公営住宅家賃収入補助金に関し必要な事項については、公営住宅法(以下「法」という。)第一二条の二、法施行令第四条の二及び第四条の三に定めるもののほか、「公営住宅家賃収入補助金交付要領」(昭和五〇年一月一七日住総発第七号住宅局長通達)、「公営住宅の入居審査等の適正な実施について」(昭和五八年一二月一七日住建発第二六九号・住総発第一四七号住宅局長通達)並びに毎年度における「公営住宅土地造成費の標準価額について」(平成五年度の場合、平成五年六月七日住総発第九八号事務次官通達)、「公営住宅家賃収入補助について」(平成五年度の場合、平成五年六月七日住総発第九九号住宅総務課長通達)により取り扱うこととしてきたところであるが、先般実施された会計実地検査において、一部の事業主体が基準日現在における収入超過者入居戸数を適正に把握しないまま補助金額を算定しこれに基づいて公営住宅家賃収入補助金の交付申請を行う等、不適正な事例が指摘されたことは、遺憾である。
1 補助金の交付申請事務について
家賃収入補助金の交付申請事務については、次の事項に留意し、事務執行の適正化に努めること。
(1) 各事業主体において、補助金申請事務担当者が適正な交付申請事務を執行できるよう、収入超過者入居戸数等の把握及び家賃収入補助金の交付申請に係る事務手続き、調査事項、調査時期、留意事項等を明確にする等申請事務の定型化を図ること。
(2) 補助金の交付申請額の算定に当たっては、団地数及び団地毎の対象戸数について前年度申請分との増減を比較し、その理由を明確にすること。
(3) 補助金交付申請部局と収入調査部局とが異なる事業主体においては、両部局間の連絡調整を密にすること。
(4) その他家賃収入補助金交付申請に係る事務が適正に執行されるよう組織の見直しや事務の合理化に努めること。
2 収入超過者入居戸数の把握について
家賃収入補助金交付申請上の収入超過者入居戸数とは、基準日(毎年一〇月一日)現在において公営住宅に引き続き三年以上入居している者で、毎年の収入が法施行令第六条の二第一項の収入基準を超える収入のある者が入居している住宅の戸数をいうものであり、その把握に当たっては、次の事項に留意すること。
(1) 基準日(毎年一〇月一日)現在において公営住宅に引き続き三年以上入居している者すべてを対象として収入調査を実施し、基準日(毎年一〇月一日)現在における収入超過者入居戸数を把握すること。
なお、割増賃料徴収のため、基準日(毎年一〇月一日)以外の日をもって収入超過者を把握している事業主体にあっても、基準日(毎年一〇月一日)現在における収入超過者入居戸数を把握すること。
(2) 家賃収入補助金交付申請においては、事業主体が当該収入超過者に割増賃料を徴収しているか否かにかかわらず、すべての収入超過者を補助の対象から除外するものとする。したがって、一部の入居者に対して割増賃料の賦課を免除している事業主体は、収入超過者入居戸数の把握漏れのないよう特に留意すること。
(3) 収入超過者の判定に係る収入の把握に当たっては、入居者及び同居親族について、法第二三条の二の規定等に基づき、入居者からの公的証明書の提出、税務当局との連携による調査等により的確に行うこと。
(4) 収入調査基準日及び収入超過者入居戸数について、別紙様式により、管下事業主体分もあわせ、収入超過者入居戸数の把握が適正になされているかを確認するとともに、補助金申請時に建設省に対し報告すること。
3 空家戸数の把握について
家賃収入補助金交付申請上の空家は、その理由を問わず、通常、基準日(毎年一〇月一日)現在において入居者のいない住宅をいうが、その把握に当たっては次の事項に留意すること。
(1) 空家の期間は、従前入居者に係る賃貸借契約の終了日(通常この日まで家賃の徴収対象となるとともに、従前入居者はこの日までに退去することとなる。)の翌日から、次の入居者が実際に入居したか否かにかかわらず、事業主体が次の入居者に通知した入居可能日(通常この日から家賃の徴収対象となる。)の前日までであること。
(2) 平成五年度の交付申請から、入居者に対し期限を定め明渡しを請求し、その期限経過後入居許可の取消しをした場合は、入居者が退去しない場合でも空家とすること。
(3) 入退居の前後で家賃の免除を行っている場合には、当該住宅が空家と誤解されることのないよう管理台帳等にその旨を記載する等の措置をすること。
4 不適正入居戸数・不正入居戸数の把握について
公営住宅の入居者の選考は、法第一七条及びこれに基づく政令に規定する入居者資格のある者のみに対して迅速、正確かつ公正に実施すべきもので、本来入居者資格のない者を選考の対象として入居決定する不適正入居・不正入居は、公営住宅制度の根本にかかる問題で許されないことであり、その防止、把握及び是正に努めること。
また、家賃収入補助金の交付申請額の算定上、不適正入居戸数及び不正入居戸数を把握することが必要となることから、その戸数が明らかとなるよう名簿等を作成し、基準日(毎年一〇月一日)現在における不適正入居者戸数及び不正入居者戸数の把握漏れのないようにすること。
なお、不適正入居とは、事業主体の故意又は過失により入居資格のないものに対して入居決定した場合をいい、不正入居とは、入居者が入居資格を偽る等不正な方法により形式上正式な手続きで入居したが、その後、入居申込み時点における入居者の虚偽申告等の事実が判明した場合等をいう。
5 家賃収入補助金の対象除外戸数について
公営住宅家賃収入補助金交付要領第3・1記載の「収入超過者入居戸数」は、前記2の収入超過者入居戸数に、前記3、4の空家戸数、不適正入居戸数、不正入居戸数を合計したものであることに留意すること。
したがって、家賃収入補助金の対象戸数から除外すべき戸数は次のとおりとなる。
基準日(毎年一〇月一日)現在の
1) 収入超過者戸数
2) 空家戸数
3) 不適正入居者戸数
4) 不正入居者戸数
なお、不適正入居者が入居している住宅については、入居当初からその者が退去するまでの間、また、不正入居者が入居している住宅については、不正の事実が判明した以後その者が退去するまでの間、それぞれ家賃収入補助金の対象戸数から除外し、不適正入居者、不正入居者が入居後入居資格に適合したとしても、同様であることに留意すること。
6 総点検の実施等について
平成四年度家賃収入補助金交付申請について、平成五年度中に総点検を実施し、不適正なものがあった場合には、管下事業主体におけるものもあわせ建設省に速やかに報告すること。
また、今後は、定期的な家賃収入補助金交付申請担当者に対する研修等の実施により、家賃収入補助金の交付申請事務の適正な執行に努めるとともに、管下事業主体に対する実地検査の実施などにより家賃収入補助にかかる指導監督を的確に行い、家賃収入補助金の交付申請事務の適正な執行の確保に努めること。