標記補助金に係る補助基本額の算定に当たっては、公営住宅家賃対策補助金交付要領(平成八年八月三〇日付け建設省住備発第八七号。以下「補助要領」という。)第6において、公営住宅法施行令(昭和二六年政令第二四〇号)第三条の規定に基づき算定した近傍同種の住宅の家賃の額から補助要領第三の規定に基づき算定した入居者負担基準額を控除した額を用いることとされているところであり、また、近傍同種の住宅の家賃の算定方法については、「公営住宅法の一部を改正する法律等の運用について」(平成八年八月三〇日付け建設省住総発第一三五号。以下「運用通知」という。)第2の2において通知されているところであるが、先般実施された会計実地検査においてその算定に当たっての具体的な取扱いを明確にする必要があるとされたところであり、これらによる事務の実施に当たっては、今後、特に左記に御留意の上、標記補助金の適正な執行に遺憾のないようお願いする。
1 公営住宅家賃対策補助金の算定に当たって特に留意すべき事項
(1) 建物部分の複成価格に係る近傍同種の住宅の建設に要する費用の額について
運用通知第2の2(1)イにより標準的な費用の額を設定する場合においては、標準的な費用が実際の費用を上回ることがないよう十分に配慮して適切な額を設定し、近傍同種の住宅の家賃の額を算定すること。これは、標準的な費用として公営住宅の建設等に係る補助金算定における標準建設費を用いる場合においても同様であること。
特に、近傍同種の住宅の建設に要した費用の確定が可能であるにもかかわらず、事業主体において標準的な費用の額により建物部分の複成価格を算定する場合にあっては、その額が合理的な根拠により導き出される必要があるものであること。
(2) 土地部分の複成価格に係る戸当たり敷地面積について
運用通知第2の2(1)ロにおいて、土地部分の基礎価格については、固定資産税評価額相当額に戸当たり敷地面積を乗ずることにより算定することとされており、戸当たり敷地面積は、工事設計要領書作成要領(昭和五〇年四月一七日付け建設省住建発第三八号)に定める一戸当たりの床面積を容積率で除して算定し、また、容積率は、公営住宅の総床面積を敷地面積で除して算定することとされているところであるが、これは次の式により表されるものであること。
戸当たり敷地面積=敷地面積×(一戸当たりの床面積/公営住宅の総床面積)
注1‥敷地面積には、共同施設の敷地に相当する部分は含めないこと。
注2‥一戸当たりの床面積は、住戸専用面積と供用部分(バルコニーを除く。)の面積の戸当たりの数値との合計に、バルコニー面積の三分の一を加えたものとすること。公営住宅の総床面積についても、これらが含まれるものであること。
なお、建築基準法(昭和二五年法律第二〇一号)における延べ面積をもって公営住宅の総床面積とし、あるいは前記の容積率として都市計画において定められた容積率の数値をそのまま用いることにより、土地部分の複成価格が過大に算定されることがあるので注意すること。
(3) 建物部分の複成価格及び土地部分の複成価格の算定に係る共同施設の取扱いについて
運用通知第2の2(1)イにおいて、近傍同種の住宅の建設に要する費用については共同施設の工事費は含めないこととされ、運用通知第2の2(1)ロにおいて、敷地面積については共同施設の敷地に相当する部分は含めないこととされているところである。ここにいう共同施設とは、公営住宅法(昭和二六年法律第一九三号)第二条第九号及び公営住宅法施行規則(昭和二六年建設省令第一九号)第一条に規定する施設であり、家賃とは別に料金を徴収する施設、地域に開放されている施設等、家賃の構成要素とすることがふさわしくないものがあることから、建物部分及び土地部分の複成価格に含めないこととされているものである。具体的な共同施設の範囲は、施設の配置、構成、区画設定等の物理的な形態、施設の管理の実態等を踏まえつつ、的確に判断する必要があり、住棟に附帯し入居者に専用使用される土地の部分等については、共同施設に含まれないものであること。
なお、児童遊園、駐車場等を共同施設としないことにより、建物部分の複成価格及び土地部分の複成価格が過大に算定されることがあるので注意すること。
2 その他
前記1は、補助要領及び運用通知による事務の実施に当たって今後特に留意すべき事項を示すものであり、新規に管理開始される公営住宅で今後家賃決定されるものについては、当初の家賃決定から、その他の公営住宅については、今後の直近の家賃改定から、それぞれ前記1に特に留意して事務を実施するものとすること。