住総発第一一一号
平成五年六月三〇日

都道府県知事あて

住宅局長通達


公営住宅の収入超過者及び高額所得者に対する措置について


標記については、かねてから格段の御配慮をお願いしてきたところであるが、現在においてもなお、多数の低額所得者が公営住宅への入居を希望している一方で低廉な家賃で公営住宅に入居を継続している収入超過者及び高額所得者が累増している、という状況があり、公的援助の公平性・効率性の観点から、その一層の適正化を図ることが喫緊の課題となっている。公営住宅は、住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸住宅を供給することを目的として建設されているものであり、その趣旨から、公営住宅法において収入超過者及び高額所得者に対する措置等についての規定がなされているものである。このような法の趣旨に則り、収入超過者及び高額所得者に対する措置を適正に実施するため、下記により遺憾のないよう図られたい。
おって、貴管下事業主体に対してもこの旨を周知徹底させ、その指導につき、格段の御配慮をお願いする。

1 収入超過者制度及び高額所得者制度の周知について

入居者募集、入居、収入超過者認定、高額所得者認定等、入居者に接する各種の機会を通じて入居者に対し公営住宅法の趣旨及び目的(施策対象層、補助制度、家賃制度等)を周知し、十分な理解を求めるとともに、収入超過者制度及び高額所得者制度が公営住宅法の趣旨及び目的、ひいては社会的公平を実現するために不可欠なものであり、そのため、収入超過者及び高額所得者に対する措置を適正に実施する必要があることを併せて周知し、入居者の理解を得るよう努めること。
また、公営住宅について地域住民の理解を得られるよう、公営住宅法の趣旨、目的及び管理の状況等について広報に努めること。

2 収入超過者及び高額所得者の認定について

収入調査を確実に実行し、収入超過者及び高額所得者の認定を行うとともに、その旨を収入超過者及び高額所得者に対して文書で通知すること。その際、前記1に従い収入超過者制度及び高額所得者制度について周知の徹底を図るとともに、収入超過者に対しては課されている明渡し努力義務を喚起し、高額所得者に対しては明渡し請求の対象となることを十分に認識させ明渡しに積極的に応ずるよう指導等に努めること。

3 収入超過者及び高額所得者に対する住宅のあっせん等について

収入超過者及び高額所得者に対しては、公営住宅の明渡しを円滑かつ容易に行うため、その実情を踏まえ、他の住宅、特に住宅・都市整備公団住宅、公社住宅、特定優良賃貸住宅等の公的資金による住宅のあっせん等に努めること。
特定優良賃貸住宅等については、特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律が去る平成五年五月二一日に公布されたところであり、当該制度を的確に活用しあっせんに努めること。
なお、あっせん等に際しては、収入超過者及び高額所得者の住替えについての具体的な希望を面談等により十分把握して適切に行うよう努めること。

4 適正な割増賃料等の徴収について

割増賃料は、公営住宅法第一三条第三項に規定する月割額(以下「法定限度額」という。)に割増倍率を乗じた額まで徴収することができることになっているが、実際には、法定限度額よりも低額に設定された家賃に単に割増倍率を乗じ、割増賃料を徴収している事業主体が多く見受けられる。公営住宅の本来の施策対象層ではなくなった収入超過者及び高額所得者からは、市場家賃等に照らし適切な家賃負担を求めるという法の趣旨を考えると、このような取扱いは妥当とは言い難い。入居者の収入に応じた公平な割増賃料等の体系とするため、今後は、原則として次の方法により、割増賃料等の徴収を図ること。
(1) 割増賃料の額については、法定限度額に割増倍率を乗じて算出する。
(2) 高額所得者については下記五により明渡し請求を行うことを原則とするが、明渡しがなされるまでの間、(一)により割増賃料を徴収するほか、法定限度額をもって家賃として設定する。
(3) (1)にかかわらず第一種公営住宅において割増倍率が〇・二とされている収入の範囲の者並びに第二種公営住宅において割増倍率が〇・三及び〇・五とされている収入の範囲の者については、激変緩和の観点から、法定限度額によらずに割増賃料を算定することも差し支えない。
(4) この方法による割増賃料等の引上げにより、家賃負担の急激な増加となる場合においては、適宜、公営住宅法施行令第六条の二第二項に掲げる表の区分の細分化、経過措置の設定等を行う。
なお、適正な家賃設定に併せた割増賃料徴収が行われてはじめて収入超過者に対する措置として的確なものとなるものであるから、家賃の不均衡是正等を図るため適宜家賃改定を行うこと。
現行の収入基準でこの方法による割増賃料等の体系は、別紙のようになるので参考にされたい。

5 高額所得者に対する明渡し請求の徹底について

高額所得者に対しては、入居者及びその同居親族に係る特別な事情を十分に斟酌した上で、明渡し請求を行うこととし、法の的確な運用に努めること。
また、明渡し請求を拒否している高額所得者に対しては、その収入の程度、明渡し請求後引き続き入居を継続している期間、あっせん等に対する対応等を勘案のうえ、順次裁判上の明渡し請求を提起する等本制度の実効性の確保に努めること。

6 同居承認における取扱いについて

入居名義人の入居の際に同居を認められた親族以外の親族を当該住宅に同居させようとする際には、特別な事情がある場合を除き、当該同居により公営住宅法施行令第六条の二第一項に規定する収入基準を超えることとなる場合(以前から収入基準を超えている場合を含む。)はその同居を承認しないこととすること。

7 入居承継承認における取扱いについて

入居名義人が同居の親族を残して死亡し、又は退去した場合において当該同居の親族が引き続き当該住宅に入居を希望する際には、特別な事情がある場合を除き、入居承継を希望する者の収入が公営住宅法施行令第六条の三第一項に規定する収入基準を超えることとなる場合は、その入居の承継を承認しないこととすること。その際、当該同居の親族の居住の安定を損わないよう、必要に応じて一定の猶予期間を設ける等の弾力的な運用を図るよう配慮すること。

8 条例等の整備について

収入超過者、高額所得者に対して公営住宅法の趣旨に即した適切な措置を執ることができるよう、速やかに条例等の整備に努めること。

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