住発第三〇号
昭和三五年六月六日

各都道府県知事あて

建設事務次官依命通達


住宅地区改良法の施行について

不良住宅が密集する地区の環境の整備改善を図り、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅の集団的建設を促進し、公共の福祉に寄与することを目的とする住宅地区改良法は、五月一七日法律第八四号として公布施行された。その施行に当っては左記の諸点に留意するとともに、貴下市町村の指導に遺憾のないよう貴職の特段の御配慮を煩わしたい。

命により通達する。


一 集団的に存在する不良住宅の戸数は二〇万戸にのぼるものと推定され、これが解消を図るためには積極的計画的に住宅地区改良事業を遂行する必要があるので、緊急に改良する必要のある不良住宅の密集する地区について早急に事業実施の長期計画を策定すること。
二 改良地区の整備改善に当っては、健全な住宅地区の形成及び土地の総合的合理的利用を図ることに留意し、単に改良住宅の建設を行なうにとどまらず、公営住宅等の公共的住宅の経営、公共施設、地区施設その他の施設の設置が総合的に行なわれるように努めること。
三 改良地区の居住者の収入はおおむね低額であるため改良住宅の家賃はできる限り低額とする必要があり、ことに本法制定の際衆議院において別紙のとおりの附帯決議もあるので、その減免措置については特別の配慮をすること。
四 都道府県は、住宅地区改良事業を施行する市町村に対してこの事業の施行を促進するため必要に応じてできるだけ財政上及び技術上の援助を与えること。特に改良住宅の建設な対しては、低家賃確保のため都道府県においてその建設費に対してできるだけの財政的援助を考慮されたいこと。


別紙

住宅地区改良法案に対する附帯決議

本法の施行にあたり、政府は左の点に留意し、所期の目的達成に遺憾なきを期すべきである。
一 本法の対象地区居住者は、おおむね低額所得者なることにかんがみ、改良住宅の家賃が入居者の負担を過重ならしむることにより、本法の円滑なる運営を阻害しないよう適切なる行政指導を行なうこと。
一 将来出来得る限りの予算処置を講じて改良住宅の新築戸数を増加し、すみやかに不良住宅の解消を図ること。


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