地域の有する自然的・社会的条件を踏まえた住宅行政の展開については、従来より種々の施策を講じてきており昭和六一年度より地域政策割増貸付制度を実施してきたところであるが、対象住宅を加え、その一層の推進を図ることとした。
貴都道府県においても、地域特性に応じた住宅行政の総合的展開のより一層の推進を図るとともに、その一環として、地域の気候・風土等に適合した住宅建設の促進については下記により本制度の積極的な活用に努められたい。
なお、「住宅金融公庫融資に係る地域政策割増貸付制度の活用による地域特性に応じた住宅行政の展開について」(昭和六一年四月五日付け建設省民住発第一〇号・住建発第五八号)は廃止する。
一 制度の概要について
(一) 趣旨
地域の気候・風土等地域の特性にきめ細かく対応した住宅建設を促進するため、地方公共団体が行う施策の展開に呼応して、国が住宅金融公庫融資を通じてその施策を支援しようとするものである。
(二) 概要
地方公共団体において、その建設に対し助成制度が設けられている住宅について、住宅金融公庫が割増貸付を行う。
(三) 対象住宅
次の住宅対象とする。
1) 克雪住宅
豪雪地域において雪おろしの悩みを解決するため、屋根の上に降り積もった雪を暖房の余熱、太陽熱、電熱等の熱エネルギーで融かしダクト等で排水するシステム等を有する住宅
2) 高断熱構造化住宅
住宅金融公庫の現行断熱構造化工事の場合より断熱材を厚くし開口部の断熱性を向上させること等の断熱性能を高める工事を施した住宅
3) 降灰対策住宅
降灰対策地域において、火山灰の侵入防止及び効果的処理を行うため、サンルーム等を設けるとともに、屋根、雨どいに工夫を施す等の措置を講じた住宅
4) 特定地域合併処理浄化槽設置住宅
生活排水による公共用水域の水質汚濁を、防止するため、家庭から排出されるし尿と雑排水を合併して処理する浄化槽を設置した住宅
5) 特定軟弱地盤対策住宅
軟弱地盤地域において、基礎の不同沈下等を防止するため、基礎構造の強化又は地盤改良工事を施した住宅
6) 傾斜地住宅
傾斜地において自然地形に合った建物構造の工夫を行い、安全性、居住性を高めた住宅
7) 特定雨水対策住宅
次のイ又はロを実施した住宅
イ 浸水対策として行う高床工事又は防水璧等設置工事
ロ 渇水対策として行う敷地内の雨水を溜める貯溜槽の設置工事等
8) 高耐震住宅
建物の耐震性を高めるため、建物の剛化の強化、基礎構造の強化等の対策を講じた住宅
(四) 割増貸付の額
住宅金融公庫の戸当たり割増貸付額は、(三)中1)にあっては一五〇万円、2)から8)にあっては五〇万円とする。
二 対象とする住宅の基準について
(一) 基準について
地域特性に応じた住宅行政の総合的展開の一環として本制度が設けられた趣旨にかんがみ、本制度の対象とする住宅の基準は、地方公共団体が地域の特性に応じた住宅建設の推進・誘導を総合的に推進するための指針に整合するものとして定めるものとする。
(二) 基準の決定に係る事務手続きについて
1) 地方公共団体は、地域政策割増貸付の対象となる住宅の建設基準(以下「地域基準」という。)を定めようとする場合は、地域の気候・風土、社会条件等地域の政策課題を総合的に勘案し、地域基準案を作成する。
2) 地方公共団体は、地域基準案について住宅金融公庫支所と協議し、協議が整った旨の通知を受けた時は速やかに地域基準を決定するものとする。なお、協議された地域基準案については、住宅金融公庫から建設省に設置されている地域住宅建設連絡会議(構成:建設省河川局都市河川室、住宅局民間住宅課、住宅建設課、住宅生産課、建築指導課及び住環境整備室並びに住宅金融公庫(事務局:建設省住宅局住宅建設課)に諮られることとなるので、あらかじめ本会議の事務局と十分連絡調整を行うこととされたい。
3) 地方公共団体は、当該地域基準を変更しようとする場合は、前記に準じて手続きを行うものとする。