住総発第九四号
昭和六〇年四月六日

都道府県担当部局長あて

住宅総務課長通達


中国残留日本人孤児の公営住宅の入居の取扱いについて


中国残留日本人孤児の公営住宅の入居については、引揚者であることから従来より「特定目的公営住宅の取り扱いについて」(昭和四〇年四月七日住発第一〇七号住宅局長通達)」及び「特定目的公営住宅等の入居事務について(昭和四五年一一月一八日住総発第二二三号住宅局長通達)」に則し、格別の御配慮をいただいているところであるが、このたび、身元未判明の中国残留日本人孤児についても政府として別紙のとおりの方針で対応することとしたので、公営住宅の入居については身元判明の中国残留日本人孤児と同様に取り扱うこととされたい。
また、その供給については、関係部局と密接に連絡調整を図り、実施することとされたい。
なお、貴管下事業主体についてもこの旨周知を図られたい。



(別紙)
(昭和六〇年三月二九日)
(援発第二〇六号)

各都道府県知事 殿

厚生省援護局長

身元未判明の中国残留日本人孤児の受入れについて
(通知)

中国残留日本人孤児対策については、かねてから格別の御配意を煩わしているところであるが、このたび、身元未判明の中国残留日本人孤児の我が国への永住受入れに関する中国政府との細目協議が整い、左記のとおりその永住受入れ及び定着援護を実施することとしたので通知するとともに、日本社会への定着化等について、貴職の特段の御協力をお願いする。
なお、本件については、昨年三月に日中両国政府間で交換された中国残留日本人孤児問題の解決に関する口上書において、日中間の基本的合意が得られ、その後、具体的受入れ方法について両者で協議していたところ、このたび、日本側の受入れ案に対し、中国側の了解が得られたものである。
1 援護の対象者

援護の対象となる者は、次に掲げる者である。
(1) 中国残留日本人孤児であって、厚生省が実施した肉親捜しのための訪日調査によっても身元は判明しないまま、永住の目的をもって本邦に帰国するもの(以下「身元未判明帰国孤児」という。)
(2) 身元未判明帰国孤児が同伴して帰国する配偶者(内縁を含む。)及び未成年の子(二〇歳未満の未婚の者)
(3) このほか、身元未判明帰国孤児が同伴して帰国する次に掲げる者等であって、厚生省援護局長が前記(2)の者に準ずる者として取り扱うことを適当と認めた者

ア 身元未判明帰国孤児以外に扶養する者がいない養父母
イ 独立して生計を維持することができないため、身元未判明帰国孤児と住居及び生計を共にし、身元未判明帰国孤児が扶養している成年の子(未婚の者に限る。)

2 帰国旅費の国庫負担

中国の居住地から日本の落着先までの帰国に必要な旅費を負担する。

3 引揚証明書の交付

帰国時に、身元未判明帰国孤児に引揚証明書を交付する。

4 帰還手当の支給

帰国時に帰還手当を支給する。

5 帰郷雑費の支給

帰国時に帰郷雑費を支給する。

6 身元引受人のあっせん

身元引受人があらかじめ決っていない身元未判明帰国孤児に対しては、別に定めるところにより厚生省援護局に登録されている身元引受人をあっせんする。

7 中国帰国孤児定着促進センターへの入所

帰国直後四カ月間、中国帰国孤児定着促進センターにおいて、日本語の研修及び生活習慣の指導を行う。
なお、同センターの退所後は、前記6に掲げる国があっせんした身元引受人の近隣で定着することとなる。

8 定着先における援護

定着先においては引揚者生活指導員の派遣等従来からの引揚者世帯と同様の援護を行う。

9 関係省庁における施策

文部省、労働省及び建設省とは、身元未判明帰国孤児世帯について、従来の引揚者世帯と同様の施策を行うことについて協議済みである。

10 実施期日等

(1) 前記の援護は、昭和六〇年四月一日から実施する。

ただし、昭和五九年三月一七日以後昭和六〇年三月三一日までの間に帰国した者については、前記2に掲げる援護以外の援護を行う。

(2) 昭和六〇年四月一日以後、前記2に掲げる帰国旅費の国庫負担を受けずに帰国した者に対しても前記2に掲げる援護以外の援護を実施する。

ただし、4及び9の援護については帰国後一年以内に申し出があった場合に限る。


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