建築士法と建築基準法は、有機的に相関関係を有するものであるが、法制上は、建築士法における建築士の業務に対する監督権は、第一次的に都道府県知事にあり、建築基準法における監督権は、第一次的な特定行政庁及び建築主事にあるため両法の施行に当つては、この間の連絡を緊密に行うことが必要である。
しかして、都道府県知事が特定行政庁の殆んど凡てを占めている現状においては、建築士の個々の業務に対する組織的な監督は、原則として、同一部内における建築基準法の事務と併行して行うことが、最も能率的であり又効果的であると認められるから、左の要領を参考として、同法施行の組織を活用して監督を行なわしめるようにされたい。
一 建築士の個々の設計及び工事監理の業務に対する監督
この監督は、特に必要のある場合を除くの外は、原則として、建築基準法第六条、第七条及び第一二条に規定する確認及び検査を中心として、これを行い、この際違反又は不適切な行為が認められる場合には、適宜(重大な場合にはその都度)建築士法担当者に連絡するものとし、同担当者において、実地検査その他の調査に基いて告発、懲戒その他の適当な措置をとるものとする。
二 建築士事務所の監督
建築士が建築士事務所の業として行つている場合については、建築士事務所をも対象として、行うことを要するが、これについては一の建築基準法担当者よりの適宜な連絡に基いて、建築士法担当者が行う。
なお、外部よりの情報等により特に必要と認める場合その他建築士法第二六条の二に規定する建築士事務所の管理建築士に対し、報告を求めること等は建築士担当者によつてこれを行う。
三 その他
1 建築士法第三条の二と建築基準法第六条との関係について
建築士法第三条の二に掲げる建築物で建築基準法第六条の確認手続を要しないものについての監督は、建築基準法担当者が同地域の他の建築物について検査等の際これの調査を委嘱し、その報告により建築士法担当者において重点的に行うものとする。
2 立入検査について
建築士法には立入検査権に関する規定はないから、具体的な場合には、建築基準法関係者と連絡の上、適宜措置するものとする。