

発住第七一号
昭和四〇年七月一五日
建設事務次官通達
地方住宅供給公社法の施行について
さる第四八回国会(通常会)で成立をみた地方住宅供給公社法(昭和四〇年法律第一二四号)は、同法施行令(昭和四〇年政令第一九八号)とともに昭和四〇年六月一〇日公布施行され、また、同法施行規則(昭和四〇年建設省令第二三号)も昭和四〇年七月一〇日公布施行された。
地方住宅供給公社法は、最近の宅地価格の高騰等により中堅階層の勤労者にとって持家の取得が次第に困難となっている現状にかんがみ、持家を希望する人達にみずから資金の積立てを行なわせ、これに住宅金融公庫の資金等をあわせて活用し、居住環境の良好な集団住宅及び宅地を供給し、もって勤労者の生活設計に健全な目標と明るい希望をもたせることを目的とするものである。
かかる本法制定の趣旨にしたがい、その施行にあたっては、以下の諸点に十分留意して遺憾なきを期せられたく、命により通達する。
一 地方公社の設立について
(1) 地方公社は、都道府県又は人口五〇万以上の大都市が設立することができることとなっているが、とくに勤労者の住宅事情がひっ迫している地域においては、すみやかに所要の手続きを経て地方公社を発足させるよう努めること。
この場合、既存の住宅協会、公社等でその業務内容からみて今後地方公社として運営していくことが適当と認められるものについては、本法附則第二項の規定による組織変更の方途が開かれているので、その活用を図ること。
(2) 地方公共団体は、地方公社の特別法人としての財政的基礎及び対外的信用を確立するのに必要な額を基本財産として出資すべきこと。組織変更により既存の公益法人を地方公社として発足せしめる場合の基本財産についても同様である。
(3) 地方公社は、都道府県又は人口五〇万以上の大都市が単独に設立することができるが、本法は二以上の都道府県、二以上の都道府県とそれらの区域内の大都市、一の都道府県とその区域内の大都市がそれぞれ共同して地方公社を設立する途を開いており、住宅問題の広域的解決のためにも、事情の許すかぎりこの制度の活用を図ること。
二 地方公社の役員について
地方公社の業務を執行する責任は、理事長及び理事にあるので、役員については、地方公社の業務の適正、かつ、能率的な運営を図るため、住宅関係業務に関して有能な人材を慎重に選任することとし、単に名目的な役員の選任はさけること。
三 地方公社の業務について
(1) 地方公社が事業計画及び資金計画を作成するにあたっては、地域的な住宅事情を十分に把握して適正な計画をたてるよう指導すること。この場合、事業の円滑な実施を図るため、積立分譲住宅の建設に対する住宅金融公庫の融資を十分配慮することについて大蔵省とも協議了解済みであるが、一般分譲住宅、賃貸住宅の建設等についてもとくに民間資金の活用に努めさせること。なお、最近における地価の高騰等に伴う用地取得難に対処するため敷地については、先行取得に努めさせること。
(2) 集団住宅の団地の位置、規模の決定、道路、公園等の配置等については、良好な居住環境の確保に十分配慮するとともに、とくに都市計画関係部局等とも緊密な連けいのもとに事業を行なわせること。
(3) 地方公社が供給する住宅及び宅地については、真に住宅を必要とする中堅階層の勤労者の利用が確保されるよう地方公社が行なう住宅及び宅地の建設、造成、管理、譲渡に関する業務について十分指導監督するとともに、譲受人が譲り受けた住宅をやむを得ず転売することについて地方公社が承認する場合は、その譲受人がみずから居住する者であること等を要件とすること。
(4) 住宅の積立分譲に関する契約に基づく金銭の受入れに関する業務は、金融機関における預金業務と類似のものであるから、積立者の保護に万全の措置を講じること。とくに受入金に係る引当金については、不時の解約による払戻しの求めに応ずることのできる額を常に保有させる必要があり、本法施行規則第二六条には受入金の総額の一〇〇分の五以上を保有することと規定しているが、当分の間は、少なくとも受入金の総額の一〇〇分の一〇程度を保有することが望ましい。
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