建設省住整発第 号
平成一一年 月 日

各都道府県知事あて

建設省住宅局長通達


平成一一年度における住宅地区改良事業等に係る標準建設費等の取扱い


住宅地区改良事業、小集落地区等改良事業、小規模住宅地区等改良事業及び改良住宅等改善事業に係る平成一一年度における標準建設費等の取扱いは、別添1のとおりとする。



(別添1)

平成一一年度における住宅地区改良事業等に係る標準建設費等の取扱い

第1 建設工事費を増額する場合の取扱い

建設工事費を増額する場合について、次の各項に掲げる場合における加算対象限度額はそれぞれ当該各項に定める額とし、その場合の取扱いは、それぞれ当該各項に定めるとおりとする。
(1) 特殊基礎工事を行う場合 三、〇八四千円/戸

a 杭打工事、増基礎工事等通常の基礎工事以上の工事を対象とする。
b 低層住宅についても、特殊基礎工事が必要な場合は対象とする。
c 無振動工法等の特殊工法を採用する場合も対象とする。

(2) 特別に規模増加算を行う場合 次式により算定した額(ただし、三、二四五千円/戸を超える場合は三、二四五千円/戸とする。)

D=(B′/B)×C×A

D:特別規模増加算額
B:改良住宅等(改良住宅、小集落改良住宅、小規模改良住宅、更新住宅及び既設改善関連改良住宅をいう。以下同じ。)の1戸当たり標準床面積
B′:加算対象面積
C:改良住宅等の地域別、構造別の1戸当たり建設工事費
A:加算対象戸数

(加算対象面積)

a 地域改善対策特定事業として建設される改良住宅及び小集落改良住宅については、一戸当たり標準床面積を超えるものを対象とする。ただし、準耐火構造平家建てにあっては三・三m2/戸、準耐火構造二階建てにあっては一・七m2/戸、中層準耐火構造、中層耐火構造又は高層耐火構造にあっては三・三m2/戸を限度とする。
b 量産改良住宅等については、都道府県が独自に開発し、公営住宅の標準設計として承認された設計を使用する量産改良住宅等で一戸当たり標準床面積を超えるものを対象とする。(ただし、五m2/戸を限度とする。)
c 老人同居世帯向け改良住宅等については、次の要件を満たす住宅で、標準床面積を超えるものを対象とする。(ただし、一五m2/戸を限度とする。)

イ 三以上の就寝室を有すること。
ロ 独立性の高い老人専用室を有すること。

d 心身障害者世帯向け改良住宅等については、車椅子等の生活に対する配慮のために、標準床面積を超えるものを対象とする。(ただし、一〇m2/戸を限度とする。)
e 中層(老人世帯、老人同居世帯又は心身障害者世帯の用に供するためにエレベーターを設置する場合を除き五階建てに限る。)の改良住宅等についてはエレベーターを設置するために一戸当たり標準床面積を超えるものを対象とする。(ただし、八m2/戸を限度とする。)
f 多人数世帯向け改良住宅等については、原則として六人以上の多人数世帯向けの四DK相当以上の大型住宅で、標準床面積を超えるものを対象とする。(ただし、一五m2/戸を限度とする。)

(3) 緊急通報システムを設ける場合

a シルバーハウジング・プロジェクト制度に係るもの 一、三五六千円/戸

シルバーハウジング・プロジェクトにより、改良住宅に高齢者の安全性に配慮した緊急通報システムを設けるものを対象とする。

b 老人対策のための改良住宅又は心身障害者世帯向け改良住宅に設けるもの 一九五千円/戸

(4) 法令等において設置が義務付けられた消防用設備の設置を行うものを対象とする。 一、一六二千円/戸
(5) 特殊屋外附帯工事で行う場合 一、四二〇千円/戸(合併処理浄化槽を設ける場合は二、二五三千円/戸)

特殊屋外附帯工事は、次のaからfまでに掲げるものを対象とするものとする。
a 排水処理施設

排水処理施設は、原則として合併処理施設のみを対象とし、団地外への配管工事も対象とする。また、汚水の高度処理を行う場合も対象とする。

b 自転車置場

自転車、乳母車等を置くために原則として簡単な雨よけをしてある程度の置場を設けるものを対象とする。

c 共視聴アンテナ設備

当該改良住宅等の団地の用に供する共視聴アンテナ及び屋外配線側第一分配器を対象とする。

d 植樹植栽

当年度建設の改良住宅等の用地内の植樹及び植栽を対象とする。

e 屋外消火栓、防火水槽等
f その他

高架水槽、受水槽、プロパン庫等を対象とする。

(6) 雪害防除工事を行う場合 一、八五〇千円/戸

a 多雪寒冷地区において、雪害防除のために高床構造、雪囲い風除室、階段室建具、置屋根非常用照明等の工事を行うものを対象とする。
b 高床構造については、垂直最深積雪量二m以上の地域に建設する改良住宅等に実施する場合に限り対象とする。

(7) 契約更改により工事請負契約額を増額した場合 二、六六八千円/戸
(8) 特別設備等工事を行う場合 二、六六八千円/戸

次のa又はbに掲げる世帯のための改良住宅等で、特別の設計を行うもの又は特別の設備を設けるものを対象とし、その取扱いは、それぞれa又はbに定めるとおりとする。
a 老人世帯又は老人同居世帯

イ 老人世帯にとって必要と認められる常夜灯、浴槽等の設備を設けるものを対象とする。
ロ 老人室付住宅において、便所、台所、浴室等における便器、キッチンセット、浴槽、洗面器等の設備を老人専用として設け、又はこれらの設備について老人と共用するため、一般向けとは別仕様のものを設け、及びそれらに付随する配管、防水等の設備工事を行う場合を対象とする。

b 心身障害者世帯

心身障害者にとって必要と認められる身障者向便器、洗面器、キッチンセット、浴槽、スロープ、瞬間湯沸器等の設備を設けるものを対象とする。

(9) エレベーター設置工事を行う場合 二六、七〇〇千円/戸

中層の改良住宅等にエレベーターを設置する場合を対象とする。

(10) その他特別な事情がある場合 二、六六八千円/戸

次のaからcまでに掲げるものを対象とし、その取扱いは、それぞれ(1)から(4)までに定めるとおりとする。
a 将来の増改築を可能とするための特殊な工事を行う場合
b 離島等の遠隔地において、資材の運搬距離が長い等の理由によりそれぞれの地域の標準工事費を著しく超える場合
c a又はbに掲げるもののほか、特例加算を行うことが特に必要であると建設大臣が認める場合

第2 改良住宅等を特別な構造とする場合の取扱い

改良住宅等を特別な構造とする場合の取扱いは、次のとおりとする。
1 平屋建ての場合

(1) 適用対象

a 建設用地取得造成費が一m2当たり一八千円以下の場合
b 老人世帯、老人同居世帯又は心身障害者世帯向けの改良住宅等について、住宅の構造を二階建以上とすることが不適当な場合

(2) 住宅の一戸当たり建設工事費及び開発充当率は、下表のとおりとする。

一戸当たり建設工事費
構造別
地区区分
標準床面積
(m2/戸)
建設工事費(千円/戸)
 
 
 
 
 
 
地区区分
 
 
 
 
 
 
II
III
IV
V
低層準耐火構造
(平屋)
特別
七四・七
一五、七二〇
一四、八〇〇
一四、二二〇
一四、一八〇
 
大都市
 
一一、八一〇
一一、三四〇
 
多雪寒冷
 
一一、九五〇
一一、二五〇
一〇、八〇〇
 
一般
 
一一、五三〇
一〇、八六〇
一〇、四三〇
一〇、四〇〇
 
奄美
 
一二、七〇〇
 
沖縄
 
一一、五〇〇
 
 
 
 
北海道
七六・三
一二、五七〇
 
 
 
低層耐火構造
(平屋)
特別
七四・七
一七、五三〇
一六、四七〇
一五、八三〇
一五、八二〇
 
大都市
 
一二、七六〇
一二、二七〇
 
多雪寒冷
 
一二、九四〇
一二、一五〇
一一、六八〇
 
一般
 
一二、三二〇
一一、五七〇
一一、一三〇
一一、一二〇
 
奄美
 
一三、六一〇
 
沖縄
 
一二、八七〇
 
 
 
 
北海道
七六・三
一三、六八〇
 
 
 
開発充当率

イ 開発充当率

取得の条件
 
開発充当率
1 国有財産特別措置法(昭和二七年法律第二一九号)第六条の二の適用を受けて取得する場合
 
一・〇〇
2 一m2当たり六、〇〇〇円以下の価格で取得する場合
 
一・〇〇
3 その他の場合
住宅の容積率が下表の基準容積率以上の場合
一・〇〇
 
住宅の容積率(A%)が下表の基準容積率(A0%)未満の場合
1.00−0.01×a

a=1/2(A0−A)
(地域改善対策特定事業)
a=A0−A
(地域改善対策特定事業以外)

ただし、aは整数となるよう少数点以下を切り捨てるものとする。

ロ 基準容積率

地区別
構造
特別・大都市
一般
北海道・多雪寒冷
準耐火構造平屋建て
耐火構造平屋建て
二〇
二〇
二〇

2 木造の場合

(1) 適用の対象

地域の自然的状況、気候及び風土の特性並びに周辺の土地利用状況等を勘案して建設大臣が特に必要と認めた場合

(2) 住宅一戸当たり建設工事費及び開発充当率

a 木造平屋建て又は二階建ての一戸当たり建設工事費は、それぞれ準耐火構造平屋建て又は二階建ての一戸当たり建設工事費に準ずる。
b 木造平屋建て又は二階建ての開発充当率は、それぞれ準耐火平屋建て又は二階建ての開発充当率に準ずる。

第3 土地整備費の取扱い

その他の土地整備費等は、次の(1)から(11)までに掲げるものとし、その取扱いは、それぞれ(1)から(11)までに定めるとおりとする。
(1) 道路整備費

施行区域において必要な交通体系を形成する道路の整備を対象とする(改良住宅等の建設用地取得造成費又は建設工事費中の屋外附帯工事費の補助対象に含まれるものを除く。)。

(2) 下排水工事費

施行区域において汚水又は雨水を排水するために設置する下排水施設を対象とする。

(3) 子供の遊び場又は緑地整備費

施行区域において設置する子供の遊び場、隣棟空地及び緑地の整備を対象とする。

(4) 地区施設等用地取得造成費

改良地区等(改良地区、小集落改良地区、改良住宅等改善事業による二戸一改善等を施行する地区及び建替事業を施行する地区をいう。以下同じ。)内の居住者及び改良住宅等の入居者の共同の福祉又は利便のために必要な集会所、管理事務所、店舗、作業場又は共同作業場(住宅と同一棟となるものを除く。)の用地取得造成費で、敷地面積が当該地区施設の延べ面積の五倍以内のものを対象とする。

(5) 店舗、作業場、集会所、管理事務所、生活相談・団らん室及び物置の設置工事費

a 店舗

改良地区等内で事業の施行により営業場所を失った者に対して施行者が建設して賃貸する店舗を対象とする。ただし、一世帯当たりの規模が、住宅と同一棟の場合は当該住宅の構造別の標準床面積以内、別棟の場合はその構造に該当する住宅の構造別の標準床面積以内のものについて、それぞれ標準床面積の二分の一を限度として補助対象面積とする。
ただし、従前の営業床面積が、これらの標準床面積を超える場合には、一使用世帯当たりの建設規模を、その構造の標準床面積の二倍以内でかつ従前の営業床面積以内であって、建設大臣が必要と認める面積とすることができる。

b 作業場

改良地区等内で事業の施行により作業する場所を失った者に対して施行者が建設して賃貸する作業場又は共同作業場を対象とする。ただし、一世帯当たりの規模が、住宅と同一棟の場合は当該住宅の構造別の標準床面積以内、別棟の場合はその構造に該当する住宅の構造別の標準床面積以内のものについて、それぞれ一五m2を限度として補助対象面積とする。
ただし、従前の作業場床面積が、これらの標準床面積を超える場合には、一使用世帯当たりの建設規模を、その構造の標準床面積の二倍以内でかつ従前の作業場床面積以内であって、建設大臣が必要と認める面積とすることができる。

c 集会所及び管理事務所

イ 改良地区等内の居住者及び改良住宅等の入居者のために必要な集会所及び管理事務所を対象とする。
ロ 原則として対象利用戸数が五〇戸以上のものについて、下表に定める基準の床面積を限度として補助対象面積とする。ただし、地域の自然的、地理的状況、気候風土の差異等を勘案して建設大臣が必要と認めた場合においては、集会所については対象利用戸数が三〇〇戸以下のものの補助対象床面積の限度を一六〇m2とし、管理事務所については対象利用戸数が五〇〇戸以下のものの補助対象床面積の限度を二〇m2とすることができる。

対象利用戸数
集会所の床面積
三〇〇戸以下
一〇〇m2
三〇一戸〜六〇〇戸
一六〇m2
六〇一戸〜一、〇〇〇戸
二二〇m2
一、〇〇一戸以上
二八〇m2
対象利用戸数
管理事務所の床面積
五〇〇戸以下
一四m2
五〇一戸〜一、〇〇〇戸
二〇m2
一、〇〇一戸以上
二六m2

d 生活相談・団らん室

シルバーハウジング・プロジェクト制度により高齢者の利用に配慮した生活相談・団らん室を設けるものを対象とする。

e 物置

改良住宅等の居住者が事業施行前の生活を維持するため必要となる物置で、施行者が各戸専用の床の外に設置し、賃貸するもののうち、一使用世帯当たりの規模が六・〇m2以内のものを対象とする。

(6) 施設併存構造費及びピロティ建設費

a 施設併存構造費

他施設と併存することにより明らかに増加したと判断される改良住宅等の構造費増加分及び改良住宅等と併存することにより明らかに増加したと判断される併存施設の構造費の増加分とする。

b ピロティ建設工事費

中高層の改良住宅等において、住宅用地の土地の有効利用を図るとともに必要なオープンスペースを確保するためピロティを設けるものを対象とする。

(7) 人工地盤及び人工歩廊建設工事費

a 人工地盤建設工事費

土地の有効利用を図るため、主として公共的な利用に供することを目的として設置する版状の構造物の公共的利用に供する部分の建設工事費を対象とする。

b 人工歩廊建設工事費

土地の有効利用、交通安全等に資するため、主として歩行者の通行を目的として設置する構造物の公共的利用に供する部分の建設工事費を対象とする。

(8) 水害危険集落地区内における宅地の整備に要する費用

水害危険集落地区内において災害の防止及び住環境の改善のために必要な宅地の盛土、地盤改良等の宅地整備を対象とする。なお、これらに伴う補償費も含むものとする。

(9) 測量・調査・設計費

地区整備事業及び改良住宅等建設事業を実施するために必要となる調査、測量及び設計に要する費用を対象とする。

(10) 工場等の移転補償費(既設改善関連改良住宅建設事業に係るものを除く。)

a 住工混在地区において、施行地区を整備するために行う必要最小限の工場等の移転に伴い通常生ずる損失補償に要する費用を対象とする。
b 対象となる工場等は、建築基準法第四八条の規定又は同法第四九条の規定に基づいて地方公共団体が定める条例の規定若しくは同法第六八条の二第一項の規定に基づいて市町村が定める条例の規定中、建築物の用途に係る規定により建築を制限されている用途に供する建築物で、同法第三条第二項の規定により当該規定の適用を除外されているもののうち、次のa又はbに掲げるものとする。

イ 作業場の床面積が五〇〇m2以下の工場
ロ 危険物の貯蔵又は処理に供する建築物で、その用に供する部分の面積が五〇〇m2以下のもの

(11) その他大臣が必要と認める費用

その他大臣が必要と認める費用は、次のとおりとする。
a 次年度以降に建設される改良住宅等の処理分を含んで設置する大規模なし尿処理施設の設置工事費
b 当該改良住宅等の団地を建設することによって生ずる周辺の電波障害の解消のために設置するテレビ共視聴アンテナ設備の設置工事費
c 大規模なコンクリート擁壁等の建設工事費
d その他


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