住発第五〇五号
昭和二六年一〇月一一日

各都道府県知事あて

建設省住宅局長通達


住宅監理員及び住宅管理人の公営住宅優先入居について

従来公営住宅を管理する地方公共団体が、その管理に係る公営住宅へ管理人として当該団体の職員その他の者を公募によらず優先的に入居させ住民一般に疑惑と誤解を生ぜしめた事例があったが、公営住宅法が施行せられた現在においては、公営住宅法第一六条に基き政令で特に規定されたる場合の外は公募した入居資格者以外の者から入居者を選考するのは絶対に禁止されていることは御承知のとおりである。又公募した入居資格者から入居者を選考する場合においても住宅監理員(又は住宅管理人)であるという理由で選考基準において他の入居資格者に優先させることは、法第一八条の趣旨に鑑みて違法である。即ち法第一八条の「条例で定めるところにより」というのは、施行令第六条にかかげる者のうちから公正な方法で選考する手続を委任したものにすぎないのであって、住宅監理員(又は住宅管理人)という住宅困窮とは別な理由で選考において優先させることは公正な方法ではない。従って公営住宅法第二三条にいわゆる公営住宅監理員又は住宅管理人であるという理由だけで、公営住宅に優先的に入居を認めることは、たとえ条例にその根拠のある場合といえども違法であることは勿論である。事業主体の長がその職員のうちから公営住宅監理員を任命した場合、当該公営住宅監理員を公営住宅の団地に常時配置せしめようとする場合においては、管理事務所を設置することが望ましいのであり、管理事務所の設置が困難な場合には、当該公営住宅団地の公営住宅居住者中の適当な者に公営住宅監理員の補助者として管理事務の一部を委任すれば、公営住宅管理の目的は充分に達せられるものと考えられる。そこで財政上その他の理由により事業主体が管理事務所を設置することが困難な事情のある場合で、なお住宅管理上当該団地に住宅監理員を配置する必要がある場合は、左記により住宅監理員の公営住宅への入居を考慮するよう指導せられたい。
なお、公営住宅監理員のための公営住宅優先入居を無条件に認める使用条例又は同趣旨に解せられる条例は、少くともその部分は無効と解せられるから念のため申し添える。

1 公営住宅に入居する住宅監理員は選考基準によって入居決定をうけた事業主体の職員のうちから適当と思われる者を選任する。
2 前項に該当する職員がいない場合は、その他の入居決定者のうちから住宅監理員の補助者として住宅管理人を選び管理事務の一部から委任する。

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