建設省住整発第八三号
昭和五八年一二月二二日

都道府県知事あて

建設省住宅局長通達


住宅新築資金等貸付事業の適正な執行について

住宅新築資金等貸付事業は、地域改善対策の一環として対象地域の住環境の整備を進めるうえで、大きな役割を果たしてきたことは、御承知のとおりである。
本制度は、昭和四一年度に住宅改修資金貸付事業として発足以来、現在まで一五万件余の貸付けを実施してきているところであるが、近年、資金の貸付けを受けながら住宅の建設を行っていないもの、宅地の取得を行っていないもの等の事例が多く見られるほか、極端に償還率の低い貸付主体があるなど、制度の運用に混乱が見られる状況にある。
こうした制度の運用の混乱は、今後の住宅新築資金等貸付事業の適正、円滑な執行を妨げるばかりでなく、これが原因となって地域改善対策事業に対する国民の誤解や批判的意見を招くことにもなりかねない。
地域改善対策特別措置法の期限内に対象地域の住環境の整備を完遂するためには、今後とも住宅新築資金等貸付事業を積極的に活用していく必要があることは、論をまたないところであるが、今後、広く住民一般のコンセンサスを得て、事業の本来の目的を達成するためには、各貸付主体が行政の主体性を確保しつつ運営の公平の確保を図るとともに、事業の実施に当たっては、住宅新築資金等貸付制度要綱等、事業執行に関する準則を厳守し、特に左記の点に留意して事業の適正な執行を図るよう、指導を強化されたい。

1 貸付けの決定に当たっては、借受申込書の審査を適正に行うほか、借受申込者に対し、本制度の趣旨、内容等についての理解を一層徹底させること。
2 住宅新築資金等貸付事業は、個人に対する貸付けであり、また、貸付金額が多額になることから、貸付けを決定する際には、貸付けを受ける個人が、その生計を不当に圧迫することなく、確実に借入金を返済できるよう、償還計画について必要な指導を行うこと。
3 貸付けに当たっては、住宅新築資金等貸付要領第七第一項に規定する通り、抵当権の設定等、必要な事項を貸付条件として定めた契約を借受人と締結すること。
4 貸付けに係る工事の進捗に応じて、現地における審査を適宜実施するとともに、貸付金の支払いに当たっては、住宅の新築等の出来高に応じた支払いを行う等、貸付金が制度の目的を確実に達成できるよう配慮すること。
5 制度の適正な運用を確保するため、事業主体の住宅新築資金等貸付事業に係る条例等の規程が適切なものとなるよう、その整備を図ること。

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