住総発第一二四号
昭和六三年一二月一日

都道府県知事あて

住宅局長通達


特定目的公営住宅の供給について


母子世帯向公営住宅、老人世帯向公営住宅、炭鉱離職者向公営住宅、特別低家賃公営住宅、引揚者向公営住宅、心身障害者向公営住宅、農山漁村向公営住宅及び集落再編成向公営住宅(以下「特定目的公営住宅」という。)は、住宅困窮度が特に高い者に対する社会福祉を増進することを目的とするものであることから、各事業主体はその社会的重要性を十分認識し、今後とも重点的にその供給の推進を図るよう努められたい。
特定目的公営住宅の取扱いについては、従来のそれぞれの特定目的公営住宅関係通達に基づくほか、「特定目的公営住宅の取扱いについて」(昭和四〇年四月七日住発第一〇七号)によっていたが、今後は、本通達によることとしたので、左記事項に留意の上、その運用に遺憾のないようにされたい。
おって、貴管下事業主体に対してもこの旨周知徹底されたい。
また、この他、事業主体において、これらに準ずる特定の目的のために公営住宅を供給する場合についても、本通達の趣旨に則り、取扱われたい。
なお、本件については、厚生省及び労働省の担当部局と打合せ済みである。

1 特定目的公営住宅の供給計画について

特定目的公営住宅の供給計画については、それぞれの関係部局との相互連絡、調整を密にし、住宅需要を的確に把握し、住宅建設五箇年計画をも勘案の上、長期的な供給計画に基づいて実施するものとする。
なお、特定目的公営住宅の供給に当たっては、新規建設分だけでなく空家入居等も含めて弾力的に運用されたい。

2 入居者の募集及び選考について

(1) 特定の公営住宅を特定目的公営住宅と限定するのではなく、原則として、一般の公営住宅の中で、特定の目的のために一定の枠を設けて、募集及び入居の取扱いを行うものとする。
(2) 入居者の選考に際しては、公営住宅法第一八条の規定により、当該世帯を住宅困窮度が著しく高いものとして優先的に取扱うものとする。
(3) 入居者の募集及び選考については、それぞれの特定目的公営住宅の性格、地域の住宅需給の実態等に応じ種々の方法が講ぜられ得るが、別添資料を参照の上、事業主体で適切と思われる方法を採用されたい。
(4) 良好なコミュニティーの形成に資するため、特別仕様の特定目的公営住宅の場合を除き、適宜入居の分散を図るものとする。

3 家賃の決定について

特定目的公営住宅は、その性格上、家賃の減免等を行うことが望ましいが、この場合、公営住宅法第一二条第一項又は第一三条第一項の規定による家賃の決定額は、一般の公営住宅の例によるものとし、家賃の減免等は同法第一二条第二項等の規定により、当該入居者について行うよう措置するものとする。


(別添資料)

特定目的公益住宅入居者の募集及び選考

特定目的公営住宅の募集及び選考については、その趣旨にかんがみ、特定目的公営住宅入居資格者で住宅困窮度の高い者から順に入居させることが望ましいので、できる限りそれぞれの住宅困窮登録者名簿(以下、「名簿」という。)を設け、これにより選考するものとする。
名簿には所定の方法により、特定目的公営住宅に入居申込みのあった資格該当者を補追し、既登録者から住宅困窮事情の変更の申出のあった場合には、実情調査の上これを加除する等、常に適切に現状把握に努めるとともに、選考に当たっては、一定の選考基準を設け、その適正な執行を期する必要がある。
なお、公募方法の一般的な例を示せば次の通りである。
(一) 団地ごとに戸数枠を設けて公募する方法

団地ごとに特定目的公営住宅の戸数を明示して、一般公営住宅と同時に公募し、その戸数枠内で選考する方法。この場合、特定目的公営住宅の入居希望者が募集戸数に達しない場合は、残戸数は一般枠として選考する旨、あらかじめ募集の際、明示しておくことが望ましい。

(二) 数団地の中の戸数枠の合計を明示して公募する方法

数団地同時に公募が行われる場合、特定目的公営住宅の戸数を団地ごとに明示せず、数団地の合計の戸数枠を明示して公募する方法。この方法は特定目的公営住宅の戸数枠の比率が比較的小さな場合は便利であるが、比率が大きい場合には特定の団地に集中して一般公営住宅とのバランスを失するおそれがあるので注意するものとする。

(三) 当選率を有利にする方法

特に戸数枠を設けないで、抽選による当選率を一般の入居希望者より何倍か有利に取扱うことを明示して一般公営住宅と同時に公募する方法。この方法は、特定目的公営住宅入居希望者の実態が把握し難い場合に便利であるが、前年度の公募の際の希望者について、特定目的公営住宅該当者の分析を行って適当な優先倍率を定めるものとする。


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