高齢化社会の到来を控え、高齢者の居住の安定を図ることが重要な課題となっているが、中でも急速に増加しているひとり暮らしの老人や高齢者のみの世帯については、その在宅生活を支援する体制を整えることが緊急に必要とされている。
このため、これらの世帯に対して昭和六二年度より、福祉施策と住宅施策の密接な連携のもとに、高齢者の安全や利便に配慮した設備・設計とするとともに福祉サービスが適切に受けられるよう十分に配慮された住宅供給を行うシルバーハウジング・プロジェクトをモデル的に実施することとし、その実施方針について左記のとおり定めたので通知する。
1 シルバーハウジング・プロジェクトの目的
高齢者の世帯が地域社会の中で自立して安全かつ快適な生活を営むことができるよう、その在宅生活を支援するため、福祉施策と住宅施策の密接な連携の下に、高齢者の安全や利便に配慮した設備・設計を行うとともに福祉サービスが適切に受けられるよう十分に配慮された住宅の供給を推進することにより、高齢者の居住の安定と社会福祉の増進に資することを目的とする。
2 定義
次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) シルバーハウジング・プロジェクト
本通知に基づき、国の補助を受けて、高齢者の生活特性に配慮した住宅及び附帯施設の供給並びにライフサポートアドバイザーにより福祉サービスの提供を行う事業。
(2) ライフサポートアドバイザー
シルバーハウジング・プロジェクトとして供給される住宅(以下「シルバーハウジング」という。)に居住している高齢者に対し、必要に応じ生活指導・相談、安否の確認、一時的な家事援助、緊急時対応等のサービスを行う者。
(3) 老人福祉施設等
在宅の老人に対し、通所又は訪問により各種のサービスを提供するデイサービスセンターその他の施設。
3 シルバーハウジング・プロジェクト事業計画の策定
(1) 事業主体はシルバーハウジング・プロジェクトを実施しようとするときは、次の事項について、シルバーハウジング・プロジェクト事業計画を策定し、別表に掲げる図書を付して、都市基盤整備公団にあっては国土交通大臣及び厚生労働大臣に、その他の事業主体にあっては地方整備局長、北海道開発局長又は沖縄総合事務局長及び厚生労働大臣に届け出なければならない。
1) シルバーハウジング・プロジェクトの位置付け
2) 事業の基本方針
3) シルバーハウジング及びその附帯施設の供給に関する事項
4) シルバーハウジング・プロジェクトとして供給される住宅及び附帯施設が存する市町村の福祉施策、老人福祉施設等を通じて提供される福祉サービス及びライフサポートアドバイザーにより提供される福祉サービスの連携に関する事項
(2) シルバーハウジング及びその附帯施設の供給を行う者とライフサポートアドバイザー又は老人福祉施設等による福祉サービスを提供する者とが異なる場合には、シルバーハウジング・プロジェクト事業計画の策定にあたって、十分協議し、調整を図るものとする。
(3) 前二項の規定は、事業主体がシルバーハウジング・プロジェクト事業計画について重要な変更を行った場合について準用する。
4 シルバーハウジング・プロジェクト事業計画の基準
シルバーハウジング・プロジェクト事業計画は、次の各号の基準を満たさなければならない。
(1) シルバーハウジング・プロジェクトの位置付け
シルバーハウジング・プロジェクトは、住宅マスタープラン(公営住宅等関連事業推進事業制度要綱第二に規定するもの)等、当該市町村の総合的な高齢者住宅施策の下に当該市町村の福祉施策との密接な連携の下で実施されるものであること。
(2) シルバーハウジングの入居者
高齢者(六〇歳以上)の単身世帯、高齢者(六〇歳以上)のみからなる世帯又は高齢者夫婦世帯(夫婦のいずれか一方が六〇歳以上であれば足りる。)であること。ただし、事業主体の長が住宅需要を鑑み特に必要と認めるときは、障害者(公営住宅法施行令(昭和二六年政令第二四〇号)第六条第一項第二号から第四号に掲げる者又は同条第四項第一号に規定する程度の障害がある者をいう。以下同じ。)の単身世帯、障害者のみからなる世帯、障害者とその配偶者のみからなる世帯又は障害者と高齢者(六〇歳以上)若しくは高齢者夫婦(夫婦のいずれか一方が六〇歳以上であれば足りる。)のみからなる世帯を入居させることができる。
(3) 住宅の供給
集団的建設に係る公的賃貸住宅(地方公共団体、都市基盤整備公団又は地方住宅供給公社等の供給する賃貸住宅)であって、高齢者の生活特性に配慮した設備・仕様がほどこされた住宅であること。
また、ライフサポートアドバイザーが、夜間における緊急時に対応する等のため、当該住宅に居住する場合には、居住に供するための住宅の供給について配慮されていること。
さらに、福祉施設連携方式により事業を実施する場合には、地域における公営住宅等及び老人福祉施設等の整備状況を総合的に勘案の上、必要に応じ公営住宅等と老人福祉施設等を合築する等の措置がなされたものであること。
(4) 福祉サービスの供給
シルバーハウジングの入居高齢者に対し、ライフサポートアドバイザーが必要に応じ生活指導・相談、安否の確認、一時的な家事援助・緊急時対応等のサービスを行うこと及び当該市町村の福祉施策との連携等について配慮されたものであること。
また、ライフサポートアドバイザーが、老人福祉施設等に配置される場合においては、安否の確認、緊急時対応等のサービスが適切になされるものであること。
5 シルバーハウジング・プロジェクトの実施
(1) 事業主体は、シルバーハウジング・プロジェクト事業計画に従って事業を実施するものとする。
(2) シルバーハウジング及びその附帯施設の供給を行う者とライフサポートアドバイザー又は老人福祉施設等による福祉サービスを提供する者とが異なる場合には、事業実施にあたっては、十分協議し調整を図るものとする。
6 国の助成
国は、シルバーハウジング・プロジェクトの実施に対して、別に定めるところにより必要な助成を行うことができるものとする。
7 都道府県の助成
都道府県は、事業主体及び当該市町村に対して必要な指導・助成ができるものとする。