建設省住整発第四六号
平成九年四月一日

都道府県知事あて

建設省住宅局長通知


小規模住宅地区等改良事業制度要綱


第1章 総則

第1 目的

この要綱は、不良住宅が集合すること等により生活環境の整備が遅れている地区において、住環境の整備改善又は災害の防止のために、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅の集団的建設、建築物の敷地の整備等の事業を行う地方公共団体に対し国が必要な助成を行う制度を確立し、もって公共の福祉に寄与することを目的とする。

第2 定義

この要綱において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 小規模住宅地区改良事業 この要綱に定めるところに従って行われる小規模住宅改良地区の整備及び小規模改良住宅の建設に関する事業並びにこれらの附帯する事業をいう。
二 老朽住宅除却等事業 この要綱に定めるところに従って行われる不良住宅又は空家住宅の除却及び空家住宅の活用に関する事業並びにこれらに附帯する事業をいう。
三 小規模住宅地区等改良事業 前一号から二号までに規定する事業をいう。
四 不良住宅 住宅地区改良法(昭和三五年法律第八四号)第二条第四項に規定する不良住宅をいう。
五 空家住宅 老朽住宅除却等事業を実施しようとする際に使用されておらず、かつ、今後も居住の用に供される見込みのない住宅であって、その除却後の跡地又は増改築等の後の住宅が地域活性化のための計画的利用に供されるものをいう。
六 小規模改良住宅 この要綱に基づいて施行者が建設する住宅及びその附帯施設をいう。
七 施行区域 第一号から第二号までの事業が行われる土地の区域(地区外建設用地を含む)
八 産炭等地域 産炭地域振興臨時措置法(昭和三六年法律第二一九号)第二条第一項に規定する産炭地域又は鉱工業(石炭に係るものを除く。以下同じ。)の振興と密接な関連を有する地域をいう。
九 公共施設 道路、公園、広場、緑地、河川、下水道その他の公共の用に供する施設をいう。
十 生活環境施設 集会所、保育所、幼稚園その他の住民の日常生活に密接に関連する施設をいう。

第3 施行者

1 小規模住宅地区等改良事業は、市町村(特別区を含む。以下同じ。)が施行する。
2 都道府県は、市町村が小規模住宅地区等改良事業を施行することが困難な場合その他特別の事情がある場合においては、小規模住宅地区等改良事業を施行することができる。

第2章 事業計画

第4 事業地区

1 小規模住宅改良地区は、次の各号に掲げる要件に該当する土地の区域とする。

一 地区内の不良住宅の戸数が一五戸以上であること。
二 地区内の住宅の戸数に対する不良住宅の戸数の割合が五割以上であること。

第5 事業計画の策定

1 小規模住宅地区改良事業を施行しようとする者は、次に掲げる事項を定めた事業計画を策定し、国土交通大臣の承認を受けなければならない。

(1) 事業施行区域の名称、位置及び区域
(2) 小規模改良住宅の建設戸数
(3) 地区整備計画
(4) 資金計画
(5) 事業の施行年度
(6) 事業地区内の居住者の移転計画
(7) 公共施設及びその他の施設の種類並びにその用に供すべき土地の規模
(8) 第三の規定によって事業計画に関する協議の相手方となる公共施設の管理者又は管理者となるべき者及びその他の施設を設置すべき者への土地の引渡し計画

2 市町村が前項の承認の申請をしようとするときは、都道府県知事を経由して行うものとする。
3 施行者は、事業計画を定めようとするときは、あらかじめ次に掲げる関係者と協議しなければならない。

(1) 公共施設の管理者又は管理者となるべき者
(2) 生活環境施設の位置について、許可、認可その他の処分をする権限を有する者
(3) 施行区域内において住宅経営をしようとする地方公共団体、都市基盤整備公団及び地方住宅供給公社並びに一団地の住宅施設に関する都市計画事業を行う者

4 前三項までの規定は、事業計画の変更(軽微な変更を除く。)について準用する。

第6 事業計画の周知

小規模住宅地区改良事業の施行者は、事業計画又はその変更の承認があったときは、速やかに、当該計画を事業地区内の居住者に周知させる措置をとらなければならない。

第3章 小規模改良住宅

第7 小規模改良住宅の建設

1 小規模住宅地区改良事業の施行者は、事業計画の承認の日において事業地区内に居住する者で、事業の施行に伴いその居住する住宅を失うことにより住宅に困窮することとなると認められる世帯の数に相当する戸数の小規模改良住宅を建設しなければならない。
2 施行者は、前項の規定により建設しなければならない小規模改良住宅の戸数が、第九第一項の規定により小規模改良住宅に入居させるべき世帯の数に比較して過不足を生ずることが明らかとなった場合においては、これを増減するために速やかに事業計画を変更し、国土交通大臣の承認を受けなければならない。
3 国の補助を受けて建設される小規模改良住宅は、建築基準法(昭和二五年法律第二〇一号)に定める耐火建築物又は簡易耐火建築物とし、その戸建形式は、次の表に掲げるところによらなければならない。ただし、特別の事由によりやむを得ない場合においては、この限りでない。

構造
戸建形式
耐火建築物
重ね建住宅又は共同住宅
準耐火建築物
連続住宅、重ね建住宅又は共同住宅
第8 一時収容施設の設置

小規模住宅地区改良事業の施行者は、小規模改良住宅に入居させるべき者を一時収容する必要がある場合においては、これに必要な施設を設置しなければならない。

第9 小規模改良住宅の入居

1 小規模住宅地区改良事業の施行者は、次に掲げる者で、小規模改良住宅への入居を希望し、かつ、住宅に困窮すると認められるものを小規模改良住宅に入居させなければならない。

(1) 小規模住宅地区改良事業の施行に伴い住宅を失った世帯に属する者
(2) 事業計画の承認の日以後に事業地区内において災害により住宅を失った世帯に属する者

2 事業計画に従って建設された小規模改良住宅に、前項の規定により小規模改良住宅に入居させるべき者が入居せず又は居住しなくなった場合は、その戸数に相当する数の世帯を、住宅に困窮していると認められる世帯の中から公正な方法で選考し、当該小規模改良住宅に入居させなければならない。

第10 小規模改良住宅の管理

小規模住宅地区改良事業の施行者は、常に小規模改良住宅の状況に留意し、国土交通省住宅局長が別に定めるところにより、その管理を適正かつ合理的に行うよう努めなければならない。

第4章 老朽住宅除却等事業

第11 老朽住宅除却等事業

老朽住宅除却等事業の施行者は、不良住宅又は空家住宅の集積が居住環境を阻害し、又は地域活性化を阻害している一因となっている産炭等地域又は過疎地域(過疎地域自立促進特別措置法(平成一二年法律第一五号)第二条に規定する過疎地域をいい、平成一六年度までの間に限り、同法附則第五条に規定する特定市町村を含むものとする。)において、居住環境の整備改善及び地域の活性化に資するため、不良住宅又は空家住宅の除却及び空家住宅の活用を行うことができる。

第5章 費用の負担及び補助

第12 国の補助

1 国は、小規模住宅地区改良事業の施行者に対して、予算の範囲内において、次の各号に掲げる費用の一部を補助することができる。

一 不良住宅の除却(除却のための取得を含む。)に要する費用
二 小規模改良住宅の建設に要する費用
三 小規模改良住宅の建設のため必要な土地の取得及びその土地の宅地造成に要する費用
四 道路、下排水施設その他事業地区の住環境の改善のために必要な施設の整備に要する費用
五 一時収容施設の設置に要する費用

2 国は、老朽住宅除却等事業の施行者に対し、予算の範囲内において、次の各号に掲げる費用の一部を補助することができる。

一 不良住宅又は空家住宅の除却費用
二 不良住宅又は空家住宅の除却を行う者に対し除却工事等に要する経費について補助する費用
三 空家住宅の活用に要する費用

第6章 補則

第13 監督等

国土交通大臣は都道府県又は市町村に対して、都道府県知事は市町村に対して、小規模住宅地区等改良事業の適正な施行を図り、又は小規模改良住宅の管理及び処分を適正に行わせるため、この要綱の施行のため必要な限度において、報告若しくは資料の提出を求め、又は必要な勧告、助言若しくは援助をすることができる。

第14 運営

小規模住宅地区改良事業の運営は、この要綱に定めるところによるほか、「住宅地区改良事業等補助金交付要領」「小規模住宅地区等改良事業事務処理要領」及び「改良住宅等管理要領」の定めるところにより行わなければならない。



附 則 (平成九年四月一日要綱第四六号)

第1 施行期日

この要綱は平成九年四月一日から施行する。

第2 経過措置

1 この要綱の施行の際、密集住宅市街地整備促進事業制度要綱(平成六年六月二三日付建設省住市発第四六号。以下「密集要綱」という。)の規定に基づき現に施行中の炭住等地区に係る密集住宅市街地整備促進事業は、この要綱の規定による小規模住宅地区等改良事業とみなす。
2 前項の事業について、この要綱の施行の前に、密集要綱により炭住等地区に係る密集住宅市街地整備促進事業に関して行った手続その他の行為は、この要綱の相当する規定により小規模住宅地区等改良事業に関して行った手続その他の行為とみなす。
3 この要綱の施行の際密集要綱の規定による現に存する炭住等地区に係るコミュニティ住宅及び住宅地区改良事業に準ずる事業の取扱いについて(昭和四九年九月一日付建設省住整発第九一号)の規定による住宅地区改良事業に準ずる事業により建設された住宅は、この要綱の規定による小規模改良住宅とみなす。

第3 その他

住宅地区改良事業に準ずる事業の取扱について(昭和四九年九月一日付け建設省住整発第九一号)は廃止する。



附 則 (平成一〇年四月八日要綱第二八号)

改正後のこの要綱は、平成一〇年四月八日から施行する。



附 則 (平成一二年三月二四日要綱第三〇号)
改正後のこの要綱は、平成一二年四月三日から施行する。



附 則 (平成一三年三月三〇日要綱第七四五号)
改正後のこの要綱は、平成一三年四月二日から施行する。



附 則 (平成一四年三月二九日要綱第一二二八号)
第1 施行期日

改正後のこの要綱は、平成一四年四月一日から施行する。

第2 経過措置

この要綱の施行の際現に施行中の旧要綱の規定による小規模住宅地区改良事業は、従前の事業の規定による。



附 則 (平成一五年三月三一日要綱第一三二号)

改正後のこの要綱は、平成一五年四月一日から施行する。


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