老人、身体障害者等の公営住宅への単身入居については、従来より「公営住宅法の一部を改正する法律の運用について」(昭和五五年一〇月三一日付け建設省住総発第一七〇号)によりご配慮をお願いしているところであるが、平成一二年七月一四日付け政令第三八一号をもって公営住宅法施行令(昭和二六年政令第二四〇号)の一部が改正され、身体上又は精神上著しい障害があるために常時の介護を必要とする老人、身体障害者等の公営住宅への単身入居の入居者資格の認定の要件及び手続が明確化されたことに伴い、昭和五五年一〇月三一日付け建設省住総発第一七〇号の記の一部を左記のとおり平成一二年一〇月一日から改正することとしたので、これに御留意の上、改正政令の適正かつ円滑な施行に特段の御配慮をお願いする。
第1 入居者資格の認定の要件及び手続
単身入居の申込者が、公営住宅施行令(昭和二六年政令第二四〇号。以下「令」という。)第六条第一項に規定する要件に該当するかどうかについての事業主体の判断は、次により行うものとする。
なお、当該事業主体の判断に当たっては、市町村等の福祉主管部局等と緊密な連携を保ち適切に行うよう配慮するとともに、入居者資格の審査に関して知り得た入居申込者の実情等プライバシーの保護に配慮するものとする。
1 令第六条第一項各号に該当することの証明等
(1) 令第六条第一号から第六号までのいずれかに該当することの証明については、「公営住宅法の一部を改正する法律の施行について」(昭和五五年八月一日付け社生第一〇三号、建設省住総発第一〇五号。以下「局長通知」という。)第1の2(1)に定めるところによるものとし、証明書の様式については別記様式1又は別記様式1の2を参考とするものとする。
なお、実務上の手続きとしては、公営住宅入居申込書に該当条項欄を設けて入居申込者に作成させ、これを次表の確認方法により確認するほか当該申込書を関係部局に回付して証明を受ける方法によることも考えられるものである。
区分
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確認方法
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令第六条第一項第一号
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住民票又はその写しの提出
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〃 第二号
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身体障害者手帳の提示又はその写しの提出
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〃 第三号
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戦傷病者手帳の提示又はその写しの提出
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〃 第四号
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医療特別手当証書又は特別手当証書の提示又はその写しの提出
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〃 第五号
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直近の保護決定通知書の提示又はその写しの提出
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〃 第六号
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永住帰国者証明書の提示又はその写しの提出
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(2) 第六号の引揚者について
「海外からの引揚者」とは、終戦に伴って発生した事態に基づき、海外から本邦に永住を目的として帰国する者で次のイ又はロに該当するものとして厚生労働省社会・援護局長が証明したものをいう。
イ ソビエト社会主義共和国連邦、樺太、千島、朝鮮、関東州、満州及び中国本土の地域において、終戦時の混乱等諸般の事情から残留を余儀なくされていた者で、永住帰国者であると証明されたもの
ロ 軍人軍属で特別の事情のもとにイ以外の地域の外地に残留を余儀なくされていた未復員者で本邦に帰還するもの
(3) 世帯分離による単身入居について
同居親族がありながら、これと別居して公営住宅に入居しようとする者の別居の必要性の有無は、その者が令第七条の各号の一に該当する事情にあり、親族と別居することが止むを得ないと判断されるか否かを基準として行うものとする。
2 令第六条第一項ただし書に規定する者に該当するかどうかの判断
入居申込者が令第六条第一項ただし書に規定する者に該当するかどうかの事業主体の判断は、局長通知第1の2(2)により行うものであるが、当該判断は次の事項に留意し、入居申込者の心身の状況、日常生活上の基本的な動作における常時の介護の必要性、受けることができる介護の内容等を総合的に勘案して行うものとする。
(1) 令第六条第一項ただし書の内容
身体上又は精神上著しい障害があるために常時の介護を必要とする老人、身体障害者等のうち、単身入居の入居者資格が認められない者の要件を「居宅においてこれを受けることができず、又は受けることが困難であると認められる者」としたものである。常時の介護を必要とする者とは、身体上又は精神上の著しい障害のため常時臥床しており、かつ、その状態が継続すると認められる者、あるいは、身体上又は精神上の著しい障害のため常時臥床していないが、入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の大半を介護によらなければならない状態にあり、かつ、その状態が継続すると認められる者をいう。
(2) 令第六条第一項ただし書に規定する者に該当するかどうかの判断の手続
単身入居の入居申込者が令第六条第一項ただし書に規定する者に該当するかどうかについて事業主体が判断を行う場合は、次の手続きによるものとするほか、必要に応じて適切と認める方法により行うものとする。
1) 入居申込者から提出を受ける書類
事業主体は、入居申込者が令第六条第一項ただし書に規定する者に該当するかどうかについての判断を行う場合は、入居申込者から単身入居の入居者資格認定のための申立書の提出を受けるものとし、申立書の様式は別記様式2を参考とするものとする。
また、当該判断を行うに当たって入居申込者の心身の状況等について専門的な所見が必要であると認める場合は、入居申込者に医師の診断書等の提出を求めることが考えられるものである。
2) 入居申込者の面接
事業主体は、令第六条第二項の規定に基づき、必要があると認めるときは、当該職員をして、入居申込者に面接させ、その心身の状況、受けることができる介護の内容その他の必要な事項について調査させることができるものである。
3) 市町村への意見照会
事業主体は、令第六条第三項の規定に基づき、必要があると認めるときは、市町村に意見を求めることができるものであり、意見書の様式は別記様式3を参考とするものとする。
なお、事業主体は、市町村への意見照会をすることがあることについて入居申込者に事前の周知を図る等の配慮をするものとする。
第2 管理運営
単身入居制度の円滑な実施を図るための措置は、局長通知第1の5によるもののほか次の事項に配慮して管理運営を行うものとする。
1 入居者及び団地入居者への啓発
単身入居者の実情に応じて、電気、ガス、給排水等住宅設備の取扱等安全管理の徹底を図るとともに、緊急時等における近隣住宅の入居者、知人、事業主体等に対する連絡方法等の確認等、入居者管理に配慮するとともに、当該団地住民に対する啓発を図るものとする。
2 市町村等との連携の強化
事業主体は、市町村等の福祉主管部局等との連携を強化し、老人、身体障害者等の単身入居の入居者資格の認定の適正な運用に努めるとともに、単身入居者の心身の状況の変化により日常生活を営むのに支障が生じた場合には、入居者の意向等をふまえつつ入居者の心身の状況に応じた居宅における介護の実施・福祉施設への入所等の適切な対応がなされるよう市町村等の福祉主管部局等と緊密な情報交換を行うよう努めるものとする。
第3 住宅の選定等
単身入居の実施に当たっては、当該事業主体における小規模住宅の管理戸数及びその空家発生状況等公営住宅のストックの状況、単身者及び他の世帯の入居申込状況等を考慮し、世帯構成及び住宅困窮度に応じた適切な住宅の供給がなされるよう配慮するとともに、住宅の選定に当たっては、当該事業主体における建替事業、住戸改善事業等既存住宅の活用計画との関連に留意して行うものとする。