職発第八三九号・住発第三九七号
昭和三七年一二月一二日

都道府県知事あて

労働省職業安定局長、建設省住宅局長通達


炭鉱離職者向公営住宅の建設等について


炭鉱業の合理化に伴い、産炭地域において多数の離職者の発生がみられており、これら炭鉱離職者の再雇用を促進するために移転就職者の住宅問題を解決することが緊急の課題となっていることは御承知のとおりである。
このため、政府は、雇用促進事業団の設置する移転就職用宿舎の大量建設等の施策に加え、今後建設する公営住宅の入居に際しては、その一部について、地方公共団体の協力を得て炭鉱離職者を優先的に取り扱うよう措置することとし、本年一一月二九日の閣議決定「石炭対策大綱」(別紙参照)において、この旨を決定したところである。
ついては、今般、炭鉱離職者向公営住宅建設等実施要領を別紙のとおり定め、実施することとしたので、貴管下市町村に対してもこの旨を周知徹底され、炭鉱離職者向公営住宅の建設等について格段の御配慮を賜わるようお願いする。



(別紙)

炭鉱離職者向公営住宅建設等実施要領

移転就職をする炭鉱離職者で住宅に困窮しているものを優先的に入居させる公営住宅(以下「炭鉱離職者向公営住宅」という。)の建設等は、この実施要領に定めるところにより行なう。
1 計画

1 種別

第一種及び第二種公営住宅とする。

2 関係機関の協議

炭鉱離職者向公営住宅の建設計画の策定及び事業の実施に当っては、都道府県の住宅主務部局及び職業安定主務部局は、相互に連絡、調整をはかったうえ、関係市町村と十分協議するものとする。

3 手続

(1) 都道府県の住宅主務部局は、翌年度の公営住宅建設計画を建設省住宅局長宛に提出するに際して、職業安定主務部局及び市町村と十分協議して、当該計画のうち炭鉱離職者向公営住宅に充当するものについて、事業主体名(都道府県営分については、建設地を含む。)及び種別戸数を明記するものとする。
(2) 建設大臣は、年度当初に都道府県の区域ごとの公営住宅の建設戸数を内示するに当っては、炭鉱離職者向公営住宅に充当するものについて、労働大臣と協議のうえ、その戸数を明示するものとする。
(3) (2)の内示に基づき、都道府県の住宅主務部局が事業主体別事業実施計画を立案し、建設大臣に提出する際には、炭鉱離職者向公営住宅に充当するものについて、職業安定主務部局と協議のうえ、その旨を明示するものとする。

建設大臣は、事業実施計画の承認を行なう場合には、炭鉱離職者向公営住宅に充当するものについて、事前に労働大臣に連絡するものとする。

(4) 事業実施計画の承認があった場合、都道府県の住宅主務部局は、直ちに職業安定主務部局に通知するものとする。
(5) 事業実施計画の承認があった後において、炭鉱離職者向公営住宅の実施計画を変更しようとする場合には、都道府県の住宅主務部局は、職業安定主務部局と協議のうえ、一般の公営住宅の場合と同様、事業実施計画の変更等の手続をとるものとする。
(6) 都道府県の職業安定主務部局は、炭鉱離職者向公営住宅の建設について、建設計画及び事業実施計画を労働省職業安定局長に報告するものとする。
(7) 炭鉱離職者向公営住宅が建設され、入居者が確定したときは、都道府県の職業安定主務部局は、速やかにその旨を労働省職業安定局長に報告するものとする。

2 入居

炭鉱離職者向公営住宅への入居に際しては、その選考をする場合において、公営住宅法第一八条の規定に基づき、同法施行令の定めるところにより、炭鉱離職者求職手帳の発給を受けた者で、次の各号の一に該当するものを住宅困窮度が著しく高いものとして優先的に取り扱うものとする。
(1) 雇用促進事業団が貸与する移転就職者用宿舎(以下「移転就職者用宿舎」という。)に現に入居している者。
(2) 移転就職者用宿舎に入居したことがない者で、広域職業紹介活動にかかる公共職業安定所の紹介により就職し、かつ、当該就職後二年を経過していないもの。

3 証明

二の各号に掲げる事項のうち、移転就職者用宿舎の入居に関する事項については雇用促進事業団の支部長が、それ以外の事項については公共職業安定所長が、それぞれ証明するものとする。

4 経過措置

炭鉱離職者であった者であって昭和三八年一月一日現在において移転就職者用宿舎に入居しているものは、二の入居については、炭鉱離職者求職手帳の発給を受けた者とみなすものとする。


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