建設省住建発第五三号・住生発第九二号
平成四年四月九日

住宅局住宅建設課長・建設省住宅局住宅生産課長通達



環境共生住宅建設推進事業の実施について


地球規模の環境問題は二一世紀に向けて人類が直面している最大の課題の一つであり、地球の温暖化やオゾン層の破壊等に対し、早急な対応が求められており、国民の関心はかつてなく高まってきているところである。
これに対し、従来より、「エネルギーの使用の合理化に関する法律(昭和五四年六月二二日 法律第四九号)」による住宅の省エネルギー基準に基づき断熱構造化を推進してきており、平成四年二月には省エネルギーを一層推進する観点から本基準の改正・強化を行ったところであるが、今後は、こうした省エネルギー施策の充実と併せて、自然エネルギーの活用、廃棄物の削減及びリサイクルの推進等総合的な環境対策を行っていく必要がある。
この様な観点から、平成四年度より、気候、風土、地域環境等の特性を踏まえて、石油、天然ガス等化石燃料の削減、太陽光等自然エネルギーの活用、水循環や廃棄物のリサイクルを考慮する等地球環境に対する負荷を低減する住宅(環境共生住宅)の普及を計画的、一体的に推進するため、環境共生住宅、住宅団地の建設に係る計画の策定を行う環境共生住宅建設推進事業を創設した。
本事業は、「公営住宅等関連事業推進事業制度要綱」(平成六年六月二三日付け建設省住建発第五五号住宅局長通達)第2に規定する住宅マスタープランのうち同第一項第七号に定める地域の住文化等に係る住宅供給に係る事項を含む計画において環境共生住宅建設基本計画を策定するものであり、本事業の推進については同通達に基づくほか左記に定めるところによる。
また、貴管下市町村に対してもこの旨周知徹底方お願いするとともに、本事業の趣旨を理解され、貴管下市町村に対する指導及び所要の支援措置を講じられるようお願いする。

1 環境共生住宅建設基本計画の策定

環境共生住宅建設推進事業を実施する地方公共団体は、地域環境の保全、周辺環境との調和及び住宅内の居住環境の健康性、快適性等の実現について配慮し、また、地域の特性を考慮した上で、別添「環境共生住宅市街地ガイドライン」に即して以下の事項に関する計画を策定するものとする。
(1) 環境共生住宅整備に関する基本方針
(2) モデル住宅団地における環境共生住宅建設に係る計画

1) 団地の位置及び規模
2) 住宅及び関連施設の建設に関する基本的な方針
3) 住宅及び関連施設の建設計画
4) 事業計画
5) 管理・運営計画


(別添)

環境共生住宅市街地ガイドライン

I 基本方針

環境共生住宅市街地とは、地球温暖化防止等の地球環境保全を促進する観点から、地域の特性に応じ、エネルギー・資源・廃棄物等の面で適切な配慮がなされるとともに、周辺の自然環境等を調和し、健康で快適に生活できるよう工夫された住宅及び住環境を意味し、次の基本的要件を満たす住宅市街地であること。
(1) 省エネルギー、自然エネルギーの活用、資源の有効利用及び廃棄物の消滅等により地球環境の保全について、十分な配慮がなされていること。
(2) 自然環境等の周辺環境との調和について、十分な配慮がなれていること。
(3) 健康的で快適な居住の実現等について、十分な配慮がなされていること。

II 計画項目

住宅の建設、市街地の整備にあたっては、以下の計画項目について個々の住宅市街地の特性に応じ適切な技術要素を積極的に適用すること。
1 省エネルギーについて

(1) 住宅の断熱構造化等による冷暖房負荷の低減
(2) 住宅設備の省エネルギー化による照明、給油エネルギー等の削減
(3) 屋上緑化等による住宅市街地のヒートアイランド化の防止

2 自然エネルギー等の活用について

(1) 太陽熱、太陽光等の自然エネルギーの活用
(2) 都市廃熱等の未利用エネルギーの活用

3 資源の有効利用及び廃棄物の削減について

(1) リサイクルの推進、住宅の耐久性の向上等による資源の有効利用
(2) 廃棄物(再生利用されるものを除く。)排出量の削減
(3) 節水又は雨水利用等による上水使用量の削減

4 自然環境等周辺環境との調和について

(1) 雨水の地下浸透
(2) 親水空間の整備
(3) 十分な緑化
(4) 自然地形、自然植生及び生態系の保全等への配慮
(5) 住民参加による緑地等共同施設の維持・管理等

5 住居環境の健康性、快適性等について

(1) 光、風など自然環境の享受できる設計、構法の採用
(2) 室内の空気を汚染しない空間システムの採用
(3) 高齢者等に配慮した安全な室内空間の計画


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