建都発第九〇〇号
昭和二五年一〇月二六日

建設省都市局長・住宅局長から各都道府県知事あて

通達


「建築基準法の施行期日を定める政令」の公布に伴う都市計画地域地区に関する措置について


今般一〇月二三日政令第三一九号「建築基準法の施行期日を定める政令」により、建築基準法は来る一一月二三日より施行されることとなったが、地域地区の指定に関する規定等は、これに先立って一〇月二五日から施行されることになったので、左記について夫々必要な準備を行い、法の施行に遺憾なきようにされたい。

市街地建築物法による地域地区については、建築基準法と同時に夫々同法の地域地区とみなされるが、その制限内容が変更されたことによる検討の問題があり、殊に従来未指定地として運用されて来た地域については、建築基準法にこれを承継する規定がないので、建築基準法施行と同時にこれを準工業地域等へ指定変えができるよう事前に手続を講じておく必要があるので、今般地域地区の指定に関する規定を繰上げで施行されたのである。
これについては、さきに都市計画地域地区に関するブロック会議において新法による地域地区の再検討としてお願いしたところであるから、既に鋭意検討中のことと思うが、至急成案を得て、特に未指定地の変更措置については、建築基準法の施行と同時に移行できるよう左の点留意の上一一月二三日までに指定の手続を進められたい。
イ 今回の地域地区の指定にあたっては、市町村の申出に基いて行うことが必要となったので、この点特に留意すること。
ロ 防火地域又は準防火地域の指定に当っては、国家消防庁長官の意見をきくことが必要となったので、防火地域又は準防火地域の指定の内申に際しては、あらかじめ当該地方の消防所轄の長の意見を添付すること。
ハ 建築基準法の施行に伴う地域地区の種類及び内容の変化に伴い現行の「地域決定標準」(昭和八・七・二〇、発都第一五号内務次官通牒)も全面的に変更の必要を生じ、その改訂につき準備中であるが、その表示については、新たに設けられた地域及び従来の住居地域と緑地地域、公園の表示の混同等にかんがみ、とりあえず左記によって表示されたい。
名称
表示色
従来の表示色
住居地域
イエロー
グリーン
商業地域
クリームソンレーキ
クリームソンレーキ
準工業地域
コバルトブルー
 
工業地域
プルシャンブルー
ブルー
緑地地域
フーカスグリーン
フーカスグリーン


(参考)

地域決定標準

第一 指定

一 予め市街地と未建築地とに区分し左記の要領に依りて第一次地域図を作成すること

イ 市街地

1 市街地に在りては一般の土地の現況を尊重し建物用途別現況図に準拠して各種地域を定むること
2 前号に拘らず尚左記に依り案配すること

(一) 商業地域とするもの

(イ) 停車場及埠頭附近地其他他重要なる交通の中心地
(ロ) 公館地区
(ハ) 人口密度漸減して商業化の傾向ある土地
(ニ) 前各号に近接して建築物の密集せる土地

(二) 工業地域とするもの

(イ) 地勢平坦にして港湾、運河に接近し若くは陸上運輸の便なる土地
(ロ) 特に地下水豊富にして且良好なる土地
(ハ) 噴油口、坑道口の附近地
(ニ) 動力、用水等の供給若くは排液の処置容易なる土地

(三) 住居地域とするもの
特に樹林、水辺の風致に富める土地

3 市街地建築物法第十八条の規定に依り市街地を改造し得る見込あるものは「1」号に拘らず別に考慮すること

ロ 未建築地

1 未建築地に在りては前項「2」号に準拠して各種地域を定むること
2 特に都市計画諸施設との連繋を計ること
3 先ず商業地域の系統を確立し次に工業地域の配布を定め残余の土地を以て住居地域に充つること
4 市街地の商業地域に隣接するものを除くの外集団的なる商業地域を設けざること
5 広大なる未指定地は特別の事由ある場合を除くの外之を設けざること
6 近く市街地化の見込なく地域を決定すること困難なる土地及農林業地(禽畜飼養場、養魚場等を含む)、鉱業地(採炭区域等)等にして市街地化の見込尠く且空地として保存するを適当と認むる土地に付ては地域も定めざるも妨げざること
7 工業地域内特別地区を決定するに付ては其の利害得失を十分考慮すること
8 工業地域の決定に付ては恒風の方向を考慮すること

二 左記各号を参酌して第一次地域図を適当に補正すること

イ 地域の配布形状に付ては左の事項に留意すること

1 各種地域の配布状態を整理すると共に必要に応じ区域外との関係を考慮すること
2 商業地域を除き路線的の地域を避くること
3 路線的商業地域は断続せしめざること
4 路線的商業地域を配するに当りては左の事項に留意すること

(一) 住居地域内に在りては間隔凡一粁以内
(二) 工業地域内に在りては工業地域の幅一粁未満の場合は之を配せず

5 工業地域は其の幅過大なるを避け適当に住居地域を介在せしめ又は之と連繋を保たしむること
6 工業地域並に工業地域内に介在する住居地域は相当なる大さを有すること
7 住居地域は其幅過大なるを避け適当に未指定地又は工業地域との連繋を保たしむること

ロ 各種地域の面積割合に関しては区域内市街地に付て沿革及現状を調査したるものを基準とし別に当該都市に於ける将来の計画を参酌して適当に之を定むること


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