都道府県住宅主務部長あて
記
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(別紙1) 相当程度機能低下した公営住宅に係る判定基準
公営住宅法第二三条の四第二号に基づき公営住宅としての機能が災害その他の理由により相当程度低下していると認められる公営住宅は、左記1のとおりの調査を行ったうえで、左記2の判定基準に適合すると認められたものとする。
1 調査方法
判定の対象とする公営住宅団地について、以下の各事項について分析を行うこと。
(1) 防災の安全性
建物まわり、バルコニー、共用階段、共用廊下及び玄関扉について設計図書及び目視等により、以下の項目について調査を行う。
なお、調査対象の住棟すべてについて調査を行うとともに、バルコニーの仕様等に関する目視調査については原則として全住戸について行い、階段等については、各住棟で一箇所以上行うこと。
1) 住戸からの二方向避難の確保
2) 共用階段等の避難路の安全性及び防煙性能
3) 出火拡大防止性能(厨房の出火防止性能、バルコニー及び玄関扉の延焼防止性能)
4) 消防活動性能
(2) 建築の安全性・劣化度
団地内における建設年度別の住棟の分布に配慮して、住棟を抽出したうえで以下の調査を実施すること。
1) 躯体
ア 不同沈下
不同沈下に起因するひびわれの有無を目視により分析する。
イ コンクリートの強度
原則として一棟につき三本の供試体を採取して強度を測定し、設計基準強度との比較を行う。
ウ コンクリートの中性化深さ及び鉄筋腐食
一棟について三カ所以上鉄筋のはつりだし等を行い、中性化及び腐食の進行状況について分析を行う。
2) 仕上げ
ア 屋根、庇
平場、立ち上げ部、手すり、庇の各部位ごとに劣化状況及び劣化部分の分布状況について分析を行う。
イ 外壁、外部建具
壁面、開口まわり、サッシ、樋の各部位ごとに劣化状況及び劣化部分の分布状況について分析を行う。
ウ バルコニー
床、立ち上げ部、手すり、及びあげ裏の各部位ごとに劣化状況及び劣化部分の分布状況について分析を行う。
エ 階段室及び廊下
踏み面・床、あげ裏、内壁・パラペット及び手すりの各部位ごとに劣化状況及び劣化部分の分布状況を分析
(3) 設備の安全性・劣化度
以下の各部位について、目視等により各棟単位に目視等により劣化状況等について分析を行う。
1) 給排水衛生設備
受水槽、高架水槽、ポンプ、揚水管、給水管、バルブ、配水管、浄化槽、洗面器及び便器等
2) 換気設備
排気ファン、フード及び排気等
3) ガス設備
風呂釜、煙道、コック及びバルブ等
4) 電気設備
引き込み関連設備、照明設備及びテレビ共聴アンテナ等
(4) 社会的陳腐化度
以下の項目について、目視等によりその性能について分析を行う。
1) 住宅性能
ア 住戸の規模
イ 浴室の有無
ウ 食寝分離の確保
エ 洗濯機置き場及び収納空間等の有無
オ その他断熱性能、遮音性能、通風、プライバシー等
2) 日常安全性能
ア ガスカランの過流防止装置等の有無
イ 換気設備の有無
ウ 暖房器用スリーブの有無
エ 窓、バルコニーからの転落危険性
オ 室内の段差の状況
3) 設備性能
ア 流し台、電気容量、コンセント数及び照明器具等の設置状況
イ 電気容量及びコンセントの数
ウ 共聴アンテナの設置状況
4) 社会性
ア 建設後の経過年数と耐用年数との比較
イ 景観の周辺との調和
5) 付帯施設性能
ア 駐車用スペースの設置状況
イ 自動車置き場、ゴミ置き場の設置状況
2 相当程度機能が低下していると認められる公営住宅の判定基準について
対象団地について上述の分析を行った結果、以下のいずれかに該当すると判断される団地については、公営住宅としての機能が相当程度低下しているものとする。
(1) 緊急時の避難の際の安全性に大きな問題があり、かつ、増改築による対応が困難であると認められるもの
(2) 防災安全性、建築の安全性、劣化度、設備の安全性・劣化度及び社会的陳腐化度それぞれの項目に挙げられたすべての調査事項に係る分析結果を総合的に判断して相当程度の劣化の進行等が認められるもの
3 その他
前述の判定を行う際は、対象団地について速やかに建替事業を実施する場合と、耐用年限の一/二を経過するまでの間修繕で対応したうえで建替事業を実施する場合との要する費用等に係る比較を行い参考とすること。
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(別紙2) 建替事業を促進するための諸制度
1) 公共賃貸住宅総合再生事業
公共賃貸住宅団地(公営・公団・公社)の有効活用を図るため、建替事業を総合的・計画的に行うための計画策定費補助(補助率一/二)
ア 建替促進計画策定(四年度新規)(対象事業費一三、七一一千円/都道府県)
都道府県が、公共賃貸住宅一〇箇年戦略をうけて、建替促進計画を策定する場合の策定費補助
イ 再生マスタープラン策定(対象事業費一〇、三〇〇千円/件)
地方公共団体(主として市町村)が、当該市町村の区域の公共賃貸住宅の建替事業に係る総合的な計画を策定する場合の策定費補助
ウ 再生プロジェクト推進計画策定(対象事業費七七〇千円/ha)
大規模な公営住宅又は複数の公共賃貸住宅が集団的に存する区域において、他の公共賃貸住宅または生活利便施設等を導入することにより団地を再生するための計画を策定する場合の策定費補助
平成四年度より建替重点団地を対象団地に追加
エ 建替団地計画策定(対象事業費七七〇千円/ha)
個別の団地について建替事業の実施計画等を策定する場合の策定費補助
2) 建替等移転助成事業
法定建替、公共賃貸住宅総合再生事業及び改良住宅等建替事業について、移転費(九二千円/件(四年度)仮住居借上費(四二千円/月)を助成
平成四年度より建替重点団地を対象団地に追加
3) 地域リロケーション住宅供給事業
地域リロケーション住宅供給計画に基づき供給される公営・公団・公社の建替事業に係る従前居住者の移転用住宅に対し以下を助成
ア 計画策定費補助(補助率一/二、対象事業費二一千円/戸)
イ 建設・用地費補助(補助率一/三、再開発住宅として建設)
4) 建替の激変緩和家賃対策補助
公営住宅等の建て替えに伴う従前居住者の急激な家賃上昇に対する激変緩和を行うために地方公共団体が行う家賃減額に対して助成を行う。
ア 対象事業
・公営住宅法に基づく公営住宅建替事業
・再生マスタープラン又は再生プロジェクト推進計画に基づく公営住宅の建替事業
・建替重点促進計画において定められた建替重点団地で行われる公営住宅の建替事業(四年度より拡充)
・改良住宅等建替事業
イ 対象者
・公営住宅等に再入居する者
・対象事業の実施に伴い公団・公社住宅から公営住宅に入居する者(四年度より拡充)
ウ 補助率
・第一種住宅 一/二
・第二種住宅 ・改良住宅 二/三
エ 補助対象額
地方公共団体が行う家賃減額であって、建替後の家賃のうち建替前の面積分に係るものと建替前の家賃(物価補正後)との差額
オ 入居者負担額の年上昇率 五%(但し、公営住宅等家賃対策補助金交付要綱に規定する特定従前居住者(高齢者・心身障害者世帯・母子世帯(それぞれ第二種公営住宅収入階層))については三%)(四年度より拡充)
カ 補助期間 七年(但し、公営住宅等家賃対策補助金交付要綱に規定する特定従前入居者(高齢者・心身障害者世帯・母子世帯(それぞれ第二種公営住宅収入階層))については入居者負担額が限度額に達するまでの期間)(四年度より拡充)
5) その他
公営住宅の建て替えに伴う移転者については、地域特別分譲住宅の入居収入基準の上限が所得分位六〇%の金額まで引き上げられているので留意すること。
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