鑑定士が更地として評価した額であること。
ト 借地に建設された公営住宅等については、敷地の所有者が入居者に対し当該土地を譲渡又は賃貸することを承諾していること。

(2) 公営住宅等の用途廃止承認基準

公営住宅等(これらの敷地を含む。)の用途廃止については、次のいずれかに該当し、かつ、補修又は移転をすることが不適当である場合でなければ、原則として承認しないものとする。
なお、都市計画事業等の施行に伴って公営住宅等の用途を廃止した場合において、当該事業者から補償金若しくは土地買収費の支払を受けたとき又は公営住宅等の除却に伴って発生した廃材の売払代金等の収入があったときは、令第一三条の規定に準じて同条に定める使途に充てるものとする。
イ 公営住宅等の建替えを行うに当たって、法第二条第一五号に規定する公営住宅建替事業として施行できないとき(建設後、耐用年数の二分の一を経過している住宅であること。ただし、公共賃貸住宅建替一〇箇年戦略を受けて都道府県で策定される建替促進計画について建替重点団地と指定され、かつ、「公共賃貸住宅の建替事業の総合的促進について」(平成六年六月二三日建設省住建発第六〇号)中第四に定める建設大臣が承認する公共賃貸住宅総合再生計画において再生団地として位置づけられる団地内の公営住宅等については、当該公営住宅等が耐用年数の四分の一を経過していること。)。
ロ 住宅地区改良事業又は小集落地区改良事業の施行によるとき。
ハ 老朽化により居住の用に供することが危険な状態にある場合において、建替えを行うことが不適当であるとき又は建替えを行う必要がないとき(建設後、耐用年限の二分の一を経過している住宅であること。)。
ニ 災害により損傷を受けたとき。
ホ 入居希望者がなく、かつ、将来とも公営住宅等として保有する必要がないとき(建設後、耐用年限の二分の一を経過している住宅であること。)。
ヘ 都市計画事業等を施行するため必要であるとき。

(3) 公営住宅等の事業主体変更承認基準

公営住宅等の事業主体変更については、次に掲げる要件のすべてに該当する場合でなければ、原則として承認しないものとする。
なお、事業主体変更に係る譲渡の対価については、令第一三条の規定に準じて同条に定める使途に充てるものとする。
また、当該公営住宅等の敷金については、事業主体変更と同時に当該公営住宅等を譲り受ける地方公共団体に移管するものとする。
イ 譲渡価額が次に定める算出基準により算出した額の範囲内であること。

(イ) 当該公営住宅等の建設に要した費用(土地取得造成費及び附帯事務費を含む。)から国及び都道府県の補助額並びに無利子貸付額と家賃として徴収済の償却額を控除した額
(ロ) 当該公営住宅等について改良を施したときは、(イ)に定める額に改良工事費(国及び都道府県の補助額並びに無利子貸付額と、家賃として徴収済の償却額を除く。)を加算した額

ロ 当該公営住宅等に係る国庫補助金又は無利子貸付金について、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律第一五条(日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法第五条により準用される場合を含む。)の規定による補助金又は無利子貸付金の額の確定が完了していること。

3 公営住宅等の処分等の承認申請等の事務処理について

事業主体は、法第四四条第一項若しくは第三項又は第四六条の規定により公営住宅等の譲渡処分、用途廃止又は事業主体変更をしようとするときは、次に定めるところにより処理するものとする。
(1) 公営住宅等の譲渡処分

イ 事前協議

(イ) 事業主体は、公営住宅等の譲渡処分をしようとするときは、都道府県である事業主体にあっては建設省と、市町村である事業主体にあっては都道府県と当該公営住宅等を譲渡処分することの適否等について、あらかじめ承認申請前に協議(以下「事前協議」という。)をするものとする。
(ロ) 都道府県は、管下市町村から事前協議があったときは実態調査を行い、その内容が関係法令等及び当該都道府県の方針に適合すると認めたときは、建設省と事前協議するものとする。

なお、法附則第一六項の適用を受ける公営住宅等については、事前協議を要しないものとする。

ロ 申請

(イ) 事業主体は、公営住宅等の譲渡処分をしようとする場合において、事前協議がととのったときは、別記様式1により公営住宅等の譲渡処分承認申請書を、都道府県である事業主体にあっては建設大臣に、市町村である事業主体にあっては都道府県知事を経由して建設大臣に提出し、その承認を受けなければならない。
(ロ) 都道府県知事は、管下市町村から公営住宅等の譲渡処分承認申請書の提出があったときは実態調査を行い、その内容が法令等に適合すると認めたときは、被処分住宅実態調査報告書(別記様式3)を付して別記様式2により建設大臣あて副申するものとする。

ハ 譲渡価額

(イ) 公営住宅等の譲渡価額は、原則として規則第一八条に規定する算出方法により算出した当該公営住宅等の複成価格と同額とするものとする。ただし、耐用年限を経過した公営住宅等の譲渡価額は、原則として規則第二〇条に規定する残存価額と同額とするものとする。

この場合、「当該近傍同種の住宅の建設に要する費用」とあるのは、「当該公営住宅等の工事費」と読み替えるものとする。
なお、平成一〇年三月三一日までの間は、公営住宅法施行規則の一部を改正する省令(平成八年建設省令第一二号)による改正前の公営住宅法施行規則(以下「旧規則」という。)第七条に規定する算出方法によることとする。

(ロ) 事業主体は、当該公営住宅等が災害、白蟻、凍上、多雪等通常の老朽によらない事由によりその価値が著しく減じていると認め、減額して譲渡しようとするときは、減額を必要とする理由及び算出根拠等を明らかにした資料により事前協議の際に協議し、申請に当たってはそれらの資料を添付するものとする。
(ハ) 敷地の譲渡価額は、公営住宅等の譲渡処分承認申請の日以前六月以内における当該敷地の更地の時価とすること。この場合において時価の算定に当たっては不動産鑑定士の評価によることを原則とし、これにより難いときは、事業主体における不動産評価委員会等の公正な機関の評価によるものとする。

ニ 承認の有効期間及び完了報告

(イ) 公営住宅等の譲渡処分の承認の有効期間は、承認の日から六月とする。
(ロ) 事業主体は、公営住宅等の譲渡処分を完了したときは、別記様式4により譲渡契約の日から一月以内に、都道府県である事業主体にあっては建設省住宅局長に、市町村である事業主体にあっては都道府県知事を経由して建設省住宅局長に報告するものとする。
(ハ) 都道府県知事は、管下市町村から公営住宅等の譲渡処分完了報告書の提出があった場合において、その内容が承認の内容と相違ないものと認めたときは、速やかに建設省住宅局長あて進達するものとする。

(2) 公営住宅等の用途廃止

1) 公営住宅等の用途廃止承認基準に該当する場合の用途廃止

公営住宅等の用途廃止承認基準に該当する場合には、次に定めるところにより報告するものとし、当該報告をもって、建設大臣の承認があったものとして取り扱うこととする。
(イ) 事業主体は、公営住宅等の用途廃止をしたときは、別記様式5により用途廃止した日から一月以内に、都道府県である事業主体にあっては建設大臣に、市町村である事業主体にあっては都道府県知事を経由して建設大臣に報告するものとする。
(ロ) 都道府県知事は、管下市町村から提出された公営住宅等の用途廃止報告書の内容が、公営住宅等の用途廃止承認基準に該当すると認めたときは、別記様式6により建設大臣あて進達するものとする。

2) 公営住宅等の用途廃止承認基準に該当しない場合の用途廃止

イ 申請

(イ) 事業主体は、公営住宅等の用途廃止をしようとするときは、別記様式7により公営住宅等の用途廃止承認申請書を、都道府県である事業主体にあっては建設大臣に、市町村である事業主体にあっては都道府県知事を経由して建設大臣に提出し、その承認を受けなければならない。
(ロ) 都道府県知事は、管下市町村から公営住宅等の用途廃止承認申請書の提出があったときは実態調査を行い、その内容が法令等に適合すると認めたときは、被処分住宅実態調査報告書(別記様式9)を付して別記様式8により建設大臣あて副申するものとする。

ロ 完了報告

(イ) 事業主体は、公営住宅等の用途廃止を完了したときは、別記様式10により用途廃止した日から一月以内に、都道府県である事業主体にあっては建設省住宅局長に、市町村である事業主体にあっては都道府県知事を経由して建設省住宅局長に報告するものとする。
(ロ) 都道府県知事は、管下市町村から公営住宅等の用途廃止完了報告書の提出があった場合において、その内容が承認の内容と相違ないものと認めたときは、速やかに建設省住宅局長あて進達するものとする。

なお、この通達の施行の日において、既に建設大臣の用途廃止承認を得た公営住宅等の用途廃止を完了したときも同様とする。

3) 建設大臣の定める期間を経過した場合の用途廃止

建設大臣の定める期間を経過した公営住宅等を用途廃止する場合には、建設大臣に対する手続きは不要である。
建設大臣の定める期間については、平成八年建設省告示第一七八三号により定められているが、建設年度にかかわらず、簡易耐火構造の住宅で二階建のもの及び特殊耐火構造の住宅は四五年、簡易耐火構造の住宅で平家建のもの及び木造の住宅(準耐火構造の住宅を除く。)は三〇年で運用することとする。

(3) 公営住宅等の事業主体変更

1) 公営住宅等の事業主体変更承認基準に該当する場合の事業主体変更

公営住宅等の事業主体変更承認基準に該当する場合には、次に定めるところにより報告するものとし、当該報告をもって、建設大臣の承認があったものとして取り扱うこととする。
(イ) 事業主体は、公営住宅等を他の地方公共団体に公営住宅等として譲渡したときは、当該公営住宅等を譲り受けた地方公共団体の譲受完了を証する書類を添付して、別記様式11により事業主体変更した日から一月以内に、都道府県である事業主体にあっては建設大臣に、市町村である事業主体にあっては都道府県知事を経由して建設大臣に報告するものとする。
(ロ) 都道府県知事は、管下市町村から提出された公営住宅等の事業主体変更報告書の内容が、事業主体変更承認基準に該当すると認めたときは、別記様式12により建設大臣あて進達するものとする。

2) 公営住宅等の事業主体変更承認基準に該当しない場合の事業主体変更

イ 申請

(イ) 事業主体は、公営住宅等を他の地方公共団体に公営住宅等として譲渡しようとするときは、当該公営住宅等を譲り受ける地方公共団体の公営住宅等の譲受承諾書(別記様式14)を添付して、別記様式13により公営住宅等の事業主体変更承認申請書を、都道府県である事業主体にあっては建設大臣に、市町村である事業主体にあっては都道府県知事を経由して建設大臣に提出し、その承認を受けなければならない。
(ロ) 都道府県知事は、管下市町村から公営住宅等の事業主体変更承認申請書の提出があったときは実態調査を行い、その内容が法令等に適合すると認めたときは、別記様式15により建設大臣あて副申するものとする。

ロ 完了報告

(イ) 事業主体は、公営住宅等の事業主体変更を完了したときは、譲受事業主体の譲受完了を証する書類を添付して別記様式16により当該公営住宅等を事業主体変更した日から一月以内に、都道府県である事業主体にあっては建設省住宅局長に、市町村である事業主体にあっては都道府県知事を経由して建設省住宅局長に報告するものとする。
(ロ) 都道府県知事は、管下市町村から公営住宅等の事業主体変更完了報告書の提出があった場合において、その内容が承認の内容と相違ないと認めたときは、速やかに建設省住宅局長あて進達するものとする。

なお、この進達の施行の日において、既に建設大臣の事業主体変更承認を得た公営住宅等の事業主体変更が完了したときも同様とする。

(II) 公営住宅等の移転について

1 公営住宅等の移転承認基準

公営住宅等の移転(解体移転及び引き移転をいう。)については、次に掲げる要件のすべてに該当する場合でなければ、原則として承認しないものとする。
(1) 都市計画事業等の施行のため必要であること。
(2) 移転後の公営住宅等が公営住宅等整備基準に適合するものであること。

2 公営住宅等の移転の承認申請等の事務処理について

(1) 公営住宅等の移転承認基準に該当する場合の移転

公営住宅等の移転承認基準に該当する場合には、次に定めるところにより報告するものとし、当該報告をもって、建設大臣の承認があったものとして取り扱うこととする。
(イ) 事業主体は、公営住宅等の移転をしたときは、別記様式17により移転した日から一月以内に、都道府県である事業主体にあっては建設大臣に、市町村である事業主体にあっては都道府県知事を経由して建設大臣に報告するものとする。
(ロ) 都道府県知事は、管下市町村から提出された公営住宅等の移転報告書の内容が、公営住宅等の移転承認基準に該当すると認めたときは、別記様式18により建設大臣あて進達するものとする。

(2) 公営住宅等の移転承認基準に該当しない場合の移転

イ 申請

(イ) 事業主体は、公営住宅等の移転をしようとするときは、別記様式19により公営住宅等の移転承認申請書を、都道府県である事業主体にあっては建設大臣に、市町村である事業主体にあっては都道府県知事を経由して建設大臣に提出し、その承認を受けなければならない。
(ロ) 都道府県知事は、管下市町村から公営住宅等の移転承認申請書の提出があったときは、意見書を添えて別記様式20により建設大臣あて副申するものとする。

ロ 完了報告

(イ) 事業主体は、公営住宅等の移転を完了したときは、別記様式21により移転完了後一月以内に、都道府県である事業主体にあっては建設省住宅局長に、市町村である事業主体にあっては、都道府県知事を経由して建設省住宅局長に報告するものとする。
(ロ) 都道府県知事は、管下市町村から公営住宅等の移転完了報告書の提出があった場合において、その内容が承認の内容と相違ないものと認めたときは、速やかに建設省住宅局長あて進達するものとする。

なお、この通達の施行の日において、既に建設大臣の移転承認を得た公営住宅等の移転を完了したときも同様とする。

(III) 既設公営住宅の改造について

1 既設公営住宅の改造承認基準

既設公営住宅の改造(既設公営住宅二戸をあわせて一戸に、又は三戸をあわせて二戸に改造する場合等をいう。)については、公営住宅等整備基準に適合するものでなければ原則として承認しないものとする。

2 既設公営住宅の改造の承認申請等の事務処理について

事業主体は、既設公営住宅の改造をしようとするときは、次に定めるところにより処理するものとする。
(1) 既設公営住宅の改造承認基準に該当する場合の改造

既設公営住宅の改造承認基準に該当する場合には、次に定めるところにより報告するものとし、当該報告をもって、建設大臣の承認があったものとして取り扱うこととする。
なお、当該公営住宅のうちの一戸(玄関を閉鎖したもの)については、用途廃止したものとみなすこととする。
(イ) 事業主体は、既設公営住宅の改造をしたときは、別記様式22により改造した日から一月以内に、都道府県である事業主体にあっては建設大臣に、市町村である事業主体にあっては都道府県知事を経由して建設大臣に報告するものとする。
(ロ) 都道府県知事は、管下市町村から提出された公営住宅の改造報告書の内容が、既設公営住宅の改造承認基準に該当すると認めたときは、別記様式23により建設大臣あて進達するものとする。

(2) 既設公営住宅の改造承認基準に該当しない場合の改造

イ 申請

(イ) 事業主体は、公営住宅の改造をしようとするときは、別記様式24により公営住宅の改造承認申請書を、都道府県である事業主体にあっては建設大臣に、市町村である事業主体にあっては都道府県知事を経由して建設大臣に提出し、その承認を受けなければならない。
(ロ) 都道府県知事は、管下市町村から公営住宅の改造承認申請書の提出があったときは、意見書を添えて別記様式25により建設大臣あて副申するものとする。

ロ 完了報告

(イ) 事業主体は、公営住宅の改造工事を完了したときは、別記様式26により改造した日から一月以内に、都道府県である事業主体にあっては建設省住宅局長に、市町村である事業主体にあっては、都道府県知事を経由して建設省住宅局長に報告するものとする。
(ロ) 都道府県知事は、管下市町村から公営住宅の改造工事完了報告書の提出があった場合において、その内容が承認の内容と相違ないものと認めたときは、速やかに建設省住宅局長あて進達するものとする。

なお、この通達の施行の日において、既に建設大臣の改造承認を得た公営住宅の改造工事を完了したときも同様とする。

3 改造後の公営住宅の家賃について

(1) 平成一〇年三月三一日までに適用される家賃

改造前の公営住宅についてそれぞれ公営住宅法の一部を改正する法律(平成八年法律第五五号)による改正前の公営住宅法(以下「旧法」という。)第一二条第一項又は第一三条第三項の規定により算出した額の合計額を旧法第一二条第一項又は第一三条第三項の限度額とみなし、この限度額に次の1)及び2)に掲げる額の合計額を加算した額の範囲内の額で家賃を別に定め、又は変更することができることとする。
なお、限度額を超えて家賃を別に定め、又は変更しようとする場合には、「公営住宅の家賃の別定め又は変更承認基準及びその申請について」(昭和三四年一二月二二日住発第三八六号)の記の三に準じて取り扱うものとする。
1) 償却費については、公営住宅の改造に要した費用又は同費用に旧法第一三条第三項により建設大臣が定める率を乗じて得た額を当該住宅の残存耐用年数の期間、利率年六分で毎年元利均等に償却するものとして算出した額
2) 修繕費及び管理事務費については、改造に要した費用又は同費用に旧規則第六条により建設大臣が定める率を乗じて得た額に公営住宅法施行令を改正する政令(平成八年政令第二四八号)による改正前の公営住宅法施行令第四条第三号に規定するそれぞれの乗率を乗じて得た額

(2) 新制度移行後に適用される家賃

イ 入居者の家賃の算定

入居者の家賃の算定に当たっての規模係数及び経過年数係数については、以下に掲げるところによること。
(イ) 規模係数については、改造後の床面積に基づき算定するものとする。
(ロ) 経過年数係数については、建設当時の工事費と改造に要した費用を用いて、経過年数係数を合成するものとし、以下の算式により算定する。

経過年数係数=建設年度を初年度とする経過年数係数×a/c+改造事業年度を初年度とする経過年数係数×b/c
この式において、a、b及びcはそれぞれ次によるものとする。

a 建設当時の工事費に規則第 21条の率を乗じて得た額
b 改造に要した費用に規則第 21条の率を乗じて得た額
c a及びbの合計

ロ 近傍同種の住宅の家賃の算定

近傍同種の住宅の家賃の算定に当たっての複成価格及び償却額の算定については、以下に掲げるところによること。
(イ) 複成価格の算定については、改造による建物部分の現在価値の上昇分を建設時に要した費用を基に算定した複成価格に加算することとする。

改造による現在価値の上昇分=推定再改造費−(年平均減価額×経過年数)
*推定再改造費:改造に要した費用に規則第21条の規定により建設大臣が定める率を乗じた額
年平均減価額:推定再改造費の額に、耐火構造の住宅、準耐火構造の住宅、簡易耐火構造の住宅で2階建のもの又は特殊耐火構造の住宅にあっては0.8を、木造の住宅(準耐火構造の住宅を除く。)又は簡易耐火構造の住宅で平家建のものにあっては0.9を乗じた額を残耐用年数で除した額
残耐用年数:当該住宅の耐用年数から改造工事完了までの経過年数を控除した年数
経過年数:改造工事を完了してから経過した年数

(ロ) 償却額については、改造に要した費用を当該住宅の残耐用年数の期間毎年度定額に償却するものとして算定した額を近傍同種の住宅の建設に要した費用を基に算定した償却額に加算することとし、以下により算定する。

改造による償却額の増分=(改造に要した費用−残存価額)/残耐用年数
*残存価額:改造に要した費用に耐火構造の住宅、準耐火構造の住宅、簡易耐火構造の住宅で2階建のもの又は特殊耐火構造の住宅にあっては0.2を、木造の住宅(準耐火構造の住宅を除く。)又は簡易耐火構造の住宅で平家建のものにあっては0.1を乗じた額

第6 社会福祉事業への活用

障害者の地域における自立生活を支援することの必要性が強く求められるようになっている近年の状況を鑑み、公営住宅の管理に著しい支障のない範囲内で、事業主体が必要であると認めたときは、公営住宅を社会福祉事業に活用することができるものとする。
1 大臣承認について

次の(1)及び(2)についていずれかの要件に該当し、かつ、(3)の要件に該当する場合には、公営住宅を社会福祉事業に活用したときから一月以内に、別記様式27により都道府県である事業主体にあっては建設大臣に、市町村である事業主体にあっては都道府県知事を経由して建設大臣に報告することにより、法第四五条第一項に規定する大臣の承認があったものとして取り扱う。
なお、都道府県は、管下市町村から公営住宅の社会福祉事業への活用について報告があり、その内容が次の基準に該当するものと認めたときは、速やかに、別記様式28により建設大臣あて進達するものとする。
(1) 対象となる社会福祉事業が次のいずれかであること

イ 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二五年法律第一二三号)第五〇条の三第一項に規定する精神障害者地域生活援助事業
ロ 精神薄弱者福祉法(昭和三五年法律第三七号)第四条第四項に規定する精神薄弱者地域生活援助事業

(2) 公営住宅を活用することができる主体が次のいずれかであること

イ 社会福祉事業法(昭和二六年法律第四五号)第二二条に規定する社会福祉法人
ロ 地方公共団体
ハ 医療法人
ニ 民法(明治二九年法律第八九号)第三四条の規定により設立された法人

(3) 当該社会福祉事業への活用が次の要件を満たすものであり、公営住宅の適正かつ合理的な管理に著しい支障のない範囲内で行われるものであること

イ 公営住宅の本来の入居対象者である低額所得者層への供給に支障が生じないこと
ロ 事業の円滑な実施が担保されていること

2 事業主体と社会福祉法人等との連携について

事業主体は、公営住宅を社会福祉事業に活用するときは、福祉部局等との連絡を緊密にするとともに、社会福祉法人等に対して公営住宅の使用を許可する場合には、次の事項について条件を付す等、適切な運用を図ること。

イ 公営住宅の使用目的、使用期間を記載した書面の提出
ロ 書面記載事項に変更が生じた場合の変更内容の報告
ハ 必要がある場合には、公営住宅の使用状況の報告
ニ 近傍同種の住宅の家賃以下で事業主体が定める額の使用料の納入
ホ 社会福祉法人等が当該公営住宅を使用して行う社会福祉事業の被援護者から徴収する家賃相当額を、当該社会福祉法人が支払う使用料以下にすること

3 広報について

障害者の地域における自立生活を支援するという今回の改正の趣旨に鑑み、また、公営住宅を活用した社会福祉事業が円滑に実施されるには、公営住宅の入居者を含め、地域住民の理解や協力を得ることが重要であるため、事業主体において積極的な広報に努めること。

第7 みなし特定公共賃貸住宅

公営住宅が空家のままとなっている一方で中堅所得者等の居住の用に供する住宅が不足する状況にある等の特別の事由がある場合にあっては、公営住宅の本来の趣旨を著しく逸脱しない範囲内で、公営住宅を中堅所得者向けの特定公共賃貸住宅として活用することができる(以下、この公営住宅を「みなし特定公共賃貸住宅」という。)。
1 大臣承認について

(1) 次のイ、ロ、ハ及びニのすべてに該当する場合には、公営住宅をみなし特定公共賃貸住宅として活用したときから一月以内に、別記様式29により都道府県である事業主体にあっては建設大臣に、市町村である事業主体にあって都道府県知事を経由して建設大臣に報告することにより、公営住宅法第四五条第二項に規定する大臣の承認があったものとして取り扱う。

なお、都道府県は、管下市町村から公営住宅のみなし特定公共賃貸住宅への活用について報告があり、その内容が次の基準に該当するものと認めたときは、速やかに、別記様式30により建設大臣あて進達するものとする。
イ 特定優良賃貸住宅その他の中堅所得者用賃貸住宅の不足
ロ 入居者が特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律(平成五年法律第五三号。以下「特優賃法」という。)第三条第四号イ又はロに掲げる要件を満たすこと
ハ 以下の要件を満たし、公営住宅の適正かつ合理的な管理に著しい支障のない範囲内で使用すること。

1) 公営住宅の本来の入居対象者である低額所得者の入居を阻害しないこと
2) 家賃設定等が他の公営住宅入居者との公平性を失しないものであること

ニ 耐用年限の四分の一を経過していること

(2) 上記基準に該当しない場合

イ 上記(1)の基準に該当しないものであっても、みなし特定公共賃貸住宅として活用することについて、公営住宅の管理に支障を及ぼさないのみならず、みなし特定公共賃貸住宅として活用することが、公営住宅の管理において適当である等の特別の事情がある場合においては、建設大臣の承認を得て、みなし特定公共賃貸住宅として活用することができる。

この場合にあっては、事業主体は、別記様式31により公営住宅のみなし特定公共賃貸住宅としての活用承認申請書を、都道府県である事業主体にあっては建設大臣に、市町村である事業主体にあっては都道府県知事を経由して建設大臣に提出し、その承認を得るものとする。
都道府県は、管下市町村から公営住宅のみなし特定公共賃貸住宅への活用承認申請書の提出があった場合に、その内容が法令等に適合すると認めたときは、別記様式32により、建設大臣あて副申すること。

ロ 上記イにより活用を承認されたものについて、みなし特定公共賃貸住宅として管理を開始したときから一月以内に、別記様式33により都道府県である事業主体にあっては建設省住宅局長に、市町村である事業主体にあっては都道府県知事を経由して建設省住宅局長に報告すること。

都道府県知事は、管下市町村から申請に係るみなし特定公共賃貸住宅への活用についての報告があったときは、その内容を審査し承認の内容と相違ないものと認めたときは、速やかに建設省住宅局長あて進達すること。

2 みなし特定公共賃貸住宅の管理について

(1) 特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律の準用について

法第四五条第二項の規定により、みなし特定公共賃貸住宅の管理については、特優賃法第一八条第二項の規定による基準に従い管理することとなるが、入居者資格、家賃、高額所得者等の規定以外は、公営住宅法の規定により管理すること。

(2) 家賃について

家賃については、特定公共賃貸住宅の家賃決定方式に準じて、条例に基づき事業主体が定めるものとすること。

3 特定公共賃貸住宅の事業主体等との連携

今回、入居収入基準が特定優良賃貸住宅制度との整合性を図る観点から改正されるとともに、公営住宅を特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律に定める入居者資格を具備する者に使用させることができるように改正されたことに鑑み、事業主体においては、特定公共賃貸住宅の事業主体及び特定優良賃貸住宅担当部局と十分に連携をとること。

第8 公営住宅の供給に係る補助制度の整備

今般の改正により、公営住宅の供給に係る補助の方法が改正されたが、改正後の方法による補助は、法附則第二項に定めるとおり、平成八年度以降の年度の予算に係る国の補助(平成七年度以前の年度の国庫債務負担行為に基づき平成八年度以降に支出すべきものとされたものを除く。)について適用するが、平成七年度以前の年度の予算に係る国の補助(平成七年度以前の年度の国庫債務負担行為に基づき平成八年度以降の年度に支出すべきものとされた国の補助及び平成七年度以前の年度の歳出予算に係る国の補助で平成八年度以降の年度に繰り越されたものを含む。)を受けて供給された公営住宅は、旧法及び公営住宅等家賃対策補助金交付要綱(昭和五五年一二月二〇日建設省住建発第一三二号、建設省住整発第六四号)に基づくものとする。また、特定借上・買取賃貸住宅制度要綱(平成七年四月一日建設省住備発第一〇号)等に基づき供給される特定借上・買取賃貸住宅等については、同要綱によるものとするので留意されたい。
1 公営住宅の整備に係る助成

(1) 都道府県の補助

法第一二条の規定に基づき、公営住宅の整備、共同施設の整備又は災害に基づく補修をする事業主体が市町村である場合に、当該市町村に対して都道府県が行う補助は、都道府県の自主的な判断に基づき行うものであること。

(2) 住宅金融公庫融資の優遇措置

公営住宅の借上げに係る住宅の建設についての住宅金融公庫の融資に関しては、地方公共団体が利子補給(地方住宅供給公社等に対しては当初一〇年間二%、一一年以降二〇年目まで一%、その他の者には当初五年間二%)を行うことを条件に融資の拡充(充当率を八〇%まで引き上げ)の措置が講じられることとなっているので、各地方公共団体において、必要に応じ、建設費負担軽減のため、利子補給措置が適切に行われるよう配慮されたい。

(3) 農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法の特例

公営住宅の借上げをする場合において、公営住宅として借り上げることとなる住宅を建設するものが農地所有者等である場合には、農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法(昭和四六年法律第三二号)の適用があることとなるが、法第一四条の規定により、同法第二条第二項第二号の規定により必要とされている一定面積以上の水田の宅地化を伴う住宅の建設であることを必要としないものとしているところであるので、農地所有者等に対し、その旨の周知徹底に努められたい。

2 公営住宅の家賃に係る補助

改正法による家賃対策補助については、別途、公営住宅家賃対策補助金交付要領を定めたので、これによられたい。
なお、家賃対策補助における入居者負担基準額は、令第二条に基づく家賃の算定方法と比べ、同条第一項第四号の利便性係数がないことに相違があるので留意されたい。

3 家賃収入補助

平成八年度以降の予算により建設される公営住宅についての家賃収入補助は廃止されたが、平成七年度以前の予算により建設された公営住宅については、引き続き家賃収入補助が交付されることとなるので留意すること。

4 その他

(1) 指導監督費

指導監督費の交付に当たっては、標準建設費等により算定される建設費と用地取得造成費を合算したものの一〇〇分の〇・三から一〇〇分の〇・八までの範囲内とされていたところであるが、今般、標準建設費等により算定される建設費等の一〇〇分の〇・三から一〇〇分の〇・八までの範囲内と改められたところであるので、指導監督費の交付申請に当たっては、留意されたい。

(2) 新産業都市等事業補助率差額

産炭地域振興臨時措置法(昭和三六年法律第二一九号)第一一条、新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律(昭和四〇年法律第七三号)第三条、首都圏、近畿圏及び中部圏の近郊整備地帯等の整備のための国の財政上の特別措置に関する法律(昭和四一年法律第一一四号)第四条及び北方領土問題等の解決の促進のための特別措置に関する法律(昭和五七年法律第八五号)第七条の規定により、国の補助の割合の引き上げの対象となる事業については、公営住宅法施行令の一部を改正する政令(平成八年政令第二四八号)附則第一二項、第一四項、第一五項及び第二一項の規定により、法第二条第五号に規定する公営住宅の建設等及び同条第一二号に規定する共同施設の建設等とされ、公営住宅及び共同施設の買取りが新たに追加されているので、留意すること。

第9 経過措置

1 改正法の適用によって、従前家賃と比して新家賃が上昇する場合には、入居者の居住の安定に配慮して、負担調整措置を講ずることとなっているので、適切な運用を行うこと。
2 改正法の施行日は平成八年八月三〇日であるが、既存の公営住宅に係る家賃や入居者資格等の適用は平成一〇年四月一日からであるので、各条項の適用日に十分留意すること。

第10 その他

1 端数計算

公営住宅の家賃を算定する場合及び近傍同種の住宅の家賃を算定する場合において、その額に一〇〇円未満の端数があるとき、又は、その全額が一〇〇円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てること。
また、建替事業及び用途廃止に伴い家賃を減額する場合において、その減額の額に一〇〇円未満の端数があるとき、又はその全額が一〇〇円未満であるときは、その端数金額又はその全額を一〇〇円に切り上げること。

2 耐用年限に係る改正

平成五年の改正により今後の公営住宅は、耐火構造の住宅、準耐火構造の住宅及び木造の住宅の三区分とされ、従前の簡易耐火構造の住宅等については、経過規定を設けていたところであるが、今後においては、耐火構造の住宅の耐用年限を七〇年、準耐火構造の住宅、簡易耐火構造の住宅で二階建のもの及び特殊耐火構造の住宅の耐用年限を四五年、木造の住宅及び簡易耐火構造の住宅で平家建のものの耐用年限を三〇年として扱うこと。
なお、この扱いは、家賃収入補助の算定を除き、家賃算定、処分、建替事業に共通のものとすること。

3 公営住宅の使用関係についての法的性質

従来、公営住宅の使用関係において、事業主体の入居者に対する行為が行政不服審査法第一条及び第二条並びに行政手続法第二条第二号に規定する「処分」に該当するかについて疑義があった。しかし、公営住宅の使用関係においては、事業主体の入居者に対する行為のうち、法第二五条に基づく入居者の決定及び法第三四条に基づく入居者の収入状況の報告の請求を除き、行政不服審査法及び行政手続法に規定する「処分」には該当せず、行政不服審査法及び行政手続法の対象とはならない。今般の改正において、この旨を明確にするために、行政庁とも解される可能性のあった公営住宅法上規定されていた「事業主体の長」を「事業主体」に改正した。
したがって、入居者の決定及び収入状況の報告の請求を除き、家賃の決定、同居承認等の公営住宅法に基づき入居者に対して行われる事業主体の行為は、私法上の手続きの対象となるものであり、行政不服審査法及び行政手続法の対象とはならないことを前提にした手続きに留意すること。

4 入居者に対する制度改正内容の周知

今般の改正に伴う必要な措置を円滑に実施するために、その必要性ないし改正の趣旨を入居者に限らず広く住民一般に理解させるため適当な方法により十分な周知を積極的に推進すること。

5 条例改正

今般の改正に伴い、各事業主体において定めている公営住宅管理条例の改正を要することとなると考えられるので、速やかに準備を進め、必要な改正手続をとられたい。


別記様式 〔略〕


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