建設省住整発第三四号
昭和五〇年一一月四日

北海道知事あて

建設省住宅局長通達


アイヌ住宅資金等貸付事業補助制度要綱


第1 目的

この要綱は、生活環境等の整備が遅れている北海道におけるアイヌ系住民の居住地域の環境の整備改善を図るため、当該地域に係る住宅の新築若しくは改修又は住宅の用に供する土地の取得について必要な資金の貸付けを行う市町村に対して助成を行う北海道に対し、国が必要な助成を行う制度を確立し、もって公共の福祉に寄与することを目的とする。

第2 定義

1 この要綱において「住宅新築資金」とは、自ら居住する住宅の新築又は購入を行おうとする者に対し、市町村がこの要綱により貸し付ける資金をいう。
2 この要綱において「住宅改修資金」とは、老朽化した住宅又は防火上、衛生上若しくは居住性上劣悪な状態にある住宅で、その改修により耐久性が増し、又は劣悪な状態が改善される見込みのあるものの改修をしようとする者に対し、市町村がこの要綱により貸し付ける資金をいう。
3 この要綱において、「宅地取得資金」とは、自ら居住する住宅の用に供するため、土地又は借地権の取得(当該土地又は借地権の目的となっている土地の造成を含む。)を行おうとする者に対し、市町村がこの要綱により貸し付ける資金をいう。
4 この要綱において「貸付事業」とは、北海道内の市町村が行う住宅新築資金、住宅改修資金又は宅地取得資金(以下「住宅新築資金等」という。)の貸付けの事業で第三に定めるものをいう。
5 この要綱において「貸付主体」とは、貸付事業を行う市町村をいう。
6 この要綱において「補助事業」とは、貸付主体に対して貸付事業に必要な資金の一部に充てるため補助金を交付する事業で北海道が行うものをいう。

第3 貸付事業

1 貸付事業は、第二項から第一一項までに定めるところにより行うものとする。
2 貸付対象者

一 住宅新築資金の貸付けの対象となる者は、第二第一項の者で次に該当するものとする。

イ 他の方法では必要な資金の貸付けを受けることができないと認められるもの。
ロ 元利金の償還の見込みが確実であるもの。

二 住宅改修資金の貸付けの対象となる者は、第二第二項の者で次に該当するものとする。

イ 改修を行おうとする住宅の所有者又は改修を行おうとする住宅の居住者で改修を行うことについて正当な権原を有するもの。
ロ 前号イ及びロに該当するもの。

三 宅地取得資金の貸付けの対象となる者は、第二第三項の者で、第一号イ及びロに該当するものとする。

3 住宅又は土地若しくは借地権に関する基準

一 住宅新築資金の賞付けに係る住宅(以下「貸付対象住宅」という。)又は宅地取得資金の貸付けに係る土地若しくは借地権(以下「貸付対象土地」という。)は、住宅新築資金又は宅地取得資金の貸付けを受ける者が現に居住する市町村の区域内に存しなければならないものとする。ただし、特別の事情があるものとして、貸付主体が承認をしたときはこの限りではない。
二 貸付対象住宅又は貸付対象土地の規模は、次に掲げるものとする。

(1) 貸付対象住宅は安全上、衛生上及び耐久上必要な規模、構造、設備、敷地等を備え、かつ、良好な居住性を有する住宅で、一戸の床面積の合計(共同住宅においては、共用部分の床面積を除く。以下同じ。)が三〇平方メートル以上一二五平方メートル以下のものとする。ただし、六〇才以上の老人とその親族が同居する場合(この老人とその配偶者のみが同居する場合を除く。)、六人以上の親族が同居する場合等で、特に貸付主体がその必要を認めたときは、一戸の床面積の合計の上限を一六五平方メートルとすることができる。
(2) 人の居住の用に供したことのある住宅を購入する場合には、貸付けの対象となる住宅は、安全性、衛生上及び耐久上必要な規模、構造、設備等を備え、かつ、良好な居住性を有する住宅で、次の各号のいずれかに該当するものとする。

ア 一戸の床面積の合計が三〇平方メートル以上一二五平方メートル以下で、昭和四五年四月一日以降に建設された地上階数三以上の耐火構造の共同住宅
イ 一戸の床面積の合計が三〇平方メートル以上一二五平方メートル以下(ただし、六〇才以上の老人とその親族が同居する場合(この老人とその配偶者のみが同居する場合を除く。)、六人以上の親族が同居する場合等で、特に貸付主体がその必要を認めたときは、三〇平方メートル以上一六五平方メートル以下)で、昭和五四年四月一日以降に建設された専用住宅(地上階数三以上の耐火構造の共同住宅を除く。)

(3) 貸付の対象となる住宅の改修工事は、住宅又は住宅部分の基礎、床、土台、柱、壁、はり、天井、屋根、その他の主要な構造部分又は電気設備、給排水設備、台所、便所等の設備について行われる増築、改築、移築、修繕若しくは模様替え又は設備の改善とする。
(4) 貸付対象土地の規模は、一戸当たり一〇〇平方メートル以上四〇〇平方メートル以下(ただし、住宅が共同住宅である場合の土地にあっては、一戸当たり五〇平方メートル以上四〇〇平方メートル以下)とする。

ただし、既に自ら居住する住宅が建設されている土地に貸付対象土地を加え、一団の土地とするときは、この限りではなく、この場合においては、当該一団の土地の規模が一戸当たり一〇〇平方メートル以上四〇〇平方メートル以下(ただし、住宅が共同住宅である場合の土地にあっては、一戸当たり五〇平方メートル以上四〇〇平方メートル以下)となるものでなければならない。

4 貸付金の限度

貸付主体が一の貸付対象者に対して貸付けることができる住宅新築資金等の限度額は局長が定める。

5 貸付金の利率及び償還期限

貸付主体が貸し付ける住宅新築資金等の利率は年二%以内とし、その償還期限は住宅新築資金及び宅地取得資金にあっては二五年以内、住宅改修資金にあっては、一五年以内とする。

6 期限前償還

貸付主体は、住宅新築資金等の貸付けを行った場合において、住宅新築資金の貸付けを受けた者(以下「借受人」という。)が次の各号の一に該当するときは、償還期限前に借受人に対し貸付金の全部又は一部の償還を請求することができるものとする。
一 貸付金を質付けの目的以外に使用したとき。
二 貸付金の償還を怠ったとき。
三 第八項又は第九項の規定に違反したとき。
四 虚偽の申請その他不正な手段により貸付けを受けたとき。
五 貸付金に係る住宅又は土地若しくは借地権を第九項ただし書の規定による承認を受けて処分したことにより収入があったとき。
六 その他正当な理由がなく、貸付条件に違反したとき。

7 償還の猶予又は免除

貸付主体は、次の各号の一に該当する場合において、やむを得ないと認められるときは、貸付金の全部又は一部の償還を猶予し、又は免除することができるものとする。
一 災害その他特別の事情により、借受人が償還期限までに貸付金を償還することが著しく困難になったと認められるとき。
二 災害その他借受人の責に帰することができない理由により、貸付金に係る住宅が滅失したとき。

8 住宅の建設義務

宅地取得資金の借受人は、その質付けを受けた日から起算して二年以内に、貸付対象土地において自ら居住する住宅の建設に着手しなければならないものとする。ただし、当該貸付対象土地を含む一団の土地に既に自ら居住する住宅が建設されているとき又は特別の事業があるものとして貸付主体が承認したときはこの限りでない。

9 処分の制限

借受人は、貸付金の償還前において、貸付金に係る住宅又は土地若しくは借地権を貸付金の貸付けの目的に反して使用し、譲渡し、交換し、貸与し又は担保に供してはならないものとする。ただし、特別の事情があるものとして貸付主体が承認したときは、この限りではない。

10 住宅新築資金等の経理

住宅新築資金等の経理は、特別会計を設置する等によりそれぞれ明確にするものとする。

11 事業計画

一 貸付主体は、毎年度それぞれの貸付事業に関する事業計画を作成しなければならない。
二 前項の事業計画は、地域の環境の整備改善に資するとともに住宅地区改良事業、又は準住宅地区改良事業の事業計画等に適合するよう定めなければならない。
三 貸付主体は第一号の事業計画によらなければ貸付事業を行ってはならない。

第4 補助金の金額

1 国は、北海道に対し、予算の範囲内において、補助事業に必要な資金の一部に充てるため、補助金を交付することができる。
2 前項の補助金の額は、局長が定めるところにより、補助事業に要する経費の額の二分の一以内で、当該補助事業に係る住宅新築資金等の新規財源の八分の一以内の額とする。

第5 納付金

国土交通大臣は、貸付主体が貸付事業を廃止した場合において、北海道が当該貸付主体に対し納付金を納付させることが適当なときは、北海道に対し、当該貸付事業が廃止されるまでの毎年度の当該貸付事業に係る国の補助金の合計額を限度として国土交通大臣が定める額を国に納付させることができる。


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